新薬史観

地雷カプお断り

視聴映画記録(2020.06/19~06/25)100本目まで

今週も引き続き視聴した映画の報告を……。

 

6月19日 映画86「BACK TO THE FUTURE2」(1989)

最高によかった。無印しか見てなかったので、2は金ローで初視聴だった。ありえん面白くてひっくり返った。ここまで無印と絡めた脚本を、後から作ることができるんだ。マジですげえよ。1989年が想像した未来を2020年という未来(今)から見ることで、さらに面白いことになっている。正直いろいろ小道具はしょぼいんだけれど、それ以上に話の転がり方、脚本の引きによる面白さ(まったく思った通りにならないというハラハラのことです。専門用語とかあるんかな)が他の映画に比べてダントツ。すんごい映画です。こんなの面白いに決まってるじゃん。傑作。

 

6月20日 映画87「救命艇」(1944)

ヒッチコックの映画かつ吉田玲子おすすめだったので視聴。面白かった。

「金星は東の方角だ」めちゃくちゃ熱い台詞なんですよね。いや、星座の知識としては当然かもしれないけれど、ここの知識が命を助けるか否かになるわけで、なんとなく個人的に刺さりました。あと、「死ぬときは一緒だ」っていう台詞もあるんだけれど、なんか知らんけどこれも刺さった、すごく。テンプレもいいところなんだけれど、いざ本当に死ぬ間際になって「死ぬ時は一緒だ」って言われたらすごい救われるよなと思った。推しカプに言わせてえ……。

とまあ台詞についてはそこまでにしておいて、すごい狭い世界で人間関係がうねるのが面白かった。いつ死ぬかも分からない、水と食料が消費されていくなかで、精神もすり減っていく。希望を掴んだと思ったらすぐに指の間からすり抜ける。それが何度も続き、見ているこちらまで疲れさせる。そのうえ、ドイツ人の捕虜がめちゃくちゃなやつで、こいつのせいでただでさえ緊張している空気が、何度もかき乱されることになる。ユーモアもあるんだが、テーマとして、戦争や人間不信をゴリゴリに押してくるので、見終えた後に深く息をついてしまった。なんだかなあという感じですよね。戦争が起こされる理由としての人種差別や、事実船長は船員たちを何度も何度も裏切るわけで、その最後がひどいんだけれど因果応報というか……。しょうがないよな。結局、囚人のジレンマのように、自分の利益が相手に委ねられた状況で、相手をどこまで信じることができるかという問題で、これが戦争をより加熱させるんだよね。ドイツ人も補給船にたどり着くことはなく、船員もドイツ人によって犠牲を生み出してしまった。最後に再び引き上げたドイツ人の子供を助けたところ、銃を向けられるも、今度は子供の方が船員を信じそうな雰囲気を漂わせることで、子供の世代なら相手を信じ、この戦争を終わらせることができるというメッセージだと受け取った。合ってるかわからんが。非常に面白く、傑作だなあと思う。

 

6月21日 映画88「誘惑のアフロディーテ」(1995)

里親になったは良いが、その子が優秀だと親を探したくなるという無用な探究心によって引き起こされる物語。風俗に行って説教するおじさんを20年前の作品に見ることができて感動した。ちょいちょい演劇を差し込まれ、かと思えば舞台役者がこちらの世界に入り込んだり、舞台に上がったりする。面白いんだけれど、主人公は特別演劇好きというわけでもないように思ったのだが(そういう隠し設定があるのか?)あれはなんだったんだろう。正直意図が分からんかった。テーマ上、オイディプス王とかと絡めるのはわかるんだけれど。まあ不快でもなく面白かったから良かったです。最後のオチも面白い。

 

6月22日 映画89「プロジェクトA」(1983)

ジャッキー・チェンが有名なのは知っていたけれど、いままで完全に俳優として捉えていたので、監督もやっていると知って震えた。「A計劃」に伊藤計劃を感じて幸せになった。全体を通して、すごい芝居がかっているという印象。あと、ふらふらしているけれど肝心なところではかっこいいみたいなのも子供心に嬉しいところだなと。というか未だにアクション映画の金字塔とされるだけあって、アクションの質が半端なかった。すごすぎる。いちいち面白いだけじゃなくて、かっこいいから、こんなの見たら子供はみんな影響受けちゃうわな。ネタもいちいち面白いし、マジで最高だろこの映画。子供の頃に見てたらカンフーやってたかもしれん。アクション映画としては間違いなく傑作ですね……。香港映画他にも見ようと思いました。

 

6月22日 映画90「プロジェクトA子」(1987)

完全にプロジェクトA繋がりでたどり着いたアニメ映画。A子とB子がC子を取り合うアニメ。まさかの百合です。プロジェクトAから名前は来ているものの、別に内容がプロジェクトAと被っているわけではなく、ただただC子を巡ってA子とB子がバトルするアニメ。完全にギャグもテンポも昔のノリだけれどそれなりに楽しめた。真理のキャラが強烈すぎたな。百合ではあるけれど、そこまで濃厚な絡みがあるわけではなく、それなりにやっている感じ。それはそれとしてA子がかわいくて好き。

 

6月22日 映画91「プロジェクトA子2 大徳寺財閥の陰謀」(1988)

せっかくなので2も見た。割と面白かった。テンションは変わらず、ややB子に焦点が向けられているかな。B子のロボット、航空ロケット設計の才能が半端なく、震える。

 

6月23日 映画92「プロジェクトA子3 シンデレララプソディ」(1988)

脚本に女性の方が入ったらしく、ロマンス要素が入った。K君とかいう男により、A子とB子がK君に惚れるとかいうノンケっぷりを発揮し、当時の百合への限界を感じる。許せん。その点、C子はA子との日常を楽しんでおり、まったくK君は視界に入っていないため、良い。結構衣装にも拘っているみたいですね。

 

6月23日 映画93「プロジェクトA子 完結編」(1989)

これが一番面白かった。A子とB子のバトルが白熱し、ついにC子よりも戦うことに重きを置いているのでは?とC子が感じるようになるという熱い展開。学校の生徒もみんなバトルについて触れないようになり、A子とB子はいつも通り戦い続ける毎日。これ、もはや喧嘩ップルでは?というような雰囲気になってきて、C子はつらそうなご様子。かなり良い。すごく良いんだ。だからこそ、最後の最後にご都合主義になったのはマジで許せん……まあ、そこまでの話は良かったと思います。見るんだったら完結編まで見ないといけないアニメでした。全体的に作画は良かったです。あと、めぞん一刻の響子さんのパロディキャラ出ててめちゃ笑った。どんな繋がりだよ。

 

6月24日 映画94「失われた週末」(1945)

さ、酒クズ~~~~~~~~~!!!!最高の酒クズに笑いが止まらんかった。しかし途中で連チャンパパを見ているような吐き気に襲われる。悲しい。面白いけどただただ悲しい。でもこの映画、終わり方がめちゃくちゃ良くて、落ちるところまで落ちて、何度も何度も死ぬしかないフラグを立てるし、周りの誰もが匙を投げるし、実際に観客すらも「こいつは死ぬしかないやろ」と思わせる。舞台の登場人物も観客も諦めさせて、それでも尽くし続けるヘレンがようやく報われるシーンがほんまにたまらん。マジでヘレンだけなんだよ、ドンを信じているのって。洋画でここまで純粋に尽くしてくれる女性を見たことがないかもしれん。それくらい献身的だった。あとドンがたばこを酒に入れるシーンもいいし、終わりにかけて始まりのシーンの逆再生になるのもオタク心をくすぐる美しさがある。タイプライターが返ってくる、小説の書き出しも口の中で言えるようになるという明確な始まりを出してくるのも、ドンが小さな夢を語るのもすごくいい。ここまで落ちて、馬鹿らしさすら感じるようなさりげない夢が、自転車に乗ったことのない子供の一漕ぎのように感動的なのがびびる。すごい映画だった。傑作だ。ビリー・ワイルダー監督。覚えましたし。

 

6月24日 映画95「バッファロー'66」(1951)

かなり前にフォロワーさんから教えてもらっていて、このまえ探した時はなかったはずなんだけれど、たまたま見つけた。ヴィンセント・ギャロなる人物によって作られたらしい。主演も監督も脚本も音楽も。序盤、画面がバグったのかと思いびっくりした。斬新なはめ込み?だな。かと思えば、この奇妙な画面の移り変わりが回想のたびに起こる。新鮮で、窓から覗いているかのように錯覚する。面白い。キャラの話になると、ビリーの神経質さ、優しさが本当にうまく表現されていて最高だった。家庭環境は最悪で、父親は今は歌えない喉だけど昔の栄光を頼りにしていてそこら辺が地雷だし、やたらと理不尽に怒るし、母親は完全に家庭よりラグビーを優先しているし、「子供を生まなければよかった」って完全に毒親発言じゃないですか。常に親への気遣いを強要させられてきた空気。それが家の生活のありとあらゆる部分から読み取れる。そんなクソみたいな家庭でも、ビリーはめちゃくちゃ家族を大切にしていて、家族への「気遣い」や「繋がり」が、常に自分の破滅につながっていたにも関わらず、「良い子」が身体に染みついてしまっている。しかも股間(自分のコンプレックス)を見られるのを極度に嫌がるというのがマジで孤独な人間あるあるすぎてマジでつらかった。もう全ての感情の機微が手にとるように分かるビリーだが、良い子を演じるあまり起こすアクションが少女の誘拐っていうのも極端すぎて最高だった。彼女(というかもはや嫁)のフリをさせられたレイラもかなり適応力が高いが、彼女の包容力がすごい。それに家庭に入ってからのビリーの無口さ、家庭のひどさを目の当たりにして、ビリーの優しさに触れるっていうのもすごくいい。最後に、愛を知ったビリーがめっちゃ浮かれるのがあまりにも良くて、ここでついに家族から離れた深い人間関係を築くことができたビリーに泣きそうになってしまう。毒親からの離脱ですよ。自由なんですよ。めっちゃいい。あそこの店内にいたやつみんなロマンティック。幸せになってください。傑作かはわからんけど、大好きな映画です。

 

6月25日 映画96「アタック・オブ・ザ・キラー・トマト」(1978)

 不朽の駄作、Z級映画と有名な本作。トマトが人間を襲い世界を侵略するというむちゃくちゃな設定だが、言うほどひどかっただろうか。肝心のトマトの造形がしょぼすぎてまったくリアリティもクソもないが、全体的にギャグセンスが高く、コメディとしては良いと思う。続編も出ているらしく、気が向いたら見ようと思う。

 

6月25日 映画97「白痴」(1951)

 

ドストエフスキー原作の小説の映画化。完全に全員日本人にしているからアレですが、黒澤明作品ですしね。白痴は上巻で読むの辞めてるから本当は前準備ちしてはよくないんだけれど、まあ……こういうのは勢いでしか見れないので。人間関係は、白痴とまるきり一緒ですね。これ知ってる!となった。というかすごい圧縮率で、1時間くらいで上巻の内容を終わらせてきたのでびびった。内容だけに、妙子(原節子)の目をすごい見たんだけれど、なんとなく久保田美優の目を思い出した。いや、特別推しているわけではないんだけれど、久保田美優のでかい目とすごい似ているなと思いました。異論は認める。内容としては、後半から初めて見る感じになったんだけれど、こんな感じで話が進むのかと微妙に感動した。もう原作小説読まなくていいかな……。映像としてはもう最高に「圧」があって、多分黒澤明が拘った「瞬きの無さ」に由来すると思うんだけれど、照明も最高にいいんだよな。影がすごくいい。それに三船敏郎の顔がやっぱりめっちゃかっこいい。黒澤作品と分かる強さがある。多分。白痴の脚本はおそらく世界最高レベルなのでもう何も言うことがないが、個人的には本当によく3時間でまとめたなという感嘆しかない。本当は4時間半あったらしいが、こういうところに配給の都合が……。残念だけれど個人的にはこれでもいいかなという感じ。そもそも原作を最後まで見ていないので言う資格はないんだけれど。あと、札幌在住の身としては、ゆかりのある地が見れて助かったというのもある。そうか、あそこは聖地なんだ……。今度また行こうかな。

 

 6月25日 映画98「トレインスポッティング」(1996)

最高の映画じゃん!!!好き!!!どの映画配信サイトでも、例の身体を抱きしめる男の画像が五月蠅いので、いい加減見ることにした。始まりから終わりにかけて、語りのスピードや具体性が「ファイトクラブ」を思われる。こういう映画好きなんだよな。というかヤク中映画だったんだ。満たされず何かが足りない毎日、わかるな~~。彼はその不足をハイになれるヤクに求めてしまった。 序盤、便器に手を突っ込んでモノ探すって、完全にホラゲじゃんってなったが、特筆すべきはトイレに飲み込まれたあとの綺麗な世界だろう。すげえよかった。ヤクの先にあるのが憂鬱と自殺したいくらいの自己嫌悪、もうこれ完全に「失われた週末」で見たやつですね。個人的に「ハイ」というものにめちゃくちゃ興味があるので、いつかはドラッグをやってみたんだけれど、はやく合法化してほしい。それはともかく、幻覚症状の映像がすごく良かった。別のより信頼性の高いヤク中ドキュメンタリーでは「食べ物が喋る」とか「視界に渦が生じる」とか言っていたから、まあこっちの演出は妄想の類いかもしれないんだけれど、それはそれとして「幻覚」っぽかった。自分で見たことがないからな……こればっかりは「ぽい」で語るしかないっぽい。あと、ダイアンめっちゃかわいくて大好きです。ああいう青嵐の涼ちゃんみたいな髪型がええんですよね。それから音楽が最高にゴキゲンで、すんげー気持ちいい。クラブミュージック的な。たまらん。終わり方もタイトルに台詞がかかるはみ出たやつが大好きなので、完全に笑顔になってしまった。最高だ。傑作かはわからんが、俺の性癖には刺さる映画だった。

 

 6月25日 映画99「トップガン」(1986)

画面に映る青色や赤色がすごく綺麗だった印象がある。こういうかっこいいに溢れた映画はいいですね。出てくる俳優、みんなイケメンでムキムキで惚れてしまう。脚本としてはかなり綺麗で、良作って感じの展開。序盤から天才っぷりを発揮して活躍するのも最高だし、女教官との恋っていうのもめっちゃいい。いいんだが、これは俺が悪いのかどうか、肝心の空中戦で何が起こっているのかうまくイメージを働かせることができず(というか敵味方の飛行機の区別をつけることや、目元だけで誰かを判断するのがめっちゃむずい。主人公はわかる)、完全に入り込めない部分があった。激アツなのはわかるんだが、「これはどっちがどっちなんだ」「いま撃ち落としたのは味方か?」と顔をしかめながら見てしまい、正しい鑑賞ができなかった反省がある。ただ、行われていること(復活して4機撃墜)は最高なので、脚本や演出などにケチをつけるところは一切ない。見る人がみれば傑作、あるいは良作になると思う。イケメンと筋肉が好きな人にはお勧めの映画でした。

 

25日までに見たのは以上だが、せっかく99本までいったので100本目もまとめて報告。100本目は百つながりで「百円の恋」なる映画を見つけた。

 

 6月26日 映画100「百円の恋」(2014)

め~~~ちゃくちゃに良かった。なんだこれ!安藤サクラ主演の最高映画。ニートの一子が家を追い出されてプロボクサーになる過程を描いたものだが、脂肪だるだるだった身体をあそこまで絞り上げた事実がまずすごい。信じられん。人間が変わったんじゃないかというくらいの気迫で、ただひとつだけ「目」が変わらないのがすごくいい。治安がめちゃくちゃに悪く、まあ底辺層の人間しかいない街だけれど、そこのやりとりがもう大好き過ぎた。コンビニ強盗の下りは痛快だし、いちいち最低な行為を最高な行為に昇華するテンションと空気が良い。とにかく下町のヤバい空気と安藤サクラとの調和性が素晴らしい。終わり方もタイトルも抜群に良くて、姉からの「負け犬」の言葉を体現するかのような人生だった一子が、たった一度の勝つ機会すら逃しつつも、その側にはかつての(そして今も)負け犬の男がいるという〆がかなり好きです。何もなせない未来の自分を体現するかのような映画。落ちるところまで落ちても、同じような人間は限りなくいて、受け皿となる場所があることは覚えておきたいですね。僕も負け犬候補なので、こういうものは非常に助かる。

 

以上。無事に自粛期間中に映画を100本みようと思い立って2ヶ月経ったが、なんとか見ることが出来た。自粛期間はまだ続いているのか続いていないのか全くわからんが、何もせずに終えることだけは避けられて良かった。いつ死ぬかわからん人生、生きているうちにこれからも良い作品に触れていこうな。今後も見た映画の感想記録は続けます。書かないと忘れてしまうので……。あと、このブログを誰が見ているのかは自分は一切知らないのだけれど、常時おすすめ映画を募集しています。個人的に見たいのは「バッファロー'66」みたいな神経質な主人公が、マイナスからスタートして、小さな世界でギリギリプラス、あるいはややマイナスに落ち着くような映画です。「ソーシャルネットワーク」とか「フォレストガンプ」みたいな金銭的に成功する映画は、つらくなるので今はいいです。現在は資本主義から逃れたい気分なので……。