新薬史観

地雷カプお断り

きんいろモザイクの二次創作と小数点の思い出

今日からプリコネのクラバトが始まった。自分が所属しているクランはそれなりに上位なため、1日目から3段階目になる。そこは問題ではなくて、辛いのは3周目に入るまでの待ち時間である。非常に暇でめんどい。この時間が手持ち無沙汰なので、なんとなくブログを更新することにした。

この7年近く、ずっとほのうみのことを考えている自分だが、当然生まれてくる時からほのうみのことを考えていた訳もなく、そのときそのときでドハマりする推しカプが存在する。ただほのうみに関してはその熱が異常で、起床していれば1時間に1回はツイッター支部で「ほのうみ」でサーチを掛ける生活を7年間続けており、これは誇張ではなく事実である。いや、多少誇張はしている。2時間に1回かもしれない。でも数字は大きいほど面白いので、1時間に1回ということにしよう。この一度のサーチに約30秒掛かるとする。そうすると、自分は基本1日に18時間は起きているので、1日のサーチ回数は18回、それにかかる時間は9分である。自分は1日に9分ほのうみサーチをしている。これを7年間続けているわけで、ほのうみサーチには土日祝も盆も正月もなく、むしろ暇な土日祝にこそサーチが活発になるという弊社カレンダーが存在する。まあしかし単純に計算すると、365と7を掛けてやればいいわけで、自分がほのうみにハマってから「ほのうみサーチ」にかけた時間は、約383時間となる。日数にすれば約16日。自分はこの7年間で、「推しカプの名前をサーチする」だけで半月近くもの人生を無駄にしているということになる。二次創作を書くのでも読むのでもなく、サーチだけでこの結果だというのだから、流石に涙が止まらない。非常に辛い思いをしている。サーチでこれなら、実際に執筆した時間はどうとか言うのは一切考えたくない。本当に辛いので。

で、今でこそこんな異常独身男性になっているが、話を最初に戻すと最初からほのうみにハマっていたわけではないので、その前にハマったカプというのも数多くある。ここらへんは自分の渋の過去の小説(と言えるような文章力では全くないが)を漁ればいくらでも出てくるが、渋に挙げているものだと大北やほむまどやアリしのというものが出てくる。アリしのとはきんいろモザイクカップリングであり、何を隠そう自分が渋に初めて投稿した二次創作である。

渋以前では2chキルミーベイベーのやすニャとバイオハザード逆転裁判のクロスオーバーssを投稿してエタるなど、現在渋であらゆるジャンルを股に掛ける比企谷八幡改めHACHIMANも顔を真っ青にするようなゲテモノssを投稿していた自分だが、ちゃんとしたかたちにして投稿したのはきんいろモザイクが初めてだった。で、今回はきんいろモザイクの二次創作での思い出を少しだけ書く。

きんいろモザイクにハマったのはアニメからで、確か自分はそのとき高校生で、受験を控えていた。当時はきんいろモザイクのアニメがあまりに良くて、なけなしのお小遣いで単行本を買って大事にしていた。受験を控えていたが、自分は推しカプについて一度考えると他のことが手に着かなくなる精神疾患を抱えていたので、受験勉強はそっちのけで如何にアリしのが成立するかを考えていた。

当時自分を悩ませていたのは、アリスと忍とカレンの関係をどう処理するかというもので、日中はマジでそればっかり考えていた。きんいろモザイクを知らない人に説明すると、日本人である忍は海外、特に金髪に憧れを持っており、将来の夢は金髪になることみたいな女の子である。幼少期の忍はマジで海外に行きたがり、なんとイギリスにホームステイをすることになる。その受け入れ先の女の子がアリスであり、なんとこの子はこのホームステイで出会った忍のことが忘れられなくなり、忍に会うためだけに日本語を完璧に覚えて日本の高校にやってくるというかなりの百合強者である。一方でもうひとりの百合強者もおり、それがイギリスでアリスと幼なじみをやっていたカレンである。カレンはアリスが大好きでいつも一緒にいたのだが、アリスは忍と会って以来日本語勉強ウーマンになり日本に行ってしまったので、自分も日本についていくというかなりの行動力を発揮する。しかし、ここからがややこしいのだが、カレンはどうも忍を気に入ってしまい、割とアリスよりも忍の方が好きなんじゃね感を出してきたりするのである。ちなみに肝心の忍は金髪にしか興味がないので、金髪であるアリスとカレンを平等に好んでいるという、割とドロドロしている関係が、コミカルにかわいく描かれている。

で、自分はその関係性に完全に心をやられてしまい、もうずっと三人のことを考えていた。本当に飯を食う間も惜しんで考えていたのだが、ふとあるとき渋で二次創作を漁ろうと思い立つ。自分はどちらかと言えば文字が好きなので小説検索をした。

すると驚くことに、きんいろモザイクの「アリしの」小説の検索結果がゼロなのだ(それ以外で一件のみ存在)。こんなことあるかと思いしばらく放心していたが、オタクはやはりオタクなので、「なければ自分が書けばええんや」と思い、「俺がしのアリの二次創作第一人者だ!」と叫びながら投稿をした。これがその画像で、「きんいろモザイク」の古い順検索で2と3と4番目にあるのが拙作である。

折角なので久しぶりに開こうかと思ったが、あまりにひどすぎてキャプションの一字も読めなかった。今は割とマジでゲロを吐きそうになっている。クラバトの画面を更新したが、まだ亀で止まっていて3段階目に入らないので仕方なくもう少し続ける。

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この頃は、ちょうど自分の文才の無さを小細工でごまかそうとしていた記憶があり、それができる自分は天才なのだと信じていた節があった。その証拠に、どれも自信に満ちている(ような気がする)。何しろ自分以外に誰も居ないのだから、当然自分が王様という訳だ。キモいね~。

で、実際に質がひどかったので全く評価されなかった訳だが、しかしある日、ひとりのオタクから渋のアカウントにDMが来た。文面を曝すかたちになるが、もう7年前なので時効だろう。多分。

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渋で投稿してから、初めてのDMである。すごくびっくりしたのを今でも覚えている。仮にこの送り主をK君とする。きんモザ、金髪のKである。

K君からのメッセージは、二次創作を始めたばかりの自分に非常に大きな影響を与えた。というのも、いいね(確か当時は10点方式だった)やブクマでの簡単な評価ではなく、魂の籠もった「文章で評価される」というのは、もうめちゃくちゃに嬉しいわけで、それだけで自分はやはり天才だと確信するようになる。そのうえ、K君は「ねぎしそのおかげでSSを書くようになった」とまで言っているわけで、自作が他人の人生に影響を与えたという揺るがしがたい事実に心は震えるわけです。高校生ですよ。何の取り柄もない高校生に、こんな文章が届いたと想像してください。22/7じゃないけれど、「あなたはアイドルに選ばれました」という手紙並に嬉しいわけです。「え、俺!?」みたいな。もうこの場に居場所が出来てしまう。完全に二次創作の虜になってしまう。

で、この後も、K君とのやりとりは続けられた。K君はすごい下手に出てきたけれど、互いに何度かやりとりをして、Twitterを交換するにまで至った。それで、どちらも受験生であることが発覚した。同じ歳だった。

で、月日は流れる。

時間とは儚いもので、お互いきんモザの会話をしなくなり、自分はまどマギにハマったのでまどマギを書くようになった。K君はそれ以降だんまりで、どうやら受験勉強に専念しているようだった。俺も勉強しなければ……と思いながらも二次創作の手は緩まず、受験生とは思えない速度で二次創作を生み出していった。多分戦犯はまどマギ劇場版のラストシーンで、ほむらの感情に発狂した自分は、毎晩ニコニコ動画Kalafinaの「君の銀の庭」を聞いて涙を流し、ぼくの考えた最強のまどほむ3万字小説を書いて眠りについた。これがかなりウケて100ブクマを達成した。これに関しては文章はクソだがアイデアは非常に良く、悪魔になったほむらはまどかの力を有している時点で一体化される条件を満たし、ともにまどかと概念になることができるというもので、「円環の理」の円(えん)を焔(ほむら・えん)でもじった「焔環の理」(えんかん・ほむらとまどか)という最強ワードを生み出した点で、公式から声が掛かるんじゃないかと真剣に考えていたのだが、声が掛からず7年経った。まだ続編は公開されていないので、もしかしたらまだ日程調整をしているのかもしれない。

冗談はさておき、そんなこんなで受験が終わった。

結果として自分は第一志望の大学に当然のように落ち、後期の滑り止めの大学に受験をしにいくことになった。その頃には既にほのうみにハマっており、後期受験の移動時間には、1時間に1回ほのうみサーチをしていた。地獄の始まりである。

だが、本当の地獄はまだ先にあった。

結局後期で受かった大学に進学した自分は、ある日、半年近く浮上していなかったK君のツイッターが更新されていることを見つける。

完全に存在を忘れていた。しかし、K君は数少ない自分の二次創作友達の一人だった。

どんな内容のツイートなんだろう、というか、受験はどうだったんだ?

恐る恐るツイートを見る。

K君は、小数点ギリギリで東大に不合格だった。

えっ、東大!?という驚きは当然あったが、それよりも大きいのは不合格の三文字だった。K君は第一志望に落ちたのだ。結局東大は諦めて、滑り止めの私立に行くという旨のツイートが続けられていた。

何かメッセージを送ろうとした。久しぶり、自分も第一志望は不合格だったよ、とかなんとか。しかし、指は動かなかった。

頭のなかにあったのは、二次創作の四文字である。

K君は、自分の影響をうけて二次創作を始めた。きんいろモザイクのしのアリ小説だった。数千字近くあるそれらの作品を書くまで、どれだけの時間が掛かっただろう。自分は書く側の人間であるため、それがどれだけの重労働か知っている。

その時間があれば、東大への小数点は繰り上がっていたのかも知れない。本当に、合格まで0.1点という点差だった。それなら合格させてやれよというような点差で、けれどもK君は不合格なのだった。

K君のツイートには、きんモザもしのアリもねぎしそも、いずれの四文字も含まれていなかった。ただ、言外に自分の、二次創作のせいだと責められているような気がして、辛かった。

辛くて、K君の小数点を自分のことのように悲しんで、その日は布団でよく眠って、翌日にはほのうみ小説を書いていた。

今、K君は何をしているのだろうか。

合格発表をしてから、K君のツイッターも、ピクシブのアカウントも、ずっと更新されなくなってしまった。

順調に大学を卒業していれば、もう社会人になっているはずだ。

一流商社で働いていたり、町工場で汗を拭っていたりするのだろうか。

 

自分は相変わらず、懲りずにほのうみ小説を書き続けている。