新薬史観

地雷カプお断り

視聴映画記録(2020.05/15~05/21)

5月15日 映画40「天使にラブソングを」(1992)

配信サイトにどこにもなくてキレていたら、金曜ロードショーでやってくれて大感謝祭を開いてしまった。いや~しかしバチクソに面白くて笑ってしまった。なんだこの映画。いちいちギャグが秀逸で、キャラもすごく立っている。嫌な院長も最後には和解するし、僕が苦手とするごちゃごちゃした人間関係がなく、終始楽しく見ることができた。音楽も開放感がすごくてめっちゃいいし、群れているシスターも面白すぎる。群れているだけで面白いのなんなんだ。あとロバートちゃんかわいすぎ……。好き。2もあるらしいので絶対に見たいな。 

 

5月16日 映画41「若女将は小学生!」(2018)

アニメは全部見ていたのだが、劇場版は見ていなかった。当時は見たかったけど時期を逃した。ので今回地上波で見れてうれしすぎた。見て泣いた。

まず、アニメだと事故のフラッシュバック、事故当時の映像がなかったからマイルドだった。そこが劇場版では、事故の瞬間、フラッシュバックをしっかりと見せてくることで、おっこの過去に本気で焦点を当てている。その上、そこで事故を起こした夫妻まで出してくるのだからあまりにえげつない。脚本は吉田玲子らしいが、ぼくはこんな映画を見ることになるとは思っていなかった。誰でも泣くやつじゃんこんなの。それに、キャラが魅力的なのはともかくとして、作画が良すぎた。本当に絵がうますぎて、びっくりした。本当に。うまい。それがまた感情にダイレクトに効いてくるんだよな。

ただ、花咲くいろはみたいに大人が厳しいわけではなく、かなり優しいのは良いんだけれど、今回かなり攻めた作りになっているから、おっこの精神の成長を強制しすぎでは、という懸念があった。あの90分の劇場のなかで、両親を失い、仕事をすることで自分の居場所を作り、両親を殺した家族の相手をさせるのは、観客からすればガチで泣けるんだけれど、おっこにはあまりにもきつすぎるんじゃないかなと。90分でやる内容ではなくね、とは思った。感動はするんだけれども。

最後に、グローリー・水嶺様! 彼女はアニメではいなかったと思うんだけれど、映画では最高にいい役をしていた。年の離れた友達概念がけっこう好きなんだけれど、そのうえ百合だしおねロリだしで、かなり良かった。田舎娘が都会娘に連れられておしゃれをする展開もすごい好きだし、BGMの入りも最高だったんだよな。あのファッションショータイムが最高潮だった。大好きだ。

全体的に見てかなりレベルが高く、大満足の一作。おっこの精神的が不安な点もあるが、あの展開をするにあたって、キャラの反応や台詞がすごい考え抜かれていて、一番観客にもおっこにもダメージが少ないような作りになっていたとは思う。見ていてしんどいんだけれど、不快感はなかった。それが如何に難しいかは知っているので、素直に尊敬する。

 

 5月18日 映画42「博士の異常な愛」(1964)

スタンリーキューブリックの作品。正式なタイトルは「博士の異常な愛、または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」らしい。博士の異常な愛というから、異常な愛を持った博士が出てくるのかと思ったが、普通にストレンジラブ博士の直訳っぽくて笑った。一人三役のピーター・セラーズの演技も良かったんだけれど、脚本がかなり面白くて、指揮体系とか飛行機の操作とかがかなりリアルっぽいし「空軍ってこんな感じに戦うんだ……」という気付きがあった。嘘かもしらんけど。純粋な体液を大切にする思想も好き。博士のキャラが想像以上に強くてびっくりしたんだけれど、博士はそこまでストーリーに絡んでる訳でもないように見える。博士はタイトルになってるんだけどな。

最後に、戦闘のテーマソングがかなりお気楽で笑った。ガルパンチックな感じで好き。最後の爆発も含めて、けっこう好きな映画でした。

 

 5月18日 映画43「チャイナタウン」(1974)

シド・フィールドの脚本術の本を読んでいると、チャイナタウンの脚本が最高だとめちゃくちゃに推してくるので見た。確かに脚本が面白い。次から次へと事件が起こって、それがつながっていく感じ。終始ハラハラするし、楽しめたとは思う。が、これが最高の脚本かと言われるとわからない……。面白いし、見ていてストレスが一切ないし、かなり複雑な事件の把握も容易なつくりになっているという点ではかなり最高なんだけれど、これが最高の脚本ということなんだろうか。実際に作ろうとすると絶望しかないし、今書いていて確かに脚本としては最高だなと理解できるんだろうけれど、見ていてすぐにわかるレベルではないのがつらいところではある。自分の審美眼、カスすぎ……?

ともかく、もっと映画を見ないことには善し悪しはわからないので、このままドンドン見ていきたい。頑張りましょう。

 

5月18日 映画44「テルマ&ルイーズ」(1991)

百合映画として名前があがるし、脚本もかなり良いと聞いて視聴。実際にかなりよくて笑った。テルマの頭がゆるい感じが悲しくなるのだけれど、たとえどんなにヘマをしてもルイーズはテルマを切り捨てようとはしないし、テルマもルイーズから離れようとしない。これが俗に言う「共犯」の関係なのかもしれないが、百合ではないなと思った。いや、これが百合ですと言われるとそうですかとしか返せないのだが。個人的に、女という凝り固まった概念から自由解放される映画だよなと。確かに犯罪はしているんだけれど、個人的にはOKな部類の犯罪なので(OKな犯罪ってなんだ?)見ていて気持ちがいい。あと、この映画に出てくる男はクソが多く、キャロルでもこんな感じだったのを思い出した。男がクソなので相対的に女同士が良くなる。この映画から30年も経つわけだが、少しはマシになったと信じたい。そうは思えませんが……。

とにかく、解放感がすごい映画。ラストシーンの気持ちよさったらない。このままどこまででもいけそうだを見事に映像化した感じ。最高の映画だったな。

 

5月18日 映画45「ロリータ」(1962)

おっさんがキモすぎて笑ってしまった。これもキューブリックの作品で、こういうのも撮るんだという感じだったが、クィルティの狂い方、おちょくり方がキューブリックぽいなあと思った。まあ原作小説が別にあるんだけれど。

キモいおっさんというのは当然ハンバート・ハンバートです。自分がすべてで傍若無人に振る舞うおっさんがガチで苦手すぎて、途中で視聴をやめて放置していたらNetflixでの無料視聴期間が終わってしまったようで、途中からはU-NEXTで見た。

結論として、親が子供を奴隷のように扱う話が嫌すぎるし、おっさんが少女に恋するのが無理というよりかは(アメリカンビューティーでも感じたけど、おっさんから少女への恋路は自分にとって割と嫌な部類に入るらしい。少女がおっさんに惚れるのはいいんだけれどな)、他人を尊厳を持って扱わない話が無理みたいだ。それはそれはとして、映画の完成度は高かったように思う。ハンバートがキモいことと、最初の妻の愛が強すぎて笑ってしまうことを除けば、ロリータはかわいいしハンバートのキモさが切実に伝わってきて良かった。

 

 5月18日 映画46「Mr.タスク」(2014)

こういう映画でひどい目にあうのは、どうして品がなくてチャラついた男なのだろう。いや、まあそっちの方がストレスなく見れるから良いんだけれど、いつものごとく博士が狂いすぎている。男くんがかわいそう。まあいつもって言えるくらいこういう映画見てないんですが。「人類はもしかして、セイウチなのではないだろうか……」じゃあないんだよ。グロテスクだけど、改造後の姿が割とセイウチで笑ってしまった。どういう発想したらこういう映画を撮ろうと思うんだろう。セイウチ・ファイトといい、グロいのにクソ笑わせるのやめてほしい。最後は普通にかわいそうで切なかった。悲しい。頭のなかはセイウチかもしれんが、身体機能はセイウチじゃないからなあ。生物学徒からすれば、ちゃんとセイウチの機能を備えてやれよと思った。変人だからといって中途半端が許されると思うなよ。中途半端な皮膚のつなぎもやめろ。見た目にもっとこだわれ。セイウチの群れに返すところまでやれよ。セイウチに殺されたいという願望があるくせに、そのセイウチに対する実現願望が甘いの、かなり腹が立ってきたな。グレッグ・イーガンの「愛撫」を読んでやり直してほしい。

ただ学んだことはいくつかあって、案外カナダとアメリカってバチバチしてるんだって言うのと(これが真実か知らんが)、やっぱり幼少期に受けた歪みは大人になっても歪んだままだよなと。幼少期の家庭環境って大事ですよね。

 

5月19日 映画47「インセプション」(2010)

んも~~~~本当に大好きすぎる。SF小説ばりの世界設定と展開なのに、小説では表現できない映像の構図と時間感覚、映画でできることをこれでもかと詰め込んだ作品という感じで、本当に映画として満点過ぎる。入れ子構造になっている似た作品に「ハロー・ワールド」がある。野崎まど特有のどんでん返しもかなり好きだけれど、こっちのすっきりした終わり方も最高に良い。いや、すっきりしているかと言われると最後のシーンで「ムムム」とはなるが、映像が美しいので終わりとしては最高なんだよな。夢かどうかを判断するのにコマを持ってくるのも良い。二人で作り上げた町並みも最高すぎる。全体を通して最高にクリストファー・ノーランだし、クオリティが高すぎて本当に良かった。読むSF小説だ。見れて良かった。てか、渡辺謙ががっつり出ていてびびった。今まで見てきた洋画にほとんど日本人いなかったから目新しかった。見たことあんのパシフィックリムくらいじゃないか。日本人万歳(?)

 

5月19日 映画48「プレステージ」(2006)

クリストファー・ノーランが好きすぎて予定を変更して同監督作品を見た。本当に脚本が綺麗だ。最初にひよこで瞬間移動の映像を見せたのが、最初から最後までテーマとして貫かれている。しかもそのまま最後の最後につながるんだから、めちゃくちゃ気持ちいい。テンプレだけれど、このテンプレが良いんだよな。アンジャーとボーデン、二人が互いを出し抜こうと狂気に駆られる様がどんどんエスカレートしていくのが良い。テスラでびっくり科学になってしまったが、この話の展開には絶対に必須だし、これがあるからこそ楽しいんだよな~。アクションは抑えめだが、アクションなんてなくてもめちゃくちゃに面白い。視点を変えればかなりBLっぽかったが(?)、ナイス・ミステリー。面白かった。

 

5月19日 映画49「フェイスオフ」(1997) 

いやマジで好き好き大好きほんと好き。これはガチガチの大傑作だ……すげえよほんまに面白すぎた。まず序盤から最高のアクションシーンだし、「え?もうラストシーンか?」って思っちゃったな……。そっから絶望への落とし込みかたも最高だし、復活劇も素晴らしすぎる。銃がいちいちかっこいいんだよな。ジョン・トラボルタニコラス・ケイジの演技も最高すぎて、本当に入れ替わっているようにしか見えなかった。鏡に向かって銃を向けるシーンとか最高だったし、感情と葛藤の描写もめちゃくちゃにうまかった。もう本当に100点満点だ。「ニューシネマパラダイス」に並ぶベストワンですね。

 

5月19日 映画50「アンドリューNDR114」(1999)

始まりが攻殻機動隊のOPとそっくりで笑ってしまった。めっちゃ似てるな。気のせいかもしれんが。アンドリューの造形が、間抜けなんだけれど憎めない感じで大好き。ユーモアも最高だし、洋画のロボットジョークはかなり好き。どんどん人間らしさを獲得していく演技もすごかったが、アンドリューの魅力が最初から最後まで変わらないのもよかった。アイデンティティーの保持。アシモフ原作ということで、まだこの原作は読めていないんだけれど、科学技術と人間らしさをしっかりストーリーに練り込む手腕は本当にすごいと思う。アシモフの作品って、めちゃくちゃ人情にあふれていて、すごく読みやすいしめちゃくちゃに面白いんだよな。今でいうケン・リュウがその血を継いでいるように思うけれど、まあとにかく感動しました。とても良い映画だ。原作ちゃんと読みます。

 

 5月20日 映画51「ブレードランナー」(1982)

原作の小説「電気羊はアンドロイドの夢を見るか?」は読んでいたが、映画の脚本は大きく異なっていた。それはそれとして、ストーリーとしてはあまり面白くなかった。どうせなら尋問を受けて、自分がアンドロイドかもしれない可能性を疑うシーンをいれたらいいのに。あそこめっちゃおもろいやん。まぁでもしかし、それを補ってあまりある、最高の映像! 中国風のネオン、青色の夜景と乱立するビル群、雨と白煙、そのどれもがブレードランナーの世界を作り上げている。最高すぎかよ。パシフィックリムもこの影響を受けていたのかと納得。あっちの方はネオンサインのなんちゃって日本語がひどくて萎えたのだが、こっちの方は良かった。とにかく映像美の映画。ストーリーがあんまりなので興行収入が振るわなかったのもうなずけるが、まあそれはそれ、これはこれだろう。映像がとにかく良い映画だった。

 

 5月21日 映画52「サマータイムマシン・ブルース」(2005)

ヨーロッパ企画の舞台が原作。上田誠原作、上田誠脚本で本広克行監督作品。そういえばヨーロッパ企画の作品を全然見ていないことを、先日投稿された上田誠森見登美彦の対談で思い出して視聴した。ヨーロッパ企画を意識して見たのは劇場版「すみっコぐらし」が初めてだったからな。結果、かなり面白いな。割と複雑でややこしかったけれど、癖のある登場人物や台詞の言い回しがさすが舞台原作という感じで新鮮で面白かった。タイムトラベルものは似たような作りになるけれど、今回の場合はラストの話の進ませ方が新鮮ですごく良かった。ギャグとしてもいちいち笑えるので満足。良作でした。

 

5月21日 映画53「友達の家」(2005)

同じくヨーロッパ企画の山口淳太作品。まあ、怖いね。はい。

 

5月21日 映画54「恋する極道」(2015)

同じくヨーロッパ企画。中川晴樹が監督で脚本。まあ面白い。

ミュージカル中に差し込まれる「極道!極道!」がかなり好きだし、最後のテンポもめちゃくちゃいいな。5分でこれはかなり完成度が高いのでは。良作。

 

5月21日 映画55「オトコノクニ」(2016)

これまた中川晴樹の続編。短く12分でサクッと見れた。任侠コメディBLミュージカルという大変詰め込まれた作品ではあるが、スッキリまとまっていてBLも抵抗なく見れる。むしろ尊くすら思える。面白かった。

 

5月21日 映画56「曲がれ!スプーン」(2009)

ヨーロッパ企画上田誠脚本、監督は本広克行サマータイムマシン・ブルースのコンビ再来。てかこの本広さん、アニメPSYCHO-PASSの総監督なんですよね。しらなかった~。サマータイムマシン・ブルースネタがあって良かった。こういうのかなりうれしい。話としてはそこまで複雑なわけじゃないんだけれど、ネタがいくつも仕掛けられていて重層的に感じるのがすごい。終始笑顔になれるんだけれど、ほろりとしてしまう感情の重みがあってかなり好みのもの。上田誠、すごいな。テーマソングのCOSMIC BOXがめっちゃ良かった。最後のところはもう少し短くしてほしかったんだけれど、まあこれはこれで面白いからいい気もする。ヨーロッパ企画の舞台見に行きてえ。機会があれば是非行きたい。

 

今週は以上。