新薬史観

地雷カプお断り

中野でいち『hなhとA子の呪い』読んだ!

中野でいち『hなhとA子の呪い』(2016)

hなhとA子の呪い 1 (リュウコミックス) | 中野でいち |本 | 通販 - Amazon.co.jp

hなhとA子の呪い(1)【特典ペーパー付き】 (RYU COMICS) | 中野でいち | マンガ | Kindleストア | Amazon

【総合評価】10.5点(総合12点:全体10点+百合2点)

【作品の立ち位置】

オールタイム・ベスト・コンテンツ(10<x)←新設しました

ガチで大事にしたい作品(9<x≦10)

積極的推し作品(8<x≦9)

オススメの手札に入る作品(7<x≦8)

まずまずな作品(6<x≦7)

自分からは話をしない作品(x≦6)


【世界構築】2.5点 (2点)

最高の漫画に出会えてよかった……。

とにかく黒の使い方が本当に巧く、画面作りも最高に決まっている。

中野でいち『hなhとA子の呪い』1巻 p42-p43 より引用

例えばこの見開きは、夜の黒を背景に蛍の光という性欲の表情が飛び交っている幻想的な背景に、艶めかしい白の肌と服を纏った幽霊A子が全面的に押し出されている。吹き出しの背景も黒で目につきにくく、パッと見るとA子の表情としても楽しいシーンなのかと思うが、実際に台詞を読むと幽霊が強すぎる性的な妄想を吹き出しに収まらないレベルで口走っていることがわかる。衝撃的。

中野でいち『hなhとA子の呪い』1巻 p67 より引用

言うまでもないが、射精と噴水が重ね合わせられていて良い。こういうのが好き。

中野でいち『hなhとA子の呪い』1巻 p4-p5 より引用

個人的にお気に入りなのがこのライトアップ。物語の始まり、性欲には屈さないと強く自我を保っている針辻の象徴なんじゃないかなと個人的には考えている。

中野でいち『hなhとA子の呪い』1巻 p154 より引用

このシーンの右奥に見えるビルのライトが、冒頭の見開きと対応している。遠いビルの頂上から伸びるライトの光芒は、1巻冒頭で「性欲には屈しない」とギラギラしていた針辻の意志を示しているかのようで力強い。一方で、コマには映ってはいないが、この段階で性欲に完全に取り憑かれた(ように見える)針辻が頭にインプットされている読者にとっては、ここでライトを介して当時の針辻に触れることができる点で素晴らしい。もちろん、上のような意図がなかったとしても、世界の広がりの演出としてもすこぶる魅力的だ。

あと、雨からできた川が地面を流れる画面、最高ですよね。本当に綺麗だ。

中野でいち『hなhとA子の呪い』2巻 p193 より引用

ここも空と海水をしっかり真っ黒に描いていて画面に緊張感を与えているし、コマ割りの位置が適切で最高の流れができているように思う。漫画うますぎ。

中野でいち『hなhとA子の呪い』2巻 p221 より引用

このシーンとかかっこよすぎて狂いますよ。車のライトの差し方もキャラの立ち方もカッコいい。

中野でいち『hなhとA子の呪い』2巻 p73 より引用

温泉に沈みながら何かを言う人、初めて見たかもしれない。そういう驚きの場面を実際に絵に起こせる/起こそうと発想できる力に敬服します。

中野でいち『hなhとA子の呪い』2巻 p182 より引用

他にも、台詞の頭をあえて区切って見せないことで、針辻がショックで相手の声が聞こえないという聴覚を視覚的に体験させるギミック/アイデアもヤバすぎる。レイヤーでぼやかすとか、文字を重ねて読みにくくするというのは見たことがありますが、個人的に頭だけを切り取るというやり方が一番スマートで、かつ実体験に近いような気がして好みでした。画力だけじゃ無くてアイデアにも溢れている。いったいどうなっているわけ?

 

【可読性】1点 (1点)

すらすら読めてよかったです。


【構成】2点 (2点)

キャラの揺さぶりや新キャラの登場タイミング、過去編の入れ方など、気持ち良い構成だったように思います。A子周りの謎を明らかにするタイミングも練られており、あら探しが難しい。

 

【台詞】1.5点 (2点)

針辻や久慈の動きが大きいために、自らの恋愛観を独白するときもばっちり決まっていてよかった。やや台詞の言葉遣いが難しいように思いながらも、このテーマの作品だと仕方がないのかなと思わないでもないです。

以下、好きになった針辻の台詞。

お前のその血はただの血でありお前の傷は愛ではない。痛みによって何かを得た気になってはいけない。——お前たちには愛がない!

 もはや俺にはあらゆる事が『エロい』か『逆にエロい』としか思えない…

俺が囁く愛の言葉は蛍の発光とどう違う 胸の高鳴りはただの発情で 見つめる眼差しはただの前戯で 愛に震えた涙でさえもただの愛液なのかもしれない……!

 

【主題】2点 (2点)

性と愛にまつわる罪悪感をしっかり描いている作品だと思います。

最後の方の彼らの独白に全てが凝集されているように思うので、引用します。

…セックスが…

セックスが痛いだけならよかったよ

気持ちよさなんていらなかったよ

肉が裂け

骨が砕け

苦痛だけで何の意味もなく

泣いて喚いて血塗れで明るい場所でまぐわって

もしそうだったらば、今よりずっと迷わず君を抱けた気がする

君を愛せた気がするんだ

これがセックスをする針辻のモノローグ。非常にいいですね。針辻は、愛のなかにどうしても汚らわしい(本能的な/野性的な/「自分」以外から沸いてくる)性欲が混ざってしまうことを認めながらも、その性欲が完全に消え去った「愛」だけの純粋な概念に頭を殴られることを待ち続けている男ということになります。

一方で、対立構造を担う「人は愛の奴隷」という思想を持つ久慈に対して、針辻の母が投げかける一般的・理性的な意見がこちら。

あんたは自ら進んで奴隷になったんだ

愛する人を裏切って…傷つけて…そんな自分を許す為の言い訳が欲しかったんだろ?

考えることを全部やめて…自分は愛に従っただけだって――「仕方ない」って事にしたかったんだろ?

…あの二人は違うんだよ。あんたとは…

――苦しみながらでも生きていける…

自分で自分を疑いながら…律しながら――そうやって生きる事が出来る筈だ

つまり、人は愛の奴隷であることを認めつつも、それに抗う理性を持っている(持ち続ける)ことこそが人間たる所以だと言うわけですね。

それに対する久慈の反論が、彼の意見の真髄です。

上手くいってはならないんだ…燃え尽きた愛から目を背けたまま…真実の愛を見失ったまま…

それでも一緒にいるだなんてそんな事は絶対許されないさ

…だって…

――…だって

――だってそんなの不誠実じゃないか

要するに、人が変化し続ける以上、その感情も愛も移ろうわけですが、それに抗おうとする姿勢そのものが自然な「愛」への裏切りであるということですね。

ただ、それを貫くと愛が冷めた瞬間に、唐突にパートナーに別れを切り出さなければならないので、相手の気持ちを傷つけることになる。もっとも、「愛」を失っても愛があるフリをすること自体、相手にも「愛」にも不誠実であるという意見にも一定の妥当性があります。

個人的には「愛とは必ず性欲を含有するものだろうか」というところに落ち着くわけですが(例:友愛、家族愛など)、この作品は性交を前提とした愛をテーマにしているので、そういう批判も躱せる強みがあります。

そう考えると、推しカプの関係性に安易に性欲を持ち出すべきではないのかとか思ったりするのですが、実際のところ、友情だってさりげない言葉ひとつで亀裂が走りますし、関係性を意地しようと定期的に連絡を取らなければ勝手に薄れいく点を考えれば、上記の論点は性欲とか愛に限ったことではない、変化し続ける人間がもつ感情全般に言えることだと言えます。

なので個人的なFAは「今ある感情を大切に記録し続けて、思い出(事実)を更新していく」ですね。感情なんて変化して当然のものですから、「あ、いま良い関係だな」と思える事実を大切にすることで少なくとも自分は救われるように思います。

まあ自分にはそんな相手がいないんですけれど。

 

【キャラ】1点 (1点) 

キャラが二次元であることを最大限に利用し、キャラそのものを変形させることができるのも魅力だよなあと。小説ではできない芸当ですよね。

中野でいち『hなhとA子の呪い』1巻 p101 より引用

例えばこのシーンは、性欲に脳が犯されてマズイことになっている針辻ですが、本来の彼から異形染みたものに変化している。小説であれば「血に飢えた悪魔のようだった」とでも形容されそうな姿を、忠実に絵に落とし込んでいくリアリティラインに感動しました。小説だと形容に留まるところを、漫画は視覚的に表現できるんだよなあ。すごい。このような変身は、久慈も得意とするところではあります。

中野でいち『hなhとA子の呪い』2巻 p235 より引用

これは終盤の1シーンですが、ここの針辻の表情がいいですよね。二巻の旅を経て完全に精神が変わってしまった様子が、表情から分かってしまう。こういう細部によってキャラが構成されるのだと思います。魅力的でした。

 

加点要素

【百合/関係性】0.5点 (2点)

妹から姉への感情が百合に該当すると判断。「肉親に捨てられ、私たちだけで生きていこうね」系の姉妹の関係性が、家族を越えた何かになるのはなぜだろう。家族でしかないのに。今まで流してきましたが、結構面白い論点だと思います(本作とはあまり関係のない話だ)。

 

【総括】

とてもよかったと思います。人生の恋愛観の参照元としても、表現技法の参考書としても、芸術作品としても、エンタメ作品としても楽しめる作品です。個人的には本当に白と黒の使い方がめちゃくちゃ上手いなと思っていたので(そもそも黒を基調にしているので、性欲を意味する光や肌の色を白とすることで深い読み方も可能になっている)、こういう作品を自分でもつくりて~と思いました。漫画は描くのが死ぬほどめんどくさそうなので小説に導入する方が手っ取り早そうですが、色々自分でも考えてみようと思います。

シュペルヴィエル『海に住む少女』読んだ!

シュペルヴィエル『海に住む少女』(2006)

海に住む少女 (光文社古典新訳文庫) | シュペルヴィエル, 永田 千奈 |本 | 通販

https://www.amazon.co.jp/dp/4334751113/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_RBEEX9P4B0CS0GJ9M7DV

【総合評価】6.5点(総合12点:全体10点+百合2点)

【作品の立ち位置】

ガチで大事にしたい作品(9<x)

積極的推し作品(8<x≦9)

オススメの手札に入る作品(7<x≦8)

まずまずな作品(6<x≦7)

自分からは話をしない作品(x≦6)


【世界構築】2点 (2点)

最近読んだジャンヌ・ロダーリ『猫とともに去りぬ』に近いように感じたが、恐らく繋がっているのは特に説明も無く何にでも変身可能、会話可能という児童文学(ファンタジー)要素だろう。ロダーリの本はしっかりエンタメを考えられていたが、シュペルヴィエルの方はエンタメというより友達のいない重病の少女がベッドで読んでいるような本で、気持ちのやりようのない悲しい話もあったりする。なかったりする。いずれにせよ、このほんのりとした悲しさを纏った本をあまり読んだことがないので、新鮮でよかったです。ところどころ、「お、これは……」という描写が挿入されるのが良かった。

以下、良かった描写の引用です。

 

表題作『海に住む少女』から

船が近づくと、まだ水平線にその姿が見えないうちから、少女はとても眠たくなって、町はまるごと波の下に消えてしまいます。

あるとき、少女はある家の扉のノッカーに喪章を結びました。何だかいいなと思ったのです。

少女は街に飛び出し、身を伏せるようにして、路上に残った船の航跡を抱きしめました。ずっとそうしていたので、少女が立ち上がる頃には、その航跡も海の一部へと戻り、もう何の名残も感じられないまっさらの海になってしまうのでした。

波は波のやり方で少女の前にひざまずくと

 

『飼葉桶を囲む牛とロバ』より

牛は、沈黙にリズムをつけたり、含みを持たせたり、句読点をつけたりすることができるのです

ふたりと二頭を結ぶものは、昼のあいだすこし薄くなり、訪問客によってばらばらになったりするのですが、日没とともにぎゅっと濃縮され、奇跡のような安心感を生むのです。

微生物たちがイエスに挨拶をして、飼葉桶のまわりを一周まわるまで、他のものは一時間待つことにしました。

 

『セーヌ河の名なし娘』より

『海までたどりつく』この言葉だけを道連れに、娘は流れてゆきました。

 

ノアの箱舟』より

砂つぶからも水が吐き出され

 

【可読性】1点 (1点)

すらすら読めます。


【構成】1点 (2点)

短編集ということもあり、構成にはあまり工夫が見られないし、あまり作品構造を意識した感じはないように思う。ちょっと間延びする感はある。

 

【台詞】1点 (2点)

特別響いた台詞はない。

 

【主題】1点 (2点)

かなり言葉にしにくいが、訳者の後書きでも使われている「フランス版宮沢賢治」という例えがぴったりだと思う。作品はどれも死や宗教を取り扱っており、一部には自己犠牲についても書かれている。ただその事実が分かるのみであり、この作品を通して作者が何を伝えたかったのかを自分はくみ取れなかった。読めば種族を問わず「生きているもの」に優しくなれるような気はする。

 

【キャラ】0.5点 (1点) 

悪くはないが、特別良いようにも感じなかった。

 

加点要素

【百合/関係性】0点 (2点)

該当描写なし。

 

【総括】

個人的に気に入ったのは以下の作品。

『海に住む少女』

『飼葉桶を囲む牛とロバ』

『セーヌ河の名なし娘』

『空のふたり』

これらはどれも読む人間の想像力をかき立て、あまり見たことのない世界に連れて行ってくれる。表題作は文字通り海から上がったり沈んだりする誰もいない街に住む少女という勝ち設定で楽しめるうえに文章の特異さもあるし、『飼葉桶を囲む牛とロバ』は自分達がよく知るマリアの受胎告知を動物の視点から語り直す点で、視点の異なる聖書を読めるようでとても興味深かった。あとのふたつは世界観がかなり良い。とはいえ、全体的にふんわりした作品に仕上がっているため、最近の刺激的な作品により大味になりつつある自分は正確にこの文章たちの価値を図りかねる。児童文学やファンタジーが好きな人に是非読んでもらいたい文章だと思う。

 

佐藤順一&柴山智隆『泣きたい私は猫をかぶる』観た!

佐藤順一&柴山智隆『泣きたい私は猫をかぶる』(2020)

泣きたい私は猫をかぶる - 映画情報・レビュー・評価・あらすじ・動画配信 | Filmarks映画

映画「泣きたい私は猫をかぶる」公式サイト|Netflixにて全世界独占配信中!

【総合評価】6点(総合12点:全体10点+百合2点)

【作品の立ち位置】

ガチで大事にしたい作品(9<x)

積極的推し作品(8<x≦9)

オススメの手札に入る作品(7<x≦8)

まずまずな作品(6<x≦7)

自分からは話をしない作品(x≦6)


【世界構築】0.5点 (2点)

作画は好き。キャラデザもよくて、特にムゲの目や睫毛がとてもよかった。

肝心のシナリオは……ジブリの『猫の恩返し』を下敷きにしているのだろうか。独自の世界観を生み出そうとしているが、全然できていないように感じた。生活の描写シーンが少ないため、猫だけが住む島・猫島の現実感も一切ないし、ただ人間の街の延長線上に存在する場所になっている。ムゲときなこが頻繁に街と猫島を行き来したり、他のキャラも簡単に猫と人間の変身を繰り返すことも原因のひとつだ。ふたつの世界、または人と猫との間に明確な断絶や境界線がないために、物語上の緊張感も生まれない。自分としては、作品の没頭に重要な「フィクションとしてのリアリティ」を感じることができなかった。

とはいえ、猫になって人間の言葉が聞こえづらくなるという表現は非常に重要なムーブであり、自分好みのものだった。これでさらに「にゃにゃっ!?(えっ、日本語も読めないんだけど!)」となるとよかったのだけれど。

その辺りをしっかり書いているお気に入りのラブライブ!の二次創作があるので貼っておきます。

www.pixiv.net

マジで猫への変身をやるならこれくらい徹底して描写してほしい。大好きな作品だし、物語の強度や猫になる動機的にもこっちの作品を読んだ方が満足度は高いと思います。

 

【可読性】1点 (1点)

観るのを辞めようと思うことはなかった。


【構成】1点 (2点)

全体的に盛り上がりに欠ける。最初のスリルは「ムゲが猫であることがバレそう」なことであり、次に「ムゲが見つからない」「ムゲが猫から戻れない」と続く。でも対抗馬のきなこは早々に諦めて猫に戻ろうとするので、この時点で「ムゲが猫から戻れない」ことのスリルは半減する。もう人間に戻れる空気になる。たとえ猫の店主がどんな意地悪をしてもそこまで怖くないのだ。最終的にはその辺りの問題も天辺にたどり着くことができるかとか、ボールを取り返すことができるかとか(そのうえ店主の動きは緩慢でスリルがない)のアクションになってしまって、ただ画面を眺めるだけになる。銃とかがあると生命の危機的にも良いのだけど、そういうわけでもないし……う~んという感じ。悪くはないけどさ。

 

【台詞】0.5点 (2点)

特に良いと思った台詞がない。

 

【主題】1点 (2点)

他人がいくら楽そうに見えても案外そうでもないし、皆さん与えられた生を精一杯生きましょうという話になりそう。これは本当にその通りだが、自分にとって必要なメッセージではなかった。あとはタイトル通り「猫を被る」というフレーズもそれなりに重要ではあり、子どもが猫を被って全然本心を曝け出さないからこんなことになっちゃうんだよという路線に乗ると、もっとみんな素直に生きましょうという話にもなる。その通りなのだが、個人的にはムゲにとって「猫を被る」対象が両親であるのに対し、実際に猫のお面を被ってアクションをするのが日之出くんという点に論理の混迷が見られたので、タイトルとして不適だろうと思った。

 

【キャラ】1点 (1点) 

キャラとしては、ムゲがかなり活き活きしていてよかった。百合漫画ばっかり読んでいるせいか、ここまで男に対して好き好きな女子を観るのは新鮮だった。でもひのでサンライズアタックは技名として非現実的すぎて全然乗り切れなかった。

親友の頼子ちゃんの百合ムーブはよかったです。まあ、最終的に異性愛規範に回収されるんですが。あと、母親同士でキャットファイトをする感じもよかったです。

 

加点要素

【百合/関係性】0.5点 (2点)

該当描写あり。親友の頼子からムゲに向けての感情は良かったように思う。ムゲは頼子をなんとも思ってなさそうなのも面白かった。この関係性を好きか嫌いかで言えば間違いなく好きなのだが、物語の強度的に乗り切れない部分がある。

あと、きなこと薫さんの関係性も百合っちゃ百合なのかな?

 

【総括】

う~~~~んという感じ。どちゃクソにひどいって訳じゃないが、先述のように物語に入り込めない。本当に佐藤順一が関わってるのかなあ?と思ってしまった。あと音楽があんまりハマってないようにも感じた。『花と亡霊』それ自体は良い曲なのに、挿入タイミングが微妙。それにスタッフロールでは吹き出しをベタベタ貼ってそれなりの文量の物語を進めるので普通に冷めちゃう。何よりラスト、ムゲと日之出が一緒に日の出を見なくてどうするんだよと気が狂いそうになってしまった。あんなに語感の悪いひのでサンライズアタックを延々に繰り返していたんだから、せめてネタを回収しろ!一緒に日の出を見ろ!!!!

ダメだな、粗しか出てこない。あまり良くない傾向なのでこの辺で。

難しく考えずに見る分には楽しめるかもしれません。

にゃるら『僕はにゃるらになってしまった』読んだ!

にゃるら『僕はにゃるらになってしまった ~病みのインターネット~ 』(2021)

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Amazon.co.jp: 僕はにゃるらになってしまった ~病みのインターネット~ (MFC) eBook : にゃるら, 塚本 穴骨: 本

【総合評価】7.5点(総合12点:全体10点+百合2点)

【作品の立ち位置】

ガチで大事にしたい作品(9<x)

積極的推し作品(8<x≦9)

オススメの手札に入る作品(7<x≦8)

まずまずな作品(6<x≦7)

自分からは話をしない作品(x≦6)

 

エッセイなので部門別のコメントなし

【総括】

面白かったです。本書でも度々出てきますが、自分はにゃるらになりたい側の人間です。なぜなら無職になっていっぱいアニメを観てゲームをして文章を書いて架空のキャラクターのことだけを考えて生きていたいので。

でも残念なことに働かないと旅行にいけないし、うまい飯も食えないし、欲しい本も買えません……そう考えると、いっぱいお金を稼がなくてもいいものの、それなりのお金は稼がないといけなくなります。それならアルバイトよりも正社員の方がボーナスや福利厚生がそれなりにあってコスパいいよなあ~ということで仕方なく会社の犬として働いています。多分自分には無職の才能があるので、仕事の時間を全部アニメに費やしてもOKだとは思うのですが、じゃあその生活の先でお前は他者にエンタメを提供できる「にゃるら」になれるのかよ?と聞かれると無理なんだろうなあと思います。まあ、ねぎしそにはなれるんですけれどね。

自分語りはそこまでにして(この本を読むと自分語りがしたくなりますね)、本作の面白かったところを下に簡単に纏めておきます。

・無職/治安悪/貧困エピソードが面白い。

電気が止まったせいでPS3内のレンタルDVDが取り出せず延滞料金を取られた

那覇空港の100円ロッカーを漁れば、うまくいけば2.3時間で1000円稼げる

ホームレスの女性、喫茶店に持ち込んだ弁当の面積が最初から半分である

ここらへんのエピソードとか、自分の頭のなかでは絶対に出てこない状況なんですよね。実体験が持つリアリティの強みに割と感動しました。こういうエピソードでキャラに実在感を与えてあげたい。自分にはこういう話があまり無いので羨ましいです。

 

・ドラッグエピソードも面白い

鏡に映った自分を観ながら「オレって宇宙じゃん!」とケタケタ笑い続ける岡島くんの姿

テレビの動きはすべて残像をひきずる

壁の模様が七色に光る

いいですよね。自分もなんとか合法麻薬をやりたくて、大学同期の数人とは「卒業旅行は絶対にオランダに行ってヤクをやろうね」と約束していたのですが、コロナになってこの有様です。本当にコロナが憎いね。憎い憎い憎い憎い憎い。

 

あと、全体を通じてにゃるらさんはやたらと変な熟語(ちゃんと辞書に存在しているがあまり使用されないという意)を使うんだなと思いました。私はそれなりに本を読んでいる方だとは思うのですが、それでも全然知らない語彙に溢れているんですよね。この体験はややこしいエロゲ(『鬼哭街』とか『装甲悪鬼村正』とか)をしたときにも感じた覚えがあるので、にゃるらさんの語彙はニトロプラスあたりのエロゲから来ているのかもしれない……と考えていました。真偽不明。あとは、アニメのエピソードとか台詞とかをたくさん記憶していて羨ましかったです。自分はどれだけ興奮しても、いくらメモをしても覚えられないことばっかりなので。

というわけで、にゃるらさんも書いていますが、この本を読むとにゃるらさんの半生をほぼ知れるようになるのでいいと思います。自分はにゃるらさんにそこまで興味があるわけではなく、にゃるらさんの現在のポジショニングに興味があったのですが、この本を通じてにゃるらさん本人にも興味が湧きました。自分はにゃるらさんをフォローしていないし、普段から追っているわけでもないし、この本も図書館にあったから借りた程度の距離感なんですけれど、にゃるらさんが立ち上げた「Twitter2/ユクーリ」のdiscoサーバーには入っているんですよね。面白そうなので。で、それくらいの遠さから見る「にゃるら」って普通に虚像なんです。それがこの本を通じて「あ~にゃるらさんも普通の(寂しい)オタクなんだな」*1と感じることができました。やっぱりキャラの実在性を構成するのはエピソードなのかなと。これからも一次創作でも二次創作でも、特別なエピソードを練り練りすることに取り組んでいきたいと思います。そのためには外に出ないといけない気もする。

*1:私はオタクは基本的に寂しいものだと思っています

V.S.ナイポール『ミゲル・ストリート』読んだ!

V.S.ナイポール『ミゲル・ストリート』(1959)

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【総合評価】9点(総合12点:全体10点+百合2点)

【作品の立ち位置】

ガチで大事にしたい作品(9<x)

積極的推し作品(8<x≦9)

オススメの手札に入る作品(7<x≦8)

まずまずな作品(6<x≦7)

自分からは話をしない作品(x≦6)


【世界構築】2点 (2点)

1962年に独立するが、それまではイギリスに占領されていたトリニダードが舞台。アメリカとイギリスが文化の中心(憧れの対象)となるような田舎で燻っている人間が描かれていて良かったです。本作から推定されるトリニダードを構成する要素は「黒人」「貧困」「無教養(暴力)」かな。それらを分け合いながらも奇抜な要素を組み込んだ登場人物やその台詞によって、独特の空気の醸成に成功していると思った。流石ノーベル賞作家。

また、この物語の全体を覆っているユーモアが本当に好みで、楽しく読めるのが良かったです。以下、印象的な文章を引用。

エリアスが口にした、びゅんがくは、僕が聞いた言葉のなかでもっとも美しい言葉となった。何かの食べ物、チョコレートみたいにコクのあるもののように響いた。

中国人のガキが俺のことを「ダディ!」って呼ぶんだぜ。

俺は黒玉みたいな黒ん坊。女房はタール人形みたいなんだぜ。

それなのによ。

中国人のガキが俺のことを「ダディ!」って呼ぶんだぜ。

なんてこった、誰かが俺のコーヒーにミルクを入れやがった。

ヒルトンさんが亡くなったのはマンゴの季節ではなかった。でも、クリケットのボールを十から十二個くらい取り戻すことはできた。

彼女が両腕を体の横につけていると、その両腕はまるで括弧のマークのように見えるのだった

取っておいで、とものを投げてやっただけで、地球上でもっとも幸福な犬になった。

ローラは僕の頬にキスをして聖者クリストファーのメダルをくれた。首にかけてちょうだいね、と彼女は言った。そうするよと約束して、僕はメダルをポケットにしまった。そのあとメダルをどうしたか覚えていない。

 

【可読性】1点 (1点)

基本的にリズムがよく、すらすら読めてよかったです。


【構成】1.5点 (2点)

めちゃくちゃ凝った構成という訳では無いが、上手な群像劇だと思う。先述ではあるが、ミゲル・ストリートに住んでいる変な人々の短編を重ね合わせることで、トリニダードの空気を描いているのがかなり良かった。また、1章からずっと出演しているミゲル・ストリートのムードメーカー(ご意見番)であるハットが、全17章のうち16章で「ハット」というタイトルで掘り下げられるのが激アツでした。しかもそれがミゲル・ストリートの終わりに直結する物語なので、尚更良いですね。

 

【台詞】2点 (2点)

非常に好みの台詞が多かった。以下一部引用。

だからどうだってんだ?その話を鉛筆で紙に書きつけて、新聞に送れっていうのかよ?

「ここで何やってんだ」と警官が訊いた。「その質問を私は四十年間ずっと自分に問いつづけているのです」

あんたを追いかけまわしてる女たちはどうなんだい?あんたに追いついたのかい、それとも素通りしちまったのかい?

 それにさ、父さんにもおれたちみたく魂があるんだよ

 

【主題】1.5点 (2点)

色々な読み取り方ができるように感じる。ユーモラスな文体からは「黒人」「貧困」「無教養(暴力)」な地域に住む人は決してみな不幸ではないというメッセージを受け取ることもできるが、最終的に「僕」がふと目覚めてミドスをかっこいいと思わなくなった点や、「ハットが刑務所に入ったとき、僕のなかで何かが死んだのだ」という「僕」の言葉からは、故郷に愛着を持たせていた感情の起点は人間そのものにあり、そこに住む人への関心を失ったときこそが旅立ちの時であるという風にも読み取ることができる。つまり、本作では住んでいる「街」を問題にしているわけではなく、あくまでそこに居着いている「人」そのものに関心が集中しているのだ。これは読書会で出た話だが、本作は街などの風景描写がほとんどされていない。描かれているのは人と家くらいであり、トリニダードがどのような「街」であるかが人を介して「しか」表現していないところもこの主題を支えている要素だと捉えることができる。

もちろん、その人となりの形成に「街」は重要である。治安の悪い街に住む人間と、高級住宅に住む人間は、纏っている空気が違う。では、その違いはどちらから産まれたのか。高級な街並みが人の身なりや言葉遣いを矯正させるのか、貧困な街並みが人の本性を曝け出すのか……このあたりは相補的なので結論を出すことでもないだろう。

ただ、人を描くことで街を描くことができるのも事実だし、街を描くことでそこに住む人々を頭のなかで思い描けるのも事実だ。一方で、人を描くために街を描くことは必須ではないし、街を描くためにそこに住む人を描くことも必須では無い。

僕が永久にいなくなってしまうのに、僕の不在を示すものは何ひとつとしてなく、すべてが前と同じだったからがっかりしたのだ。

「僕」はこの街を人を通じて好きになり、その人たちへの関心が薄れたから別の街に移ることにした。その心の動きは、停滞を望みがちな自分にとっては非常に健全であるように思われる。

 

【キャラ】1点 (1点) 

魅力的なキャラが多かったです。本作で好きなキャラTOP5を挙げると以下の通り。

1 Bワーズワース(自称もっとも素晴らしい詩人)

2 マン・マン(宗教家または自称神)

3 ボーロ(人間不信、散髪屋)

4 ハット(近所に居て欲しかったおじさん)

5 バクー(機械いじり中毒、技術があるとは言っていない)

また、自分に一番似ていると思ったのがエリアスでした。努力をしても中途半端にしか実らない感じとか。読んでいて悲しかったです。

 

加点要素

【百合/関係性】0点 (2点)

該当描写無し。「僕」とハットの関係は、個人的にはラブライブ!SID世界線の穂乃果と海未に近しいものがあったと思うのですが、乾いた関係になってしまった点や人間に対しての重みを感じない点で好みではないと感じました。

 

【総括】

とても面白かったのでオススメです。いろんな人が参加する読書会でも平均7点という高得点をたたき出していました。構成も熱いし登場人物も面白いし、海外文学をあまり読んでないよって人もすんなり読み込めそうな物語だと思いました。しかも認知度が低めのノーベル文学賞作家の作品なので、読むことによる実績解除・マウンティングも可能です。これはもう読むしかないですね。

これを機にミゲスト*1を読んでくれた(あるいは既に読んでいる)方がいらっしゃれば、お気に入りの登場人物を教えてくれると嬉しいです。何卒よろしく。

*1:『ミゲル・ストリート』の略

百合文芸4 一次選考結果報告

昨日、第4回百合文芸小説コンテストの一次選考結果が発表されました。

www.pixiv.net

この記事の最後に報告していたように、自分も1作だけ投稿していたコンテストです。

negishiso.hatenablog.com

締め切りの2日前に、ふと「俺もそろそろ何かしらのアクションをするか」と思い立ち、土日をまるまるこの作品に捧げた覚えがあります。締め切り前に妹からSPIを手伝ってくれとも言われたのですが、マジでそれどころではなかったので「俺はいま本気で文章を書いているので邪魔しないでほしい」と叫んで自室の扉をぴしゃりと閉めました。その時の表情や言動からもマジでやばいやつだと思われていたらしく、翌日の朝に家族から「もしかして、副業で小説家とかだったりするの……?」と言われたのでウケました。いいえと言うのも癪なので、「実は文芸雑誌に2本連載を持っている」と答えました。家族がびっくりしていたので良かったです*1

さて、百合文芸3は一次選考の結果発表に2ヶ月と2週間近く掛かっていたので、今回も5月9日から5月20日にかけて発表されるんだろうな~とは推測していました。頭の中では分かってはいたんです。でも私は卑しいので、4月の中旬から毎日「百合文芸」でTwitterサーチを掛けていました。自分だけがこんな卑しいサーチをしているとは信じがたいので、多分300人くらいは毎日サーチをしていたのではないか邪推します。

だって気になるじゃん、結果発表。

昨日も朝から3回くらいサーチをかけていました。自分の観測範囲では数人のオタクが文字にして結果発表を待ち望んでいました。けれども、午後2時段階で未だ結果は発表されず。

「16日が本命っぽいな……」と思いながら仕事を終わらせたのですが、帰りにTLを眺めていると相互フォロワーさんが百合文芸4の結果発表リンクを貼っており震えました。

しかもその方は、「相互の人で通っている人がいる」とツイートしているものだから気が気ではありません。「え?俺?」「でもこの人の相互いっぱいいるしな……」と思いながらも恐る恐る結果を見ることに。

今回は応募作935作のうち、選考通過作品は44作しかないようでした。前回は応募作944作品のうち、一次選考通過作が64作*2だったので、「さらに削ってくるのかよ……」と絶望しつつ、意を決して画面に向き合います。

「なんとなくだけどいなさそ~」と思いながら薄目で画面をスクロールすると……。

自分の名前があったのでよかったです。

「お~」と声が出たのですが、全然現実感がなくて、さてどうしたものかと思いました。とりあえずスクショを撮ってTwitterに放流し、「ワロタ」とだけ呟いておくことに。土砂降りだったので早く家に帰りたかったのですが、よく考えると最近の自分に成功体験なんて何もないし、まだ賞は取っていないとはいえ人生のうちで約20倍の倍率をくぐり抜けることなんてなかなか無いよな~と思ったので、自分を労るためにも外で呑むことにしました。

本当は知り合いと一緒にこの喜びを分かち合えれば良かったのですが、私は地元に友人がほとんど居らず、居ても自作小説のことを話せるような関係性を構築していないので、一人で寂しく飲みました。ちょっと悩みましたが、お互いに小説を書いていることを知っている唯一の中高同期にLINEで報告すると「よかったじゃん」「読んだけどキモくて面白かったよ」と褒めてくれたので嬉しかったです。

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リアルでこのことを言ったのはその人だけです。交友関係が狭すぎる気がしますが、褒めてくれる人がいるだけ有り難いですからね、本当に。

さて、肝心の最終結果ですが、6月中旬に発売の百合姫8月号にて発表予定とのことですので、あと1ヶ月はお預けということになります。恐らく殆どの人は「こいつの名前が最終結果発表のときに何処にも記載されていませんように!」と願っているかと思います*3が、何かしらを受賞すると作品が纏められて本になるらしいので、それになれたら嬉しいなあと思います。

まあ、選ぶのは自分ではなく選考委員の方なので、自分はいつも通り本を読んだりアニメを観たり映画を観て感想を書くだけの機械になるしかないのですが。

これが人生で最後の成功体験になる可能性も視野に入れつつ、適度に喜んでいきたいと思います。

 

今回の選考通過作はこちら。気が向いたら読んでみてください。読まなくても全然大丈夫です。

www.pixiv.net

*1:嘘です。こんなやりとりはしていません

*2:暇すぎてずっとそういう数字ばかり調べていました

*3:他人の不幸は蜜の味といいますからね

古川日出男『非常出口の音楽』読んだ!

古川日出男『非常出口の音楽』(2017)


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【総合評価】7.5点(総合12点:全体10点+百合2点)

【作品の立ち位置】

ガチで大事にしたい作品(9<x)

積極的推し作品(8<x≦9)

オススメの手札に入る作品(7<x≦8)

まずまずな作品(6<x≦7)

自分からは話をしない作品(x≦6)


【世界構築】1.5点 (2点)

始めて触れる古川日出男作品でした。本作は短編集ですが、収録されている作品すべてに「適当なことを書いてやるぞ」という意志が込められているように感じ、好みです。どれも楽しく読めたのですが、長編でもっと深くの世界にまで入り込みたいなと思いました。短編集に求めることではない。

 

【可読性】1点 (1点)

文字が大きく、リーダビリティも高いためにすらすら読めました。


【構成】1.5点 (2点)

構成なんてあってないような作品が多かったのですが、本作についてはそれが魅力なので。

 

【台詞】1.5点 (2点)

文体とともに自分好みの対話形式でした。特別これが好き、という台詞はありません。

 

【主題】1点 (2点)

筆者あとがきによると「人には、ときには非常出口が必要だ」がテーマらしいのですが、そこまでダイレクトに響きませんでした。物語で非常出口が語られるというよりは、この物語によって引き起こされる「笑い」によって非常出口が見つけるようなイメージが近かったです。ただその場合、本作を完全にギャグ作品として受け止めることになるので注意が必要です。

 

【キャラ】1点 (1点) 

魅力的なキャラが多かったです。

 

加点要素

【百合/関係性】0点 (2点)

該当描写無し

 

【総括】

面白かったのでオススメです。特に自分好みの作品は以下の通りです。

『サマーレイン

機内灯が消えた』★イチオシ

『殺伐ちゃんが将来なりたいものは気象予報士

『シュガー前夜』

糸とライオン』★イチオシ

アップルヘッド、アップルヘッド』★イチオシ

『卵泥棒おおいに語る』

『うはうさぎのうなんですか?いいえ、うは裏切りのうですね』

以上。

多くを語るような作品ではないので、この記事でも特に何かに触れることはありません。文体と心地よさを楽しめれば良いように思います。