新薬史観

地雷カプお断り

奥田英朗『イン・ザ・プール』読んだ!

奥田英朗イン・ザ・プール』(2006)

イン・ザ・プール:中古本・書籍:奥田英朗(著者):ブックオフオンライン

イン・ザ・プール ドクター伊良部 (文春文庫) | 奥田 英朗 | 日本の小説・文芸 | Kindleストア | Amazon

【総合評価】9.5点(総合12点:全体10点+百合2点)

【作品の立ち位置】

ガチで大事にしたい作品(9<x)

積極的推し作品(8<x≦9)

オススメの手札に入る作品(7<x≦8)

まずまずな作品(6<x≦7)

自分からは話をしない作品(x≦6)


【世界構築】2点 (2点)

正直言ってめちゃくちゃ面白く、エンタメ作品としてかなり優れているように思う。変な悩みを抱えた患者を伊良部という精神科医が治療するのだが、彼のキャラクター性がかなり強烈で、それに負けないくらい患者の症状もヤバいので本当に笑える。

今作に出てくる患者は以下の通り。

1 水泳依存症

2 勃起し続ける人

3 ストーカー被害妄想

4 ケータイ依存症

5 極度の心配性

う~ん、もう面白いですね。

 

【可読性】1点 (1点)

すらすら読める。


【構成】2点 (2点)

短編集だがしっかりと一編一編にスリルがあって、読後の爽快感がすごい。読者がやめてくれよと思うところまでしっかり踏み込んでくれるので、本当によく考えられていると思う。

 

【台詞】2点 (2点)

キャラクターが非常に活き活きしている。台詞の捌き方も見事だと思う。

 

【主題】1.5点 (2点)

多くの症例は、何かしら他人に言えない自分の弱みが原因になっており、それらは孤独や恥ずかしさや劣等感であることが多い。なら解決しちゃえば良いじゃんと子どものように話す伊良部の無邪気さが、この作品の主題となっていて良かった。人間は全員お利口さんになりすぎ。もっと自分を解放しようぜ。

 

【キャラ】1点 (1点) 

たいへん魅力的だった。

 

加点要素

【百合/関係性】0点 (2点)

該当描写なし。

 

【総括】

素直におもしろ文章として激推ししたい作品。話の展開はジェットコースターみたいだが、きちんと心地よい場所に戻ってくる安心感があるという意味で本当のアトラクションに近い。ちなみに余談だが、このシリーズは三部作であり、それらを纏めたアニメ『空中ブランコ』も存在する。そちらもえげつない名作なので、また近々書こうと思います。