新薬史観

地雷カプお断り

視聴映画記録(2020.07/17~07/23)

 

今週たったの2本です。こういう不作の時もある。サンマみたいに。

 

7月21日 映画118「イレイザーヘッド」(2015)

 

端的に言って頭がおかしく、めちゃくちゃ好きな感じだった。

冒頭がまさに世界観に沿った工場という感じで、その後の脈絡のない展開や、異常を通常とする人間の感覚が恐ろしい。が、自分はこういうのが好きなので良かった。似た映画に「裸のランチ」があったが、あれは主人公が幻覚を見ており、異常を自覚できるシーンがところどころに差し込まれる(友人から突っ込まれる、現実と台詞に齟齬がある)のだが、この作品は台詞が非常に少なく、それでいて全員が狂っているのでマジで面白い、突っ込み不在の異世界で、なんだかよくわからない世界に連れて行かれる。

奇形児の赤ちゃんがリアルすぎて、もうあれの正体がまったくわからないところだけが恐ろしかった。

 

7月22日 映画119「ベルリン・天使の詩」(1987)

「電車が止まっているのではなく、駅が止まっている駅」「時が病を癒やすというが、時が病気ならどうするのか」など、言葉をすごく大切にしている映画で、タイトルにもあるように、人間の詩のような言葉を集める天使、という設定が非常によかった。そのうえ、天使は人間によって言葉を覚えるみたいな設定もあり、かなり良い。天使の見る世界がモノクロで、人間の見る世界がフルカラーという理由がいまいち掴めなかったが、それはそれとして非常にいい演出だと思った。ただ、前半(天使から人間になるまで)がやや冗長で、退屈な部分もあった。言葉が詩的な分、それぞれのカットが断続的になってしまうので、ストーリー性がないように感じるからだと思う。それでも、サーカスの下りによって微妙なストーリーがあるのだが、もうちょっとそこに焦点絞って欲しかったな。前半を乗り越えれば後は楽しく見ることができて良かった。

特に最後の、親愛の情を示す手段として目を見る、手を握るを封じ込めておいて、「耳を口に近づける」というのは天使ならではの発想に思え、めちゃくちゃに好きだった。その後の時間が本当に貴重で、めちゃくちゃに演技も言葉も画面も美しくって、マジで最高だった。「寂しさって自分をまるごと感じる事だから」「男と女の驚き、それが僕を人間にした」言葉の響きが本当に好き。男と女であることや、運命の偶然と必然、個々人の重さについてなど、ミラン・クンデラの「存在の耐えられない軽さ」のテーマと(プラハと不倫を除いて)似ているように感じた。終わりに向けての美しさは本当にすごいと思う。脚本を担当しているペーターハントケの文章を活字で読みたくなった。前半は退屈だけど、まあ傑作。

 

以上。実は帰省していて全く映像を見る時間がとれなかった。あと小説も読んだり私用があったりと、割と忙しかった。大変だ。なんとか映画を見なければ。監禁されて映画を100本くらい見ないと出されない部屋に入れられたい。

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