※この記事にはネタバレがあります。未視聴の方は十分お気をつけ下さい。
藤井道人『最後まで行く』(2023)118分、日本
<あらすじ>
ある年の瀬の夜、刑事の工藤は危篤の母のもとに向かうため雨の中で車を飛ばしていたが、妻からの着信で母の最期に間に合わなかったことを知る。そしてその時、車の前に現れたひとりの男をはねてしまう。工藤は男の遺体を車のトランクに入れ、その場を立ち去る。そして、男の遺体を母の棺桶に入れ、母とともに斎場で焼こうと試みる。しかし、その時、スマホに「お前は人を殺した。知っているぞ」というメッセージが入る。送り主は県警本部の監察官・矢崎で、工藤は矢崎から追われる身になってしまう。
あらすじ引用元
https://eiga.com/amp/movie/98423/
公式サイト
【総合評価】9.5点(総合12点:全体10点+百合2点)
【作品の立ち位置】
オールタイム・ベスト・コンテンツ(10<x)
ガチで大事にしたい作品(9<x≦10)
積極的推し作品(8<x≦9)
オススメの手札に入る作品(7<x≦8)
まずまずな作品(6<x≦7)
自分からは話をしない作品(5<x≦6)
オススメできない作品(x≦5)
【世界構築】1.5点 (2点)
刑事物、というよりクライムサスペンスという分類になる。目まぐるしく変わる状況の中でみなが最善を求めた結果、訳のわからない状況に陥っていく緊張感が画面から伝わってきて良かった。結構シリアスめではあるが、適度なギャグを受け入れる懐の深さを見せるのも好み。
【可読性】1点 (1点)
飽きずに見ることができた。
【構成】2点 (2点)
最初は工藤サイドで物語が進められるが、視点を切り替え矢崎サイドで物語の隙間を埋めていくことで緊張感を高め、実は矢崎は工藤よりずっとヤバい男であることを明かすのが面白い。所々でギャグやスリリングな描写を挿入して観客を飽きさせないのも好み。かなり良かったのは、工藤から矢崎への視点の切り替え場面と、一番最初の工藤のイライラがバカみたいに高まっていくシーンだろうか。あと細かいところだと、死体を隠さなきゃ!という文脈でのスリリングな展開から、死体を見つけなきゃ!という文脈に接続されるのが気持ちよかった。ラストはやや蛇足気味ではあるが、それでも物語として「矢崎を追いかける工藤」という構造を徹底的に保ち続けたのは素晴らしく、文句なしの傑作だったように思う。
【台詞】0.5点 (1点)
特に響いたものはない。
【主題】2点 (2点)
死体を隠そうとする工藤と、絶対に死体を見つけたい矢崎という二人の追いかけっこが、死体という目的を失ってもなお意味もなく続くという「無」のような映画だが、それが素晴らしい。人間ってやっぱり生き甲斐が必要ですからね。何が何でも最後まで追いかけたくなるような相手がいると人生が豊かになって良いのではないでしょうか。
【キャラ】1.5点 (2点)
岡田准一が演じる工藤の憎めない感じも良いが、やはり何といっても綾野剛が演じる矢崎のキャラの素晴らしさが光る。特に矢崎のチックには目が惹かれる。ただ、矢崎のキャラが強すぎるあまり、他のキャラが薄めになっていたように感じた。自分はとにかく変なキャラが出てくれば出てくるほど嬉しいので、矢崎みたいなのがあともう1人いてくれたら助かったかもしれない。まぁ組長も結構キャラは強かったが……。
加点要素【百合/関係性】1点 (2点)
全く百合ではないが、工藤と矢崎の関係性には素晴らしいものがあった。これ二人とも女性だったら本当に百合として最高だったと思う。
【総括】
よかった。こういう映画、これまでありそうでなかったのではないだろうか。原作は韓国映画で本作はリメイクということなので、ぜひとも原作も観てみたいと思う。
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