※この記事にはネタバレがあります。未視聴の方は十分お気をつけ下さい。
S・S・ラージャマウリ『RRR』(2022)179分、インド
<あらすじ>
1920年、英国植民地時代のインド。英国軍にさらわれた幼い少女を救うため立ち上がったビームと、大義のため英国政府の警察となったラーマ。それぞれに熱い思いを胸に秘めた2人は敵対する立場にあったが、互いの素性を知らずに、運命に導かれるように出会い、無二の親友となる。しかし、ある事件をきっかけに、2人は友情か使命かの選択を迫られることになる。
あらすじ引用元
https://eiga.com/amp/movie/96903/
公式サイト
【総合評価】8点(総合12点:全体10点+百合2点)
【作品の立ち位置】
オールタイム・ベスト・コンテンツ(10<x)
ガチで大事にしたい作品(9<x≦10)
積極的推し作品(8<x≦9)
オススメの手札に入る作品(7<x≦8)
まずまずな作品(6<x≦7)
自分からは話をしない作品(5<x≦6)
オススメできない作品(x≦5)
【世界構築】2点 (2点)
この映画でしか観られない映像があまりに多く、それぞれの要素の是非はどうあれ、非常に独創的な空間が作られていたように感じる。ナートゥの寄与も大きい。
【可読性】1点 (1点)
長めの映画だが、飽きずに見ることができた。
【構成】1.5点 (2点)
ショッキングな事件でイギリス人とインド人の決して埋められない溝や立場の違いを強烈に提示し、ビームとラーマを運命的に出会わせてから、対立するはずの彼らが何も知らずに交流を深めていく、というのはテンプレではあるがやはり物語としての威力が強い。宮殿を強襲してからはほとんど構成なんてクソ喰らえな感じではあったが、全体的に配慮が行き届いているような印象を受けた。
【台詞】0.5点 (1点)
特に響いたものはない。
【主題】0.5点 (2点)
あらすじにもあるように、本作は主役のふたりが友情か使命のどちらを選ぶかがテーマになっており、そこは純粋に面白く観れるのだが、結局彼らの共通の敵がイギリス(インド帝国総督)であることが明らかになってからはひたすらイギリスヘイトが始まり、いかにインドとイギリスのパワーバランスを構築するかという話になる。「言語が伝わらなくても感情を共有しインド(人)のすごさを肉体的にアピールできるナートゥ」や「警察官としてキャリアを積み上げ、銃を大量に仕入れ、自分の好きに配備させることができるようになっても解決手段は銃ではないと思い配備しなかったラーマ」などの布石から当然和解するのかと思えば、もう完膚なきまでにインド帝国総督のいる宮殿を武力やら謎の呪術?やらでボコボコにして、勧善懲悪モノの劇場版スカッとインディアとして幕を閉じる。流石に空いた口が塞がらない。もちろん、インドはイギリスの暴虐を全て許す必要があると言いたいわけではないが、作品に和解の要素を散りばめて結局武力に振り切るのは納得できず、どうせなら最初から最後まで武力ですべて片付けて欲しかった。まぁその場合でも、ただでさえコロナで世界が分断されているのに、さらに人種を分断させようとする作品を出す意義が私には掴めなかった。まぁでもインドにとっては切実な問題なのでそれは社会情勢とは別に歴史的事実としていつでも発信され得るものなのかもしれない。
【キャラ】1.5点 (2点)
みな個性が大変強く、楽しめた。みなが理性的ゆえに狂気の要素が薄かったのが残念である。
加点要素【百合/関係性】1点 (2点)
百合ではないが、ビームとラーマの関係性に点数をあげなければここにある記事の全てが嘘になってしまうので1点を付けました。この二人は本当に良かったですね、バベルボベルにもなりますし。
【総括】
全体的に楽しめたものの、ナートゥという甘いベールでイギリスヘイトと暴力主義を隠した本作との精神的距離感はかなり掴みにくいというのが正直なところである。ただ、なんかやりたい放題やって映像的に無茶苦茶になるのは心地よかった。エンタメ部分については非常に参考になる作品だと思う。
最後にすんごくどうでもいい話だが、公式サイトでは監督のS・S・ラージャマウリの肩書きが「創造神」になっていて怖かった。それって創造神のブラフマーと対立したりしないのかな。大丈夫?
以上。
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