新薬史観

地雷カプお断り

最近触れた作品の感想(ポケスナとかピンチョンの49とかレイ・ハラカミとか)

あまりに更新していなくて申し訳がないので(別に義務感を覚える必要はないんだけど)、なんか雑に書きます。感想とかを……。

 

◎ゲーム

①NewポケモンスナップNintendo Switch

マジで面白い。最高です。

操作性:画質がかなり良くなったため、画面を回転させると酔いやすい。発売当初のドラクエ8とか最近ではOculusでも言われてたことですね。まあこれは慣れ。ただボールがあてづらいのがかなり辛くて、目的の位置にあてる行為をかなり要求されるゲームではあるので、ゲーム下手くそ君にはちょっとイラポイントがたまるかもしれん。まあそれを上回る面白さはありますけどね。

ゲームシステム:写真の講評については、オーキド博士のあの声が好きだったので残念だったのですが、☆1~4の評価、金銀銅プラチナ評価を設けたことで写真の取り方に一気に奥行きが生まれてやりこみ要素がアップしましたね。良いと思います。ただ一度に1枚の写真しか提出できない点でややイラポイントが溜まる。☆の数ごとに1枚なら良いのだけれど、これでは最低どのポケモンとも4回は向き合わねばならないので、ちょっとねえ。めんどい!クエストとかいうやつも増えたしな……やることいっぱいありますよ。自分は全部をやってはいませんが。

それはそれとして、個人的によかったのが「ふわリンゴ」の扱い。前作同様ポケモンにリンゴを投げることができるのだが、今回は「ふわリンゴ」としてポケモンに当たっても痛くないよという説明を加えることで(前作もあったっけ?)ポケモンに感情移入しやすいオタクにもきちんと配慮できている。こういう細かな気配りはいいですよね。

グラフィック:神。ポケモンの実在性がすごい。ただこれ64でも十分に感じられていたので、当時の64のグラでも世界観を構築することは出来ていたんだよなと思うと、案外画質って世界観の精密な構築に必要とされないのかもと思ったり。

 

総括:かなり良かった。かなり前から欲していたゲームだったが、期待以上の面白さで大満足です。とはいえ上記の理由によりやや時間が取られ、下手くそな為にややイラゲージも溜まるので纏まった時間がないと取り組みにくいゲームだと思います。リンゴやオーブを投げるのが巧い人には楽しさしかないと思う。自分の腕に自信のある方は是非。

 

 

②神田アリスも推理する(Nintendo Switch

el-dia.net

これね~~~~幼馴染百合が好きな人には本当にお勧めできません。

上から目線かつFF外から失礼して評価させていただくと、

(満点は☆5)

推理ゲーとしてのロジック ☆2

百合ゲーとしての文章表現 ☆4

全体的なシナリオ ☆3

キャラの可愛さ ☆5

人道性 ☆2

くらいの作品ですね。まず悪いところから書くと、愛の定義が雑すぎる。これにつきます。

まずみなさんに見て頂きたいのはこの発売記念壁紙なのですが(上に貼っている作品ページに飛べばDLできます)、これ何しているかって言うと、主人公のアリスちゃんが幼馴染の女の子の脱ぎ捨てたジャージを見つけて腕を通しているシーンなんですね。

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この辺りの表現がかなり良くて、幼馴染百合のオタクとしては最高に盛り上がっていたのですが、まあそこからなんやかんやでアリスちゃんは「その人のことを考えて下腹部が(性的に)熱くなることが真の愛なのでは?」という悟りを開くんですよね。つまり性的な後ろめたさを感じる相手こそが真の恋愛対象って話になるんですが、でもそれってアリスちゃんがこうして幼馴染のジャージを着て喜んでいた時も感じていた感情じゃん、それに似た興奮は幼馴染にも覚えていたじゃんって感じですんなりと納得できないんですよね。

まあその後についてはネタバレが過ぎるのでアレですけど、幼馴染百合が好きな人もそうでない人も、アリスちゃんの愛の気付きの論理の矛盾に眉を顰めることになるんじゃないかなと思います。勘違いしてほしくないのが、別に自分は幼馴染百合じゃないからキレているわけではなく(そりゃ勿論幼馴染百合なら最高ですけど)、思わせぶりな幼馴染百合展開を進めておいて、雑な論理で急に方向転換するのは辞めろっていう話ですね。だって途中まで普通にアリスちゃん、幼馴染を恋愛対象としてして見ていましたからね(少なくともそのように見えてしまう)。なんだかなあ。

 良いところは、作者の文章力が高いところ、声優が良いところ、キャラがめちゃかわいいところです。秋をテーマにした作品ということもあるのですが、それに関連した言葉選びが巧いのと、女の子の性的な恋愛感情の描写がかなりうまい、少なくとも男である自分にも感情移入をさせている、という点でかなりの技術はあるのだと思います。なので自分はこのゲームを頭ごなしに否定はできないです。

幼馴染百合が好きじゃない百合オタクには、最高のゲームになるかもしれん。自己責任で。

 

 

◎小説

トマス・ピンチョン『競売ナンバー49の叫び』

かのトマス・ピンチョンに初めて触れてみました。どんな文章を書くんだろうと思っていたのですが、想像していたよりずっと繊細で、それでいて緻密に計算し尽くされた文章の設計士という印象を受けました。正直中身が詰まりすぎていて、まともな感想は書けそうにないのですが、(本当の)情報から隔絶された人間が、時折顔を見せる思わせぶりな「啓示」に導かれ、陰謀論という秘められた道を通り抜ける展開はめちゃくちゃ面白いですし、ところどころの文章表現が良すぎて笑ってしまうこともありました。宗教的な啓示を受けるシーンとか絶品で、ドストエフスキー『白痴』の死刑執行時の視点の描写に似た、自分の五感に文字が入り込む驚きがありました(ぼくは素晴らしい文章表現の引き出しをこれしか持っていません)。一番印象に残っているのは、ホテルでスプレー缶が飛び回ったり、メッガーとバンドの演奏を聴いたりするあの辺りかなあ。あそこらへんは研ぎ澄まされた(先鋭的な?)映画にしか生み出せない光景を見事に生み出しているというか、映画でこのカットが撮れたらもう大傑作確定だろ、みたいなシーンを文字で何度も描いてくれるところに魅力を感じました。

とまあ、ここまで書いたようなかたちで表面を触るだけでなく、もっと暗喩やらなんやらと考えるべき作品ではあると思うのですが、そこまでの熱意はないかな。もう十分に満足。さらに読みを豊かにしても良いのだが(それは巻末の解説で果たされているし)、この初見の読後感でも十分にピンチョンの世界の豊かさを味わえている気がするので、ゴリゴリのピンチョン有識者は気が向いたら教えてください。

 

カレン・ジョイ・ファウラージェイン・オースティンの読書会

設定は面白いのだけど、如何せんストーリーテリングが下手なのか、長編で書く内容ではないんじゃないかな~ということで半分くらい読んで挫折しました。こんなことは割と初めて(大抵の小説はつまらないと思っても最後まで読む)なのですが、映画化されていて小説よりそっちの方が人気らしいし、それで十分面白いらしいので映画を見ようと思います。感想は別記事にて後ほど(まだ観てないんです)。

 

◎音楽

音楽に対して興味がなく(というより文章や映像で手一杯)、どうしたものかなと思っていたのですが、無知なのもどうよ、まあ積極的に聞いていくしかないよねということで数をこなしていくことにしました。優しいことに、Spotify君は最近聞きがちな口ロロに似ているアーティストをオススメしてくれたので、そこから適当に選んでいきました。なんか言いたいやつだけ感想書きます。

 

Cornelius『Point』(2001)

『Smoke』かなり好き。低音と繰り返しが気持ちいいですね。こういう広義のややミニマル音楽(察して)みたいなやつ好き。終わりの海岸の音声を入れているのが秀逸で、Smokeと海がうまく繋がらないので混乱して、え、BBQとかの燃え残り?って感じになる。

Drop』も良い。このメロディ好き。

『I Hate Hate』良いですね。メタルのようでメタルじゃないギリギリの領域を攻めている気がする。こういうのを新解釈というのだろうか。違うか。

Drop Kings of Convenience mix』このミックスかなり好きだわ。聞いていてかなり気持ちいい。裏の小刻みな旋律が好き。

 

ゆらゆら帝国『空洞です』(2007)

『できない』3分ごろから間の抜けたハープのような弦楽器の音が加わってからは音楽が気持ちよくなった。そこからは好き。

『やさしい動物』かなり気持ち悪いな。声があまり好きじゃないのもあるんだけれど、音楽が非常に独特でめちゃくちゃ気持ちが悪いことになっている。歌詞も気持ち悪いのだけれど、その気持ち悪さとタイトルの『やさしい動物』の組み合わせはすごいと感じた。自分はできれば二度と聞きたくないです。

『なんとなく夢を』やっぱ自分は反復が好きかも

『学校へ行ってきます』情報が非常に混線している。歌詞と音選びに一体感を感じられずに訳の分からんことになっている。端的に言って耳障りで、せっかく良い歌詞なのに非常に勿体ない。俺だけなのかな。ひとつの曲として聞いた時の良さがわからん。

『ひとりぼっちの人工衛星』このアルバムのなかでは二番目に好き。人工衛星というイメージと曲調、歌声がマッチしていて最高に気持ちいい。歌詞はよくわからんが、メロディとの親和性が高いので好物です。

『空洞です』いいですね~。一番これが好きだ。音楽が良すぎる。空洞のものを叩く音が仕組まれているのが楽しいし、全部の音の組み合わせがめちゃ自分好み。こういう曲を大量に作って欲しいのだけれど、『やさしい動物』とか『学校へ行ってきます』とかの方が割合としては多いのだろうか。声の癖が強いような、あえて気持ち悪く歌っているような、結構際どいところを攻めているように思うので、そこと曲との親和性をどう考えているのかが気になりますね。

 

くるり『TEAM ROCK』(2001)

ワンダーフォーゲル』楽しい曲ですね。

『永遠』かなり良い曲。音楽が好きです。失礼かもだけど、歌詞は意味ではなく音として聴くと良い感じですね。

『ばらの花』なんとなくRADっぽいなあと思う。RADの方が後だろうけど。新海誠のアニメーションで使われてもおかしくないなあと思う。音が良い。

 

Rei Harakami『[lust]』(2005)

『joy』いいですね。落ち着くし楽しい。

『lust』これも好き。浮遊感、水のなかの反響を思わせる音の微かなブレ?が心地よいと思う。

『grief & loss』3分前後から入ってくる音楽、その後の音楽がかなり好み。

『owari no kisetsu』本当に天才だ!良すぎるだろう、これは流石に。

『come here go there』5分以降の気持ちよさは異常。なんだか泣きそうになってしまう。やばいな~。

 個人的な収穫は、Rei Harakamiという天才の存在を知れたことと、ゆらゆら帝国とかいうヤバい奴らを敵として意識したことですね。

 

以上。