新薬史観

地雷カプお断り

徒然日和 Season2について

 

『ぼくと徒然日和』シリーズの最新記事です*1

 

前々回の記事

negishiso.hatenablog.com

 

前回の記事

negishiso.hatenablog.com

 

今回の記事がここです。

 

 

 

 

昨日の夜、絶叫した俺の声を君は聞いたか?

聞いていない人のためにここで絶叫します。

!!

 

これまでの徒然日和をしっかり覚えている方は、今回の徒然日和の雰囲気が違うことに気付かれたと思います。これは作者の土室圭先生も認めているところで、新しい描き方を模索するなかで生まれた作品だというお話でした。

実際にどの辺りが違っているのかを観ていくと、結構面白いものが見えてくると思います。

 

①背景の線が少なくなっている

まあこれは商業作品かどうかという違いを無視できないのですが、少なくとも今回の作品(以下S2)はこれまでのもの(以下S1)と比べてかなり背景への書き込みが簡略化されている印象を受けました(これでも十分に巧い)。S2の背景描写がデフォになれば先生も少しは楽になるのかしらと変な期待をしてしまうのですが、S1の圧倒的な自然や家への書き込みが強固な世界観を構築しているのは確かなことですので、その辺りは難しいところです。

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②真冬の髪のトーンが一段明るくなっている

真冬はS1では黒のベタ一色に白のハイライトのみだったのですが、S2ではさらにもう一個明るいトーンで髪を描くことで、つややかな髪の質感を生み出せているように思います。

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③キャラの輪郭線が全体的に太くなっている

キャラの輪郭線を太くする手法は最近のデジタルイラストの流行かな~とぼんやり思っていて、これがS2で活かされているように思います。くっきりキャラを描くことで、背景からキャラを目立たせることが出来るほか、キャラの実在感を高めることができるように考えています。今回は①の背景のデバフも合わせて、かなりキャラが前面にでているんじゃないかなと感じました。

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④瞳・影の描き方が線から面になっている

S1では瞳のグラデーションは弱めで斜線のみで描いていたのに対し、S2は面で瞳を描いている印象です。ここでも行われているのが線の排除で、①~③で行われてきた線の省略化を見て取ることができます。やはり瞳の描き方ひとつで大きく変わりますね。線から面になることで、瞳にしっとりとつやが出ます。全く同じことが影についても言えますね。

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 以上、ざっと纏めるとS1とS2にはこのような差異があります。いずれも共通しているのが「線から面へ」の態度であり、ここに作業効率の向上はもちろん、キャラ全体にしっとりとした質感(肌の温かみもそう)を与えるという点で自分にとっては非常に嬉しい変化です。が、先生が果たしてこのような意図で描き方を変えたのか判らないため、自分はこのような記事で妄想を書き殴る次第です。

それにしても、S2は非常に良かった。脚本の構成力やテンポ、絵の見せ方などはS1から変わらず最高で、特にラストページの小春と真冬の配置については心を強く打たれた。自分なら二人を真ん中に配置するのだけれど、あえて真冬を右にずらすことで、小春が前のめりになり真冬への感情を強めているという演出に繋がる。

また、今回の面への描き方の変化によってラスト手前の真冬の輝く瞳が表現可能になったというところも見逃せないと思う。これはS1の表現ではどうにも散らばってしまいそうだが、面で瞳や髪を描くことで、非常にインパクトのある絵が生まれている。

天才!

 

さて、土室圭先生が絵の練習をされているということは今後も作品を描く意志があるということで間違いないでしょう!いや~次回作が気になります。みなさんも絶対に徒然日和を読みましょう。

と書いても読まない人がいるんじゃないでしょうか?

実は、イマドキのオタクはそういう姿勢では全くダメなんですね。『徒然日和』を読まない人は基本的に出世コースから外れるというように人事担当者から聞いています。これは中小や大手、外資含めてすべての企業で観られる傾向ですね。というのも、「世界最高峰の百合漫画」を押さえていないことになるので、得意先との商談などでふと話題が百合になったときに

相手「そういえば、徒然日和の小春さんと真冬さんの件ですが」

あなた「あのう、なんですかそれは?」

相手「あ~……(この会社は社員に『徒然日和』も読ませていないのか! まったく非常識だなあ!)」

ということになりかねませんので、本当に備えたほうが良いということですね。『徒然日和』って小学校低学年にとっての『俊足』とか『コロコロコミック』とか『ドラゴン柄のエプロン』みたいなものですので、そこのところよろしくお願いいたします。

 

↓こちらから購入できます!

https://www.amazon.co.jp/dp/B07C52JP92/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_7JFRJ7K45SQ63SJVS6ND

 

 

【追記】

これはマウンティングの一例になるので良くないのですが、漫画に感想をリプライして土室圭先生から名前を入れて返信してもらっているのは自分とみ●みて●ん先生だけでした。*2

 

*1:そんなシリーズはありません

*2:だから何だという話ですね。ねぎしそは何一つ偉くないので……。

鳩羽つぐ というVtuber

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この前知り合いと話していて、「そういや鳩羽つぐってどうなってるんだ?」という話になった。そもそも自分は鳩羽つぐの動画を見たことがないのに近況が知りたくなった異常者なのですが、普通にどうなっているのか気になったので全部見ました。各動画一分前後なので、はやく何者かになりたい若者にお勧めです。

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最初の動画。この少女が鳩羽つぐであり、西荻窪に住んでいることしかわからない。幼女の声だが、ボイチェンしているかもしれない。ちゃんと終わりには礼をして良い子だ。手を振ってくれるのでファンサービスも二重丸。ピアノが流れているがピアノになんかへんなのが接続されていて怖い。最後はスタジオで撮影しているように匂わせて終わる。なんだこの動画。

 

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2本目。朝起きて歯を磨き、朝食を食べても歯を磨くつぐちゃんは偉い。歯周病ともおさらばだ。ボリボリなんかを食っているつぐちゃんはかわいいなあ。と思いきゃ納豆を混ぜているので、ボリボリと納豆の食べ合わせが気になる。

他人の声は何も聞こえず、ただつぐちゃんの生活音だけがある。怖い。つぐちゃんはちゃんと大人の人と生活できているのかな?おじさんは心配です。

 

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その金魚の子にしたんだね。かわいいね。家に帰ってから水を入れる音と、恐らく水槽に石を沈める音しかしない動画。なんだこれは。

 

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鳩羽つぐではなく雉尾つぐへの間違い電話だそうです。尾道に住んでいるのか、雉尾の説明の尾なのかは不明。なんだこの動画。つぐちゃんが投稿しているということはつぐちゃんと関係があるということか?許されない、匂わせはやめなさい。

 

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鳩羽つぐ自体がアバターなのにさらにワンコのアバターを作っている!面白い。編集に6日掛かっているところも好きだ。あとつぐちゃんの耳ピアスと泣きぼくろも好きだ。でもその歳でピアスは大丈夫なのか?

 

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構図がすんごい好きだ。めちゃくちゃいい画面で感動する。シンクに映り込んでいる換気扇も素晴らしい。それにお料理のときには頭巾を被るつぐちゃんが愛おしいし、フライパンが温まるまで揺れているのがとても良い。大好きだ。でも使ったお料理の時には大人の人がいてくれると助かります。

 

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画面の暗さがすごく良い。折り紙の青々とした色がこの画面でくっきりと映えている。しかしこの動画タイトル、つぐちゃんが知っていると思えない単語だ。この動画を投稿しているのは誰?

 

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映像作品として本当に完成度が高い。夏の日の光の量の変化が泣きそうなくらいに美しい。つらい。助けて欲しい。そしてクラファンって何?聞いてないんだけれど……。

 

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迷わないで……。

それにしても本当に画面のセンスが良い。撮影者は何者なんだ。

最後に喫茶店の営業中の朝顔を折り紙の朝顔にしてあげるつぐちゃんの優しさに胸が苦しくなる。本当に好きだ。迷わずお家に帰ってくれ。

 

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こんな暗い夜に散歩しないでくれ。あとごそごそ動いていた虫は何?怖い。

 

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落ち葉でさつまいもでも焼いているのだろうか?

何かを歌いながら煙られているつぐちゃんが不穏で恐ろしい。

 

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どうして他のゲームに光りがないのだろう。このゲームセンターは閉まっているのでは?何も操作せずに勝手に動き続け、虚無を掴み続けるクレーンは退廃的な印象だ。やめてほしい。つぐちゃんの他に人間はいないのか?

 

以上、この2020年1月22日に投稿された「title_0」で鳩羽つぐの動画は途絶えるのだが、許せないのでクラファンのリターンだった鳩羽つぐの夏休みを購入した。

shop.edanoue.com

4400円で売ってます。

 

24分15秒のうち、およそ半分くらいしか鳩羽つぐが映っていないが、これはこれで満足度がある。しかし鳩羽つぐ本編の「料理」「残暑」「夏休み」「雨宿り」のようなキレッキレの映像を観たくて購入したのに、あそこまで決まっている映像は僅かしかなかったため、まずまずという感じだった。個人的にお気に入りなのは①ベッドの上で飛び跳ねる、②階段で足ぶらぶら、③冷蔵庫開け、④金魚掬い、⑤ラストの花火といったところで、ここらへんは楽しく観ることが出来た。

とにもかくにも鳩羽つぐというキャラクターを実写の背景と融合させて実在感を醸し出したセンスはとても良いし、これからもこういうVtuberが増えてくれたらいいなと思う。鳩羽つぐもきっといつかは復活するはずで、例えば10年くらい後に女子高校生になって「元気だった?」と笑ってくれるかもしれないし、もうこんな映像を撮ったことを忘れてしまうのかもしれない。でもそれで良くて、鳩羽つぐちゃんみたいに可愛い子は、インターネットなんてクソみたいなところからさっさと離れるのに越したことはないのだ。現にインターネットでは、当時つぐちゃんが誘拐された女の子だとかいう奇妙な言説で沸き立っていたという。そうではなく、つぐちゃんをありのまま受け止めること、これが大事なのではないでしょうか。鳩羽つぐは生きていて、今もどこかに存在している。または過去か未来かの映像が自分たちの手元に何らかの手段で送られているために、今はもう/あるいはまだ存在していない。いずれにせよそこにあるのは悲しい日々では無く、彼女にとって幸福な日々であるべきだし、そうだったし、そうあってほしいと思う。

鳩羽つぐはそういうVtuberだ。

大内りえ子「返事をする; 繰り返す 繰り返した; 消す; 特に好き 特に好きじゃなくなった。 / Reply;Repeat Repeated;Delete;Favorite Favorited.」観た!

youtu.be

返事をする; 繰り返す 繰り返した; 消す; 特に好き 特に好きじゃなくなった。 / Reply;Repeat Repeated;Delete;Favorite Favorited.

 

知り合いにお勧めされたので観た動画。

映像としては

①一人・左・落ちている何か・高架下・モノクロ

②一人(右)・救急車(左)・波打つガードレール・すすきの・赤とモノクロ

③踊る少女群・フルカラー

④命と性の二択をナイフで男性に迫られる少女(自覚無し)・右・カラー

⑤情報社会に飲まれた人間・狭い部屋・真ん中・モノクロ

①(UFOのような浮遊音)→(逆再生の音声)

⑥笑顔で胸を出す巨乳金髪少女(半分影つき)右から左・フルカラー

⑦青の背景、白のウサギ・耳の付き方がおかしい・左

暗転

⑧ガラス音・工事現場・猫の尻尾・口・ビル・住宅(氾濫)フルカラー

暗転

⑤ここからずっとクリック音(お目当てのポルノ探し・苛立ち)・緑赤の画面・かなりのズーム

暗転 ここまでクリック

⑥移動無し・巨乳の崩壊

①幽霊、あるいは過去の人間の通過

⑨下着姿の性的に消費される女性・ピンク・青・緑・黄色・赤・キノコ・ハミング

⑩こちらを見つめる童顔の少女・深夜の交差点・フルカラー

10からのカウントダウン

タイトル・ざわめき

というような流れになっている。

 

作者コメント

"氾濫"に巻き込まれる、僕の私の生活に焦点を当てたアニメーション作品。

「日常の暴力性」を主なテーマに、メディア(延いてはその日常)の中の女性の 性の扱われ方に着目し、この作品を作った。
雑誌、テレビ、インターネット、他様々な媒体で女性の体は切り売りされている。 人々はそれを見ることに慣れ、疑問を抱かなくなってしまっている。
それでいいのか?という疑問提示と、自分の意識が侵食されて無理やり 作り変えられていく気持ち悪さ・情報が現実世界を先行していってしまう現代の歪な在りようについて表現した。

 

このようなところから判断すると、作者は女性の裸(に近いもの)が公共の場で映し出されたり、社会によって商品として消費されていることに批判的であると考えるのが妥当である。それでいて映像の構成を観ると、赤字で示した部分はそのような主張が汲めると思う。その他の映像は主に人と情報(⑤⑧)、および日常(①)や女性本来の自分らしさ(③)を表現しているように思うが、⑦はなかなか意味をくみ取れない。④では男性が青として表現されており、モノクロの多用と救急車の赤白を考えると白は公共性を示しているようにも見えるため、そう考えると⑦は男性(背景の青)によって形作られている社会(ウサギ・耳の付き方がおかしい=知らぬうちに異常化している)というように読みとることができるような気がするが、難癖に近い気もする。ただ、このウサギのデフォルメは非常に重要だと思っていて、この⑦におけるウサギは本来の動物のウサギとかけ離れた姿であるにも関わらず、自分は長い耳からウサギだと感じたし、他の多くの人もそう感じると思う。

このような歪なデフォルメが多用されており、本来ならば認識できないものが認識できている、という点においては、この女性性に消費の気軽さも同様のように感じられる。また、女性のデフォルメということで言えば④⑥⑩がまさにその辺りをやっていて、お目々クリクリのかわいいアニメ美少女は本来の女性とはかけ離れたものであるのに、あるいはそうであるからこそ男性によって消費されやすくなっているという考えは否めない。作者はこれについてラストの⑥で「生理も排便もない綺麗で処女で従順な巨乳の女の子」から巨乳を排除し、グロテスクな内面を明らかにし、商品としてのデフォルメ・アニメ女性から現実の血肉をもった女性への気付きを促している。そして女性の実在にも関わらずこれまでもこれからも女性をデフォルメして消費していく男性と、それに抗えない社会がそのままの形を維持することこそが、「日常の暴力性」なのだと理解した。

 

この勝手に抽出したメッセージを受けて、いますぐ社会は変わらねばならないと拳を上げるほどには影響を受けていないが、自分は性欲が比較的ないことも助けて、作者の主張におおむね同意できる側の人間である。ただ多くの男性というのは本当に性を中心に世界を回しているような気がするので、いますぐの変革は難しいように思う。

特にVtuberなんかを観ていてもセクハラコメントというのはけっこうな割合であるし、切り抜き動画もエロ・性系統の動画の再生回数が高まる傾向にある。動画を見ればVの人々が「君ら本当に好きだね」というかたちでセクハラ(性的消費)をなあなあにしているが(マリン船長なんかは特に「私に欲情する人間はいない」と豪語して割り切っているが、そんなことはないでしょう)、果たしてこのような姿勢が視聴者のセクハラを戒める効果があるかというと無いように思う。こうして考えると、キモいオタクにはもっとはっきり「キモい死ね」と言ってもいいようにも思うのだが、女性性を売り物にしている側面を否定出来ないアイドルであるからこそ強く言うこともできず、やっぱり難しい。どう考えても(先に)変わるべきは男性側で、そもそも今の社会や男性の性欲の強さがおかしいような気がするが、人間は理性を持ちながらも動物でもあるために完全に糾弾することができないし、これが本来の私たちだと言われると何も言えない。

社会、なかなかに難しい。

祝!「同人女の感情」シーズン2開始

 

 

やったね。

 

この辺りに文章と文章の狭間、いわゆる隙があるので自分語りをさせていただきます。

 

自分は同人イベントが好きで、同人活動が好きで、同人活動に命をかけてあわあわする人間が好きです。なので同人女の感情は非常に自分のクリティカルな部分を突いていて、一時期は地雷カプに発狂して顔を真っ赤にしていたオタクとして、非常に共感できる部分が多い作品です。とはいえ作中人物は毎度創作物の力を信じ、なんやかんやで光の道を進み続けるので、息を吐くように無感情かつ1秒で解釈違いをブロックしている自分のような人間とは別種の人間が描かれていることになります。それでも共感できるのは、同人活動における良い部分も悪い部分もしっかり理解している人が描いているからなのでしょうね。

あと同人女というタイトル通り、女の子ばかりが出てくるのも百合豚的に(?)いいのかもしれない。「同人男の感情」というシリーズ作品があったとして、このように好きになれているのかは微妙なところです。もっとも、周囲の同人男に解釈でぎゃーぎゃー言っている人は限りなく少なく、みんな思い思いに自分の好きを伝えて頑張っているところを見ると、現在の「同人女」をやるような土壌はないとも言えます。まあこれは同人女に他者の好きへの理解がないという話ではないですし(むしろ解釈への拘りが強いという風に換言できます)、どちらがいい悪いという話でもないです。

しかしながらこれは本当に独り言なんですが、どうして人間よりもその人が生み出した「創作物」の方が魅力的なんでしょうか? これは同人活動をしていて本当に思うのですが、自分が好きな作品を描かれる人(仮に神とします)が別ジャンルに移動すると、例え別ジャンルであってもその神の作品を拝めるにもかかわらず、自分は強く怒りを覚えます。なぜならそれは自分が好きだったジャンルの神の作品の死を示しており、例えそれが一時的な離反だとしても裏切られたように思うのです。自分が好きになった作品を生み出したのは他ならない神その人なのに、その神が「自分の好きな作品を殺した!」ということで怒りを覚えるようになる。正気とは思えない感情の動きですが、自分と同じように考えてしまう人間は少なくないのではと邪推します。

とはいえ、自分のこの辺りの感情は過去のものになりつつあります。恐らく自分が自カプの小説が書けなくなってきたことが一番の理由だと思うのですが、「同人活動よりも普段の生活の方が大事だよな」と思考がスライドしつつあるのも大きいように思います。この感情はこれまで自分が批判してきた神への矛先が自分に向いたことによる防衛反応の一種だとは思うのですが、もしそうならダサすぎますね。

さて、やや同人活動への熱が冷めつつある今、かつての自分がひどく眩しく見えてきます。大学受験を無視して自カプを書き続けてきた自分、自カプの創作を優先させて大学のレポートを白紙で出していた自分、バイトで貯めたお金で自カプの合同誌を出していた自分、わざわざ札幌から東京まで飛行機に乗って同人イベントに足を運んでいた自分、解釈違いのオタクにクソキレ散らかしてブロック件数が3000を越えた自分……誠にいろんな思い出がありますが、どれも良い思い出ですし(本当か?)、やはりあのような熱量をもって、これからも同人活動に狂っていたいなというのが正直なところです。

同人女の感情を読んでいると、自分が初めて推しカプ小説を書こうと恐る恐るパソコンに文字を打ち込み始めた、高校生の夏のことを思い出します。

 

あの日は本当に暑かった。

あらた伊里「総合タワーリシチ」(完全版)読んだ!

びっくりしました。なぜなら毎日書くはずのブログの存在を忘れて昨日寝たからです。毎日書くと決めて2日目のことでした。つまり毎日記事を書いたのは初日だけであり、その瞬間に「毎日」の定義が崩壊します。たった一日を「毎日」と表現するのは、日本語の厳格さが許さないでしょう。何事も続かない人間のことを三日坊主とはよく言いますが、自分は坊主にすらなれない未熟者、初日胎児がいいところかもしれません。臥薪嘗胆の意味も込めて、今日からハンドルネームは初日胎児にします。

 

嘘です。

 

百合漫画を読みました。

「総合タワーリシチ 完全版」

あらた伊里先生の「総合タワーリシチ」です。

ブログは初日胎児な自分ですが、百合だけは無限老人です。いくら読んでも百合は良い。この感情に恐らく終わりはないのでしょう。そうでなければ困ります(百合に興奮する老人はちょっと怖いけど)。

率直な感想としては、全体的に脚本力が弱いように思ったのですが、それを上回るキャラの魅力に溢れていて面白く読めました。おそらく前者の弱さは古い漫画のノリによるもので、様々なキャラがコマ内で幾多ものボケとツッコミを行うことによってテンポが悪くなる、ということなんだと思います。キャラがボケようと前傾姿勢をとりすぎることでシナリオが分断されるように感じるのは、そう珍しいことではありません。というのもこれは持論ですが、ひとつのボケに至ると、これまでの展開が一端回収されるように思うからです。これはちょっと正確に書けているのか分からないのですが、きらら系ギャグで流行の四コマ漫画形式で話を進めるものでは、当たり前ですがすべての四コマ目にボケが用意されていて、そのためにシナリオは三歩進んで二歩下がることを繰り返さざるを得ません(結のための起承転までの2歩、掲載された第○話として進めるための1歩)。そのために同じことを普通の漫画でもやろうとすると、コマ割が非常に難しいだけでなく、読んでいる割に話が進まないということになると思います*1

また、漫画が実際にはしっかり話を進めていても、ギャグが頻繁にあるだけで、読者の認識で同様の現象が起こるものだと勝手に考えています。これは全体像より目の前にあるギャグが「何故面白いのか?」に注目しがちになるからです(自分だけかな?)。

 

ですので、このような漫画でキャラを好きになるのは結構面白い体験でした。テンポの良さと感情移入は切っても切れない関係にあると思うので、読みにくい漫画は(小説でも同様に)キャラに感情移入しにくくなると考えています。実際にこの漫画に完全にノリきれたわけではないのですが、それでもキャラ同士の関係性に魅力を感じたのは、脚本とは独立したキャラの可愛さ、動きのコミカルさが秀逸だったからなのかもしれません。実は自分は「時任都」さんのビジュアルに心を奪われており、この子をずっと眺めていました。

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3位の子ですね。

おそらく髪型と瞳がクリティカルだったのですが、実は幼なじみ百合をやってくれる貴重な人材でもあり、そのお相手は6位のバベルちゃんです(本名:日下部ちはや、なおバベルと呼ばれることは殆ど無い)。

都はちはやを「ちーちゃん」と、ちはやは都を「みゃあ」と呼ぶというびっくりするくらいの甘い呼びかけを日常的に行っているのですが、高校生になって以来、ちはやは「みゃあ」と呼ぶのを恥ずかしがるようになります。それで皆の前では「みやこ」と呼ぶように心がけていてるのですが、それを都は寂しく思っているという流れがあります。さらに二人の家は隣同士で、全く部屋を片付けられない+親が多忙で帰ってこないことも合わせて、いつしかちはやは都の部屋に住むようになったというオタクの欲望ガンガンの設定で関係が描かれるのも非常に嬉しいポイント。最終的には書き下ろしでアホのちはやが都にすごいことをしてすごい反応になるので、かなり面白い関係性でした。また、幼なじみ百合における性欲の描き方はかなり難しいと思っていたのですが、こんなに幼なじみの距離感をやっていて、それでいて性欲への繋がりに違和感がないのも参考になりました。

他のカプも非常に魅力的だったのですが(1位2位のカプです、次点で好き)、時間が無いのでひとまずこのあたりで。百合が好きなら買って損はしないおもしろ百合漫画です。特に書き下ろしの漫画が非常にクオリティの高いものになっているので、読むなら完全版がいいんじゃないかなと思います。偏見本棚にタイトルを記入してくださった方、ありがとうございました!

*1:四コマ形式があのようなシナリオで進められるのは、コマが非常にコンパクトかつ見た目が美しいからで、読むことに対するストレスが極限まで無くされているからだと思います。これは全て適当な感想です。

浅野いにお「おざなり君」読んだ!

毎日日記(Twitter除く)を書く知り合いが2人に増えた(ことを知った)ので、今日から自分も毎日ブログを書くことにした。二度あることは三度あると言うので、それを応用すれば二人にできることは三人目である自分にもできるはずなのだ。

 

というわけで早速書く内容がないので、手元の漫画の感想を書きます。

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ただただ贅沢な本という印象。いま世に出ている漫画は殆どがモノクロ原稿で世界に色を出そうとしているが、おざなり君は謎に「全ページフルカラー」なのにかかわらず、「色がある」ことをテーマにするでもなく、ひたすら漫画表現の幅を伸ばそうとしているように見える。

そのうえ、不条理な展開に加えて明らかに意味の無い実写の写真が挿入されたり、毎話タイトルロゴが変わったりと手が込んでいるのに、第7話まで掲載されるのはほとんど同じシナリオの漫画であるところも気になる。正直に言うと、この時点で自分は「しょうもないものを過剰包装することがこの作品が提示する面白さなのか?」と勘違いしてしまった。漫画で「無駄」を「贅沢」として消費する快感というのだろうか、浅野いにおなら考えそうだなと思ったが、実際にこの辺りは漫画自体の面白さより奇抜さが勝っているように思う。

話が変わるのは第8話からで、このあたりから話に厚みが生まれていく。上司に反抗する部下、という関係がなぜか恋愛関係に結びつき、かと思えば過去に二人は深い結びつきを持っていたことが明らかになる。序盤の理不尽な上司の暴力への解が後半に盛り込まれているという点で、最終的にこの作品の話に「無駄」なものはなかったのだと思い知らされる点で、やはり浅野いにおって漫画うまいなあと思う。これは伏線と構成の話ではなく、挿入してくるイラストや落書き、言葉選びなどに溢れる「浅野いにおワールド」とでも言えばいいのだろうか、「こいつふざけるな~真面目に描いているのか?」という先入観を読者に抱かせて舐めさせてから殴ってくるようなタチの悪さがあった(P26、27の見開きのライブシーンでは圧倒的な描写力で言葉を失う)。

テーマとしては、音楽に無限の可能性を感じていた学生時代の心と、その心とは別に成長していく身体、要求される社会的地位などとの折り合いの付け方が主に扱われているのが、その齟齬がどうしようもなくなった先としての一夜限りの性交という位置づけもかなり良かった。

やっぱ浅野いにおはすごい。

偏見本棚についての回答

偏見本棚というおもしろ概念があります。

インターネットでは読んだ本の感想のシェアーが盛んにおこなわれているほか、読書メーターブクログといった本棚シェアーサービスが人気を集めている。一方で読書歴や本棚をさらすことで思想・関心・性的嗜好などを知られてしまったり、偏見を持たれてしまう危険もある。

そこで今回は逆転の発想で、親しいフォロワーなどから「こんな本を読んでそう」という偏見を集め、「偏見本棚」を作成した。

 

 

上の文章、および偏見本棚の元ネタはこちらからです

hito-horobe.net

で、かなり前にTwitterで「ブログ記事にします!」と偏見を募集したのを皆さんは覚えているでしょうか。自分は完全に忘れていました。申し訳ないです。

自分はこの元ネタの方ほど人望がなく、そもそも仲の良い知り合いなんて数人に限られるようなコミュ力なので0投稿を危惧していました。

なので、拡大施策として自分の場合は「本棚」といいつつも小説・漫画・映画・アニメなどを募集することにしました。結果6名の方から記入していただき、合計作品数は18となりました。

感謝感謝ですよ~(愛城華恋)

 

というわけで頂いた作品群を「既読」「読みかけ」「未読」の3つに分けていくとこうなりました。

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既読

大江健三郎『死者の奢り』

やが君(やがて君になる

インセプション

来る

雨に唄えば

あさがおと加瀬さん

推しが武道館いってくれたら死ぬ

男子高校生の日常

ユリ熊嵐

アイドルマスター シンデレラガールズ

 

読みかけ

社会契約論

BANANA FISH(アニメのみ視聴しました)

志村貴子放浪息子

ハッピーシュガーライフ

 

未読

三体

ノルウェイの森

総合タワーリシチ

花とアリス』(岩井俊二)

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「へ~」という感じになりました。

特に普段から言及していない作品であるにも関わらず、既読の作品を多く挙げられていることにびっくりしました。自分ってそんなにわかりやすい人間なのか!?(ツイート内容からかなり察せられそうではあるが)

折角なのでひとつずつコメントします。

既読

大江健三郎『死者の奢り』

高校生の時に読んで、あまりの文章の巧さにひっくり返った作品です。当時の友人と一緒に読んで、「こいつの文章表現はマジでやばい!」と震えていました。文字を読んで死体の腐臭を感じさせられたのは初めてで、これが安部公房の言っていた五感に訴えかけてくる文章の例なのかなと。そういえば大江健三郎はそこまで掘り下げれていないので、もっと読んでみたいと思います。

 

やが君(やがて君になる

どちらかと言えば好きな作品です。今の自分としては世間で絶賛されているようなモチベはそこまでなかったんですが(もう内容を忘れつつあるので)、当時の自分の感想を見ると絶賛していました。

この感想記事について知り合いに突っ込まれて、この作品を百合漫画としてラベリングすることへの違和感について話した記憶があります。

negishiso.hatenablog.com

 

インセプション

これ大好きです。当時の感想を引っ張ってきました。

5月19日 映画47「インセプション」(2010)

んも~~~~本当に大好きすぎる。SF小説ばりの世界設定と展開なのに、小説では表現できない映像の構図と時間感覚、映画でできることをこれでもかと詰め込んだ作品という感じで、本当に映画として満点過ぎる。入れ子構造になっている似た作品に「ハロー・ワールド」がある。野崎まど特有のどんでん返しもかなり好きだけれど、こっちのすっきりした終わり方も最高に良い。いや、すっきりしているかと言われると最後のシーンで「ムムム」とはなるが、映像が美しいので終わりとしては最高なんだよな。夢かどうかを判断するのにコマを持ってくるのも良い。二人で作り上げた町並みも最高すぎる。全体を通して最高にクリストファー・ノーランだし、クオリティが高すぎて本当に良かった。読むSF小説だ。見れて良かった。てか、渡辺謙ががっつり出ていてびびった。今まで見てきた洋画にほとんど日本人いなかったから目新しかった。見たことあんのパシフィックリムくらいじゃないか。日本人万歳(?)

視聴映画記録(2020.05/15~05/21) - 新薬史観

 

来る

当時の感想です。

8月16日 映画142「来る」(2018)

中島哲也監督作品。既に原作を読んでいるのでだいたいの話は分かっていたが、かなり面白いなこれ。OP映像がすごい良くてびっくりした。話の展開もおおよそ原作に忠実で、田舎のキモいところや育児の辛いところ、イクメンのうざいところ(僕はああいう「人生を謳歌しています!」という共感性に欠けた上昇志向の人間が死ぬほど嫌いです)など、いろいろなものが詰まっている。それでいて、除霊をエンタテインメントとして昇華しているので、単純にめちゃくちゃ面白い。楽しいホラー映画だった。

視聴映画記録(2020.08/14~08/27) - 新薬史観

 

雨に唄えば

当時の感想です。

8月14日 映画139「雨に唄えば」(1952)

自分が見たことあるミュージカル映画といえば、思いつく物が「ラ・ラ・ランド」と「マンマ・ミーア!」くらいしかなかったので、これは良くないなと思い漁っていくことにした。非常に楽しく見ることができた。脚本がスッキリしており、キャラ立ちしてるため、混乱することなくエンタテインメントととして楽しめる作品。いろいろ唄うが、個人的に一番好きな曲は表題作にもなっている「雨に唄えば」かな。ストレートでわかりやすいがために、万人受けするだろう映画でした。面白かったです。

視聴映画記録(2020.08/14~08/27) - 新薬史観

 

あさがおと加瀬さん

小さい映画館で見ました。実は原作未読で臨んだのですが、「女性同士の恋愛」という過度なラベリングから逃れた稀有な作品だと思っていて、個人的に非常に好みでした。ゆったりとした時間で描かれるのも好きポイントでした。

 

推しが武道館いってくれたら死ぬ

天才の作品だと思っています。未だに完全に手書きらしく、線の美しさ、インクの掠れ具合がアイドルの一過性の輝きを強調しているようで魅力的。完結したら感想かきたいです。まいなとえりぴよさんの関係にどういう決着をつけるんでしょうかね。

 

男子高校生の日常

よくこの作品の名前が出てきたものだとびっくりしました。そしてその偏見通りに読んでます。例の「でもこの風……泣いています」の下りをネットで見つけてからハマり、「いいからお前も読んでみろ」と中学生か高校生かの時に友人に貸したのが「男子高校生の日常」との最期でした。なぜかクラスで回し読みされることになり、最終的に自分の手元に戻ってくることはありませんでした。今では良い思い出です。

 

ユリ熊嵐

イクニ作品はセーラームーン以外全部見ています。

そういえばこの辺りについて何も掘り下げていないというか、当時の自分と今の自分では感じることや解像度はまったく違うと思うので、改めて見通してみたいですね。

当時は、イクニが当時真剣に悩んでいたいじめにまつわる分断と孤立に愛情で向き合うことの大切さを~というような感想を抱いていたような気がします。ボンジュール鈴木さんのOPがかなり好きでCDも持っていました。

 

アイドルマスター シンデレラガールズ

見ました。未央ちゃんが観客のいないステージにキレてPが慰めたり、卯月ちゃんが笑えなくなって悲しい気持ちになったことは覚えているのですが、それ以外の記憶があまりありません。 

 

読みかけ

社会契約論

知り合いに誕生日プレゼントとしてもらって以来、時々読みたくなる本なのですが、普通に飽きて他の本やアニメに逃げています。許して。

 

BANANA FISH

漫画のカテゴリで投稿されていたんですが、漫画は未読でアニメは全部視聴しているのでこちらに。未だに同人人気が根強いジャンルのひとつだという認識なんですけど、それも納得の面白さなんですよね。漫画もいつか読もうと思っています。

 

志村貴子放浪息子

特に理由なく読みかけです。自分にはこういう同時並行で視聴を進めている本や映画、アニメが軽く50本はあります。読みます。

 

ハッピーシュガーライフ

自分はこういう血の薫るヤンデレ百合みたいなのを消費するのが辛い年頃になってきていて、それと1巻を読んだタイミングが悪かったのが原因です。

 

未読

三体

本は全て持っているのに1ページも読んでいない。正直今になってもこれを読んでいないのに、SFが好きですとは名乗れないような気がしています。読みたいんですが、分厚い本は苦手なんですよ。村上春樹の分厚い本は一瞬で読めて最高なんですが……

 

ノルウェイの森

ちょうど上で村上春樹の名前を出していますが読んでいません。村上春樹の本は誰かからプレゼントされたりオススメされたら大切に読みますが、これまでの経験から自分から読む作家ではないという分類になっていました(大変失礼)。でもこのかたちで暗にオススメされたので、是非読んで見ようと思います。

 

総合タワーリシチ

これ名前すら全然知らなかった作品だったので、たった今kindleで購入しました。読み終わったら感想書きます。

 

花とアリス』(岩井俊二)

殺人事件のほうは見ていますが、こっちは見ていないですね。実は経験上岩井俊二の映像作品とテンポの相性が悪いのではないか説が浮上しているのですが、作品自体はたいへん面白く視聴できているので、こちらも期待して観たいと思います。

 

 

コメントは以上です。

投稿してくださった皆様、大変ありがとうございました!

なんか他にもオススメ作品とかあったらマシュマロにくれると助かります。

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