新薬史観

地雷カプお断り

パーシー・アドロン「バグダッド・カフェ」(1987) 観た!

今読んでいる乙一の「失はれる物語」に収録されている「Calling You」という作品を読んでいたら「バグダッド・カフェ」の名前が出てきたので観た。自分はそういう人間です。

映画冒頭は非常にカメラが不安定というか、見せたい画が非常に雑で(もっといいアングルあるだろとか、いくらなんでも地面が斜めすぎるとか)クソ失礼ながら「映画下手くそか?」と思ってしまった。が、そこからの映像はかなり良かった。序盤のあのひどさはジャスミンの心的不安定さを演出しているのかなあと思ったが、それにしても掴みからアレはな……。世間的にどう思われているのかは気になる。

それはともかく、話としては楽しい気持ちになれる良い映画でした。よくよく考えると、自分が観てきた映画のなかで大柄な女性が主人公っていうのはあまり無かったかも。新鮮で良かったです。それから序盤のブレンダの気持ちを考えるとかなり心がしんどくなった。家のことを誰も手伝ってくれない家族って本当に心に来るというか、辛いですよねえ。精神が限界に近づく理由もわかる気がする。そこから一気にブレンダとジャスミンの距離が縮まるところは緊張感も解かれて、一気に手品で話が上昇していく。気持ちいいですね。途中から百合か?と疑いながら観ることになったのだが、別に何か大きな物と戦っているわけではない*1ので百合じゃない気がしてきた。それはそれとして、終わり方も非常に良かったです。傑作というには話が軽すぎるけれど、このジャンルでこの短さ、満足度を加味すると、完成度が高いと思います。有名映画は安定していいですね。

あ、ちなみに「Calling You」を回収できて良かったんですが、個人的にはそれよりももう一箇の劇中歌である「Brenda, Brenda」の方が好きだったな。この音楽はこの映画が初出なのだろうか。よく日本の料理番組とかで聞くやつ。良かったです。

*1:個人の百合ボーダーです