新薬史観

地雷カプお断り

Spotifyに登録して、大森靖子さんの「マジックミラー」を聞いた

Spotifyに登録してみた。

 

最近は本を読んだり文字を書いたりする作業に忙しく、文字について考えている時は、文字が思考を構成しているので、自分の場合かなりの集中力を要する。その点、音楽は意図しないところから降ってくる単語の束なので、思考をまとめる際に邪魔になってしまうことからも、ここのところは全く音楽に触れていなかった。

で、このまえ就活の説明会で「大森靖子さんの曲に救われている」と話す女子学生と出会った。その人は毒親でかなり苦労をしていたらしく、「全てにおいて自分より優れている娘が許せない」という、テンプレだが自分に置き換えると恐ろしい毒親からの支配を乗り越え、ようやく僅かな自由を手に入れ始めた途中だという。話をしながら非常につらそうにしていたが、大森靖子さんについて話題を振ると微かな笑みを浮かべていたので、いいなと思った。

というわけで、大森靖子さんの曲を聴くためにSpotifyに登録した。

先述の通り、普段からあまり音楽を聴かない人間ではあるが、聞くときは一気に聞ける音楽のサブスクはありがたい。良いオタクならここで新品を買って貢献、というのだろうが、残念ながらそのような金銭的余裕がないため、サブスクを利用することに若干の申し訳なさを持ちながらも、甘えさせてもらう。

 

今後、大森靖子さんの曲を聞きながら好きなフレーズやメロディーについて適宜メモを残していく。で、一応腐っても同人のオタクなので、頭のなかには常にJASRACの影がある。ブログでの歌詞掲載についてJASRACのサイトを見てみたのだが、どうやらはてなブログは利用許諾契約を結んでいるらしく、商用以外なら無限に歌詞を掲載できるらしい。最高かよ。サンキューはてなブログ

というわけで、意気揚々と感想を書いていきたいのだが、残念なことに、自分はアニソン以外の音楽についてはめっぽう疎い(アニソンもそこそこ知ってる程度に過ぎない)。嫌いというわけではなく、単純に音楽に触れたいと思うきっかけがなかっただけなのだが、マジでスキマスイッチ神聖かまってちゃんサカナクション椎名林檎くらいしか知らん。音楽用語も知らなければ流れも知らない。現代音楽の文脈とかなんも知らん。感想では頓珍漢なことを言っているかもしれないが、もし何かおかしいこと、覚えておくといい情報があれば、適宜教えてくれるとありがたい。そういう有識者が居ればという話ではあるが。

 

で、今日はたまたま目についたシングル「マジックミラー」についての感想を書く。

 

①「マジックミラー/さっちゃんのセクシーカレー」

・マジックミラー

サビがめっちゃいい。「あたしのゆめ(有名)は」の叫びが気持ちよすぎる。「ブサイクでボロボロのLIFE」で、ここで「LIFE」をもってくるんだとびっくりした。当然、ここの「ブサイクでボロボロ」(本来の自分)が「君がつくった美しさ」(君が美しいと思い込んでいるもの)と対応していると思うんだけれど、LIFEかあ。なんか日本語に戻してはいけない強さがありますね。生活と命、どっちもおおまかに含んだ人生という感じをすべて蹴散らされた女の恨みを感じて非常に良いです。

で、女の子(決して女ではない)としては、アナウンサーにはなれない、彼氏がいないとハブられる、夜のバイトしかできない、というように、女の世界のなかで自分が所謂「汚れた」立場にあることに自覚的なんだけれど、一方の彼氏は無責任な「美しさ」を求めてきて、それに答えるために嘘をつきまくるって感じの曲でいいのかな。そんでこの曲に出てくるピンクは彼氏向けのピンクと、自分のなかで強固に持っているピンクが違うことにも言及していて、まあここが同じピンク色、つまり彼氏のために作り上げた自分が本当の自分であればいいのに、実際はそうではなく、いつになっても偽りの自分が本当の世界の自分を苦しめ続ける。彼氏のためのピンク色が、自分のピンク色になることを「汚れる」としているんだと思うんだけれど、「ピンチは見せられない」とはどういうことなんだろう。汚れて泣きそうになる姿を見られたくないということか?

で、タイトルの「マジックミラー」だけれど、マジックミラーって明るい側からは鏡に見えるけど、暗い側からは向こうが見えるってやつじゃないですか(一応ググった)。だから暗く沈んでいる「彼氏のために作り上げた自分」のまま無理矢理付き合っている時は、彼氏側が明るくて、鏡に見えていると思うんですよね。そんで、彼氏のいう「美しさ」って「ぼくの考える最強のかわいい彼女」ってことで、要するに自分なんですよね。なので、彼氏は彼女を見ているようで自分を見ている。ところが一転して、女の子が彼氏を振って自分の「有名」、「君の孤独のためだけに光る」ようになったら、今度は彼氏側が暗くなる。つまり鏡に映るのは、自分、または「ぼくの考える最強のかわいい彼女」じゃなくて、本当の「女の子」になるという解釈なんですけれど、まあ、最高に熱いですよね。めっちゃ面白い構造になってる。最高ですね、二人を挟んだマジックミラー。

それで、孤独な彼氏が途方に暮れてキラキラした女の子を見つめるなかで、「君がつくった美しい日々を歌いたい」って、流石にオーバーキル過ぎる。でも、この爽快感がいいんだな。

使っている単語は平易でわかりやすいものなのに、こんなに恨みがましい気持ちを歌えるのはすごいなと思いました。何度でも聞きたい曲だ。

 

・さっちゃんのセクシーカレー

曲としてすごい好き。神聖かまってちゃんみたい(引き出しがそれしかない)。

「セセセクシーカレー」がくっそ好きで、無限に聞いていたいです。

で、内容なんだけど……よくわかんないです!

何もない田舎で出会ったさっちゃんが、銀色のナイフを振り回して(多分比喩じゃなくて本当に振り回していったぽい、知らんけど)いた子供時代を終えて都会に出て髪の長い男とつるむのを、陰キャのオタクくんが「ムキー!」となりながらストーカーしている曲かなって思うんだけれど、なんで最後に出てくるのがカレーなのかってのがまったく分からん。おそらく感覚なんだろう。なんと言ってもセクシーカレーですからね。それか髪の長い男のためにさっちゃんがカレーを作っている様子を、ベランダとかから覗いているのだろうか。「ジャガイモ消えたよ さっちゃん」「玉ねぎ泣かないで さっちゃん」あたりが、窓越しに話しかけている感が出ており、あながち間違ってない感もある。

でも、この陰キャのオタクくんの気持ちも本当にわかるんですよね。自分もクラスにいたかわいい清楚系女の子(オタクなので清楚系が好き)に、髪染めて欲しくなかったし、彼氏つくらないで欲しかったもんな。まあ、成長してどうなったのかは知りませんが……。

それにしても、セクシーカレーってマジでなんなんだ。

 

・私は悪くない

……メンヘラ合唱ソングでしょうか。なんかマジで日本全国からメンヘラの女の子集めて合唱コンクール開いて欲しいなって思いました。歌詞の意味について考えようとしましたが、パッと思いつくのが歌詞にもある殺人事件なんだけれど、「この歌意味がわからないでしょ」と言及された以上、多分意味がわからないまま放置する方がいいと思った。立ち入ってはならない、一人の女性の内面ということで、それ以上は触れない。決して考えるのがだるいわけではなく、私は悪くない。

 

以上、現在はアルバムの「洗脳」を聞いているが、時間がないため明日に持ち越す。まだ感想を書いている途中だけれど、イミテーションガールとかきゅるきゅるとか子供じゃないもん17とかが好きです。大森靖子さん、面白い曲を書かれるんですね。この先も聞くのが楽しみです。