新薬史観

地雷カプお断り

ここ数ヶ月で触れたコンテンツまとめ

お久しぶりです。コンテンツの感想投稿が滞りすぎて単体の記事としての文量が多くなるの早く辞めたいです。

 

今回から新たな試みとして、コンテンツの定量的評価を始めました。そっちのが評価軸の再現性が高そうなのが理由なのと、今後こうすることで後々の記録が楽になるからです(2021年ベストやら百合作品ベストやらを引き出しやすい等)。

コンテンツの評価基準は以下の基本6項目に、性癖の「百合」を加えた7項目で採点します。

2点「世界構築」文体、画風、映像、世界観

1点「可読性」コマ割、文章のテンポ、ゲームの操作性

2点「構成」展開の意外性、伏線回収の巧さ

2点「台詞」掛け合いの良さ、言語センス

2点「主題」問題提起の威力

1点「キャラ」登場人物の魅力

【特別加点】2点「百合」主に女性同士の関係性

合計10点(百合なら+2点)

※各項目で上限点数を超えることもあります

一応の合計は10点ですが、百合の存在によって合計得点は12点に拡張され、さらに稀にめちゃくちゃ感動した作品には上限2点の項目に3点を付けたりしているので、割とガバガバだったりします。それでも評価点数ごとに並べたコンテンツ順位を眺めていると、それなりに肌感覚と当てはまっているので、相対評価としてはこの評価軸も役立っているのかもしれません。知らんけど。なお今後も総合点だけ記載して内訳は記載しません。めんどいので。

 

消費コンテンツ

ガチで大事にしたい作品

【12】
泰三子『ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜』(2017)

既刊20巻+外伝の「ハコヅメ~交番女子の逆襲~ 別章 アンボックス」を踏まえた上での感想。フォロワーさんの宣伝を真に受けて購入。間違いのない大傑作漫画でした。個人的には『進撃の巨人』と同等かそれ以上の衝撃を以て受け入れられて欲しい作品です。地域の犯罪を担当する交番に目をつけたセンスがよくて、「おそらくこれが警察のリアルなんだ」と思わせる事件のディテールや人間関係の変化が素晴らしい。それでいて各話の台詞回しのテンポも良く、ギャグセンスも光っており、読者を裏切る構成も素晴らしい。また、10巻スケールで展開される重大事件の組み立て方は模範的で、プロットがめちゃくちゃに巧い。特筆すべきは、交番という小さな箱の周囲で突発的に起こる「悪」に対してどこまで真剣に「正義」を貫けるかという古典的で美しい構造だと思います。作品は、ただの人間である警察がまるでスーパーヒーローであるかのように市民に幻想されながら、制度によってその権力を制限されるなかで、どこまで「万能」として振る舞うことができるのか、という点を中心に描いています。ただの人間が警察の制服を着るだけで「警察」だと認識される様は確かにヒーロー・ヒロインのコスチュームチェンジに通じるところがあるし、人間は外側によって内側も変容せざるを得ないのだ、という点は『ファイア・パンチ』で丁寧に描かれていました。もちろん、似たような題材を取り扱っている作品は数多くあります。しかし、本作がその他多くの作品群と異なるのは、『制服のリアリティ』が飛び抜けているという点でしょう。着の身着のままで戦うヒーローはほとんどいません。マーベル作品でもニチアサでも、多くのヒーローは機能性の高い服を身に纏い、強力な武器を手にします。その制服のリアリティの無さ(実現可能性の低さ)故に、彼らに降りかかる困難もほとんどが空想上の脅威となり、作品内では切実に描かれる彼らの葛藤も創作物として消費できる安心感があります。しかし、ハコヅメで描かれる人々はみんなが身の回りのもので武装し、包丁や自動車という武器を手にして、あるいは言葉で他者を傷つけます。現実でもあり得る加害範囲によって傷つけられ得る被害者を、手の届く範囲で守る警察官――この現実と虚構が限りなく曖昧に混ざり合う境界こそが、読んでいるものを不安にさせ、その環境下で戦う警察官の美しさを高めるのです。

とかなんとか言ってますが、個人的にはそれらに加えて「川合×藤先輩」という最高の先輩後輩百合があるのでもう何が何でもこれを推したい感があります。決して恋愛感情で結ばれているわけではないのですが、同じ警察の制服を着る者同士でしか築けない関係を築けているのがめちゃくちゃに良いです。四の五の言わずに百合のオタクはこれを読め。頼むよ。

 

【11.5】
上北ふたご『漫画 魔法つかいプリキュア』(2016)

大切すぎてずっと読まずに置いていたら忘れてしまっていた漫画作品。松浦理英子『最愛の子ども』に先んじてプリキュアが表現した新たな家族が描かれています。2巻書き下ろしの漫画はオタク全員殺すような百合描写で発狂しました。ヤバすぎる。プリキュアアニメを観るのがだるいって人間は2巻で終わるこちらから入ってみるのはどうでしょうか。上北ふたご大先生の圧倒的画力で、プリキュアの美少女度が高まっているのでそういう意味でもオススメ。「百合」で上限の2点突き破って3点入っています。

 

【11】
佐藤順一ARIA The AVVENIRE』(2015)

劇場版アニメーション。ARIAを履修していないと作品世界全体を楽しめないでしょうが、作品強度が非常に高いので案外初見でも楽しめるかもしれない。女児アニメを上回るレベルで人間の善性を描いているものの、師弟関係にある女同士の感情ではほんの少し人の汚い部分を見せる手法をとることで、感情の本物らしさを描くことに成功している最高の作品。語るよりも観て涙を流すタイプの作品。

 

山口晋『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021』(2022)

刺さりまくりました。全年齢層に刺さるだろう「SF」を追求した先にあるような作品。戦闘作画はガンダムで観たよりもオバケが効いていて動きが半端ないです。また、身体の伸縮によって起こる一連の作画がすごすぎました。特に終盤にしずかちゃんがデカくなり、戦闘機から飛び出し海から顔をだすシーンは圧巻の一言です。一番出来が良かったのは、ラストの思い出話に持って行くときの全員の興奮した表情で満場一致な気がします。私は、次の瞬間にみんなの思い出話が始まるのだという「物語への予感」を感じさせる「間」に感動して泣きました。その他、監督インタビューでも触れられていたように、実写を作品のなかに出現させて、それを二次元のイラストと馴染ませているのも新しく面白い表現手法でした。

また、脚本についても一切文句なし。バトルによる緊張感が途切れないように組んだ構成は見事だし、それによって最後の戦いにまで持って行く手腕も素晴らしい。ややスネ夫を拗らせすぎたかと思わないでもないが、子どもが戦いに行くのだという異常性に対して、どこまでも自発的で、逃げるスネ夫を目の前にしたしずかちゃんも多くを語らない(みんな恐怖を抱いていることが分かっているので)ところが良かったです。銃撃戦となるとのび太の出番かなと思いつつも、意外にもみんなに満遍なく役割が与えられていたのもよく、スネ夫が発明キャラになっていたのも面白かった。大人が必ず子どもを守るべきシナリオと子どもの冒険を許容するシナリオのバランスの取り方は非常に難しいのだけれど、本作はそこもうまくやりつつ、誰が観てもストレスフリーに楽しめる作品に仕上げているのではないでしょうか。イチオシアニメーションです。これを機にドラえもんのアニメ映画をもっと観ていきたいですね。

ちなみに、本作は偶然に件の戦争を風刺しているように観ることができるのがすごいところです(『1984』的独裁社会)。現実も映画みたいな展開になれば良いのですが。

 

深澤敏則『デリシャスパーティ♡プリキュア』(2022)

現在5話目まで。これまでのプリキュアにない(と思う)お婆ちゃんの「ナレーション」や、毎話表示される名前テロップ、保護者的な存在である「マリちゃん」が面白い。この後どのように効いているのか楽しみだし、なかでもここねちゃんとかいうcuty girlがいるのがとても良いです。これまでずっと一人だったけれど、能天気な女の子に明るい世界に連れ出されて泣きそうになる女の子が好きなオタクにオススメのアニメ。グルメ要素もあるので、飯作画が良いのも良いところですね。

 

【10.5】
田豊『トロピカル〜ジュ!プリキュア』(2021)

最終回にして、百合キュア最有力候補の「まなロラ」のエモをぶっ潰したのでしばらくどのように評価をすれば良いのか悩んでいました。というのも、この作品において「今」という時間と「魔法」というテーマはもっと慎重に練られるべき要素だと思ったからです。トロピカル~ジュ!という単語からも分かるように、これは「トロピカル(夏=青春の季節=今という限定的時間)」と「ルージュ(メイク=魔法)」のふたつの要素が組み合わされた造語です。これは大変よくできたタイトルで、ローラという人魚とまなつという人間との差を埋める「魔法」(人魚が脚を手に入れる)と、どのような魔法でも埋まらない寿命という「時間」という二つの構造が組み込まれている点で(勝手に)めちゃくちゃ盛り上がり、二次創作小説でもその要素を多分に入れて作品世界を構築していました。ふたつには断絶があるのです。プリキュアになることで大抵のことは解決できますが、寿命や記憶という「時間」の流れに対しては無力にならざるを得ません。この点をまなロラを通して掘り下げてこそ、トロプリの真髄が描かれるのではないかとハードルを上げまくっていた私にとって、最終回の締め方はかなり雑だなと思わないでもないでした。「屍者の棺」に棺要素は無かったし。とはいえ、これは全部オタクの妄想なんだよなと思い、出されたものだけを吟味するとやっぱりそんな悪いわけでもないし、第33話「Viva!10本立てDEトロピカれ!」で描かれたような「既存制度の破壊」は、最終回でもグランオーシャンの記憶装置の破壊と百合カプ再会によるエモというかたちになって表現されているので、それはそれでいいのかもしれないと思い直して高評価になりました。エモに走って嬉しいのは私のような大きなお友達ですので、そういう意味でも「なんかしらんけど破壊は楽しいし面白いし気持ちいい」と子どもに思わせることの方が、女児アニメとしては優れているのかもしれません。

 

缶乃『あの娘にキスと白百合を』(2014)

最高の百合漫画でした。今まで読んでなくて恥ずかしいです。

百合群像劇としての完成度が非常に高く、人間関係の詰め込み方が巧い。全10巻で現代百合(現代百合って何?)の殆どを押さえられる気がするので、今もなお読まれ続けるべき作品だと思います。

本作品が含む百合カプの要素は以下の通りです。

「天才/努力型百合」「選手/マネージャー百合」「姉妹百合」「一目惚れ百合」「犬猿の仲百合」「ポリアモリー百合」「主従百合」「失恋の傷跡埋め百合(共犯百合)」「幼なじみ再会百合」などなど。

以上多くの百合形態について、ほぼ満点に近い表現がなされているので感動しました。全国百合博覧会だ。ちなみに自分の推しは「あやか×ゆりね」と「萌×瑞希」です。

最後の最後にタイトル回収に走って微妙な感じになったのだけが悔やまれますが、まあ許容範囲ではあるかもしれません。以下、好きな表現についていくつか抜き出します。

貴方に会ってから本当に碌なことがない……。

…それなのに気にかかって空回って…私どうかしちゃったんだわ…

ぜひまた来てね

貴方のこと気に食わないけど誕生日くらい祝わせなさい

千春はたぶん正しい だけどお別れがさみしいことは 正しい言葉じゃくつがえらないよ

乗りなよ

デコ先輩は悩みも解決 ヒマをつぶせて あたしは自転車で通学できる めでたしめでたし!

何かあったらと思うと心臓がいくつあっても足りないの 心配させないで

もしも今夜の月が 不恰好だったり とても大きくて綺麗だったりしたなら 

あと、8巻の後書きで、ライバル関係の良いところは相手の人格を受け入れることが出来なくても成立するところです、という内容のコメントがあり、「確かに」と思いました。絵もかわいいしいろんなカプを味わえるので百合のオタクに激pushします。

 

ウェス・アンダーソン『フレンチ・ディスパッチ』(2022)

最高の映画体験ができました。もうなんか良すぎてあちこちで泣いちゃった。ウェス・アンダーソンにしか描けない生きづらさみたいなのがあって、それは彼が得意とするオシャレでカラフルで整いすぎた世界によって、一層呼吸がしづらくなるように感じられる気がします。自分はそれが大好きなんですけれど、それプラス作品全体の構成が美しすぎたので、ラストシーンでは発狂しそうになりながら荒ぶる感情を抑えていました。夜風に当たると大声で泣くか笑うかしたかったので、映画館からの帰り道に自転車に乗りながら意味の無い言葉を叫びました。そういうエネルギーを受け取る作品です。絶対にオススメ。

 

【10】
阿部共実ちーちゃんはちょっと足りない』(2014)

これはバチバチに良かったです。ちーちゃんを無垢な人間に設定しなかったのがめちゃ良くて、人間を絶対に描いてやるという気概がすごい。貧困を団地に仮託しすぎ感はあるが(家宅だけに)、実際に団地というのは貧困の象徴でもあるので扱いづらい。貧困が卑しさにつながり兼ねない表現のなか、一般人に比べて圧倒的に様々なものが足りないふたりがどんぐりの背比べをして、ナツよりちょっと足りないちーちゃんが騙されることで美しさが保たれています。(たった)3000円で、恐ろしいドラマが引き起こされる点が、より一層ふたりの世界を小さいものにしていて苦しい。

以下、好きな文章です。

「はあ 私たちはなんだか私たちって 本当何もないな」

別に食べられないわけでもない 

全く物を買ってもらえないわけでもない 

ただ何もない最低限の生活の惨めな私に思わぬささやかな潤いがあった 

今日はきっといい日なんだ

ちょっとくらい ちょっとくらい恵まれたっていいでしょ私たち

未来がせまいよ

 

ゲームフリーク『Pokémon LEGENDS アルセウス』(2022)

「あ!野生のポケモンだ!」の「野生」とはどういうことかを教えてくれる大傑作。

ゲームシステムについてはかつてTwitterで投稿したものを転載します。

らしいです。

とにかくカイちゃんがかわいいのでオススメです。カイちゃんがかわいいので眺めているだけで元が取れる。

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ワサビちゃんもかわいい。
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私もかわいい。

【9.5】
くゥ『少女漫画主人公×ライバルさん』(2021)

一時期バズったような気もする、めちゃくちゃにいい百合作品です。4巻で完結済み。学年一のイケメンが気になる地味めなノンケ女の子が、学年一の美少女(イケメンと幼なじみでもある)から「あなたのような子がアイツと釣り合うと思っているの?」と難癖をつけられる作品。一見、百合から乖離した文脈のように思えるが、実は毎回美少女はノンケの女の子の女の子を口説こうとしているだけなのだというありそうでなかった話。これが延々と続きます。ずっとです。でもそれが面白い。最終的にノンケの女の子は誰を好きになるのか、まあネタバレすると美少女に恋をするんですけれど、その過程でめちゃニヤニヤできる神作品です。絵もとてもかわいい。

pixivで試し読みができるので気になる方は是非。

www.pixiv.net


公野櫻子『μ's Nowadays』(2021)

ラブライブ!SID難民キャンプ。穂乃果の金欠要素、海未の穂乃果へのお手伝い、ことりの暴走などの必須栄養素は一通り摂れますね。ページ数が少ないことだけが難点か。赤目先生のイラストが本当にかわいいので、眺めているだけでも幸せになれる一冊です。

積極的推し作品

【9】
岡田利規『三月の5日間』(2005)

この舞台は下のリンクから無料で観れるんですけれど、ていうかそもそもここで書いているのは戯曲でも小説でもなく舞台なんですけれど、なんかこれ書いている今は特に何も考えていないんですけど、いや感想書いているときくらい考えろよって感じなんですけれど、いま考えたらこの作品について考えて語ることってなんかあるのかなって思って考えてみたら、やっぱり何を書いたらいいのか分からなくなって、そういうことってあるとおもうんですけれど、ちょうどイラク戦争を舞台にした作品って珍しいこともあるし、作者もなんかこの時の気持ちを残しておきたいくらいの感覚で作った作品らしいので、もし良かったらロシアがウクライナに侵攻した今のタイミングで観るべき作品かもしれないんで、良かったら、あ、これ90分間くらいで終わるんですけれど、最後に好きなタイムスタンプ貼って終わります。

11:58~(まあここから飛べるわけじゃないのでシークバーを移動してもらうんですけれど)

youtu.be

 

ディーノ・ブッツァーティタタール人の砂漠』(1940)

「時の遁走」という恐ろしすぎるワードをテーマに据えた本作は、20代後半から40代前半に対して殺傷力を持っています。作品の構成は味気なく、特にイベントも起こらないのですが(『ゴドーを待ちながら』っぽい)、最後の最後までイベントを期待しながら読んでしまうあたりがもう終わりです。きっと私たちの人生も全部こんな感じです。すぐに終わり。だらだらすることに特に何も思わない人は読んでも大丈夫だとは思いますが、生きているだけで妙な焦燥感を感じるような人間は絶対に読まない方がいいです(読んだほうがいいです)。

以下、ベストセンテンスのお知らせです。

だが彼は自分があまり変わったとは思っていない、時があまりに速く過ぎ去ったので、心が老いる間がなかったのだった。過ぎゆく時に対する漠とした不安が日々につのるとはいえ、ドローゴは大事なことはこれから始まるのだと言う幻想になおもしがみついているのだった。

きっつ~。

 

※このあたりから作品に長文コメントするのがめんどくさくなってきたので雑コメも混ざってきます。

【8.5】
ポール・オースター『ムーン・パレス』(1989)

知り合いに教えてもらった小説。本の虫の学生が公園で野宿生活をしたり、虚言癖の老人のお世話をしたりとはちゃめちゃに面白い小説。エンタメ小説として万人にオススメしたい作品。

 

庄司創勇者ヴォグ・ランバ』(2013)

伊藤計劃『ハーモニー』は優しすぎる監視社会の延長線上に、戦争のない世界を夢想した。争いのない世界は、調和(ハーモニー)がとれた世界だ。脳内の「欲望」のモジュールによる闘争こそが人間の「意志」であると考える伊藤計劃は、ユートピアとして感情のない人間による世界の発明にたどり着く。それに対抗する術はないのかと考えた筆者による本作は、絶え間ない小さな紛争こそが人間の意識を守り、戦争を防ぐのだと主張する。綿密に考証された新世界は大変興味深く、SFのオタクなら『ハーモニー』と揃えて押さえておきたい作品。漫画で2巻なので手を付けやすいのも魅力のひとつです(小説なみにしっかり読み込むことが要求されるけれど)。

 

赤燭遊戲『返校』(2017)

台湾のインディーズゲーム。映画を強く意識した画面作りにより、媒体を縦横する表現手法の快感に身を浸すことができる。台湾の人々は、政府からどのように自由な思想を奪われてきたのかを、小さな人間関係を通して知ることができる。テーマとしては『牯嶺街少年殺人事件』に近いと思います。シナリオもすごく練られていて、「私はなぜここに居るのか」「何故あの子は銃を撃ったのか」「結局、誰が悪かったのか」という問いかけがなされていくので胸が痛くなる。10時間程度でクリアできる割には、得られるものが多すぎる最高のゲームです。ホラーゲームでもあるのですが、序盤が一番怖いように思うので頑張ってそこさえ乗り越えられれば、マジで快楽が待っています。

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この美しさ、良いですよね。
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怖い。でもかっこいい。
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明るい。MOTHER2のムーンサイドみたい。
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クリア後の世界の色彩、めちゃくちゃ良くないですか?

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エンディングではプレイヤーを移動させることができ、自分が動かしている間にスタッフクレジットが浮かんでくるという仕組み。最高なんですよね。

 

相沢沙呼『medium 霊媒探偵城塚翡翠 』(2019)

ミステリ小説を「なんか知らんけど探偵が勝手にトリックを見つけてクリアしてくれる楽ちんコンテンツ」と考えている読者を全員煙に巻く小説。悔しいけれどかなり面白いので騙されても全然いいと思います。

 

宇佐見りん『推し、燃ゆ』(2020)

身体の重さを痛みと引き換えに忘れさせる推し、という設定が勝ちだと思う。肉体とは重力に従えず、勝手に成長して勝手に落ちていく自分勝手なものだが、その所有者である自分が全く身体を制御できていない点に本当の恐ろしさがある。一方的に下に落ちる重さではなく、痛みは内的な方向、つまり精神に向く点で自分を確かなものと認識させる重要なものであり、推しこそが先天的な重みを自らの人生を肉付ける変換装置なのだという読み方をしました。綿棒を拾い、骨を拾い、四つん這いになって進んでいくラストは圧巻。好きなセンテンス・イズ・アンダー。

携帯やテレビ画面には、あるいはステージと客席には、そのへだたりぶんの優しさがあると思う。相手と話して距離が近づくこともない、あたしが何かをすることで関係性が壊れることもない、一定のへだたりのある場所で誰かの存在を感じ続けられることが、安らぎを与えてくれるということがあるように思う。

家というものは、乱暴に引かれた椅子や扉の音が堆積し、歯軋りや小言が漏れ落ち続けることで、埃が溜まり黴が生えて、少しずつ古びていくものなのかもしれない。その不安定に崩れかかった家はむしろ壊されることを望んでいるようなところがあった。祖母の訃報があったのはまさしくその頃だった。

コンソメの匂いがする汁に浮いた油のひとつひとつに、蛍光灯が映っている。

草の上に落ちる水の重さがそっくりそのまま面倒くささだと思い、ぜんぶ手でしぼってから放置した。

文章表現が的確で巧いですよね。すごいです。

 

篠原啓輔『その着せ替え人形は恋をする』(2022)

今期のアニメのなかで一番好きかもしれない。オタクに都合のいいギャルというだけで面白くないはずなのに面白いのは何故。8話は非常に力の入った映像が見れて大興奮でした。見てない人も8話だけは観た方が良いと思います。

絵コンテ演出 川上雄介
作画監督 小林恵祐

メモした方々。あともうちょっと、続きが楽しみです。

 

オススメの手札に入る作品

【8】
M・P・シール『紫の雲』(1901)

世界から自分以外の人間が滅びたらどうなるかを徹底追求した幻想文学。自分がいままで読んだ作品のなかで最も「死体」というワードが入っていたかもしれない。それくらい夥しい量の死体が出てくる。

作品の概要としては「世界の最果てに行ったら何故か世界が滅んでワロタ。人間全員死んでるし、やることないから街でも燃やしまくったろ」という感じになる。序盤では、主人公のアダムが最果て(北極)に行った時に見る生物の描写が良かった。

湖の湛えている液体は、柱のまわりを常に西から東へ、地球の自転の方向に、はねを上げ、はためきながら、恍惚にふるえて旋回していくように見えた。そして――どのようにしてかは全くわからないが――この液体はある生物の本体なのだと悟り、五感が麻痺してゆく中で、はっきりと思った――そいつはたくさんのどんよりした、苦悶を浮かべた眼を持つ生物で、はためく欲望に駆られて永遠にグルグル回り、その間ずっと、柱に刻まれた名前と日付に眼を向けているのだと。

クトゥルフ感のあるこいつを見た瞬間、アダムは気を失ってしまい、起きたら人間全員死んでいるわけだが、そこから世界を見て回る細部への描写がえげつなかった。本当に死んだ世界を旅しているかのような錯覚に陥るほど、徹底的に「死んだ世界」を描写する。余すことなく。人間の主な死因である桃の花のような毒ガスは防腐効果があるからなかなか生物が腐らないだとか、アダムは船も電車も車も運転できるマルチタレントの持ち主だとか色々ツッコミどころはあるものの、気が触れたような描写力には感服するほかありません。どうやったらここまでの世界を描けるのだろうか。ただ、登場人物はほぼ一人なので、中盤の展開は動きがなさ過ぎて飽きると思います。街を燃やすだけだし。終盤になるとまた面白くなるので、頑張って堪えて欲しい。

ちなみにテーマとしては「人間は滅ぶべきか否か」みたいな部分にも触れていて、まあ性善説的に多少の悪事には目を瞑ってOKみたいな流れになります。

最後に、こちらの本は3年前に自分の誕生日祝いにフォロワーさんがプレゼントしてくれたものでした。この場を借りて感謝します。ありがとうございました。

 

阿部共実大好きが虫はタダシくんの』(2013)

初の阿部共実作品。安定したかわいい絵柄がとても好みです。

『ドラゴンスワロウ』は百合としても良いし、台詞回しも非常に気に入っている。

2話 「自分の名前をよく忘れる燕先輩が、名前を書くだけで受かる高校に落ちる」というエピソードは最強だと思った。

4話

おんぶという遊園地に来てこの世に一つだけのアトラクション

ありきたりだが百合になると途端に素晴らしい。

5話では阿部共実あるある、シャボン玉や鏡面での過剰なまでの描き込みを観ることができます。

『あつい冬』は何がしたいのか全く分からないが悲しくなった。

『デジタル人間カラメ』はもっと訳が分からん。特に好きになる要素はない。

表題作『大好きが虫はタダシくんの』は虐げられる人間のやるせなさが表現されていて悲しくなった。阿部共実の漫画は悲しくなることが多々ある。

 

阿部共実『死にたくなるくらいしょうもない日々が死にたくなるくらいしょうもなくて死ぬほど死にたくない日々』(2014)

収録作の『8304』と『7759』は、モノクロ漫画で色を描こうとしている阿部共実作品のひとつの到達点だと思っています。


ナヴォット・パプシャド『ガンパウダー・ミルクシェイク』(2022)

斜め上のアクションを見せてくるおもしろ映画。ネオンライトを基調とした背景もグッド。笑気ガスを吸った三馬鹿トリオと腕を麻酔された殺し屋女性のバトルは文字にするだけで面白い(死に方はエグい)。グロはないので安心して観ることができる映画ではあるが、幼児の扱いが微妙。父親を殺したやつに優しくされたからと言って、素直にひょこひょこついていくかしらとずっと思っている。百合を求めて観に行く映画ではなく、一風変わったアクション映画としてならとても楽しめると思います。これを言うと怒られるかもだけれど、主要人物を女性で固めた意味があまりないような気がするので(特に男をこき下ろす訳でもないし)ジェンダーについても触れてくれると嬉しかったかも。


筒井康隆文学部唯野教授』(1990)

かなり面白い。実はAmazonのAudibleで聞いたのだけれど、めちゃ楽しめました。筒井康隆がこんなにギャグセンスに溢れているとは思わなかった。子どもっぽいんだけれど大人をやっている、未熟な人間を書かせるのが本当に巧い。また批評論としても勉強になるので読んで損はないと思います。結局ポスト構造主義で終わってしまったけれど、今の最新批評理論はいったい何なんだろう。

 

panpanya『蟹にさそわれて』(2014)

panpanya。もっとグロくてアンダーグランドでベロベロしている作品かと思ったが、常に日の当たっているトゲトゲのヤドカリみたいな作品ばかりで良かったです。トゲトゲした貝殻、不穏を演出しておいてやさしい顔を出すヤドカリ。そんな感じ。メモも「ホタルイカでよかった」や「たくあん製造機でよかった」、「明日も祝日でよかったね」「無事に帰れてうれしいね」とかが並んでいて平和です。もっと読みたいので読みます。


カート・ヴォネガット『これで駄目なら』(2015)

本当にめちゃくちゃ良かった。ヴォネガットの講演集。糸井重里が帯にコメントを寄せていたが、確かに言語センスは似ているのかもしれない。

1978年ニューヨーク州立大学の講演が良すぎたので以下一部引用。

君にとってのコミュニティは世界の全てに相当する。他の全てはにぎやかしだ。

基本的に、言うべきことはこれだけだ。これでおしまい

ここで金を稼ぐコツを公開しよう。懸命に働くことだ。愛を勝ち取る秘訣はこうだ。いい服を着て、いつも微笑んでいること。最新のヒット曲の歌詞を全部覚えるといい。他のアドバイス? 必要な栄養を摂るために、フスマをたくさん食べること。父が私にしてくれた唯一のアドバイスはこんなのだった。「耳に尖ったものを突っ込んじゃいかん」

本当の季節を発表しよう。春は5月と6月!5月と6月以上に春らしい時期があるか? 夏は7月と8月。暑いから。そうだろ? 秋は9月と10月。かぼちゃだぞ?焚き火の香りもする。次の季節は「施錠」だ。自然のあらゆるものが停止する。11月と12月は冬じゃない。施錠だ。次に冬が来る。1月と2月。そうだろう!寒いもの!お次は? 春じゃない。「解錠」が次に来る。4月はそれ以上にないじゃないか?

武器は健康にいい。脂肪もニコチンもコレステロールも含まれていないから。

こういう文章が書けるようになりたいです。


小林 敦『Just Because!』(2017)

友人に勧められてアニメを視聴。人間関係を描いていて良かった。異性愛主義者ばかりでも丁寧にお話が進むのは好きです。


水島 努『ウィッチクラフトワークス』(2014)

これ観ていてめちゃくちゃ興奮しました。アニメ、最近面白くないなあ。ついに俺はキモオタからオタを無くしたキモになったのかなとしょんぼりしていましたが、これを観たらマジで面白かったので良かった。最近のアニメがおもんないだけです(俺のアンテナが2010年代前半で折れているだけ説はある)。水島努監督作品からしか得られない栄養素というものがあって、それを自分は求めているのかもしれない。EDの楽しさは異常。


涼川りんあそびあそばせ』(2015)

アニメ放送時に、ふ~んおもしろいギャグ漫画だなと思ってから数年後、11巻あたりから現在にかけて展開されている「美術部」「新聞部」たちの人間関係がかなり複雑で、シャネルとぺんぺんと部長がマジでやばいことになっている。ヤバめの百合漫画として目の前に立ち上がる本作から目が離せない。最新の123話を読むだけでもその異常性が分かるはず。エルメスも生徒会長が好きらしい。なんかもう無茶苦茶だ。

seiga.nicovideo.jp

ちなみに、この方向性によって主人公たちが属する「あそ研」がやや空気になっているのは仕方ないか。ちょっとギャグも控えめになり、割と真剣に方向転換しているのかもしれない。あと、あそ研のなかでも香純ちゃんが青空さんにガチ恋し始めていることで、あそ研がやや不穏になっているので、そういう方面でも新たな局面を迎えつつあります。これからが楽しみ。

 

米田和弘『かげきしょうじょ!!』(2021)

アニメ。真剣に舞台をやっていて良かったです。

 

【7.5】
安田弘之ちひろさん』(2013)

知り合いから勧められてよかった漫画。かなり好きな作品だったのだけれど、この作品が採点によってこの位置になるのはあまり好ましくないようには思います。今回採用した基準にも改善の余地がありそうですね。

人生が苦しい人は、ここで描かれているちひろさんの生き様に触れてかなり救われるように思うのですが、一方でこの作品は他人に変な期待を寄せるのを辞め、自分ひとりだけの脚で立つことを奨励してもいるので、ちょっとビターな感じもあります。こういう生き方やりたいですよね。なかなか難しいところではあるのですが。

 

ヴィクトール・E・フランクル『夜と霧』(2002)

恥ずかしながら未読でした。死ぬまでに読めて良かった。人間の尊厳をどのように考えるかという設定において、やはり「名前」は非常に重要なのだと痛感した作品。名前を剥奪し番号を与えることは、その人の生命から目を背けることでもある。その人の存在、人生そのものを認めない姿勢こそが、名前の奪取に繋がっている。これについては『乙女の密告』でもしっかり触れられているので、共通見解っぽいですね。

 

デスティン・ダニエル・クレットン『シャン・チー/テン・リングスの伝説』(2021)

楽しかったです。映像も脚本も良く、マーベル面白いなあと思えました。

 

川田脩壱『深世海 Into the Depths』(2019)

これ、かなり新しく独自路線を走るゲームだと思います。自分以外に誰もいない世界で、仲間を探してどんどん深みへ潜っていくゲーム。途中で明らかにメカっぽい生き物も出てくるのですが、これはいったい?というSF感も楽しめるゲーム。言語が殆ど排されているので、雰囲気を思う存分楽しめる作品。

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深海にある、なぞのラボっぽい場所。
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潜水艦にも乗れます。

ヘッドホンでのプレイが推奨されているのですが、実際にやると没入感がヤバかったです。気持ちいい~。SF的背景を読み解いていくのも面白く、最後のボスには感動すら覚えます。面白いです。

 

山内マリコここは退屈迎えに来て』(2014)

田舎の人間が読むとかなりキツくなるエピソードが揃っている特化型短編小説集。ここに田舎の若者のすべてのエピソードがカバーされているような感じで、解像度の高さに笑ってしまう。自分は読んでいて悲しくなったが、一周回って田舎の幸福な過ごし方を学べた気がして良かった。友達と車さえあれば田舎ってマジで暮らしやすい最高の街なんですよね。俺は全て持っていないので都会の方がいいような気がしてきました。

 

橘正紀『ブルーサーマル』(2022)

 

三簾真也『お湯でほころぶ雪芽先輩』(2021)

2巻まで読了。絵がかなり丁寧で綺麗なので読みやすいです。性転換をしない『らんま1/2』みたいになっていますが、社会人百合として素直に面白いです。実際の都内の温泉を紹介してくれるのが有り難く、いつか聖地巡礼しようと思います。

 

辻村深月かがみの孤城』(2017)

面白かったです。本作で提示された、「引きこもりの子達が如何に自分たちをケアしていくか」という問題に対して、自分と似たような境遇の子達を集めるというのはひとつの手段だと思うのですが、現実にそのような場所がないなら地獄だなと思いました。作品としては構成も模範的で素晴らしい小説だと思います。隠れ百合があるのでそこは加算しました。

 

京極尚彦ラブライブ!スーパースター!!』(2021)

まあ、いいんじゃないでしょうか。かのちさが好きです。でも未だにクゥすみがあの関係に至るまでの説明は不足しているように思います。クゥクゥがかのんへの興味を急速に失いすぎでは?というのがある。中国人は日本人と比べて自己主張をしっかりする傾向があるように思うので(これ偏見だったらすみません)、千砂都とキャットファイトをするものだと思っていました。

 

秋田谷典昭『スローループ』(2022)

癒やしアニメですね。

 

まずまずな作品

【7】
阿部共実『月曜日の友達』(2017)

周囲の人が言っているほどのすごさが分からなかった。面白くはあります。

 

スティーブン・スピルバーグ『ウエスト・サイド・ストーリー』(2022)

 

原田マハ『本日は、お日柄もよく』(2010)

スピーチも話の構成も巧いのですが、作品中に政治が過度に美化されて出てくるのが読んでいて苦しかった。比較的マシ、というのはあると思うのだけれど、全面的に正しい政党なんてものは無いはずだし、そのご都合主義はあまり好きではない。

 

Mountains『florence』(2018)

セリフのないさっくりプレイできる雰囲気ゲーム。ゲーム体験としてはかなりよかったんですけれど、作中人物の恋愛にまったく感情移入できなくて草でした。

 

水島精二『フラ・フラダンス』(2021)

劇場版アニメーション。震災を下敷きに、復興の象徴としてフラダンスを扱うことがうまく噛み合っていない気がする。別に震災に触れなくてもいいのではないかと思いながらも、そういう「祈り」系統の話になると口出し無用感が出てくるので、そのまま受け止めるしかなさそう。転んでも前を向く、というのがフラダンスの新人にも言えることであるのはそうなのだけれど、せっかくダンスをやるのだから、肉体を通した何らかの要素を作品構造に組み込めていれば嬉しかったかも。といっても特に思いつかないので難癖感はある。

 

篠原俊哉『白い砂のアクアトープ』(2021)

パワハラ上司がキツい。百合を上回るキツさだった。

 

羽鳥 潤『大正オトメ御伽話』(2021)

初回を見た時には炎上する!と思ったが案外そんなことはなかった。楽しく見れました。隠れ百合があります。

 

【6.5】
アンディ・サーキス『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2021)

公式による二次創作。BL版ぷにる感がある(そうか?)。

 

村田沙耶香『消滅世界』(2018)

設定も前衛的でかなり良い。一部、キャラが人間とは思えないような喋りをする箇所があり、恐怖を感じた。先天的に大多数の人間がキャラクターに恋をするのはなぜなのか未だに理解できておらず、もうちょっと読み込む必要があるのかもしれない。家族が常に動物として表現されたり(ペットのような扱いに)、ウミガメの産卵と同じように人間の出産もシーズンを迎えるという描写は良かった。お骨をみんなで墓地にある「おかあさん」という粉の集合体に撒く描写も楽しかった。もうちょっと点数が高くてもいいような気がするが、まあそんなものかもしれない。

 

吉富昭仁『リリィ・システム』(2019)

悪くはない。百合ではある。

 

大岩ケンヂ『GOTH』(2003)

わたモテで、もこっちがゆりちゃんに渡す漫画。乙一原作。面白かった。絵がセンスありますね。

 

マット・リーヴス『THE BATMAN-ザ・バットマン-』(2022)

けっこう面白かったんですが、好きかどうかで考えると微妙。自分のなかでノーランが絶対的になっていて、それのせいかもしれない。栄養失調みたいな顔をしているロバートパティンソンはよかったです。

 

朝井リョウ『世にも奇妙な君物語』(2018)

まずまず。『13・5文字しか集中して読めな』と『脇役バトルロワイアル』が面白かったです。

 

いしづかあつこ『グッバイ、ドン・グリーズ!』(2022)

悪くはないのですが、いろいろ余分な箇所があり、そこを削ればもっと良くなったのになあとクレーマー発言をしたくなるので自分向きではない説があります。とはいえラストで泣いたので感情を揺さぶられたのは事実です。

 

Four Quarters『Please, Do not Touch Anything』(2015)

人生初のゲーム実況をしてみた作品で思い入れが深いです。権利関係もありますし、ゲーム記録のつもりでやったので公開はしていません。キヨの実況動画を観ていたら、自分にはないトークスキルを持っていて、友人もいて悲しくなりました。

(脱出系?)ゲームとしてはかなり面白い部類に入ると思いますが、難しすぎてイライラしたのでこの点数にしています。

youtu.be

 

山井紗也香『異世界美少女受肉おじさんと』(2022)

なんとなく観ています。別に隠すことでもないので性転換が性癖なことは白状しますが、可逆性があると萎えるので最終的には固定化でお願いしたいところです。

 

自分からは話をしない作品

【6】
Fumi『7年後に待ってる』(2021)

シナリオも面白いしいろんな賞を取っているのは事実なのですが、話の区切りが毎回同じ「……ってコト!?」という感じで終わる点と、エンディングを迎えてもエピローグというかたちで永遠に続くシナリオが謎すぎてあまり好きではないです。ラストも自分好みのものではなかった。サブで百合があります。

 

ジェーン・K・クリーランド『物語のひねり方』(2018)

為になる情報の50倍くらいの文量で書かれた書籍。

 

阿部共実『ブラックギャラクシー6』(2014)

普通に面白い漫画であり、それ以上でもそれ以下でもない。ギドラとカレルナの関係性の進み方はさりげなく、最終回の終わり方も好き。

 

野上武史『はるかリセット』(2021)

「グルメ・酒・温泉で日頃のストレスを発散!」という自分好みの要素で詰まった漫画だが、理想的すぎて眺めているうちに「何故自分はこのような生活ができないんだろう?」と苛ついてきたのであまり読みたくなくなりました。

 

片貝 慎『CUE!』(2022)

友人曰く「百合として化ける」らしいのですが、6話現在あまりそんな雰囲気はないです。

 

錦織 博『トリニティセブン』(2014)

2年に1回は観ようと思い立ち、下品さに1話切りするのですが、今回はうまくいって8話まで見終えています。

 

【5.5】
秋田谷典昭俺を好きなのはお前だけかよ』(2019)

12話完走。俺を好きなのはお前だけらしいです。

 

【5】
東川篤哉謎解きはディナーのあとで』(2010)

面白いのだけれど、採点するとなんかアレなことになりました。決して悪くはないです。

 

又吉直樹『火花』(2015)

全体的に好きになれませんでした。文章も構成もうまくない気がする。

 

【4.5】
犬堂千絵『アルテミスの爪紅』(2019)

not for me.

 

【4】
三木聡『大怪獣のあとしまつ』(2022)

下品。「大怪獣のあとしまつ」というテーマのみ評価しています。

以上、消費コンテンツでした。

 

生産コンテンツ

【百合文芸4】あの日、私たちはバスに乗った

www.pixiv.net

百合文芸4に滑り込みで応募しました。本当は今回もスルーするつもりでしたが、よく考えたら最近消費しかしてないなと思ったので書きました。19999字が短編部門の上限だったので、めちゃギリギリの19998字で投稿しています。最近の関心事や好きな技法をまるごと詰め込んでみたのですが、成功しているかは分からないです。

 

はてな匿名ダイアリー

特に意味の無い文章を書いていました。

anond.hatelabo.jp

 

はてな匿名ダイアリー

炎上も視野に入れて書いたのですが、ウケが良くなかったのと誰かを傷つけているような気がして良くないなと思って辞めました。以降何も書いていません。

anond.hatelabo.jp

 

以上、生産コンテンツでした。

ご意見、ご要望、オススメ作品などはこちらから。

marshmallow-qa.com