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「ウマ娘 プリティーダービー」ガイドラインの解釈

この記事は「ウマ娘 プリティーダービー」の公式サイト内にある「応援してくださっているファンの皆さまにご注意いただきたいこと」というタイトルで発表された(二次創作などを含む)ガイドラインの「個人的」解釈について纏めた文章です。

※なお、これは「個人的」解釈であり、自分の発言には何ら拘束力がないことをご了承ください。

umamusume.jp

 

一応上にリンクは貼ってますが、必要な箇所の部分だけ引用しておきました。リンク先に飛べない方はこちらを参照してください。

キャラクターならびにモチーフとなる競走馬のイメージを著しく損なう表現は行わないようご配慮いただけますと幸いです。
本作品には実在する競走馬をモチーフとしたキャラクターが登場しており、許諾をいただいて馬名をお借りしている馬主のみなさまを含め、たくさんの方の協力により実現している作品です。
モチーフとなる競走馬のファンの皆さまや、馬主さまおよび関係者の方々が不快に思われる表現、ならびに競走馬またはキャラクターのイメージを著しく損なう表現は行わないようご配慮くださいますようお願いいたします。

ウマ娘プロジェクトは、名馬たちの尊厳を損なわないために、今後も皆さまとともに競走馬やその活躍を応援してまいります。

では上のガイドラインをもとに、結局何が言われていて、何が言われていないのかをしっかり考えていきましょう。

 

①このガイドラインは何を守るためのものか

まず一番最初にここをはっきりさせましょう。そうでないと何故このガイドラインが生まれたのか、どこに気をつけなければならないのかが分からなくなるからです。

さて、ガイドラインを読むと文章の書き手が何を意識しているのかは明らかです。

このガイドラインの目的は

名馬たちの尊厳を損なわないため

であり、具体的にどのようなものが名馬たちの尊厳を損なうのかと言うと、

「モチーフとなる競走馬のファンの皆さまや、馬主さまおよび関係者の方々が不快に思われる表現、ならびに競走馬またはキャラクターのイメージを著しく損なう表現

だと書かれています。それは何故かと言うと、

「本作品には実在する競走馬をモチーフとしたキャラクターが登場しており、許諾をいただいて馬名をお借りしている馬主のみなさまを含め、たくさんの方の協力により実現している作品」だからです。

要するに、「ウマ娘 プリティーダービー」というコンテンツは様々な人が協力してくれてようやく成り立っているものだから、「名馬たちの尊厳を損なわ」せ、各方面を怒らせるのはやめてほしいという内容になっています。

なお、このガイドラインでは違反するとどのような処罰がなされるか明言されていないため、違反者に対して「馬主を怒らせるとコンテンツが終了するぞ!」や「裁判になるぞ!」などと言うのは誤り(妄想)です。ここではコンテンツの存続については言及されておらず、あくまで関係者の「感情」と受け手の「表現」についてのみ扱っている文章だからです。運営は、違反すると云々というより、そもそもガイドラインから逸脱する行為を「行わないようご配慮ください」と言うに留めています。

なぜこのようにふわっとした文章になっているのでしょうか。

それは、ここで問題とされているのは「モチーフとなる競走馬のファンの皆さまや、馬主さまおよび関係者の方々」の感情だからです。

このガイドラインは「名馬たちの尊厳を損なわないため」に設定されたということを思い出してください。そして、「名馬たちの尊厳を損なわれた!」と感じるかどうかは、「モチーフとなる競走馬のファンの皆さまや、馬主さまおよび関係者の方々」の感性(感情)に依存しています。それらは決して均一に語れるものではないということは、賢明な人なら理解できると思います。

要するに、ひとりふたりならまだしも、数百から数万、あるいはそれ以上の数にわたるファンと関係者の間で、「幼児化から性転換、キスまではOKですが、それ以外(エログロやスカトロ)は尊厳を損ないます!」と明言できるガイドラインを作成するのは限りなく不可能です。

「グロは無理だけどエロならいいよ」という人もいれば、「エロは不快だけどグロは好き」という人もいるかもしれません。そのため、このガイドラインは非常に曖昧にせざるを得ないのです。

また、このガイドラインはあくまでそのような「感情」と「表現」に関するものであり、権利関係については一切書かれていないことをご理解ください。

二次創作は著作権で云々というのは、また別の議論です(そして大抵の二次創作は、非営利的活動に限り、一次創作者から見逃してもらっているというのが現状です)。

 

②このガイドラインは二次創作だけを対象としていない

次に、上で出た「表現」という語について考えていきましょう。

大前提として、ここを見落としている人もいるのではないでしょうか。というのも、このガイドライン内で使用されている単語は「二次創作」ではなく「表現」というものになっています。「表現」の意味についてはWeblio辞典からでも引っ張ってくればいいでしょう。ここの意味は非常に重要ですが、基本的に下の解釈で問題ないと思われます。

「表現」心理的、感情的、精神的などの内面的なものを、外面的、感性的形象として客観化すること。

https://www.weblio.jp/content/%E8%A1%A8%E7%8F%BE

 つまり、自分の見えない気持ちを他人に伝えるために見えるものとして伝えることすべてが「表現」だと言えるでしょう。このブログ自体も表現のひとつですし、ツイートだって表現のひとつです。自分の解釈を外側に形作るという点で、イラストや小説、漫画やコスプレなどの二次創作全てが当てはまります。

よって、このガイドラインを二次創作(特にR-18イラスト)だけに適用するのはやや楽観的なのではないでしょうか。

具体的に考えると、ただのオタクのツイートであっても、「○○(任意のウマ娘、あるいは競走馬)はゴミを漁って売春して生活しているらしい」という内容を誰でも見ることができる状態にしていれば(関係者が不快に思うかどうかはともかく)十分に規制の対象になり得ます。なるとは言い切れませんが、「行わないようご配慮ください」と言われていることをしていると私は判断しています。

要するに、「モチーフとなる競走馬のファンの皆さまや、馬主さまおよび関係者の方々が不快に思われる表現、ならびに競走馬またはキャラクターのイメージを著しく損なう表現」かどうかを気にせねばならないのは、「ウマ娘 プリティーダービー」について言及する人間すべて(私も含める)であるということです。

 

③どのような表現が名馬の尊厳を損なわないか

さて、最も考えるべき箇所はここでしょう。上記の考えに触れたあとでは「すべての創作物、表現が誰かにとって不快になり得るのではないか」と考えるのは当然のことであり、事実でもあるでしょう。

「じゃあ何もファンアートを投稿できないのか?」と考えたくもなりますが、そうではないことは「ウマ娘 プリティーダービー」のアプリ/アニメ(以下コンテンツ)それ自体が示してくれています。

つまり、あらゆる関係者が「名馬の尊厳を損なわない」と(現時点で)判断している(あるいは妥協している)ものこそが、「コンテンツ」であるという考え方です。これはコンテンツを動的なものであると考える点で重要です。

例えば、関係者を怒らせた表現(そもそもウマ娘として擬人化されていない名馬など)はコンテンツ内には実装されていない一方で、関係者が(不快に思っても)妥協できるラインならば、コンテンツ内に残されると考えています。また、今後コンテンツ内の表現で関係者の誰かを怒らせることがあれば、その要素はすぐに削除されるはずです。

このように、適宜修正され変形する「名馬の尊厳を損なわない」表現の集合体こそが、コンテンツであるはずなのです。

よって、コンテンツ内での表現であれば「名馬の尊厳を損なわない」と考えても良いはずだと私は考えています。

簡単に例示すると、

・(コンテンツ内で実装されているタイプの)水着

・私服でお出かけ(表現されていないためキスなどは伴わない)

・史実に基づく故障

等です(これが全てだと言い切るものではありません)。

よって、コンテンツ内で描写されていない「ウマ娘との性行為」や「ウマ娘への虐待」などは当然ガイドラインにおいて「行わないようご配慮ください」に該当すると考えます。

 

④まとめ

「名馬の尊厳を損な」う表現=「モチーフとなる競走馬のファンの皆さまや、馬主さまおよび関係者の方々が不快に思われる表現、ならびに競走馬またはキャラクターのイメージを著しく損なう表現」は、コンテンツ内で描写されているかどうかで判断するのが安全。

 

この制約は決して厳しいものではなく、ファンアートや表現をする者にとって必要最低限の原作者(名馬や馬主、ファン)への配慮(リスペクト)だと考えています。

好きなキャラのエロ絵を描きたい、見たいという考えは(個人的にはあまりわかりませんが)当然あるものだと思います。ただ、その「個人の欲求」を突き通す前に、「原作者への配慮」という観点からじっくり判断する必要があるのではないでしょうか。表現者(二次創作者)の欲求よりもまず先に、原作者の欲求、それがかたちになったガイドラインがあるのですから。

最後に繰り返しますが、この記事は「個人的」解釈であり、自分の発言には何ら拘束力がないことをご了承ください。

 

それでは皆さん、よいウマ娘ライフを。