新薬史観

地雷カプお断り

ぼくの考える最強のスクスタ2nd season(二次創作)

※この記事は、スクスタ22章のネタバレを含んでいます。まだプレイしていない方は閲覧をお控えください。

 

 

さて、これから長々と前置きがあるが、そういうの要らないという人は、下記目次から「【本題】ぼくの考える最強のプロット」にまで飛んで欲しい。

ちなみにこの記事はめちゃくちゃ長く(およそ2万字)、筆が乗って思わず20章から27章までガッツリ書いてしまったので、時間のあるときに読むのをオススメします。

 

はじめに

22章を読んだ。スクスタ2nd seasonについての怒りが収まらない。

そういえば20章のお気持ち表明を書いた時も、こんな気分だったような気がする。あの時は、自分の怒りを冷静に整理することが一番の目的だったが、それはそれとして、共感してくれた人が運営に問い合わせ、数の力で脚本を撤回させることができればという夢物語を信じていたところはある。実に青いが、それくらい問題がある脚本だと思っていたので。

にしても、20章が発表されてから数か月たった2020年末現在で、結局運営から何もアクションは起きなかったし、設定も何一つ変わらなかった。監視委員会という謎の組織は未だに健在だし、愛さんの動きや同好会の言動も不可解である。

当然のことながら、オタクのいち意見なんてクレームと同じ扱いであり、多分何も検討されていないのだろう。それはそれで、デカいコンテンツを動かしている企業として当然だよなと思う。偉い作家先生からのご指摘なら有り難いが、よくわからんオタクからの意見を真に受けてシナリオを修正していたら、予算や納期がいくらあっても足りない。

で、向こうに改善の意思が見られないのに、22章でも相変わらずシナリオを批判するだけの記事はあまりに生産性がないと考えた。

形式がどうあれ、「お気持ち表明」が、個人の不快感や憤りを増幅させるだけで、特に何も起こらないというのは、20章の感想記事を書いて学んだことだ。

そのうえ、「自分はシナリオを読んだことがないけれど、これで何が問題点なのかよく分かった」「この人の言うとおりだ!」「自分の解釈よりこの人の方が丁寧だ!」という手の人間が増えてしまうと(実際に20章のお気持ち表明の記事に対する引用RTやRT先で、そのような人間がめちゃくちゃ居た)、二次情報で勝手に納得してしまう人間や、自分の解釈を他人に委ねる人が増えてしまい大変に良くない。

記事はそもそも生産性を求めるものではないとは思うのだが、このように拡散されることで何らかの作用をもたらしてしまうことを考えると、やはりもう少し記事の持つ力を考えた方がいい気がする(あくまで、念のためにという保険の意味合いが強い。常に自分の力を確信しているわけではない)。特に自分が好きなコンテンツに対しては、もっと慎重になるべきだと思う。

というわけで、今更ながら、他人の不快感を煽るだけの記事を書くより、自分がもっと納得して楽しんで書けるものを記事にしようと思った。

いや、そもそも記事にするなという話であるが、自分は何かを言わずにはいられない性格で、「沈黙が金、雄弁は銀」とはよく言ったものだが、自分は迷わず銀メダルを狙いに行く側の人間である。

じゃあどのようなかたちで雄弁になるかという話だが、その解として自分は「二次創作」を選んだ。二次創作は楽しいので。

これならば、いくら拡散されようがすべて自分の問題になる。この記事にスクスタは一切関係ないし、いちオタクが壁に向かって「俺の方が面白い脚本が書ける!」とイキっているだけの記事である。仮に正の方向にバズっても(「もうこっちが公式でいいよ」等)話題になるのは自分の技量(と比較される公式の脚本の荒さ。あくまで副次的なものだと思いたい)だし、負の方向にバズっても(「キモオタがくっさいことやってるwww」「下手くそうんこ」「お前もキャラ崩壊させてるじゃん」等)話題になるのは自分の未熟な精神と技量である。

そうなるはずである。多分。

それでは早速、「ぼくの考える最強のスクスタ2nd season(二次創作)」を書いていこうと思う。なお、原作であるスクスタとはかなり設定が違うことになるが、それぞれについて自分なりの考えや理由を記しさえすれば、自己解釈による改変は許されるものとする。そうでもしないとまともな話が書けない。少なくとも自分には。

 

設定改変箇所について

保留

・侑の海外留学

 音楽科に所属したことはないが、金が無限にありそうなニジガクでやっていてもおかしくはない。正当性がある。

・同好会から部への移籍というイベントそのもの

 キャラの行動が真に納得できるものなら認められて然るべき。正当性がある。

 

改変

・監視委員会

 明らかに「理事長の娘」としての権限を越えている。また外部からの指導が入ってもおかしくない行為のために撤回。この委員会の設置目的は、強制的な部への加入を推進させるもの。同じ機能を果たすものとして、個人の抱える問題を解決させる「甘い言葉」を用意すれば良い。だが、他人に対する観察眼のないランジュには不可能。そこで栞子の観察眼が活きてくる。ここの繋がりを通して、ランジュと栞子の絆を描ければ良い。

・果林、愛の部への加入時期

 あなたが留学から帰ってきて、いきなり部に加入しているというインパクトは強いが、これまで同じ同好会としてやってきた(と感じている)プレイヤーに対する説明責任が果たせていない。よって、海外留学からあなたが帰ってきた時点では、愛と果林は部に移籍していないものとする。

・栞子の部への加入時期

 愛と果林とは違い、栞子はこの話の根幹を担う人間であり、部への移籍の理由を、後で開示するのに足るだけの物語を持っている。よって、栞子に関しては、加入した理由を後に持ってくる。

【210111追記】

・ランジュの性格

 めちゃ大事なこの部分を書くのを忘れていた。

 公式のランジュは、明らかに人によっては拒絶されるアプローチしかできなくて、仰る通り頭を使って行動することは出来ないと考えている。だけど、「そもそも(プロを代表する)ランジュがこの性格である必要性はあるのか?」「この2nd seasonで、プレイヤーに問いかけたいことは何か?(プロの設備が使えるのに、同好会に拘る意味とは?)」というのを考えると、「頭を使わずに、他者に不器用で強引なアプローチをしてしまう」という点は、個人的には不必要だと考え、キャラ改変に至った。
 もちろん、この不器用さが公式のランジュの「らしさ」を生み出しているのは、言うまでもないが、その「らしさ」がプレイヤーを少しでも不快にさせ、多くの人にランジュを嫌いだと思わせることになるのであれば、もっと別の「らしさ」を追求することができるはずだと考えた。それが僕の場合は、「賢さとカリスマ性」だった。

 なので、自分の書くランジュは原作とはかけ離れている。違和感を覚えるだろうが、そこは目を瞑って欲しい。無理なら無理で大丈夫です。

 

同好会から部に移籍する理由について

ここがキャラクターの物語が生まれる一番の箇所なので、できる限り詰める。また、運営の意向(なのか?)も汲み、愛と果林、しずくが移籍するという状況自体を改変はしない。

 

栞子:ランジュと遊んだ日々がすごく楽しかったという描写を入れる。カリスマ性のあるランジュと、弁が立つ栞子はいつも一緒にいたという過去。そして、二人の共通の憧れが、栞子の姉の薫子だった。ある日、自分に何も言わずに消えたランジュに栞子は怒りを持っていたが、子供の頃の全能感や郷愁により、再びランジュと手を組みたいと思わせることができれば良い。ただし、ランジュは栞子のことを装置くらいにしか思っていない、という描写を入れることができれば尚良い(栞子が戻ってくる理由や、プレイヤーからの同情を誘うことができるため)。

 

以下、栞子の観察眼によってランジュに提案される移籍案。

歩夢:自分ひとりで考えるよりも、プロのコーチが最初から教えてくれることで、「あなた」から認めてもらえるようなスクールアイドルにいち早くなることが出来る(歩夢の理想像に到達する速さについての問題提起。あなたの持ち味の「一歩一歩」は、いつになれば理想像に辿りつけるのか、という揺さぶり)

愛:ランジュの孤立に一番に手を差し伸べるべき存在。監視委員会という足かせがなければ、愛の行動に疑問はない。部から勧誘しなくても、同好会から嫌われ、孤立するランジュを見れば、愛から自発的に動くはず。

璃奈:自分の表情を動かすためのトレーニングをしてあげる。本当の笑顔をファンに見せたい、愛さんのダジャレで笑いたいという考えから入部を希望。

せつ菜:スクールアイドルが「大好き」という原点に触れる。ランジュもスクールアイドルが大好きであり、圧倒的クオリティで海外にまでスクールアイドルのブームを巻き起こそうとしている、まるでアニメみたいな野望を持っていることを示せば、オタクのせつ菜は乗る。

果林:こちらに関しても、監視委員会さえなければ部に行って技術の向上を狙うことはおかしくない。本編通り。

かすみ:かすみのことを「かわいい」と言ってくれる人を増やしてあげると説明。ミアテイラーという作曲家をつけることで、話題性を獲得し、世界中にかすみがかわいいということを知らしめる準備があると説明。

エマ:部の平和、みんなでなかよくを一番願う人間であるからこそ、全員が部に移れば来るだろうという判断。

彼方:部に来れば、特待生の基準をスクールアイドルに置くことができると説明(スポーツ推薦のような意)。勉強は変わらず頑張る必要があるが、以前よりグッとハードルを下げてやることで、彼方の負担を軽減させることができる。彼方が自由に使える時間が増えることを示せば、乗らない手はない。

しずく:かすみに対しての対抗心。これはスクスタ本編通りで良いのだが、自分の場合、尺の関係上この物語を入れるとやや難しいことになる。よって断腸の思いで省く。しずくには、曲の解釈についてプロと話し合える機会を設ける。これは演劇での表現力にも繋がるはずだと提案。

 

同好会から部への加入時期について

以上を纏め、話の盛り上がりも考慮すると、部への加入時期は以下のようになる。

①栞子(ランジュからの甘い言葉)

あなたが帰国(ここから20章が始まる)

②愛(自発)

ランジュと栞子、同好会のみんなの仲を取り持てるように、気軽に部に入部。

③果林(自発)

自分の未熟な技術に反省。ダンスなら誰にも負けないという気持ちを折られる。

④彼方・璃奈(栞子による提案)

他のみんなについても声はかかっている。

⑤しずく(自発)

環境の良さに移籍を決意。

 

なおこれ以上移籍すると、同好会存続のための最低ラインの5人を切ることになる。

が、そこで移籍するかどうかで揺れているのが、同好会存続の中心人物のせつ菜とかすみ、という構図を作れば、さらに両者に緊張感が生まれる。

なおかつ、この均衡が崩れそうな時に、一気に核心に迫るのが良い。実際にやるかどうかはともかくとして。

 

2nd seasonのテーマについて

自分が考えているものに、

「プロとして活躍できる最高の環境で自分を磨くことが出来るのに、弱小の同好会が存在する意義があるのか」

「人の感情がわからない、付き合い方がわからないランジュが、どのようにして本当の友達を得ることになるのか(栞子の概念を人間関係に流用)」

の2つがあると考えている。当然、それに沿った物語であるべき。

 

と、ここまで前提を共有した上で、いよいよ本筋のプロット作成に入る。

なお、1st seasonの栞子関連の話が9~17章までの計9章あったことから、こちらもそれに近しい8章で構成するものとする(9章はしんどい。8章にするのがやっとだった)

 

【本題】ぼくの考える最強のプロット

20章 あなたが帰国。栞子が部に加入。ランジュ登場。

①同好会の練習から家に帰った栞子が、親からランジュが帰ってきたという話を聞く。強く動揺し、物思いに耽る栞子。「あのランジュが……」

②あなたが帰国。ひとりで圧倒的なパフォーマンスをするランジュに観客が取られている。同好会のライブはやや人が減っている。(そこまで危機的な状況ではない)「そんなことより栞子ちゃんは?」

③栞子の方から同好会に来て事情を話す。「ランジュとは幼なじみで」くらいに留めている栞子。同好会にいたままじゃダメなのかという質問には答えられない。

④栞子はさておき同好会でライブ。以前より観客が減っている。向こうは向こうだが、どうしても納得がいかないような面々。同じ学園の生徒なのに、ふたつのグループでファンを奪い合うようなやり方は良くないという声が同好会から上がる。みんなでランジュに話を聞きに行こうとするが、栞子が止める。「あなただけの方が良い」(スクールアイドルではないあなたにランジュは興味がないため、勧誘されないと判断)

⑤あなただけが部に話に行く。ランジュは「スクールアイドルを世界に広めたい」と言う。そのためにはトキメキの卵の同好会のメンバーが必要だと言う。「栞子から話は聞いているけれど、同好会はあなたが足を引っ張っているのでは?」ランジュに怒る栞子。

⑥あなたは同好会に帰り、自分の役割について考える。部屋で歩夢と通話か会話。あなたは同好会に必要なのだと説得。

⑦栞子から同好会のみんなに、昨日の件について話される。「ランジュがひどいことを言いました。部長さんへのフォローをお願いします」等。あなたへのフォローをする同好会だが、それがかえってランジュへの対抗心を強めることになる。「部長にひどいことを言うなんて!」

⑧ランジュのライブに、どんどん人が集まっていく。栞子はバックダンサーとして収まっている。「どうして何も言わないんだろう?」と疑問に思う同好会の面々、さらにランジュへの不信感が高まる。

⑨栞子をちゃんとセンターに立たせるべきだとランジュに物言いに行こうとする同好会だが、それを栞子が止める。「私はこれでいいので……みなさんは同好会として頑張ってくれませんか。ランジュも悪い人ではないので……いまの関係が、両者にとって一番良い状態なんだと思います」

⑩栞子の言葉に牙を納める同好会。しかし栞子のことが気になる。そこで愛が「ランジュは悪い子じゃないのかもしれない。まず愛さんが友達になってくるよ」と決意。

 

21章 愛と果林が部に加入。ミア登場。

①愛が同好会に加入したことで、初めて部が用意している環境のすごさが明らかになる。(部に加入しなければ、部の施設を利用できないという条件)感動する愛。

②愛の言葉を聞き、部についてかなり気になる同好会の面々。特に果林は興味を引かれるようで、プロのコーチなどに興味を示す。かすみあたりが反抗し、「私たちは私たちで頑張ろう」と言うが、愛に誘われて、一度は部の施設を体験させてもらえることに。

③1日だけ体験入部会

④同好会に戻ってきた愛を含む全員。同好会としての練習をするが、つねに部の設備が頭にちらつく。まったく練習に身が入らないメンバーの姿を見て、あなたが一度話し会おうと言う。

⑤同好会としてやるか、部に加入するかの話。みんな言い合うものの、結論を出せずにいると、今からランジュがライブをするという話を聞く。

⑥ランジュのライブを見る面々。最初見た時よりさらに良くなっているランジュのパフォーマンス・新曲を見て、面食らう同好会のみんな。特に愛と果林。愛は他の人のライブで、μ'sやAqoursなどのすごいパフォーマンスを何度も見てきたが、「特定の個人誰かに負ける」ということを意識したことがなかった。愛「誰かに負けるって、すごい悔しいことなんだね」ランジュがその相手。果林も自分の出す魅力の更に上にランジュがいることを自覚。

⑦一夜経つ。大きな挫折を味わった果林は、同好会に移籍することを決意。愛は、部に移籍し、スクールアイドルとして実力を高めたい気持ちと、同好会でこれまで通りに頑張る気持ちに決着がつかない。悩む愛に、果林「私は同好会のみんなが大好きだけれど、だからと言って、このまま同好会に居続けてスクールアイドルとしてランジュに負けたくない。負ける理由を『同好会にいたから』にしたくない。私は三年生だし、限りある時間のなかで、いま自分が出来る最高の努力をして、最高のパフォーマンスでランジュとぶつかりたい」

果林の言葉に、負けず嫌いの愛も部に移籍することを決意。二人を責めることができない同好会。

⑧果林と愛が部に入部しにくる。悲しそうな顔をする栞子。笑顔のランジュ。果林と愛は正式に部員として認められ、ようやくミアが登場。ランジュの新曲を手がけた張本人。果林と愛を通じて、ミアの存在を聞かされたあなたは、留学先でも話題になっていたミアが部にいることに愕然とし、改めて部との環境の差に絶望する。

⑨空気が悪くなってしまった同好会を見て、落ち込む栞子。愛と果林の入部を自分のせいだと思い、同好会のみんなに謝ろうとして、ランジュに止められる。ランジュ「あなたが謝る必要なんてないわ。みんなランジュを求めて部に来ているのだから」「昔のことを思い出すわね。私の魅力と、栞子の観察力と口の巧さ、薫子の行動力があれば、なんだってできた。今はここに薫子はいないけれど、あなたが薫子の分まで頑張ればいいのよ」「姉を、薫子を越えたいと思わないの?」「私たちなら、世界中のみんなを驚かせることができる。スクールアイドルのすごさを、世界中に知らしめるのよ」

⑩ランジュの言葉を咀嚼する栞子、「この虹ヶ咲を拠点にして、プロレベルのスクールアイドルを何人も作り上げるの。ここから世界を変えるのよ。でもあの子たちは今の環境では輝けない。私のライブで部に呼び寄せてあげようと思ったのに、それでもこの数週間はダメだった。あの子たちには私のすごさがわからない。だからこれは栞子の仕事よ。あなたが大好きなあの子たちがもっと成長できるために、世界で活躍できるように、言葉であの子たちを部に来るように説得しなさい」あくまでランジュに悪意はないことを確認し、それが同好会の個人のためになることを考え、同好会のみんなを部に勧誘する決意をする栞子。

 

22章 彼方と璃奈、しずくが部に加入

①現存する同好会とμ's、Aqoursで通話。ミアの作曲とランジュのライブ映像について、如何にすごいかの意見交換を行う。たった一人で、μ'sやAqoursに負けないくらいの世界観を作り出す「本物のアイドル」の姿に、言葉を失いながらも、穂乃果や千歌は「それでも、何かが足りない気がする」と言葉を濁す。(この世界にA-RISEとSaint Snowがいるのかはわからないが、もしいれば彼女たちのステージとは全く違う何か、という匂わせをしてもいい)

②あなたや他のメンバーも穂乃果や千歌に詳細を聞き出そうとするが、結局言語化できない。話の途中で、栞子が入ってきて通話が終了。同好会のみんなに「部に入れば望めること」をプリントアウトしたものを渡す。

③上記「同好会から部に移籍する理由について」を参照。まずかすみ・しずくについてそれぞれ期待されることを話す。かすみのファンクラブの人数が伸び悩んでいることを受け、部のサポートで全世界に発信することを提案。しずくには、曲の解釈についてプロと話し合える機会を設ける。これは演劇での表現力にも繋がるはずだと提案。

④璃奈には、うまく笑えるように、表情をつくる練習を重点的に行えるように取り計らうことを約束。彼方にはスクールアイドルとしての特待生への変更を示唆。授業料免除の条件の緩和により、家での自由な時間が大幅にとれると説明。

⑤せつ菜については、ランジュの野望(世界にスクールアイドルへの大好きを広めること)を明らかにする。デカい野望と「スクールアイドルの大好き」にオタク心がくすぐられるせつ菜。エマには、こちらから何かを提供するというより、部として最高の環境を整えることで、みんなが仲良く練習できる環境を用意すると話す。

⑥最後の歩夢については、かなり言葉を濁す栞子(実際に言いたくない)だが、栞子「私は、今のままの歩夢さんで居て欲しいと思っている。でも、今までのように一歩一歩ゆっくり歩み続けて、理想のスクールアイドルに到達できるのか」という話になる。スクールアイドルには限りがあるからこそ、その時間を意識しないといけない。栞子「部に入って、プロからの指導をうけることで、花が咲く時期を早めることができるかもしれない」ショックを受ける歩夢に、あなたは「歩夢は今のままで十分いいと思っている。人には人の速度がある」と反論する。栞子は最初からこう反応されることが分かっていて、すぐに謝るが、歩夢はその通りだと言う。何も言えないあなた。

⑦日を改めて、部に行った二人、栞子を呼んで同好会みんなで話し合うことに。愛と果林は部のレベルが高いことを説明。栞子が講師陣や設備について説明、また、同好会としての下限人数である「5人」についても言及。残っているかすみやエマも、侑にしか作れない曲や、同好会にしかない繋がりがあるはずだと説明。平行線を辿る議論だが、あなたは「決めるのはみんなだ」と言う。

⑧あなた「今はみんなで悩むべき時なんだと思う」「留学して分かった。環境を変えて初めて分かることはあるし、変えずにコツコツと頑張るからこそ見えるものもあると思う」「どっちを選んだら正解なんてスクールアイドルにはなくて、でもこうして悩み続けることでしか、きっと答えは得られないんだ」「どっちを選んでもみんな、誰も責めないし、笑わない。自分が信じた道を進んで欲しい」(裏切り者、という言葉を使わない)

⑨璃奈と彼方がゆっくりと手を挙げ、移籍を決意。かすみが声を上げようとするが、あなたが止める。残ったのは「歩夢、しずく、かすみ、せつ菜、エマ、あなた」の6人。歩夢はあなたの言葉を信じて、かすみとせつ菜、エマは半ば意地で同好会を成立させるために残ることを決意。しずくについては、曇った顔を見てかすみ自身がしずくに部に行くように促す。「しず子の成長にとって、いい環境っていうのはかすみんにも分かる。そんな顔してるならさっさと行ってくれた方がマシ」トゲのある言葉だが、しずくは周りの人の笑顔とかすみの意図を理解し、自分も部に移籍することを決意。あなた「みんなが何処で頑張っていても、ここで過ごした時間は変わらないからね」

⑩一気に三人が部に加入して喜ぶランジュ。「やっぱり栞子に任せて正解だったわ。残りのみんなもよろしく」栞子「私が出来ることは全てやりました、これで部に来なかったみなさんは、きっとテコでも動かないと思います」ランジュ「それを動かすのが栞子の役目でしょ。ここはみんなが自分の仕事を完璧にする場所なの。ミアは私のために完璧な曲を作ってくれるし、コーチも私のために完璧な仕事をしてくれる。栞子、あなたも私のために完璧な仕事をしなさい。仕事ができない人はいらないから」

栞子は小さい頃から何も変わらないランジュにため息をつくが、すぐにこっそりと笑顔になる。それは同好会が無くならないことに対してだった。自分がした罪深さを理解しつつも、歩夢やあなたの決意に満ちた顔を思い出して、二人には勝てないことを悟る。

栞子「ランジュも知ることになるでしょう。本気になったあの人たちは、あなたなんかよりもずっと強いということを」  

 

23章 同好会の反撃、ミアの話

①部での厳しい練習風景から物語を始める。みんなが移籍してから数週間が経過。充実した練習ができることに満足しつつも、ライブは常にランジュの独壇場で、まともに元同好会メンバーの見せ場がない。たまにソロで歌うこともあるが、いつものような盛り上がりがない。元同好会時代のファンの顔が見えるが、どれも残念そうで申し訳なくなるメンバーたち。ネット上でもそのような意見が散見される。

②愛と果林が練習に励んでいるのはともかくとして、しずくは高いレベルの指導に満足しているようだが、彼方はゆっくりしたいのに、練習メニューがそれを許してくれなかったり、璃奈の表情がうまく作れないことに、コーチがそこまで理解を示さない等、メンバーによって部の方針に合う合わないが浮き彫りになる。

③あなたはμ'sやAqoursに現状を報告しながら、今残っている同好会メンバーだけで出来ることをやろうと決意。メンバーの半分が移籍したことをファンに丁寧に説明したことで、ファンに不満はないようだったが、ライブに来るファンは半減し、ネット上でも惜しむ声が多い。

④あなたは部のライブやネットの書き込み、いろんな人の意見を聞くことで、各個人の成長を応援する声や、事実成長したことを喜ぶ声もあるものの、ファンの多くは「部に行った推しが遠くなったように感じる」と言う。同好会のライブは、ファンとの距離の近さが売りだと気付いたものの、個人の成長を肯定した手前、スクールアイドルがファンと自分の成長、どちらを優先すべきかがあなたには分からない。

⑤璃奈と彼方が辛そうにしていることに栞子が気付き、あなたに相談する。あなたの声かけによって、息抜きとして璃奈と彼方は同好会でライブをしてみることに。自分が部で要求されたレベルの「完璧」に至らないライブをしたことに落ち込む二人だったが、それにも関わらず、ファンのみんなは喜んで拍手をしてくれている。その優しさに緊張の糸が緩み、思わず涙が溢れてしまう彼方と璃奈。璃奈「いつのまにか、ファンのみんなに完璧な姿を見せないといけないって、ファンの人からの視線が怖くなってた」彼方「でもそれは違っていて、ファンのみんなはありのままの私たちを肯定してくれているんだね。それがどれだけ有り難いかって、ようやく分かった気がする」

⑥彼方と璃奈が同好会に戻ることを決意し、ランジュが怒る。完璧な曲を用意できなかったミアや引き留めなかった栞子のせいだと言うが、ミアが反論し対立。間に挟まる栞子。一方で、同好会のライブがすごく盛り上がっていると報告を受ける。

⑦同好会のライブを見る部のみんな。ミアは聞く気がなかったが、栞子に連れられて盛り上がるファンの姿を見る。その笑顔や生の歓声と曲が一体化した空間が、ミアの心を打つ。自然とリズムを取っている自分に怒るミア。

⑧ミアは自分の曲が作れなくなる。自分の存在意義を見失い、理由を探ろうとするミア。ランジュ以外のみんなが心配するが、ミアは自分の殻に閉じこもり、そのうち失踪してしまう。

⑨同好会にその話が行く。ミアを探すみんな。曲を作れないことに対して、侑が理解を示す。侑「思い通りの曲が作れない時の辛さは私にもわかるよ。ミアちゃんとはレベルが違うかもしれないけれど……私はみんなが側に居てくれたけど、ミアちゃんには誰がいるんだろう」

※ここで自分の存在価値について悩んだことがある(のは、ランジュによってボコボコにされた果林・愛、ミアによってボコボコにされたあなたの3人であり)あなたがミアの話を聞くのが良さそうな気がする(が、原作通り璃奈がミアの話を聞くのも捨てがたい。必然性はないが、共通点を増やすという話の運びは好きなので)。

⑩ひとりで思い悩むミアに、誰かの「見つけたよ」という声が響く。

 

 

24章 スクールアイドルとしてのミアの誕生

①声を掛けたのは(難しいところだが、ここではあなたとする)あなたであり、ミアの心を揺さぶった張本人だった。ミアは認めたくはないが、お前のせいで曲が書けなくなったと文句を言うが、ミアの曲を聴いてショックを受けたのはあなたも同じであり、その共通点が双方の緊張を解くキッカケとなる。

②ミアの過去回想が始まる。ミアの家族が一流であり、自分もそれと同じものを要求されたということ等(ここは原作と同じ)。自分は作曲しかないのに、それを失いたくはないと俯く。

③ミア「お前は何を考えて曲を作っているんだ」との言葉に、あなたは「どうすればみんなの魅力を引き出せるか」と返す。

ミア「変な奴だな。普通は自分が一番に評価されたいと思うものだろ」

あなた「もちろんその気持ちもないわけじゃないし、評価されると嬉しい。でも、私が一番好きなのは、自分の夢に向かって頑張るスクールアイドルだから。その手助けができるだけで、私はうれしい」

ミアは言葉に詰まる。売れるものこそが全てで、それが評価されてきた世界で生きてきたために、新たな価値観に戸惑う。だが、(ミアは子供だがかなり賢い子だと思うので)それが自分に足りなかった視点かもしれないと理解する。

④「私にも、お前のような奴が側にいれば歌えたのかもな」と語るミアだが、あなたは「もうすでにミアちゃんには仲間がいると思う」と語る。それと同時に、ミアを探していたみんなが流れ込み、安堵の息を漏らす。たいしたつながりもないのに、皆が自分を探してくれていた事実に戸惑うが、「これから仲良くなればいいんじゃないかな」と話すあなた。愛「たとえ曲がつくれなくても、ミアちゃんのことを全然知らなくても、ミアちゃんのことを助けてあげたいと思うのは変じゃないと思うな」璃奈「頑張るのは大事だけれど、頑張り続けることが大変だってことは、私も彼方さんもすごくわかるから。自分だけで抱え込まずに、みんなのことを頼って欲しい」と話す。思わず涙を流すミア。

⑤ミアを囲むみんな。ミアの曲作りは、いつも誰に歌って欲しいと考えているのかと問い直すみんなに、「バズることしか考えていない」と正直に話す。そこで、誰かのために曲を作ってみるのはどうかとあなたが提案。「誰のために曲を書けばいいのかわからない」と零すミアに、「まずは自分のために曲を書いてみたらどうですか」と語る栞子(栞子は、昔ミアが楽しそうに歌っていたことを知っていた)。歌うことに抵抗を感じながらも、自分のいまの気持ちを曲にしてみようと考えるミア。

⑥ミアが曲を制作する。ランジュはようやくミアが曲を作り始めたと安心するが、実際にできた曲が「私が歌うための合格点に達していない」と判断し、ミアに怒る。ミアが「当たり前だよ。ぼくのための曲なんだから」と言い放ち、同好会の用意したステージに立つ。

 

ミアMV

 

⑦「もうランジュのために曲を作らない。しばらく自分と向き合いたい」と話すミアに怒るランジュ。ランジュは急いでいろんな作曲家とコンタクトを取ろうとするが、誰ともうまく行かない。「なんで、これじゃあ、また私は……」といらだつランジュに、栞子は「やっぱりランジュは小さいころから何も変わっていない」と悲しげな目を向ける。

⑧栞子によるランジュの過去回想。ランジュは自分が一番ではないと気が済まず、栞子はいつも荷物持ちだった。ランジュはそれが栞子の幸せだと信じており、悪びれない。栞子が言葉巧みにランジュを紹介しても、高圧的で口下手なランジュにはいつも友達ができず、紹介した栞子も嫌われてしまうばかりだった。対称的に、薫子は人付き合いがうまく、いつも人に囲まれている。ランジュは薫子のような人間になりたいと思い続けており、自分のほうが魅力的だとも思っていたのだが、薫子に喧嘩をけしかけても相手にされないことにいらだっていた。

⑨現実に戻る。「私のための曲を用意しなさい」というランジュに、栞子はあなたに声をかけるのはどうかと提案する。「あんな無名の人間に私の曲を任せられない」と怒るが、栞子は同好会のステージがこれまでにないほど盛り上がっていることを指摘。「あれはすべてあの人の力だと思います」という栞子にランジュは考え、一度だけあなたにチャンスを与えようと決める。

⑩あなたを放送で部にまで呼び出し、「本当は嫌だけど、ミアが私の曲を作らなくなった今、仕方が無いからあなたが作りなさい」と言うランジュに、あなたは困惑する。栞子を見ると、「正直に答えて良いので」と返すので、「お断りします」と返事をして立ち去ろうとする。戸惑うランジュ「どうして?私に曲を提供できるのよ?あなたにとって身分不相応の名誉でしょ」と語るが、「私は自分が曲を作りたい人にしか作らないんだ」と答え、今度こそその場を去る。ランジュは呆然としながら、不適な笑みを浮かべ、「ふうん、面白い女の子ね」(これを言わせたいだけだが、流石に滑っている感があるので悩む。暫定案)と笑う。

 

25章 あなたへのスカウト・現存メンバーで同好会のライブ

①璃奈と彼方、ミアの一件以来、愛や果林、しずくは、部のやり方に賛同できず、同好会に顔を出すようになっていた。とはいえ、愛はランジュと友達になろうとは試みていたのだが(部では互いに深く関わらないため、それができなかった)、ランジュはすでにあなたにしか興味がないようで、相手にされない。

②ランジュはあなたへの勧誘をしつこく行う。栞子に相談すると、すぐに「私のせいです。迷惑をかけてすみません」と謝られるが、何処か楽しそうな栞子。聞けば「ランジュがあなたに作曲を断られた時の顔が、今まで見たこともないもので面白かった」とのことだが、あなたには栞子とランジュの関係が分からなくなる。あなた「栞子ちゃんは、ランジュちゃんの味方じゃないの?」栞子「どうでしょう。私自身、ランジュにどうなってほしいのかわかりません」懐かしい目をする栞子。

③栞子の過去回想。ランジュは栞子をいいように使い、いつも振り回してやんちゃをしていたが、それが楽しかったのは事実だった。自分が薫子の妹だからランジュに目をつけられているということも理解していたが、誰から見ても見た目だけは良いランジュと一緒にいることが、常に姉と比較されてきた普通の自分にとって唯一持っている特別だった。

④あなたの声で現実に戻る。栞子は「私はランジュに感謝をしているんです。昔からずっと迷惑ばかりかけられていたのに、です。私は、昔からの癖というか、ランジュにはどうしても逆らえないんです。でも、みなさんに対してしてきたことの責任はとるつもりです。きっと、ランジュと私のことは許してもらえないでしょうけれど、それでも、私は……」隣にいた歩夢が口を開く。「許すって、何のこと?」

⑤栞子は戸惑う。「何って、私がしてきたことですが」との返事に、みんなが笑顔で受け入れる。「栞子ちゃんがみんなのためを思って言ってくれたってことは分かってるよ」エマ「それに、同好会に残る、残らないを決めたのは私たちだよ。誰のせいでもないと思う」彼方「結果として合う合わないの問題はあったけれど、それも自分で決めたことだからね」せつ菜「ランジュさんだって、私たちと同じスクールアイドルが大好きな人のひとりです」かすみ「口は悪いですけれどね。先輩を馬鹿にしたりして」栞子はランジュと一緒に人から嫌われることに慣れていたので、このように受け止められるのが初めてだったが、そういえば同好会はこういう人たちで、自分はそういうところに惹かれたのだと思い直す。栞子は感謝しながら、ランジュについていいことを思いつく。

⑥栞子が思いついたのは、「あなた」を賭けてランジュと栞子、同好会で対決ステージを行うことだった。その代わり、もしもランジュ側が負ければ、「あなたの言うこと」を何でも聞くという約束。その話を聞いて、ミアも乗り気になり、ランジュと栞子の二人のために曲を書き下ろすことを約束する。

⑦ランジュに言うと二つ返事でOKしたが、栞子と組むことにいい顔はしなかった。「私がセンターだから」と言い張るランジュに、栞子は笑顔で頷く。ランジュは勝つ気満々で、すでに頭のなかで勝ったあとの未来を描いている。

⑧イベント準備。ランジュと栞子が二人であることを受け、同好会側も二人だそうとしたが、ランジュがハンデと称して三人の出場を許可する。三人として誰を選出するか悩む同好会。

⑨話し合いの結果、立候補でミアが、部として活動した果林(愛、しずくの誰か)と、同好会に残り続けたエマ(ここの選択も難しい。任意の誰か)がステージに立つことに。

⑩二週間特訓をし続ける各々。ステージに立たないものは立たないもので、それぞれ出来ることを探してサポートする。そして、ようやく対決当日の朝になる。

 

 

26章 同好会と部による最終対決

①観客は大勢駆けつけている。ランジュがこの勝負を大々的に行いたいと考え、テイラー家のミアがスクールアイドルをするということで、放送局のカメラまでも呼び込んでいた。緊張する同好会とミア、だが、いつも通り頑張ろうというあなたの言葉にいつもの自分を取り戻す。

②舞台袖に呼ばれるエマ、ミア、果林。ステージに立たない同好会のみんなから渡されたのは、裏でこっそり作っていたお守り(虹のアクセ、みんなで合わせると円形になるとかありかも)だった。「辛い時でも自分一人じゃないってわかるようにおまじない」「私たちは同好会の仲間だから」との言葉に、ありがたく受け取る。

③トップバッターはエマ。いつものステージにランジュは鼻で笑うが、会場を自分の色で埋め尽くすエマの力に戸惑う。エマは観客席から人を呼んだり、動物を呼んだりして、ハチャメチャでのどかなステージを作り上げるが、これがかなりテレビ映えし、ネット投票でも話題を呼んでいる。

④続いてはミア。テレビも大注目のステージであり、ミアは自信満々にステージに立つが、以前とはまったく違う観客の数、カメラを通して家族もみているかもしれないという視線に堪えきれず声を詰まらせてしまう。幕を下ろすか悩むあなただが、璃奈がミアの耳につけていたイヤモニで、ミアに話しかける。

璃奈「落ち着いて、深呼吸」ミアが言うとおりに深呼吸をする。

璃奈「どう?歌えそう?」

ミア「わからない。みんなすごいよ。こんなプレッシャーのなかで、たった一人で歌ってきたんだね」

しずく「それは違うよ。私たちは一度だって、一人きりでステージに立ったことなんてないよ」

ミアは困惑するが、かすみの言葉に耳を傾ける。

かすみ「アクセサリー、握りしめて。ミア子は一人じゃないよ。私たちもいるし、ミア子のことを応援してくれるファンのみんなだって居るんだから」

愛「そうそう、ラフに行こうよ笑顔だよ、laugh(ラフ)だけに!」

ミア「ぷっ、なんだそれ」

カメラが回っている前でようやく笑みを見せたミアは、アクセサリーを握りしめ、いつもの自信家の笑みを見せる。ミアの歌声の美しさに、ランジュも息を呑む。会場全体が静まりかえる。

疲労困憊のミアを同好会のみんなが受け入れる。盛り上がる同好会側とは打って変わって、ランジュはかなりいらついている。栞子に「私が完璧な演技をするから、栞子はここで待っていなさい」と言いつける。栞子は言い返そうとするが、ランジュは「私は負ける訳にはいかないの、栞子なら分かるでしょ!?」と捲し立てる。ひとりでステージに立とうとするランジュ。

⑥これまでの威圧的なライブから一変し、ミアはランジュのなかの孤独に目をつけ、物静かな切ない曲を披露していた。曲に要請されているのに相応しい完璧な演技を見せることで、それまでの会場の空気が一変し、改めてランジュの持つカリスマ性や魅力が明らかになる。しかし、あろうことかランジュは歌詞を飛ばし、まったく予想しないトラブルに頭が真っ白になる。しかし、その僅かな間をつなぐことで、観客にミスを気付かせずに続きを歌ったのが、後ろから現れた栞子だった。

⑦栞子の登場に驚きながらも、持ち前のプロの演技で一切表には出さずに歌い上げるランジュ。また、ランジュに完璧に合わせる栞子の歌唱とダンスに、初めてランジュは栞子そのものの姿を見ることになる。

ランジュ「栞子って、歌う時にこんな声をするのね。思った以上に綺麗じゃない」

⑧会場は熱狂に包まれて、二人の勝利はほぼ決まったような空気になる。しかしながら、同好会が最後に出した果林は、不適な笑みを浮かべていた。「私が部にいた時間は無駄じゃなかったってこと、他でもない貴方に見せてあげるわ!」

⑨果林のステージは、ずっと部で真面目に取り組んできただけあり、ランジュも思わず目を見張るほどのレベルになっていた。歌唱力はまだまだだが、少なくともダンスだけはランジュと張るレベルになっており、ランジュは思わず歯を食いしばる。それでも、果林が見せる楽しそうな笑顔に、いつしか怒りは消え失せ、ただ呆然と果林の空気に飲まれていることに気付く。慌てて果林に敵意の視線を送ろうとするランジュだが、栞子に肩を叩かれ、「いまは素直に、あの人のライブに浸りませんか」と言葉を掛けられる。まるで憑きものがとれたような表情で、ランジュは果林の姿に見惚れる。

⑩結果発表までの時間、栞子とランジュは、会場から遠く離れたところで肩を寄せ合っていた。何かを言おうとする栞子だが、ランジュが先に「ありがとう」と言う。困惑する栞子。

ランジュ「さっきのステージよ。私だけじゃ、あのステージは完璧なものにできなかった」

 栞子「完璧?私がいたのにですか?きっとまた『お節介焼いて』って怒られるものだとばかり思っていました」

ランジュ「そうね。いつもならそうだった。でも、なんだか分からなくなってきたわ」「私は必ず完璧なステージを作り上げることができる人間だと思っていた。それに足る努力はしてきたし、それに足るものをもって生まれてきたはずよ」「……思えば、昔からそうだったわね。私は生まれた時から何でも持っていて、だから私はみんなのリーダーになるべきだって思っていた。それなのに、いつも周りから人がいなくなっているの。薫子のことが羨ましかった。私と違って何も持っていないはずなのに、私が持っていないものを全部持っているんですもの」

栞子「そうですね。姉さんは誰からも慕われる、私たちからはずっと遠い人でした」

ランジュ「……薫子が目を奪われたスクールアイドルをやり続けたら、きっと薫子は、私のことを見てくれると思ったのに」

栞子「ええ」

ランジュ「でも、さっきのステージをやって、あの子たちのステージを見たら、どうでも良くなって来ちゃったわ。不思議ね、薫子が見ているわけでもないのに、栞子と一緒に歌っているだけで、心が満たされてしまうなんて」

栞子「私も同じです。ランジュと立つステージは、まるで小さい頃を思い出すかのように、無邪気な気持ちで楽しめました。それから……きっと姉さんは、このステージを見てくれていたと思いますよ」

ランジュ「そうかしら……そうだったらいいわね。薫子、あのステージを見てなんていうのかしら」

栞子「きっと、頑張ったねって言ってくれると思います」

会場からアナウンスが流れる。「お待たせいたしました、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会VS虹ヶ咲学園スクールアイドル部最終決戦。ただいま投票の集計が終わりました。栄えある勝者は――」

 

27章 ランジュ・栞子が同好会に加入

①その日の夜に、学校から許可をもらい、祝賀会をする同好会。そこにランジュと栞子の姿はない。一通り話が弾むが、みんなの意識は別のところにあり、歩夢が栞子を呼んでこようか迷っていることがあなたにはわかり、みんなで探そうという話になる。

②ランジュたちの居場所に心当たりがあるというミアに従い、部が所有するシャワールーム(別にどこでも良い。三人の思い出の場所など設定してもよさそう)へ。そこには確かに栞子と、栞子の隣に誰かがいた痕跡が残っている。

③栞子が最初に謝り、ランジュも今は反省していると説明。本人はいないんですか~?とかすみに詰められると、栞子がドアの後ろに声を掛ける。おずおずと顔を出すランジュ。本当に居たんですかとビビるかすみ。ランジュの口から、今回のことについて謝罪がなされ、別にいいよとみんなが受け入れる。拍子抜けするランジュと、だから言ったでしょうと眉を下げる栞子。

④気を取り直し、これからの部と同好会について話し合う。同好会が勝利したことにより、ランジュたちに命令できる権利を「あなた」が手にすることになる。どんなことを言われるのかわからず震えるランジュと、目を瞑る栞子。あなたは同好会のみんなと顔を合わせ、あることを命令する。

⑤あなたが命令したのは、部の施設と同好会の施設の共有化だった。てっきりひどいことをされるのかと思っていたランジュはまたもや拍子抜けする。栞子は「同好会に吸収されるものかと思いましたが」と言うが、それはあなたが否定する。「相手の言い分も聞かずに吸収するのは良くないと思って。だから、ランジュちゃんや栞子ちゃんには、自分たちで決めて欲しいんだ。これからも部として互いを高めていくのもいいし、同じ同好会で頑張ってもいいかなって思ってる。みんなもそう思っているはずだよ」

⑥あなたの言葉に、ランジュは困惑する。部の施設が利用できることが同好会のメリットになることは理解できるが、自分が同好会に入って、同好会にとってのメリットがあるとは思えない。しかしながら、同好会は「人間関係は損得で語れるものじゃないと思っている」と話す。せつ菜「スクールアイドルが好きな者同士、きっとわかり合えるはずです。同好会は個性が強い人ばかりで、必ずしも同じ道を歩みませんけれど、みんなスクールアイドルが大好きで、みんなで過ごした時間や思い出が大切だから、心の深くでは繋がっているんです。ランジュさんと私たちも、きっとそうなれると思いますよ」

⑦栞子はランジュを見つめる。「私はお言葉に甘えて、また同好会に戻らせてもらおうと考えています。ランジュはどうしますか」ランジュはじっと考え、幼少期のことを思い出す。仲良くなったと思っていた相手が、黙って自分の元から立ち去るのが怖かったこと。隣には栞子しかいなくて、それが自分の支えだったこと。そこで初めて、自分こそが栞子に依存していたことに気付く。繋いでいた栞子の手が自分からすり抜けるのが怖く、手を伸ばした先に、同好会のみんなの手があった。

「ようこそ、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会へ」

⑧栞子もランジュも、同好会のメンバーとして、名を連ねるようになった。約束通り、部の施設を利用しようとするメンバーに、ランジュは「もうあの施設はないわよ」と言い放つ。驚く同好会。聞けば、素人集団である同好会に負けたあの日に、ランジュに強力してくれていたお偉い方が虹ヶ咲から手を引いてしまったと言う。ビュッフェや運動器具も回収され、ランジュはなんとかお母さんからスクールアイドルとしての活動を許されているレベルなのだと言う。唖然とするみんな。「まあこれも庶民の生活の勉強になるから」とあっけらかんなランジュ。

⑨結局、いつも通りの部室が狭くなっただけの同好会。だがこれまで以上に盛り上がるみんなの姿。変わらない日常が戻ってきたと思われたが……。

⑩テレビで放送された部と同好会の対決を、誰かが見つめている。それは虹ヶ咲にとって恐ろしい強敵で……あるいは世界の大物マネージャーで、虹ヶ咲の海外進出を狙う等々。次回の話への布石となる内容を匂わせれば良し。

 

 以上。

 

 さいごに

ここまでに書くのに10時間近くかかっている気がする。非常に虚無であり、これは二次創作なのかとか、これを書いて何になるのか(何にもならない)という自問を繰り返したりしたのだが、スクスタから目を背け、自分だけでもキャラを救えた(ような気になれた)のはかなり大きいと思う。時代はやはり自給自足で、「文句を言うなら自分で書け」ということなのだろう。かなりの文量になったが、個人的には自分のなかでもうこれが正史でよくねと思い上がっている。もう馬鹿なので。

 

付録:シナリオを書く上で気がついたこと

以下、これまでにシナリオを書いたことなんてほぼほぼなかったのだが、シナリオを書きながら気付いた反省点を箇条書きする。

・あなたの使い勝手が良すぎる。気がつけば常にあなたが走り回り、誰かの手を引いている。意識的に役割を分けるのは困難である。

・シナリオを書くに当たって、扱いにくいキャラが存在する。よく「○○が空気」と言われるが、実際に今回の話を書くにあたり、エマや彼方、しずく、歩夢の使いどころが非常に難しかった。逆に、愛や果林、かすみ、あなたの使い勝手の良さは異常である。やはり行動的なキャラが物語を進めていくのだろうが、ここでやや受動的なキャラにも、物語を一度立ち止まらせるなどの工夫をしないと、空気のキャラを作らないのは至難の技だろう。物語を書くにあたって、大人数を動かすことの難しさを知った。

・誰も傷つかない物語になるような配慮は難しい。今回、原作がキャラ崩壊しているように感じたため、自分はそうならないように極力キャラの心情を解説・理解できるように心がけたが、共同体の分裂を扱っている以上、誰かを傷つけるのは必至である。ここでどれだけフォローするか、どれだけキズを浅くするのかがめちゃくちゃ大事だと思うのだが、やりすぎると話がくどくなる。ここの塩梅が難しい。

・今回の話は、栞子を中心人物に据え、ランジュと同好会の架け橋になってもらったが、そのせいで栞子メインのストーリーになった。上記と話が被るが、何も考えずに物語だけを書いていると、出番におけるキャラ格差がものすごいことになる。恐らくこれに関しては個人でやるには限界があり、それぞれの推しの視点で物語を読み、「ここは○○の役割でもいいのでは」と話をすりあわせる必要があるように思う。一人の視点だけでは、登場キャラがかなり偏ったシナリオになる。世の脚本家はすごいなと思いました(小並感)。

 

改めて、振り返りはこれまで。

かなりの長文(繰り返すが、ほぼ2万字)になったが、ここまであますこと無く読めたあなたはすごいと思う。もし何か思うことがあれば、この記事のコメント欄に書くか、下記リンクのマシュマロなどでお願いします。違った視点から見た、このシナリオの改善点もあれば是非。それを自分が受け入れるかどうかは別の話だけれど。

marshmallow-qa.com

 

ここまでの読了、お疲れ様でした。もし時間があるのなら、あなたも自分だけの最強のスクスタ2nd season(二次創作)を作り上げてみよう!