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器械「スクール・アーキテクト」「アキタランド・ゴシック」感想

これまたすごい漫画だった。

「スクール・アーキテクト」の魅力は、なんと言ってもその漫画の構成だろう。

1巻と2巻で、少しばかり舞台は変わる(続編といえば続編だが、主要人物は大きく変わる)ものの、前半にキャラ紹介を兼ねた群像劇を展開した後で、その後、ようやく本編「スクール・アーキテクト」が始まるという構成になっているのだ。これがなかなかに魅力的で、本編に入る時は映像的で、割と大きな感動がある。

その後は「少し不思議」という意のSF要素が加わり、かなり毛色が変わる。「俺が今まで見ていたものは日常系ではないのか!?」というショックからうまく本編に移ることができれば、この漫画の題「スクール・アーキテクト」の意を知る最後に、めちゃくちゃでかい感動を得ることができる。悪いオタクなので、他の作品に例えたくて仕方が無いのだが、この一連の流れはまどマギのようだなと思った。あそこまで深刻なものではないように見えて、あれほどの感情を以て行われるラストの展開は、「うわぁ」と声が出る。軽くネタバレすると、強烈な姉妹百合である。1巻は読後感もとても良い。

ただ、2巻はその点、ややインパクトに欠ける印象があった。蛇足ではないのだが、う~ん、という感じ。1巻ラストのその後(あるいはその前)が描かれるという点では良くて、自分の中では「ダークナイトライジング」のような立ち位置になった。

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出版時期を前後することになるが、自分がその後読んだのが「アキタランド・ゴシック」で、こちらの方は作者のデビュー作なのだが、非常に洗練された独自の世界が構築されており、めちゃくちゃに良かった。傑作だと思う。

どうやら作者は秋田出身で、タイトル通り秋田(アキタランド?)を舞台にした、アキタという角の生えた少女が主人公の物語。本当にアキタ尽くしだが、ストーリーの展開に飽きることは一切無い。こちらは道満晴明の漫画作品と似ているところがあって、アキタランド特有の小物をさらりと出して、その背後にあるめちゃくちゃ巨大な世界を演出するという離れ業を成し遂げている。キャラクターも非常にかわいく、特にアサヒのアキタへの感情の強さはなかなかのもので、百合のオタクもニコニコで読むことができる。2巻で終わったのがもったいなく、まだまだこれからもずっと読んでいたいような作品だった。それもみんな、作者によって綿密に練られた世界設定のおかげだと思う。

ラストの締め方も、かなり良かった。

傑作をありがとうございました。

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