新薬史観

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アガサ・クリスティ「アクロイド殺し」「スタイルズ荘の怪死事件」「ABC殺人事件」読んだ!

ソシャゲは5時に日付が切り替わるので、なにかとソシャゲに例えられる人生においてもこの言説は成り立つと思います。というわけでこのブログも5時までは9/1の投稿文ということで良いはずです。少なくとも自分のなかでは。

 

実は生まれてこの方アガサ・クリスティを読んだことがありませんでした。ダンガンロンパ逆転裁判レイトン教授など、明らかにその系統のゲームは好きな癖に、そもそもミステリの本は読まないという偏りっぷり。別に悪くはないのですが、この前他の人と話していて「これはちょっと良くないな」と思い、まず手始めにアガサクリスティを読むことにしました。しかしながらまさか市民図書館で小学生が群がる棚に収められているとはつゆ知らず、見れば裏表紙に「小学校上級生から」という印字がされていてとても悲しくなりました。自分がこどもおじさん(大人になっても子供部屋に閉じこもる独身男性の揶揄)であることは重々承知しておりましたが、まさか読み物でまでそれを指摘されるとは……。

冗談はさておき、読み終えたので感想を書きます。

 

(「犯人は誰」というような直接的なネタバレは避けますが、文章の端々から匂わせる雰囲気でわかる可能性があるので未読の方は避けてください。ちなみにタイトルをwikiると秒でネタバレが発生するので注意です

 

アクロイド殺し(1926)

実は自分が読んだ本のタイトルは「アクロイド氏殺害事件」なのですが、かっこいいので上のままで書いてます。

この作品から入ったことによる恩恵があったため、評価がかなり上向いた作品です。非常に有名な「ミステリにおいてこの展開はフェアかアンフェアか」という論争を巻き起こした作品ですが、自分は断然フェア派です。同じフェア派にドロシー=セイヤーズ江戸川乱歩がいて、アンフェア派にはS=S=ヴァン=ダイン、小林秀雄がいるそうです。フェア派の人間は今なら非常に多いような気がします。というのも、オタクが大好きなとある用語が、この作品の性質そのものを指し示しているからです。ここで大事なのは既にその用語がインストールされている頭のまま読める人間が大多数いるということで、当時はその概念が確立されていなかったために、大きな論争を巻き起こしたのでしょう。この作品がガチの本家という訳ではないのですが、画期的だったのは事実でしょう。自分は後半で犯人に気がついたのですが、それもポアロが匂わせに匂わせを重ねた末のものであり、自力で見つけるのは難しかったと思います。もちろん、先述のある概念をインストールされた頭ではアンテナを張れますし、ダンガンロンパシリーズで似たような話があることからも犯人を推測することは可能です。あの話もかなり面白かったな。

というわけでネタバレを避けたのでほぼ何も書けていませんが、面白い読書体験でした。確かに序盤の描写でも納得の伏線があり、巧いとしか言いようがないなと思います。人間関係をうまく描いているのも魅力で、これは自分にはないものなので勉強したいですね。やはり欲をどこに向かわせるかですよねえ。

ただひとつ、笑えて仕方ない麻雀描写があるので、あれだけはなんとかして欲しかった。いや、楽しいからいいのだけれど。

 

②スタイルズ荘の怪死事件(1920)

アガサ・クリスティの処女作。けっこう古いミステリの匂いを感じますが、自分は古いミステリを全く読まないのでこの感覚がなんなのかは分かりません。

登場人物が多く、基本的に全員が屋敷のなかでギュウギュウしているので話がややこしくなるかと思いきゃ、非常にテンポ良く物語が進むのでびっくりします。小学生上級向けに翻訳されていることもあるとは思いますが、ポアロの親しみやすさを反映させたかのような文体で好きです。

トリックとしては非常に緻密で、というよりなんか細々したものの積み重ねで、正直読んでいるこちらからすれば犯人をあてるのは不可能なんですけれど、それでも面白いのはその説明が納得できるものであり、なおかつこれまでの展開を十分に反映したものだからでしょう。犯人の意外性や、本当に犯人を追い詰めるために何をしなければならないのかが見えているポアロの慧眼に脱帽です。今回あげる3作品のなかで、話の展開としては一番好きでした。

 

ABC殺人事件(1936)

これもかなり面白い。ポアロのプロファイリングが遺憾なく発揮される作品でした(基本ポアロはそうなんですけれど)。読者とポアロが全く違う方向を見ているのが面白く(そのためのヘイスティングズ大尉です)、これはなかなか話の役割の当て方にも使えるなと思いました。犯人に意外性はあったと言え、十分に想像できる範囲ではありましたが、犯人の殺害動機やプロファイリングが面白かったので良かったです。

 

以上、アガサ・クリスティ3作品の感想でした。ポアロシリーズは読みやすくていいですね。

他にもホームズとかミス・マープルとかも全然読んでないので、そっちも読みたいです。オススメあったら教えてください。