新薬史観

地雷カプお断り

昨日、チェスを覚えました♪

 

昨日、従兄弟が家に来たので、ひたすらボードゲームをしました。その結果、私が将棋で1勝、オセロで1勝、五目並べで6勝1敗(くらい)と大人気なくボコボコにしたのですが、ふともう少しイーブンな勝負はないか?ということで、チェスをやることにしました。

 

みなさん、チェスのルールって知っていますか?

実は私も従兄弟もルールを知らなかったので、まぁこれなら有利不利も発生しにくいだろう(なぜなら戦術を立てるまでに時間を要するので)ということでやってみました。

 

そこで、プレイして2秒の感想ですが、

チェスのルールが謎すぎてビビりました……。

 

私はチェスは西洋の将棋だろうと思っていたので、なんとなく上下左右に動きそうなやつの邪魔になっている「歩」に該当しそうな一番前のコマを動かそうとしたのですが、奴ら一気に2コマも進む。

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流石にビビりましたね。「これ、将棋よりも加速が求められているわね!」と思って2コマ前に進めると、向こうも何クソと2コマ進める。

じゃあ歩を取らせてもろて、と思って操作しようとしたのですが、実はそうはいかないんですね。

そう、いくら歩を触っても、動かすことができないんです。

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あれ?こいつって攻撃能力がないのか?それともお見合いが発生して膠着状態に入ったのか?と議論したのですが何もわからず、仕方がないので桂馬っぽい馬を動かします。

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うわっ。

こいつめっちゃ動くやん!

全方位桂馬だと騒いでいましたが、一番盛り上がったのは歩の本当の攻撃能力と、移動能力が判明した時です。

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えっなにこいつ。

2コマ進むのは初回だけだし、そもそもこいつ斜め前に攻撃すんの!?無理無理無理無理無理怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!!!!!!!!

 

流石にキモすぎてチェス辞めました。

 

私はこういう、一番ノーマルな顔をしていながらめちゃくちゃ変な性癖を持っている奴を最も警戒しているんです。もはやラスボスじゃないですか。こんなんじゃまるで吉良吉影だし、あるいはペルソナ4のガソスタ店員とも言えます。

は〜もうほんと怖すぎ!

しかもそいつが横一列にずらーーーーーーーっと並んでいる恐怖といったら!

 

悪夢かと思いましたね。

もう二度とチェスはしません。

 

2022年のいちばんだったもの 総まとめ

2022年にあったさまざまな「いちばんだったもの」を検討していきます。

いちばん楽しかったこと

negishiso.hatenablog.com

オタク友達と中国地方旅行

 

いちばん悲しかったこと

飼ってたポメラニアンの死

R.I.P.

ちなみに祖母も今年亡くなったのですが、彼女は認知症だったため、私の知っている祖母はずいぶん昔にいなくなったようなもので(認知症になると途方もないことをしてくるので逆に笑えてきます)、あまり悲しみを感じなかったのが逆に辛かった。まあ、祖母の方がうまく自分の世界を表現できずに苦しんでいたと思いますが。元気なときは信心深く墓参りを熱心にしていた人だったので、どうか安らかに眠って欲しい。

 

いちばん嬉しかったこと

www.pixivision.net

第4回百合文芸の選評で自作の褒められが発生したこと

 

いちばん面白かったこと

ランジャタイの相席食堂

 

いちばん苦しかったこと

12月31日が締め切りの文藝賞短編用の原稿がまだ書き終わらない(この記事も現実逃避のために書かれたものだ)

 

いちばん感情がバグったこと

当時読んでいた放浪息子が修羅場を迎えてうわーってなってる出張先で友人と酒飲んで泥酔して社用携帯紛失した後に実家からポメラニアンが危篤だと告げられたこと。

 

いちばん泣けたこと

これ:アニメ『DIY』のロリぷりんの指をロリせるふがハムハムするシーン(※コミカライズではぷりんの指ではなく駄菓子の袋をハムハムしていることをナーフとしている。幼なじみ百合レベルがガクッと下がるので)

 

いちばん怒ったこと

スクフェスパーティコレクションの突然の更新期間延長、およびレギュ変更

 

いちばん無になったこと

多分このなかで一番「無」なのは非オタクに話を寄せようとして見事に失敗した一番上。

 

いちばん美味しかったもの

下関で食った名物の瓦そば

 

いちばん美味しくなかったもの

最寄り駅の近くの居酒屋の肉豆腐

 

いちばんエモかったもの

魔法つかいプリキュアのコミカライズ

 

いちばんダサかったもの

ベストSF2022の帯

 

いちばん殺意が芽生えたもの

2021年のツイートですが、この時から殺意の対象は変わらないですね。

 

いちばんウザいと思ったもの

中小企業あるある:社長案件

 

いちばん素晴らしいと思ったもの

芸術に生きる人間

 

いちばんなりたかったもの

negishiso.hatenablog.com

結愛せるふ

 

いちばんなりたくなかったもの

平日に働く人間

 

いちばん歩いた日

2022年10月7日~8日

 

いちばん飲んだ日

正月から泥酔するなクズ

実害があった11月22日で。

 

いちばん狂った日

なお一生完成しない

どういう意味?

何を食ったんだろう。

確かまだ買ってない

こいつ何にでも狂ってんな

一番大変そうだから11月13日でいいや。

 

いちばん歳をとった日

ねぎしそって腕と足で誕生日が違うんだ

それはともかく、本当のねぎしその誕生日は1月6日です。みなさん、普段のねぎしその虚言に騙されないようにしてくださいね。

 

いちばんお金を使った日

11月20日

 

後日談

まあ、幸せそうでいいんじゃないでしょうか。

 

いちばん綺麗に決まったマウンティング

友達「最近宮木あや子先生の本を読んでいるんだよね~尊敬しているわ」

私「へ~、そういえば今度、宮木あや子先生の作品と一緒に自分の小説も載るなあ~」

友達「えっ、はあ!?????嘘だろ!??!?」(街中で大絶叫)

 

えーと、オレ、何かやっちゃいました?(^_^;)汗

 

いちばん綺麗に決まったライティング

「そうだな、例えばこういう嘘はどうだろう。中学一年生の春、私たちは同じ学校に入学する。まったくの偶然なんだ。ふたりはそんな奇跡が起きているだなんて夢にも思わないし、それなりに大きな学校だからクラスが異なればすれ違うこともない。だから、私たちは帰り際に校門で出会って、あっと驚くんだ。ふたりは互いの名前を呼んで駆け寄り、思わず手を握りしめる。二度と離れないように、しっかりと。それから家とは逆方向のバスに乗って、一緒に街に繰り出すんだ――」

2022年3月6日投稿 『あの日、私たちはバスに乗った』より

 

いちばん綺麗に決まったシューティング

豊島にて、2022年11月5日に一発で決めた。

 

いちばんキレたペンディング

東京転勤

 

いちばん感動したエンディング

『返校』かも。

 

いちばん震えたオープニング

DIY

 

いちばん可愛かったもの

園田海未DIYのぷりんで競っていますが……2022年の限定性に着目し、せるふへの感情がヘビーなプディングで。

 

いちばん最後に言うべき言葉

2022年9月~11月度 履修コンテンツまとめ(116作品)

前書き

お久しぶりです。

最近いろんなものを読み散らかして終わりになっていたので、評価の整理がてら最近履修したコンテンツを勝手に格付けしました。烏滸がましいですね。いったい何様なんでしょうね。他人にされて嫌なことはするなって言われたでしょ?はい、すみません……。

前回(2022年6~8月)の記事はこちら↓

negishiso.hatenablog.com

格付けを行う採点基準は以下の通りです。

【基礎点(配点10点)】世界構築(2点)、可読性(1点)、構成(2点)、台詞(2点)、主題(2点)、キャラ(1点)、【特別評価点】百合/関係性(2点)

=合計12点満点(百合がある場合)

なお、それぞれのカテゴリで感情が狂うと「構成2.5点」「百合3点」とかつけてしまうことも多々あり、まったくルールは遵守されていないため、あってないような基準となります。

上記の採点基準により、自分にとっての作品の立ち位置を評価しました。それだけだと寂しいので一言コメントも載せています。

あと、今回は美術館の展示も記載しました。こちらも備忘録代わりにコメントを残しておきたいなと。なんだかもうよく分からない雑多なリストになってしまいましたがご了承ください。

 

 

オールタイム・ベスト・コンテンツ(10<x)

11.5 アニー・エルノー 『ある女 』 (1993) 小説

一部では「超人称的」とも称される最強の文体で綴られた、母と娘の物語。母の死に対して筆者が混乱しながらも愛情を抑えきれずに語り直す様子が、文章からありありと感じ取れるのが不思議でたまらない。エルノーは作中で『私が書きたいと願っているものは、厳密にはたぶん、家族的なものと社会的なもの、神話と歴史の接点に位置している。私の企ては文学的なものだ。母について、言葉によってしか掴むことのできないひとつの真実を求めようというのだから』と述べている。後の本文で、「真実」とは自らの願望に基づく母親の「語り直し」であることを認めるわけだが、実際に語り直されたエルノーの母についての記述は、プライベートな日記を超越し、醒めた目で見つめられた階級制社会との紐付けにより社会的な価値を持つ「文学」と化している。異次元の筆力だと思う。私は読みながら号泣しました。

 

11 小川麻衣子 『魚の見る夢 』 (2012) 漫画

広い空間や白を意識したコマ割や台詞回し、ラフな線で構成されているのにとてつもなくかわいいキャラクターが独自の生態系を作っている。まるで映画館にいるような気分にさせてくれる作品世界の強度と鑑賞者との距離がすごい。恋愛感情に纏わるキャラの関係性の破壊と再生がめちゃ素晴らしいのだが、白眉はやはり九条の存在だろう。こんなに身近に居て欲しくなく、居て欲しかったキャラクターはそうそう居ない。自分も絶対に手に入れたいけど手に入れられない存在を見つけた時には、とことんつけ込んで最後に全部ぶち壊してやろうかな。そんなことが出来たら狂人だと思うが(九条は狂人です)。

 

11 吾峠呼世晴 鬼滅の刃 (2016) 漫画

やっぱ大ヒット漫画おもしれ~。最終話の鬼滅学園が本気で謎だったが(全員先祖と同じ顔しているのマジで怖すぎ……遺伝子強すぎだろ)、最初から終盤まで常にスリリングでサイコーという感じだった。兄弟愛が多すぎるのが気になったが、恐らく作者の性癖だと思うことにする。

11 はりかも うらら迷路帖 (2015) 漫画

百合読書会のために再読した。やはりとてつもなく素晴らしい百合作品だと再確認。占い見習いの美少女たちが織りなす4コマギャグはかなりハイレベルだし、時折現れる町の異形が捻り出す不穏な空気もたまらない。ギャグとしてもエンタメとしても一級品だが、やはり傑出しているのは百合のセンスだろう。頼むから百合のオタクは読んでください。運命カプの千矢紺が待っています。

10.5 森島明子 『半熟女子 』 (2008) 漫画

傑作。とにかく絵がかわいくてツボなのもあるが、女学生同士の恋愛の描き方がとてつもなく器用。背が低くて胸があり柔らかい自分の身体が嫌いな八重が、その女性らしさを好む中性的なちとせによって、女性である自分を肯定していく話。八重は初恋の女の子に「女だから」という理由で振られたために自らの性を嫌いになったのだが、それに纏わる悩みと自らの性的志向を大好きな人にカミングアウトする(これは学生だけでなく、同性愛者にとって非常に大きな壁である)流れが合流する展開が大変巧い。しかも、そこでさりげなく「初恋の子が実は……」とチラつかせることで、さらに別方向からの百合とカミングアウトの恐怖を高めていく手つきは流石の一言。また、女子校ゆえに自分が女性であることを意識しなくてもよいという舞台設定から、ちとせと距離を縮めて互いの身体に向き合い身体を重ねることで、自らが女性であることを自覚する(それが性交である)という話運びは大変優れており、「濱口竜介『ハッピーアワー』で観たヤツだこれ」になった。ちとせと八重が女性器を見せ合い品評会を始めるシーンと、遊園地から感情が爆発してダッシュで家に帰って性交をする加速っぷりが最高。プラトニックなものとして捉えられ、レズビアンの性欲を透明化しがちな「百合」という概念を、等身大の女の子同士の性欲で塗り替えていく素晴らしい作品。

10.5 村岡ユウ 『もういっぽん! (2019) 漫画

まだ途中なのでちゃんと語ることは出来ないが、スポーツ×百合の面白さを思い出させてくれた傑作。絵がかわいいし、作画レベルも大変高い。元気いっぱいの主人公の園田未知、素直になれないツンデレ幼なじみの南雲安奈、実力はそこまでだが懸命に努力し続ける滝川早苗、化け物みたいに強いけれど主人公に好意を寄せ、ストーカー紛いのやり方で未知と同じ高校に入学してきた氷浦永遠といった優秀な百合人材を揃え、高いレベルで柔道と百合文脈を織り交ぜてくる。私は感情の重い女が好きで、それは大抵幼なじみ百合の特権だったのだが、この作品では珍しく氷浦さんの感情が幼なじみ百合を超越しており(個人の感想です)、困惑している。最新の20巻では氷浦さんと未知との文脈がさらに強化され、もう手が付けられない感じになってしまった。柔道部モノとしても間違いなく楽しめるが、百合オタクにこそオススメしたい作品。続きが待ち遠しい。

10.5 アニー・エルノー 『嫉妬/事件 』 (2004) 小説

収録されている『嫉妬』は、タイトル通りエルノーが元彼の女に対して強く嫉妬する話である。一読して私はまず文学版『めんつゆひとり飯』じゃんと思ったが、他人に通じるかは分からない。一度も見たことの無い女に対して強烈な嫉妬をするエルノーは、いつしか自分の生活の至る所に女の足跡を見つける。自分の思考のリソースがどんどんその女に支配されていく様子は、大変失礼ながら百合としか思えなかった。消費して申し訳ない。続く『事件』は中絶の話になる。こちらでもエルノーは凄まじい筆力を発揮し、中絶手術、および流産のグロさを徹底的に描写する。両方とも素晴らしい作品。

 

ガチで大事にしたい作品(9<x≦10)

10 佐藤二葉 『うたえ!エーリンナ 』 (2018) 漫画

古代ギリシア百合。男尊女卑ゴリゴリの古代ギリシアで女性が詩をやることの意義が現代社会で私たちの人生や偏見への再考にも繋がるなど、テーマ選びが大変うまい。参考文献の量もすごいし、読んでいるだけで勉強にもなる。そのうえエーリンナとバウキスの絡みは百合としか言えないものであり、ここまでうまく要素を組み立て上げるセンスに脱帽。百合のオタクは読むことをオススメします。

10 瀬戸内国際芸術祭 (2022) 展示

舐めていた芸術祭。なんかいつもやってんな、という醒めた目で見ていたが、三年に一度の芸術祭をもっと真剣に受容すべきだった。有料コンテンツが多過ぎたので今回は全然まわることが出来なかったが、そのなかでも優れたものを簡単に挙げる(豊島の展示ばっかりだけど)。

クリスチャン・ボルタンスキー『心臓音のアーカイブ:これまで集められてきた世界中の人々の心臓の音を検索して聞くことができ、自分の心臓音も録音できる面白い場所。思った以上に心臓音にも個性があるのだと知ることが出来た。私も登録した。

豊島美術館』:異次元の空間。美術館だと思って行くと面食らうが、一生に一度は行った方が良いと思う。

冨安由真『かげたちのみる夢(Remains of Shadowing…』:一見すると廃墟なのだが、その廃墟を描いたあたたかな絵画を局所的に置くだけで、空間の捉え方が全く変わって見える。しかも最後にヒエッとなる仕組みもあり、果たしてどこからどこまでが私たちの生きている空間なのかが分からなくなる。自分の生きている空間が絵画で切り取られる空間でもあることを自覚させられる面白い作品だった。

ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラー『ストーム・ハウス』:今回の展示では見ることが出来なかった、既に撤去済みの展示作品。豊島の家浦港で映像が回されていたのだが、「これ絶対に体験した方がよかったやつ……!」になった。いつまでもあると思うな展示品。以上。次は3年後だが、もし生きていれば忘れずに行きたいと思う。鑑賞パスポートも忘れずに。

 

10 刀根里衣 『おもいで星がかがやくとき 』 (2017) 絵本

深みのあるパステルカラーで描かれた、ねずみの子にとっての大好きな人の喪失からその痛みの自覚までを描いた絵本。こんなの子供に見せてもいいんかい、というくらいに痛々しく辛い話。喪失した相手の姿が一切出てこないので、その対象は読者のために開かれているのだが、百合豚である私は百合作品として捉えることで無事に号泣した。百合を抜きにしても、あまりこれまで出逢ったことのない世界に触れることができてよかった。

10 ウェス・アンダーソン 犬ヶ島 (2018) 映画

ストップモーションでもこんなウェス・アンダーソンっぽい演技をさせることができるんかい、と爆笑した。ヤバすぎる。話の展開も台詞の応酬も構図も間の取り方もアニメーションの挿入タイミングについても、何から何まで最高過ぎた。

10 クリス・バックジェニファー・リー アナと雪の女王 エルサのサプライズ 』 (2015) 映画

ガチの姉妹百合で発狂。アナ雪も大概だが、この作品に関しては百合力で頭一つ飛び抜けている。まんがタイムきららで連載してほしい。

9.5 ウィリアム・フォークナー 響きと怒り 』(上・下) (2007) 小説

完成度がとにかく高い。第1章から第3章にかけて、キャラの思考と文体が密接に結びついた、いわゆる「意識の流れ」によってかなり視野を狭められるのだが、見えないがゆえに世界が広がることもあり、私たちはコンプソン家と社会の繋がりを想像する。しかし最後の第4章は三人称視点であり、視界が開くと同時にこれまでの人間を客観的に見ることができるため、彼らの過ごす空間があまりに狭いことや、彼らに待ち受けている未来が薄暗いことを察することができる。構成、文章力や視点の選び方、舞台のつくり方など、すべてにおいて一級品。フォークナーすごい。

9.5 深田晃司 『LOVE LIFE 』 (2022) 映画

序盤から最悪な始まり方をする最悪な人間が集まった最悪な作品なのに、最後は爽やかに終わらせてくる類い希なる傑作。ろう者の砂田アトムが演じるろう者のパク・シンジがめちゃくちゃにいい動きをしていて、作品の人間関係をめちゃくちゃにしていく様が最高。こういうキャラが作品にひとり居るだけで、人間関係の深みが全然変わってくるな~と感動した。木村文乃の演技も最高で、表情筋が死んでいる感じから恋愛に燃える目の輝き、全てを失ったあとに雨に打たれながら力なくダンスを踊るシーンなどが強烈すぎて発狂するかと思った。腹が立つくらいタイトルの入れ方が完璧なので、そこも見て欲しいポイント。濱口竜介が好きなら絶対に見た方がいいですよと周囲に喧伝しているが、果たして。

9.5 はなこ 『お嬢様はアイスがお好き。 』 (2017) 漫画

全然話題になっていないが絶対に読んだ方がいい百合漫画。簡単に言ってしまえばかわいい系の元気女とクール系お嬢様がアイスで交流を深めていく作品なのだが、とにかくふたりがかわいいし、ギャグも面白いし、何と言ってもラストのお嬢様の覚醒が最高!!!!kindleのアンリミで読めるから読んで!!!!!!

9.5 今井哲也 『ぼくらのよあけ 』 (2011) 漫画

目次からして作品に組み込んでくる感じがすごく良かった。そのお陰なのだろうか、確かにこの作品は漫画なのだが、少し漫画とは違った媒体になっているように感じる。世界観のディテールの作り込みがすごいのと、話の盛り上げ方が巧すぎることもあり、読み終わった後の多幸感が強かった。ナナコがヒロインしているところがちょっと面白く、一種の恋愛モノとして読むことができるのも魅力的。完成度が高い。

 

積極的推し作品(8<x≦9)

9 セリーヌ・シアマ 『燃ゆる女の肖像 』 (2020) 映画

バチバチに美しく、静かなカットの連続に興奮。画を描く行為はどうしても対象を「見る」ことに拘りがちだが、その一方で肖像画というものは生きたものを写し取らなくてはならず、双方向の同意(あるいは視線)を必要とする。サブプロットでは、侍女ソフィーが中絶に成功するが、その過程は、生物学的に生まれる方向に進む胎児と、それを望まない妊婦との戦いとみることができ、中絶の場に子どもがいるという違和感は(おそらく)祝福の方向に働いている。いずれにせよ、その主張は「自らの身体の扱われ方を自分でコントロールする重要性」であり、前者では(同性愛も相まって)無性別的に、後者では女性的な主権を扱うことで、幅広い観客に響く作品になっているように思う。結局、マリアンヌとエロイーズの恋愛感情は異性との婚姻に必要とされる肖像画の成立に帰結するものの、彼女たちがオルフェウス神話を通して語った物語の再現によって、エロイーズを異性との奈落に突き落としたその愛は(少なくとも二人の間で)証明されることとなる。ラストシーンでは、マリアンヌの視線に振り返らない(あるいは気付いていない)エロイーズが印象的だが、彼女はすでに冥府(女性の主権が奪われた世界)に入り込んでいるので、女性ながらも画家として成功したマリアンヌにその視線(神話でいう「声」)は届かないのだろう。しかしながら、マリアンヌは「生きている」。彼女がエロイーズの意志を継ぎ、自身が教師として(女性の!)生徒から「見られる」ことに従事することで、二人の関係性が紡いだ時代への違和感を未来に繋ごうという制作側の意志を感じることが出来たのも良かった。冒頭に登場した振り向かないエロイーズの絵画は、「見られること」への受容がなければ人間は風景の一部に溶け込むことを示しつつ、画のなかで永遠にエロイーズを振り返らせないことで、二人の関係性を反転しようと試みているように感じられた。そういう足掻きもすばらしい。百合創作をする人は必見。

9 市川なつを 『みーちゃんとアイリ 』 (2020) 漫画

働くだけで人生が楽しくない女が、ゴミ捨て場で魔女を拾う話。絵がとてもかわいいし、魔女であるアイリのふわふわ感が大変よい。ストーリーにそこまでの捻りはないが、適切なタイミングでふたりをドキドキさせるキャラが出てきている。魔法の関係上、ふたりは頻繁にキスをするのだけれど、そのまま恋愛関係に持っていかず、あくまで友達の延長線上にある「一番の友達」で終わらせたのが好みだった。ラスト2ページの美しさと爽やかさには息を呑む。

9 袴田めら 『理由もなく悲しくなるの 』 (2014) 漫画

大して好きでもない奴らと群れている女が、美貌故に集団から弾かれている孤独な女に惹かれて関係性を結ぶことを軸にした短編集。「容姿」が作品のテーマになっており、容姿の良い女がモデルとして不特定多数の人間に笑顔を見せることに対して、交際関係にある女(この子も容姿が優れている)が独占欲ゆえに悲しくなってわちゃわちゃする。収録作品『彼女の隣』が大変良く、美化されがちな作品で容姿の優れないキャラをしっかりと描きつつ、主要人物ではないキャラが対等ではない相手に手を伸ばそうとして玉砕する話が容赦なく良い(もちろん、安全地帯からこの話を「良い」と捉える私の受容態度には突っ込みを入れた方がよさそうだが)。また、ふたりの関係性は閉じておらず、その特権性と作品の展開からルッキズム批判の対象になるような気もするが、作者はそのことを自覚しているだろうし、二人の関係性の核にあるのは「自分を持っていること」なので、ギリギリ躱せるような気もする。

9 東京都現代美術館 MOTコレクション 』 (2022) 展示

とにかく良い作品が多かった。工藤哲巳浜田知明高松次郎横尾忠則といった見知った作家がいるのもよかった。素晴らしかったものをいくつか列挙。

福岡道雄『何もすることがない 僕達がピンク色の女王のアドバルーンとなるとき』:色合いがキモすぎてゆめにっき3D。

三木富雄『EAR』:作品よりも、友人宅で突然耳をデカくしたくなり、「耳が私を選んだ」として生涯にわたり耳の作品を作り続ける、という制作者紹介がヤバすぎ。

中村宏『円環列車A(望遠鏡列車)』:実物見るとすげえとなる。

新潟現代美術家集団GUN『 雪のイメージを変えるイベント』:これすごくよかった。

石内都『1906 to the skin』:ひとりの女性の皮膚をひたすら撮影。ただの皺だが、幻想的ですらある。

宮島達男『それは変化し続ける それはあらゆるものと関係を結ぶ それは永遠に続く』20年近く展示されており、数字にも個体差が出てきているという話にエモを感じる。目の前に座ってじっと見ていたくなる。丁寧な暮らし。

9 森美術館 『地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング (2022) 展示

これもめちゃくちゃいい展示だった。いくつか列挙。

〇ヴォルフガング・ライプ『ヘーゼルナッツの花粉』『ミルクストーン』『べつのどこかで——確かさの部屋』:いずれも現地でないと味わえないすごさ。嗅覚と視覚に訴えかけてくる作品にはもっと触れるべき気がする。

〇エレン・アルトフェスト『南瓜』『木々』:緻密すぎて逆に抽象的になるとかいうヤバさ好き

〇ギド・ファン・デア・ウェルヴェ『第9番 世界と一緒に回らなかった日』:24時間南極で経ち続けるだけの存在になる、という企画の映像作品なのだが、マジで気力がイカれてる。

小泉明郎『グッド・マシーン バッド・マシーン』:いちばん人が集まって真剣に見ていた作品。催眠術にかかった体で、人々が「これは宗教的です」「人間を演じさせられています」「みんなのために死んでください」等と言い続ける映像作品+真ん中でよく分からんアームがギュイギュイ動いている展示作品。よくわからんけど笑った。

〇ロベール・クートラス『僕の夜』:困窮の中で同じテーマを描き続けた無名作家。ヘンリー・ダーガーみがある。

〇金崎将司『山びこ』:言葉で言い表せない感動。文字書くの辞めたい。

〇金沢寿美『新聞紙のドローイング』:新聞紙をくっつけまくり超デカい新聞紙を作って、さらに黒で塗りつぶして宇宙のようにした作品。遠くから見た時と近くで見たときの体験が全く違ったものになってすごい。

9 阿部洋一 『橙は、半透明に二度寝する 』 (2014) 漫画

数年越しの再読。やはり素晴らしい不条理系百合。何かが起こっているか分からないが、百合だしまあいっか、という感じではある。言語センスが凄まじく、話の節々で笑える。

9 深山はな 『来陽と青梅 』 (2021) 漫画

最初読むのがキツすぎて『メイドインアビス』かと思った。同性を好きになることのガチのキツさを丁寧にやっており、梅島心の同性愛ヘイトも助けて、メンタルがゴリゴリに削られる。同性愛者ではない(はずの)私が読んでもこのダメージなのに、同性愛者が読むとどうなるのだろう。同性愛への偏見は「普通」(カッコ笑いをつけるべきだろうか)ではないことへの嫌悪から発生するが、人が集団に依存して社会的に生きていく限り、その偏見を無くすことは案外簡単ではないのかもな、と感じた。幼少期から百合にブヒブヒ言っている自分にとっては新鮮な視点だった。鑑賞者の感情を動かすことに関してすごい力を持った作品。

9 ジョセフ・コシンスキー 『TOPGUN MAVERICK (2022) 映画

文句なしに面白かった。大満足。トムクルーズかっこいい以外に言うこと無し。

9 井村瑛 『ツミキズム 』 (2017) 漫画

全体を通して面白い。幼なじみ百合もあるし、かなり尖った変な作品もある。収録作『見つけちゃ、ダメ』での終盤の台詞「ふふ なんにも言えなくなっちゃった」がちょっと良すぎて頭抱えた。『Dr.LunchBox』もお気に入り。

9 道満晴明 『あやめとあまね 』 (2021) 漫画

もはや死語と化した「クレイジーサイコ〇ズ」と名付けるに相応しい神条あやめが奮闘する作品。相変わらずギャグセンスが高すぎるので百合とギャグの狭間に呑み込まれる。終わり方はご都合主義だが、まあ百合の前では何も気にする必要はないでしょう。

9 模造クリスタル 『黒き淀みのヘドロさん 』 (2017) 漫画

ヘドロさんがめちゃかわいい。りもん先生やゲーゲーちゃんといった狂人も素晴らしいが、やはり作品の根底にある「ヒーローとは」というテーマに対してかなり面白いアプローチをしているように感じた。ヘドロから作ったからいつ悪に染まっても大丈夫だよと誰かに言ってあげる優しさを、どうにか人間にも応用していきたい。

9 クリス・バックジェニファー・リー アナと雪の女王 (2013) 映画

そういえば2を見ていないな、と気付き無印から再視聴。まあゴリゴリに百合であり、エンタメとしても優れていましたね。懐かしい気持ちになりました。

9 岩井澤健治 『音楽 』 (2019) 映画

かなり変な作品。物語としての期待をすべて裏切りながら面白いことをやっているのですごい。

8.5 D・キッサン 『乙女散るらん〜大正女學生物語〜 』 (2021) 漫画

失恋かつ死別百合。最近はあまり見ないジャンルなので新鮮でよかった。

8.5 東京都現代美術館 『ジャン・プルーヴェ展 』 (2022) 展示

芸術的にも建築的にもかなり独特で合理的で面白いことをやっているのに、椅子以外興行的にはなかなか振るわなかったジャン・プルーヴェという人間を知ることが出来てよかった。椅子だけがずらりと並ぶ展示空間が面白かった。

8.5 安田剛助 『草薙先生は試されている。 』 (2018) 漫画

純粋に好みな作品、ギャグも百合も扱い慣れている人のそれで、全体的に楽しめた。本来ならば付き合っていたかも知れない二人が道を違え、母親と先生という立場になり、娘と先生の関係に同性婚以上の禁忌感をもたらしたのが良い。ただ、その禁忌による物語の揺り動かしがラストのみでの簡単な取り扱いになったのが勿体ない。今回は見逃すというのもひとつのやり方だが、どうしても肝心な問題から逃げたという印象が拭えない。作品のなかで決して答えを出す必要はないが、それならそれで「答えは出さない」という姿勢を明確に示してほしかった。

8.5 田口智久 『夏へのトンネル、さよならの出口 』 (2022) 映画

田口智久『夏へのトンネル、さよならの出口』観た! - 新薬史観

8.5 海藍  トリコロ (2003) 漫画

きららの源流にあたる日常系百合作品。表紙の絵が少しアレだが、漫画の中身は大変かわいい。ギャグセンスもかなり高く、これは絶対にアニメ化するべきだろとキレそうになる。今からでも連載再開しませんか?

8.5 池真理子 『やわいボンド 』 (2022) 漫画

フィクションから離れたリアルな幼なじみとその距離感を表現できており、かなりよかった。学校や家庭とは違う自分の居場所をそうそうに見つける主人公はなかなかのやり手だが、そんな彼女と幼なじみとのやりとりもまた面白い。

8.5 阪本裕吾 『ベイビーわるきゅーれ 』 (2021) 映画

かなり現代の生きづらさに寄せてきた作品だなと思ったが、こいつらはどの時代でも生きづらい気がする。殺し屋以外向いてないよ。

8.5 hako生活 『アンリアルライフ 』 (2020) ゲーム

ゆめにっき系かなと思い購入したらゴリゴリの百合でひっくり返った。ドット絵がかわいいのでオススメです。

8.5 スズキナオ 『酒ともやしと横になる私 』 (2020) 文章

スズキナオの文章やっぱりすごくいい。エッセイを読む楽しみを味わうことが出来る。

8.5 クリス・バックジェニファー・リー アナと雪の女王2 』 (2019) 映画

相変わらず強い百合だしエンタメとしてはかなり面白いが、テーマとしてダム破壊=自然保護をやっているくせに、火の精霊は燃えている状態なのに手懐けて消化、水も凍らせて支配下、地は騙して無効化、風も人にとっての便利な伝達手段として成り下がっているなどラストの終わり方が無茶苦茶すぎてキレそうになった。本来もっと点数は低いのだが、百合加点があるためこの位置づけに。

8.5 ブラッド・バード Mr.インクレディブル (2004) 映画

続編の『インクレディブル・ファミリー』が百合だというので無印を再視聴。エンタメとしてメチャクチャに面白くて興奮した。こんなレベルの脚本書いてみて~。

8.5 ブラッド・バード インクレディブル・ファミリー (2018) 映画

作品の展開やシナリオは前作よりやや劣るが、女性の社会参画というテーマ性で少し面白みを感じた。ただ私はあまり百合を感じなかったので、肩透かしを食らった気分だった。

8.5 新海誠 『すずめの戸締まり 』 (2022) 映画

映像、エンタメともに楽しめた。『空の青さを知る人よ』に通じる百合加点もあるし、好みではある。新海誠作品における天皇制についての議論は興味が無いのでどうでもいいのだが、震災対個人の構造からは災害の責任的な意味で気持ち悪さを感じたし、気持ちの整理がついたすずめが椅子を渡す相手が過去の自分である、というような円環構造をつくっている点を見ると、扉の壊れたスポーツカーで家族の再定義をやっておきながら、結局自助でしかないのかよとがっかりしてしまった。

8.5 ままごと 『あゆみ(短編) 』 (2022) 舞台

映像でしか見たことがなかったので、リアルで(しかも小豆島の中学校の体育館で!)観劇することができて感激した。街中ならでは救急車のサイレンや、外から飛び込んできて床のうえでビチチチと瀕死の悪あがきをする蠅を見ることができてよかった。

8.5 壇九 『SQ 君の名前から始まる 』 (2020) 漫画

縦スクロールフルカラー漫画をkindleで読んだらこうなるのか、という気付きがある。百合として素晴らしく、恐る恐るの距離感の詰め方が甘酸っぱくて最高。

8.5 市川ヒロ 『ティラとケラ 』 (2020) 漫画

ティラノサウルストリケラトプスの百合(?)。擬人化(?)されたりリアル描写が入ったりとなかなかに忙しい漫画だが、本来捕食対象の存在をあえて食わずにとっておく『おまえ うまそうだな』を百合でやるとこうなるのかという気付きがある。

オススメの手札に入る作品(7<x≦8)

8 雁須磨子 『私の嫌いなおともだち 』 (2015) 漫画

台詞の配置が独特で読みにくいが、慣れればなんとか。キャラクター化されていない普通の女子と普通の女子が、ありきたりな生活のなかでどのように距離を詰めていくのか、ということが丁寧に描かれている。かなり良い作品だと思う。

8 n 『ハッピーエンドは欲しくない 』 (2014) 小説

数年前にインターネットを騒がせたはてな匿名ダイアリーの作品(のはず)。非常に気合いの入った作品なのだが、あまりにも自伝すぎて構成が無茶苦茶すぎる(前半の無職からSEになるまでの加速に対して、中盤からの世界放浪パートが長すぎる)のが残念なところ。しかし筆者の人生をなぞっていく分には楽しめる作品なので、悪くは無かった。特に無職の過ごし方は参考になる。

8 鈴菌カリオ 『当て馬カノジョ 』 (2019) 漫画

かなり奇妙な作品。『クズの本懐』とかそういう路線かと思わせておいて、強烈なギャグと作画によって独特の路線を突き進む。終わらせ方も物語の美しさに屈しない作者の信念がありよかった。

8 国立新美術館 『ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡 市民が創った珠玉のコレクション 』 (2022) 展示

よかった。作品を挙げるのは面倒くさいのでもうしません。

8 阪本裕吾 『最強殺し屋伝説国岡 』 (2019) 映画

かなりよかった。ドキュメンタリー形式で日常に沿ったさりげない笑いや、殺し屋あるあるネタ、ありそうネタを詰め込んでいるのが素晴らしい。

8 カザマアヤミ 『恋愛3次元デビュー〜30歳オタク漫画家、結婚への道。〜 』 (2014) 漫画

カザマアヤミという人間の奇妙な振る舞いを見ることができるという点で強くプッシュしたいが、性についての距離感が自分と似通っているので、手放しで笑って鑑賞できない。

8 ぴゃあ 『吸血鬼と呼ばれたい! 』 (2021) 漫画

幼なじみ百合+吸血鬼要素を加えた最高の作品。ただ、作者が明言しているように本作はわかりやすい「物語」であることを放棄して、世界観を広げつつもあえて大きな事件を起こさないようにしているので、エンタメとしては少し物足りなさがある。けれども百合としての強度はかなりのものなので、百合のオタクなら満足できるはず。

8 西沢5ミリ 『♡♡男だ〜いすき♡♡ 』 (2022) 漫画

西沢5ミリの作家性が現れたすごい作品。素晴らしい画力にこの言語センスが組み合わさるのは凶器。ギャグも面白い。

8 福井県立美術館 『ミリオンセラー ロングセラーの絵本たち 』 (2022) 展示

よかった。作品を挙げるのは面倒なのでしませんが、先述の刀根里衣という作家と出逢わせてくれた点で思い入れのある展示。

8 森井勇佑 『こちらあみ子 』 (2022) 映画

あみ子の最悪な感じをよくもここまで再現できたなと感心する一方、途中の妄想パートっているのかなあと首を傾げたくなる。青葉市子の音楽は素晴らしかった。

8 御手洗直子 腐女子になると、人生こうなる!〜底〜 』 (2015) 漫画

こういう同人ネタが大好きなんですよね。

8 福井市美術館 『生誕100年 山下清展 百年目の大回想 』 (2022) 展示

山下清を深く知れて良かった。

8 柿沼こうた 『ゆうれい色の日常 』 (2022) 漫画

現在連載中の作品。近日中に単行本が出るらしい。現在25話まで読んでいるが、どれも人間と幽霊の百合をテーマにしつつも、深く悲しみに浸らず、かなり良い感じの距離感をものにしている。続きが楽しみ。

8 ちさこ 『あの娘とわたしの話。 』 (2022) 漫画

ちさこ先生の作品が好きだ。「友達の友達」から始まる距離感で進展していく百合がかなり好きかもしれない。

8 みかみてれん, 七路ゆうき 『もし、恋が見えたなら 』 (2020) 漫画

みかみてれん先生は想像以上に真剣に百合をやっているな、と思えた作品。三角関係から安易にポリアモリーに進まず、ちゃんと結論を出したところを評価したい。七路ゆうき先生の作画も素晴らしかった。カラーの使い所として、オタクあるある「瞳」を繰り出してきた時にはちょっと「ああ……」と思ったけれど、まあ。様式美ですからね。

8 アキリ 『ストレッチ 』 (2014) 漫画

会話のテンポに乗りきれない+真剣なストレッチにコンボに置いて行かれそうになったが、決して恋人にはならないけれど、友人以上の距離感を保つ点がよかった。終わり方も良い。

8 刀根里衣, 青山七恵 『わたし、お月さま 』 (2016) 絵本

刀根里衣のすばらしいイラストに青山七恵の幻想的なシナリオが合わさり、かなり良い感じに仕上がっている。子供に絵本を読むならこれを選びたい。

8 四ツ原フリコ 『ライカ、パブロフ、ポチハチ公 』 (2015) 漫画

表題作『ライカ、パブロフ、ポチハチ公』はあまりストーカーっぽくないキャラデザの子がキャラデザで面白い。ストーカーのコロの恋愛観が「子どもみたい」でも、唯一自分を必要としてくれる相手に対して無理やり性交をしようとするナベの「子供みたいなやつでも良いわ。私今落ち込んでいるのよ。どこでもいいから連れ出して。今すぐ証明してみせてよ」という台詞が切羽詰まっていて素晴らしい。おまけ漫画は蛇足。『恋を描く人』はややテンプレ気味か。『口先女と鉄壁の処女』は、毎回友人のまつりに「好き」だと伝えてきた小雪の言葉の軽さが重みを持つ展開がめちゃくちゃに最高で発狂もの。『カラス濡れ羽にひかりもの』はカラスというテーマで光り物を集める女と地味な女を登場させたところが如何にもな短編百合で、テーマも似合わないアクセを似合ってると言ってあげる(あるいはそう見える)関係と、結構ありきたりではある。『恋文未満』は同性愛の問題に切り込みながらも、主要ふたりの関係の詰め方が強引。『chopsticks』はかなり荒削りでキャラが暴れているのと、関係性の詰め方があまり好みでは無かった。でも総括すると楽しめたので良かった。

7.5 あさの 『花と嘘とマコト 』 (2015) 漫画

絵柄がとてもかわいく、百合としてひたむきな女の子を見るのが大好きなので、よかった。展開に少し既視感というか、意外性がないのだけれど、オススメできる作品。

7.5 日日日 『ゆめにっき あなたの夢に私はいない 』 (2013) 小説

何処かで見かけて「ゆめにっきのノベライズ!?こんなのあったんだ!」と驚き購入。大変失礼ながらラノベ作家日日日の書く文章を舐めていたところがあり(私はラノベに偏見があります)、語り手の問題や文体などに技巧的な工夫を感じ「やるやん!」と評価を改めた。ゆめにっきのノベライズとしては日日日の解釈が強いし、やたらとフロイトとか心理学を持ち出すのがうざったいけれど、夢という性質上触れざるを得なかったのかと考えると評価がしにくい。ただ、文章を読みながらなんとなくまどつきが辿るルートをイメージできる描写力は素晴らしいと思った。結末で一気に好みではなくなったが、途中までのまどつきと「私」の百合は素晴らしかった。どうしようもなく目が離せない女とそれに振り回される女の百合。

7.5 介錯 姫神の巫女 』 (2021) 漫画

神無月の巫女』のスピンオフとして面白い作品だった。媛子や千華音の本質を変えず、原作の雰囲気を変えずに物語をリライトする感じは見事。ただそれ以上の感想はなく、やはり自分は『神無月の巫女』の方が好きかなあと思うなどする。終盤の百合エッチがプリズムショーみたいにキラッキラなのには笑ってしまったが、笑い所ではなかったかもしれない。

7.5 宇河弘樹 『二輪乃花 』 (2012) 漫画

短編集。収録作の『コブリアワセ』は不思議な作品。「コブリアワセ」とは死んだ伴侶のあとを妹や弟が引き継ぐことを意味するが、これまでの作品で都合良く死んだ両親の代わりをする姉と妹の百合は大量生産されている一方で、死んだ母親の後を母の妹(しかも娘と同じ歳!)が引き継ぐかたちで産まれる関係性、というのは目新しく、興味深く読めた。戦争や太陽湿疹、母への悔恨といった複雑な話をすべて纏め上げる展開が素晴らしいが、ラストを安易なギャグで飾るのがウンチすぎて逆に面白い。『ニリンソウ』はこれまた癖の強いギャグ百合。『Walk wit me』は、退廃的な逃避行百合のようでいて、無垢な少女性への叛逆とも読み取れる作品。方向性がバラバラでなかなか不思議な作品集だった。

7.5 ジャック・ルーボー 『麗しのオルタンス 』 (2009) 小説

なんというか無茶苦茶、完全に奇書の類い。まあ面白いんだけれど。

7.5 ラヴィス・ファイン 『チョコレート・ドーナツ 』 (2014) 映画

テーマ性に溢れていてよかった。色んな話に引っ張ってこれそう。

7.5 デビッド・リーチ 『ブレット・トレイン 』 (2022) 映画

日本に夢を見すぎだろ。展開は素晴らしかった。

7.5 足立慎吾 リコリス・リコイル 』 (2022) アニメ

シナリオの違和感を挙げるとキリが無いが、キャラはかわいかった。

7.5 アレッサンドロ・バリッコ 『絹 』 (2007) 小説

読んでいて文章が綺麗で楽しいのでよかったが、もっと変人を出して欲しかった。

7.5 ソーントン・ワイルダー 『わが町 』 (2007) 文章

かなり変なことをやっている内側で、人間の生について描こうとしており良かった。

7.5 ままごと『反復かつ連続 』 (2022) 舞台

現地で見た。やはり素晴らしい。島民であるお婆ちゃん役の清水里子さんの「お婆ちゃん」感が凄まじかった。しかし、小山薫子さん(こちらはままごと)はよくもまああれだけの台詞や挙動を覚えられるよな……。

7.5 刀根里衣 『きみへのおくりもの 』 (2015) 絵本

絵がとても綺麗。ハートという記号の繰り返しに、絵本としての楽しさがある。

7.5 高瀬隼子 『おいしいごはんが食べられますように 』 (2022) 小説

読書会の課題図書。芦川さんがとてもかわいい。人間の強さの問題とご飯の問題が絡み合うのが新鮮で良かった。食事について様々な議論を巻き起こしたが、最終的には二谷はエアプで食事でリスカをしているっぽい。納得。

7.5 湯浅政明 『四畳半タイムマシンブルース 』 (2022) 映画

森見の方の原作は未読だったが、ヨーロッパ企画の方は知っていたので、まあ焼き直しっすねという感じでぼんやりと楽しく観ることができた。架空の電車の跡を見つける京福鉄道研究会の話は新鮮に楽しめてよかった。

7.5 アニー・エルノー 『シンプルな情熱 』 (2002) 小説

恋愛に真剣すぎて羨ましくなる作品。これを読めばアナタも「恋愛して~!」って思うわよ。

7.5 年森瑛 『N/A 』 (2022) 小説

これも読書会の課題図書。アンチラベリングオタクがいざとなったら何も喋られなくなるのがよかった。百合といえば百合だが、そうやってラベリングしていいんですかね~?とうみちゃんに牽制させられる。

7.5 吉田丸悠 『ドラムカン百景 』 (2019) 漫画

面白い話とよくわからない話がごちゃ混ぜ。総合すると面白い。

7.5 神江ちず 『ねこ神様はふわふわのお布団がお好き 』 (2019) 漫画

社畜 ミーツ 癒やすのじゃ神様。布団に対する真剣さに脱帽。

7.5 アザミユウコ 『みかはな週末とりっぷ 』 (2016) 漫画

週末になったらみんなで旅行して酒飲むベ、というオタクの理想がここにある。聖地巡礼したい。

7.5 garnet 『セレブ漫画家一条さん 』 (2017) 漫画

ありそうでなかった、面白いセレブ作品。一条さんが8割くらい同じ表情と同じポーズをとっていることを除けば、かなり楽しめる作品だと思う。百合もあると言えばあるが、もう少し強さがほしいかも。

7.5 岡井ハルコ 『世界の終わりとオートマチック 』 (2018) 漫画

最初はストーリーを掴みにくいが、最後はSFとして結構面白いことをやっていたなと思えて良い感じ。かつての同僚を見返すために奮闘するお婆ちゃん百合もある。

7.5 東京都現代美術館 『私の正しさは誰かの悲しみあるいは憎しみ 』 (2022) 展示

ラッパーのFUNIの協力のもと制作された高川和也の映像は、見ていてふーんとなった。どこからがラップになるのか、という問いに対して「口から出たら全部ラップ」という意見が出ていたのが良かった。それは環境的に口に出せない言葉を多数抱えざるを得ない人間だからこそ定義しうるものなので。ウチの犬は鳴きたいときによく鳴いていた。良知暁の作品がバチバチによかった。工藤春香の作品も、健常者が見逃しがちな問題と様々な角度から向き合わせてくれた点に対して感謝した。大久保ありの作品はよく分からなかった。

まずまずな作品(6<x≦7)

7 今日マチ子 『100番めの羊 』 (2009) 漫画

百合力の高いお嬢様が出てきて良いのだが、物語と私の親和性が低かった。

7 秋津貴央 『舞ちゃんのお姉さん飼育ごはん。 』 (2020) 漫画

現在出ている3巻まで読了済み。絵柄がめちゃかわいいのだが、児童労働である。タイトルにもある「飼育」というワードがかなり不穏なパワーを持っているのと、「こんな小さい子に飼育+料理の責任を押しつけるな」という気持ちがあるために素直な気持ちで楽しむことができない。助けて。

7 国立西洋美術館 『常設展 』 (2022) 展示

まあよかった。キリスト教関連の展示が多くて助かる。

7 タワシ 彼氏いない歴もうすぐ30年モテないアラサー女が婚活してみた話 』 (2014) 漫画

タイトルを逆手にとったオモコロ漫画。

7 早川千絵 『PLAN75 』 (2022) 映画

テーマとしてはかなり良くて、現実に考えなければならない社会保障の話をしっかり作品にしてくれたのは評価すべき所だと思うが、やっていることはかなりデカいのに少し作品世界が小さいように感じるのと、それぞれの視点がそこまでうまく絡み合っていないのが残念な点。実は2種類の百合があるのだけれど、どちらも微妙に不発で終わるのでそちらも悲しい。

7 李屏瑤 『向日性植物 』 (2022) 小説

良くも悪くも掲示板小説。百合。

7 かこさとし 『からすのてんぷらやさん 』 (2013) 絵本

いきなりてんぷらやさんが火事で全焼して母親が行方不明になるところから物語が始まるので、かなり強い。

7 冬川 『ぶっくまーく!! 』 (2015) 漫画

かなり独特。好みに近い百合もあるのだが、なんとも。

6.5 幾原邦彦 『劇場版『RE:cycle of the PENGUINDRUM』[後編]僕は君を愛してる 』 (2022) 映画

アニメが強すぎるので必然的に総集編のこれも強くなるはずなのだが、結構つまらなかった。オリジナルパートが鑑賞体験の邪魔をしていた気すらする。

6.5 水溜あいまい子 『デイ・ドリーマー・ガールズ 』 (2022) 漫画

私が大味すぎて、作者が描きたい細やかな感情の動きを良いと感じられなかった。これは素直に私の感性の敗北だと思う。

6.5 火野葦平 『糞尿譚 』 (1937) 小説

政治とうんちとおしっこの話なのでよかった。

6.5 かこさとし 『からすのパンやさん 』 (1973) 絵本

からすシリーズの原点。子供が読むとめちゃ面白いと思うが、アラサーが読むと100楽しめるわけではなさそう。

6.5 福井県立美術館 『おしゃべりな絵 』 (2022) 展示

悪くはない。

6.5 乙野四方字 『君を愛したひとりの僕へ 』 (2016) 小説

ふーんとなった。

6.5 乙野四方字 『僕が愛したすべての君へ 』 (2016) 小説

へーとなった。

6.5 あきやま 『キリング・ミー! 』 (2018) 漫画

吸血鬼vs吸血鬼ハンター百合。絵はすごくかわいいが、1話の時点で殺せないんだからもうお前は一生そいつを殺せねえよ感がある。

6.5 sonno 里山ごちそうスケッチ 』 (2016) 漫画

食材を妄想で女体化させて調理するヤベー画家が田舎でひたすらご飯を食べて興奮する作品。俺は何を読んでいるんだ?感があってよかった。sketch3の食材当てゲームとヤベー画家の正体が明かされる回がそこそこアツい。

自分からは話をしない作品(x≦6)

6 にしうら染 『彼女と私の異国ごはん 』 (2021) 漫画

料理への愛よりコロナへの憎しみが強すぎる。

6 国立新美術館 『MAMコレクション015 』 (2022) 展示

コメントし辛い作品だった。悪くはない。やなぎみわの作品は興味深かった。

6 アルパカ子 『オタクだけの婚活サイトで運命の人を見つけました 』 (2017) 漫画

なるほどね。

6 刀根里衣 モカと幸せのコーヒー 』 (2016) 絵本

ストーリが自分向きではなかった。イラストは綺麗。

6 矢村いち 『声がだせない少女は「彼女が優しすぎる」と思っている 』 (2020) 漫画

悪くないが退屈。

6 廣田裕介 『映画 えんとつ町のプペル (2020) 映画

映像は綺麗だが退屈だし、町の人間が全員怒りっぽすぎてすぐに手が出るし怖すぎる。もしこれがキンコン西野の被害者意識から作られた構造なら本気でヤバいと思う。作品としては、序盤のミュージカル調でずっと行ってくれればよかったのにな~と思わなくもない。

5.5 川村元気 『百花 』 (2022) 映画

序盤、認知症の母親が見る映像が凄まじく素晴らしいのだが、中盤以降の映像も展開も一気につまらなくなって無になる。

5.5 ねが 『ばらの名前 』 (2018) 漫画

まあ。

5.5 えい 『100話で心折れるスタートアップ 』 (2022) 漫画

業界用語を知れてよかった。筆者がウキウキでNFTを売ろうとしていて悲しくなった。

5.5 めの 『まもなく開演! 』 (2016) 漫画

全然開演しないじゃん。

5 emily 『PON PON PON ! 』 (2020) 漫画

根本的にすべてが私と合わない。

5 座古明史 『映画デリシャスパーティ・プリキュア 夢みる・お子さまランチ! 』 (2022) 映画

プリキュアではじめて退屈だと感じた。

5 上嶋ハルキ 『友達以上、恋人以上! 』 (2022) 漫画

4.5 ヨウハ 『絶対私のこと好きだろ 』 (2020) 漫画

無2

以上。

 

後書き

いかがでしたでしょうか?

気が付いたらこの3ヶ月も百合漫画ばかり読んでいた……もう半年くらいずっと百合漫画読んでる気がする。それでもライブラリには無限に百合漫画があるので、もはや抜け出すことは無理なのかもしれない。トホホ~もう百合漫画なんてこりごりだよ~(アイリスアウト)。

みなさんも(百合に限らず)オススメの作品があったらぜひ教えてください。

marshmallow-qa.com

結愛せるふになりたい

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結愛せるふになりたい。

あ〜結愛せるふになりたいよ。

結愛せるふになりたい。

 

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結愛せるふ

 

 

まえがき

二次元のキャラになりたい、と思ったのは久しぶりのことである。

これまで数々のアニメ作品に触れてきたが、近年は老化により『今期アニメ一覧表』なるものから遠く離れていた。最近は専らTwitterで話題になっている作品だけをdアニメストアで追いかけ、毒にも薬にもならないしょぼい呟きをして満足するような軟弱者になっている。そんな私にとっては、そもそもアニメを観るという体験自体が貴重なのだが、そのなかでも「お前になりたい」と思わせるようなキャラとのエンカウントは稀有である。

 

結愛せるふに対する視線の変化

最初は、腹の立つやつだと思った。

まず、私は朝ちゃんと起きることのできない人間が嫌いだ。自分の身の回りのことを満足にできない人間も好みではない。ドジだし会話は要領を得ないし幼馴染からの好意も全く解さないような鈍感で鷹揚ですぐに妄想に逃げ込む、自分の主張を少しも持っていない千切れかけの凧のような結愛せるふが大嫌いだった。少しでも目を離せば風に流されて遠くへ飛んでいってしまいそうな、危うい結愛せるふを見るのが嫌だった。私の顔はいつしか結愛せるふの幼馴染であるぷりんと同じ表情をつくるようになった。結愛せるふを見つめては、感情を燻らせるぷりんに同情した。

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ぷりん(本名:須理出 未来)

ようやく結愛せるふを許せるようになったのは、アニメ第2話から第3話にかけてのことである。結愛せるふはせるふなりにぷりんのことを考えているのだと分かり、私は安堵した。その時の私はぷりんに感情移入をしていたので、私はぷりんの代わりに少しだけ救われたような気がした。

 

安寧は長くは続かなかった。

 

いつものように、ぷりんの顔つきで結愛せるふを眺めているうちに、私はとんでもないことに気がついたのだ。

こいつは、私が持っていないものをすべて持っている。

のんびり生きることを許容してくれる周囲の理解、したいことをさせてくれる部活の友人のサポート、どんな状況でも自分のことを心配して気にかけてくれる大切な幼馴染、生傷の絶えない瑞々しい二次元美少女としての肉体。

そして、幼馴染の視線を惹きつけて離さない、危うい存在感。

 

私の、結愛せるふを見る目は変わった。

結愛せるふは私にとっての仮想敵となった。仮想敵であり、嫉妬と羨望の対象であり、別次元から見た攻略対象でもある。奇しくもDIYは「欲しいものがなければ自分で作れば良い」をテーマとしている。そうだ、自ら作れば良いのだ。ぷりんに愛される環境がなければ、愛される環境を自ら作れば良い。そのためにはどうするべきか?考えるまでもない。結愛せるふの、彼女の存在に成り変われば良い。私はいつしかそう考えるようになった。

 

結愛せるふになりたい。

妄想癖があって、すぐに上の空になって、壁にぶつかったり道で転んだりしていつも生傷が絶えなくても構わない。

シャツがはみ出てても寝ぐせがすごくても「ま、いっか!」と気にしない。

落書きが趣味の、のほほんとした家庭に育った、のんびりとした高校1年生になりたい。

結愛せるふになりたい。

そのことを自覚したのは、つい最近のことである。

 

ぷりんじゃなくて、結愛せるふ

私は小学生の頃から任意の二次元美少女になりたいと思い続けてきた独身異常男性だが、先述のようにその少女像が特定のかたちを取ることは珍しい。珍しいなかでも共通項というものがあって、その殆どが推した百合カプの片割れになっている。

つまり、私が好きな百合カプの構造はこうだ。

女1:推し(DIYの場合、ぷりん)

女2:推しが好きな女(私がなりたい存在。DIYの場合、結愛せるふ)

つまり、私は推しの二次元美少女になりたいのではなく、推しの二次元美少女が好きな二次元美少女になりたいのだ。そうして推しに近づく権利を得た後で、推しの二次元美少女に迫りたい。なんでもない仕草で推しを弄びたい。私の一挙一動でドキドキする推しは、とてもかわいい。

先日、私のこの説明に対して「お前の欲望はただの俺嫁厨のそれではないか」という指摘を受けたが、そうではないことを予め説明しなければならない。たしかに私は「ルッキズムに塗れた二次元美少女への低次元化および女体化願望」があることを認めなければならないが、かと言って俺嫁厨の語に含まれているような「俺」の存在を、私は断固として許していない。あくまで私の推しが好きになった女は上記で述べたような女2しかあり得ないのであって、超絶プリチーになった二次元美少女の「俺」ではない。いくら女2より二次元美少女となった「俺」のステータスが優れていたとしても、である。そこはカプのオタクなら共感できる考えだろう。

繰り返すことになるが、私がなりたいのは結愛せるふである。私はぷりんの感情を強く揺さぶる結愛せるふになりたいのだ。結愛せるふのことだから、恐らく私が結愛せるふに向かって「お前になりたい」と言ったところで、何も考えずに「いいよー」と許諾するのが目に見えている。私は狂喜乱舞し結愛せるふになる。なにしろ本人のお墨付きなのだ。私は結愛せるふになるや否や、ぷりんにとてつもなくしょうもない迷惑をかけにいくだろう。あるいは自室にこもって「うわああ大変!誰か助けてえ〜!」と叫びまくり、隣の家に住むぷりんを無闇矢鱈とハラハラさせるのも良い。脈絡もなくぷりんの寝床に入り込んで、ぷりんをびっくりさせるのも楽しそうだ。他にも、ぷりんの専攻分野を勉強する様子を見せてぷりんを喜ばせてあげたいし、次の日には全てを忘れてぷりんをガッカリさせてみたい。そんな小細工をしなくても、ぷりんとのんびりベンチに座って、青い空を滑るように流れていく雲の様子を眺めてみるのもいいだろう。それに飽きたら、ごちゃついたキッチンでぷりんとぷりんを作りたい。出来上がったぷりんをぷりんにあーんしたい。

きっとぷりんは顔を真っ赤にするだろう。

その赤面を誰より近くで見ることのできる、結愛せるふになりたい。

 

ぷりん助けて〜

最近、事あるごとに「ぷりんたすけて〜」と叫ぶようになってしまった。作中で結愛せるふがそんなことをぷりんに言ったかどうか定かではないが、私の気持ちはほとんど結愛せるふに近づきつつあるので、辛いことがあったときにはぷりんに助けを求めるようにしている。つい一昨日も、誰もいない坂道を自転車と調子に乗ってものすごい勢いで駆け降りている途中、あまりに感情が昂まりすぎたが故に「ぷりん助けて〜!」と絶叫してしまった。念頭にあったのはアニメ4話のラストシーンである。自転車を漕いでいた結愛せるふは転倒して道路脇の低木に頭から突き刺さる。私もそのような危険性を有していたので、念のためにいっぱい叫んだ。アニメでは低木に突き刺さったせるふをぷりんは助けなかったので、ここでもし私がぷりんに助けられれば、私が結愛せるふとしてぷりんに選ばれたこととなる。

結局、5回くらい叫んだところで前方に住民の姿を発見し、私は口をつぐみ、その住民の横をものすごい速度で通り抜けた。私は幸運にも自転車から転倒しなかったし、低木にも突き刺さらなかった。

ぷりんは助けに来なかった。

 

私は「結愛せるふ」をうまく演れるか?

このクソみたいな文章もいよいよ終わりに近づきつつある。私はこれまで、私が結愛せるふになるにあたって、核となる疑問から意図的に逃れてきた。

つまり、結愛せるふとなった私は誰になるのかという点である。

当然のことながら、私が結愛せるふになった場合、その精神は私が担っていると考えるべきだろう。しかし先述の通り、ぷりんが好きな女は結愛せるふであって、「俺」であってはならない。

するとどうなるか?

結愛せるふになった私は、ぷりんに少しでも疑われないように自我を殺し、結愛せるふをうまく演じる必要があるのだ。

ここには逃れようのない、致命的な問題がある。

1.仮に私が極めてうまく結愛せるふを演じることができて、結愛せるふにすり替わったことがぷりんにバレなかった場合

いくら私がうまく演じようとも、大切な幼馴染と私がすり替わったことに気付かないようであれば、結愛せるふに対するぷりんの愛も知れたものである。そんなの解釈違いだ。少なくとも、私が好きになったぷりんではない。私はぷりんに幻滅するだろう。

 

2.私とすり替わったことがぷりんにバレた場合

私は結愛せるふにはなれない。

以上、ただそれだけ。

 

つまり、私はどのようにしてもぷりんと幸せにはなれない。分かっている。私はこの事実を最初から理解したうえで、この文章を記している。

私のことを馬鹿だと思うかもしれない。気持ち悪いと思うかもしれない。しかし私には、この文章を書く必要があった。この迂遠な思考が必要だった。もしかしたら抜け道があるかもしれないと期待しながら文章を書き進める、この時間が必要だった。

そして、全てを諦めるための結論も。

 

私は結愛せるふになれない

先述の通りである。私は結愛せるふになれない。なってもぷりんを幸せには出来ない。ぷりんに相応しいのは結愛せるふ本人だ。私ではない。

私は結愛せるふになれない!

ここに理想と現実のギャップがあり、物語があり、この物語こそが私である。

もうこれ以上、多くは語らない。

 

私は結愛せるふになりたかった。

今もまだ、そう思い続けている。

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私の幸せなことや好きなことランキングTOP10

私が読んでいる好きなweb漫画に『売れっ子漫画家×うつ病漫画家』というものがあります。

これはスパダリの漫画家である上薗純と、アル中・鬱病の二重苦を抱えた元漫画家の福田矢晴との感情のすれ違いやぶつかりを描いた作品ですが、互いの思想の言語化能力と映像化能力など漫画としての表現力がたいへん高いため、いろいろ勉強させてもらっています。

そして昨日、最新作が更新されたのですが……

https://www.pixiv.net/artworks/102460252

その中で出てきた幸せなことや好きなことのランキングが合理的なようで、人間関係の構築にかなり致命的*1なことをやっていていいな〜と思ったので自分もあえてやろうと思います。

ちなみに私は「世話焼き二次元美少女の幼馴染が近所に住んでいる設定の二次元美少女になって、毎朝寝坊したり甘えたり迷惑をかけたり、たまにめちゃくちゃ顔を近づけたりそっと指を絡めることで純情な幼馴染の感情を振り回すこと」が一番幸せなことなのですが、実現可能性がちょっと低いので、それは最初から除外しています。

 

私の幸せなことや好きなことランキングTOP10

1位 百合妄想

2位 良い作品の摂取

3位 旅行

4位 友達と飲む酒

5位 おいしいご飯と酒

6位 友達との通話、対話

7位 自分の創作を考えること

8位 天気がいい日の散歩

9位 褒められる

10位 射精

 

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いかがでしたか?

個人的に思ったのが、矢晴と上薗純の「睡眠」の順位の高さです(リンク元参照)。自分は睡眠による快楽はほとんどなく、寝たらスッキリするけども、もし睡眠時間を創作や作品の履修に使えるのならどう考えてもそっちの方が楽しい人生なので2人には同意できません。睡眠はおよそ5〜8時間かけて行うものですが、それにしては得られる快楽が少なすぎる。現実がだるい矢晴はともかく、現実が充実している純がそこまで睡眠を愛する理由がわからないですね。仮に明日から「科学技術の進歩により私たち人類には睡眠の必要性が消失しましたが、8時間寝たらいつも通りの快感が得られますよ」となったとしても、自分は年に一度くらいしか睡眠しないと思います。他の人や上薗純はどうなんでしょう。

あと上薗純の射精のランキングの高さですが、これは判断しづらいですね……。私の場合、性欲は生理的欲求なので普通に処理しますが、だからといって好きかと言われると別に好きではないんですよね。性癖のエロ作品を読んで感情の昂るまま行う自慰行為および射精がめちゃ気持ちいいのは確かなんですけれど、性欲がなくなっても(まぁ今の時点でほぼ枯れてるようなもんですが)そんなに困らないだろうな〜というのはあります。でもないよりかは程々にあったほうがいい感がありますよね。選択肢がある意味で、という話です。

 

そうだな、あとついでに私が嫌いなものランキングもあげちゃおっかな♪と思いましたが、上から順に労働、自民党異性愛規範、電通……と来たあたりでもう辞めた方が良いと判断したので第六感に従います。

 

と、このようにランキングにして自分の好きなことを可視化すると、自分と他者との差異が明確に分かって他人と距離を強く感じて全然良くないので、やっぱり皆さんはやらない方がいいですよ。

でも私は怖いもの見たさで色んな人のランキングを覗きたいので、上記のリスクを承知した上で公開してくれる人がいたら嬉しいです。

それでは。

*1:多分ふつうの人は「あっ、ここは自分と一緒だ!」よりも「この人は自分とここが違うな」ということに目が向きやすそうなので、おそらく他人と距離を詰めるより離れる効果の方が強そうなので

【BFC4落選作】「街灯と街」

 黒板が鳴る。チョークの粉が舞う。

 街灯の周りを飛んでまわる街

「分かるヤツはいるか」と重田先生は言った。ぼく達は黙っている。グラウンドでは十数名の生徒がドッジボールをしていて、投げられたボールを取りこぼした瞬間に体育教師の笛が鳴る。ピッという快音に耳を澄ます。ぼく達はボールが掴み投げられ人々を追いかけまわす情景を想像している。

 街灯の周りを飛んでまわる街

 想像してほしい、と先生は言った。

「きっと夜だ。暗い夜道を君達は歩いている。学習塾やピアノ教室や友達の家からの帰りだろう、とにかく君達は暗い夜道をよちよちと歩いている。道には等間隔に街灯が生えていて、天辺には君達の頭と同じ大きさの灯りが煌々と実っている。それは君達のよすがだ。有り難いと君達は思う。ただ、街灯を有り難がるのは人間だけじゃない。君達は街灯の周りを何かが飛んでいることに気付く。君達は目をこらす。目をこらし、飛びまわるそれが何なのかをじっと見つめる。そして気が付く」

「街だ」重田先生は浅く息を吸った。

「君達の住む街なんだ」

 分かるか、と先生が呼びかける。

 ぼく達はみんな黙っている。

「……そうか、まだ低学年だもんな」

 先生は白のチョークでルビを振っていく。

 街灯がいとうまわりをんでまわるまち

「これで読めるようになっただろ」

 先生は穏やかな表情でぼく達を見渡した。チョークを楽しげにフリフリしながら、君はどう、君はわかるかな、そこの君はわかるよね、とランダムにぼく達を指していく。

 ぼく達はみんな黙っている。

 最初に聞こえたのは、チョークが複雑骨折する音だった。音の発生源は先生の右の拳で、先生がゆっくりと指を開いていくと、粉々になったチョークがバラバラと床に落ちていく。

「誰もいないのかよ……」

 ダン!と床が揺れた。女子たちが悲鳴を上げる。重田先生の足だった。先生は砕けたチョークを徹底的に粉砕するべく、全体重をかけて激しく地団駄を踏み続ける。

「誰も(ダンッ!)いないのかよッ(ダダン)、分かる奴は(ダンダダ)よォ(ダンッ)!」

 先生の地ダンダは続く。前川さん、とぼくは思う(ダンッ!)。誰かが答えなければならない(ダダン)、けれど今じゃないとぼくは思う(ダンダダ)今じゃない(ダンッ!)今じゃない(ダンッ!)今じゃな

 一本の腕が伸びる。

 床は揺れなかった。静寂。みんなが彼を見ていた。前川さんも見ていた。ぼくと、ぼく達みんなの視線が絡み合う先で、

 柳村くんは手を挙げていた。

「間違いなく、わかるのか」

 柳村くんは頷く。

 なら描いて欲しい、と重田先生は言った。

「この言葉を、視覚的に表現してほしい」

 街灯がいとうまわりをんでまわるまち

 柳村くんは板書を数秒間眺めてから、黄色のチョークを掴んで何かを描き始めた。

 最初はキノコだと思った。しかしそれにしては傘が短く、根元で膨らむコブも不自然だ。

 柳村くんの描き始めたものが勃起したペニスだと気付くまでに、ぼく達には時間が必要だった。ぼく達はまだ学校で性教育を受けていなかったので、悲鳴を上げた数名はその意味をぼく達に共有するために、卑猥な情報が書かれたノートの切れ端を手渡したり放り投げたりすることで、教室の隅々にまで最先端の性教育を行き渡らせる必要があった。

 そうしてぼく達が途方もない興味を持って自らの股間を触り始めた頃、柳村くんはようやくその絵を完成させた。

「これは、なんだ」

「街灯と街」

 それはどこからどう見ても、勃起したペニスを握る男の絵だった。何かを言おうとする重田先生を、柳村くんは手で制する。

「街灯と男根の熟語の構成は同じですよね。街灯と街、男根と男。男根の周りで飛ぶ男」

 街灯がいとうまわりをんでまわるまち

「でも、人は飛びまわらないだろ」

「飛びますよ」柳村くんは股間を触った。

ぼく達は街です。飛ぶ街なんです。毎晩毎晩、街灯に振り回されて飛ぶんですよ」

 ぜえ、と重田先生は喉の奥を鳴らした。

「それとも先生はしないんですか、自慰」

 重田先生は荒い息を吐き、額の脂汗を右の手で拭った。額に白がつく。握りつぶしたチョークの粉だった。重田先生が汗を拭うたび、重田先生の顔はどんどん白くなっていく。

 ぼく達はそれを黙って見つめている。

 

 今日のことを、ぼくは家族に話さなかった。

 担任の森山先生が早退して六時間目の国語が自習になったこと。知らない人が教室に入ってきて、重田先生と呼べと言ってきたこと。前川さんが柳村くんを見ていたこと。重田先生が顔を真っ白にして教室を去ったこと。

 前川さんが柳村くんを見ていたこと。

 街灯がいとうまわりをんでまわるまち

 あの言葉が、絵が、何を意味していたのかぼくにはわからない。けれども柳村くんが口にした言葉は、未だにぼくの耳に残っている。 

 ぼく達は街です。飛ぶ街なんです。

 その日の夜、ぼくは街灯を握り締めた。街灯は次第に立ち上がっていき、暗かった街全体に光がもたらされていく。前川さん、とぼくは思う。瞬間、ぼくの身体は目映い光を発し、脳内で閃光が炸裂する。暗転。全身にやわらかな風を感じたのは、暫くしてからだ。眼下にはぼく達の街が、綺麗な夜景が広がっていて、ぼくは柳村くんの声を、あのまっすぐ伸びた手を、あの奇妙な男の絵を思い出す。

 ぼく達は街です。飛ぶ街なんです。

 前川さん、とぼくは思う。

 この街の何処かに、前川さんが住んでいる。

サイコロきっぷで福井旅行(前編)

文章が長いので、読みたい部分だけ読んでください。

 

①まえがき(2022年8月13日)

ふつう旅行とは行きたいところへ計画を立てて(あるいは立てずに)行くものだが、行くつもりのない場所へ旅行することはなかなか難しいものである。

「よし、今日は行くつもりのないところに行くぞ!」と思い立ち、地図も持たずに徒歩やバイクで適当に走り回ったところで、直進や右折や左折を自分の意思で行う以上「行きたいところに行っているではないか」と指摘されても仕方ないだろう(明らかにクソリプだが)。

 

あるいは、せめてもの日常への抵抗として、いつもとは反対方向の電車に乗ってみたとしよう。けれどもそこには「反対の電車に乗ってみよう」というぼんやりとした目的地のイメージが働いているし(反対方向ということは、いつもの方面にある場所を除外しているという点で目的地をフィルタリングしていると言えるではないか!)、適当に降りてみても「ここで降りよう」という自分の意志が働いている訳だし、頭で思い浮かべた「目的地」のイメージから完全に逃れることは難しい。

やはり、行くつもりのない場所に行くためには、道端に落ちている新品の旅行券を拾ったり、水曜どうでしょうのごとく目的地も告げずに急に捕獲して輸送してくれるような友人が必要なのである。

 

とはいえ、そういう面白イベントに出会う確率はたいへん低い。

ああもう、じゃあどうしたらヒトは行くつもりのない場所へ行けるってわけ?とお悩みの貴方に朗報。

実は、JR西日本が実施したサイコロきっぷというものがありまして……。

www.jr-odekake.net

まぁ、もう申し込みは終わっているんですけれどねσ(^_^;)オイオイ

詳細は上のリンクから見てほしいのだが、多分わざわざリンクを踏んでくれる人はそんなにいないと思うので説明をば。

サイコロきっぷとは、キャンペーンページに仮想的に設置されたサイコロを降ると、その出目に応じてJR西日本が設定した目的地に行くことができるというものである。この魅力は主に2つ、①自分が意図しない場所に行くこととなる、②その目的地に行くまでの乗車券含めた特急券が往復5000円で手に入るというものであり、出発地は大阪市内からに限られるが、おおよそ割引率は50〜80%となっているなど、金がなく時間がある学生や自分のような暇な社会人には魅力的な施策だった。およそ1/36の確率で博多にも行けるというのも面白かったと思う。

とはいえ、じゃあ僕やります!とすぐに申し込めるかと言えばそうではない。発着が大阪限定であるため、仮に「東舞鶴」が目的地として出てしまった場合、東舞鶴に住む人間はわざわざ交通費を支払って大阪にまで出てきて、5000円の特急券で東舞鶴に戻り、ぼーっとした後にまたわざわざ大阪に戻って、さらに交通費を支払ってお家のある東舞鶴に帰らなければならないのである。

もう何が何だかわからない。

今のは極端な例だが、大阪を起点としている以上その目的地として設定されている各地方の人間は同様の問題を1/6くらいの確率で引くこととなる。これは大阪府民ではない私にとっても他人事ではなく、つまりサイコロきっぷというものは、引くためにそれなりの勇気と覚悟を必要とするギャンブルでありまして。

まぁ、引くんですけれどね。

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……何処?

 

何処かは分からないが、この時点で私の"勝ち"は決まっていた。

第一に地元ではなかったし、第二に行くつもりのない(そもそも存在すら知らない)土地に行けるのだから!

いや〜満足満足。

やっぱいいですね、行くつもりのない場所に行く権利を手に入れるのって。

サイコロきっぷ最高!

 

②まえがき(2022年10月13日現在)

お久しぶりです。

というわけで、自分はこの権利を手に入れてから数ヶ月間放置していたのだが、どうも私は重大なことを見落としていたらしい。

というのも、行くつもりのない場所は別に私の行きたい場所という訳ではないので、まったく行く必要性を見出せないのである。

というか、行くのがめちゃくちゃめんどくさい。行くなら絶対に泊まり確定だし、それなら土日潰れますしね。いや、こちとら平日5日間も勤務して納税している社会人様なわけでして、疲れてんの。しんどいの。なにがサイコロきっぷだよ。たまの土日なんだからゆっくりさせろよ。なんでわざわざ芦原温泉ってとこに行かなきゃなんねえんだよ。アホか?とかなんとか言っているうちに季節は過ぎ、サイコロきっぷの利用期限の10月末が近づいてきたので、仕方なく行くことにした。

まぁ温泉だからギリギリ許せたけど、あんまりモチベがなかったので雑に宿も取りました。

はー、行きたくねえ〜。

 

なんか、福井県らしいです。芦原温泉

 

③福井旅行1日目

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仕事終わりの金夜、眠い目を擦りながらサンダーバードに乗車*1

 

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なんかその割にはゴキゲンな感じが出てますが……まぁ、色々調べるうちにちょっと楽しみになってきたのはここだけのヒミツです(照)

 

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2時間後、福井駅で途中下車。

サンダーバード、速いぜ。

速いけどもうこの時点で23時。眠い。

 

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ホテルに移動。写真は翌朝のものだが、全国旅割のお陰で実質600円となったお宿。朝食付きでこれはネカフェより安い。


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その代償として、謎の門限があったりする。ゲストハウスかよ。

 

さて、チェックイン後に「じゃあ寝ますか」とならないのが自分で、やっぱり旅のお供の居酒屋に行かないことには始まらない。

たまたまフォロワーに福井経験者がいたので、オススメのバーを教えてもらっていくことにした。

 

Agit(福井県福井市

このバーは下の記事で紹介されている。

makef.jp

この記事及び周辺の記事で挙げられている居酒屋/バーのなかでも、Agitのマスターの存在感は強い。クマさんの名に恥じないくらい、マスターはクマさんだった。でかい。そして気さくな方だ。既に入ってた常連客と完全に出来上がっていた空気の中に入り込むのはなかなか勇気がいることで、入店して数秒はクマさんと目があって完全に時が止まり「やらかしたか?」と思ったが、すぐに破顔して出迎えてくれたので助かった。常連客から二つ離れたカウンターの隅っこに座ろうとしても許してくれなかった。真ん中の方へ。それだけでもクマさんの人柄がわかって良い。自分がよく話していたのは女性の方だったのだが(クマさんの奥様だろうか?以後、奥様と称する)、その方も気さくで、人と話し慣れている感じがした(オタクにとって一般人はみな気さくな方だ)。

最近の自分はなるべくいろんな人と話そう週間に入っているので、完全にお喋りを強制されそうな空間はかなり居心地が良かった。こういう善意のみで構成される空間で嘘をつく気にはなれないので、素直に真実をぺらぺらと話した。なかなかに気持ちいい。この前たまたま入ったガールズバーではめちゃくちゃ女性と話して歌って5000円くらい取られたのだが*2、なんとなくあれ以来行く気にはなれないのに対し、ここの居心地は本当に良くて、ずっと通いたくなる。

入店以来、所作がずっと旅人なのですぐに観光客だと見抜かれたのだが、サイコロきっぷできた旨を告げると「でた〜!」という感じになり、少し盛り上がった。サイコロ勢は結構この店にも来るらしい。意外だが納得。福井に来たらここに来る以外に選択肢はない。

常連客の方は某映画館のスタッフらしく、映画館についての愚痴をずっと話していて良かった。一番面白かったのは、その映画館のビルの2階にある喫煙所のドアのノブの部分が低すぎるというもので、なんだか知らんが非常にローカル感のあるオカルトチックな話でドキドキした。次の日、ちょうど「こちらあみ子」が公開されるということなので、映画館に立ち寄ることをスタッフさんと約束する。

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その人が頼んでいた金色のボトル。飲めば良かったが時間がないのでやめておいた。


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最初選んだのはシナモンジンジャーのカクテルで、写真は2杯目のバタードラム……という名前だった気がする。温めたラムにバターと砂糖を入れた心温まるホットカクテル。なかなかに素晴らしい。

というわけで、ホテルの門限(笑)が迫っていたのでこそこそと退店。門限さえなければフードもいっぱい頼みたかったのだが、ここでの会話が楽しかったのでそちらを優先してしまった。やっぱりこういう一期一会感があるから酒場巡りって楽しいんですよね。これから福井に行く方にはぜひオススメしておきます。


④福井旅行2日目
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門限のあるホテルだが、朝食は値段の割になかなか良かった。みんな大好き目玉焼きコーナーがありますし……いや、見たことねぇよこんなの。でも手元のアルミを蓋にして焼くというなかなか面白い体験ができてよかったです。


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いちおうバイキング形式だったので、ボリュームのある朝食を楽しむことができた。デブには有難いぜ。バックの方でホテルの人間が「もう卵がないよ〜」と泣き言を言っていたのが良かった(別に俺が大量に食ったわけではない、念のため)。

食事をしてから10分後にチェックアウトをするなどする。


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福井旅行の先輩に教えてもらったブータンミュージアム。Agitの奥様曰く「幸福度日本一の福井県と幸福度世界一のブータンに共通項を見出したどっかの社長が道楽で始めたもの」らしいが、勝山市に移転済みだった。残念。


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怖い名前の川だ。

 

福井県立美術館(福井県福井市
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本日のメインディッシュに到達。

この日は企画展の「ミリオンセラー ロングセラーの絵本たち」というものをやっていて、あまり興味はなかったのだが、地方に旅行したら絶対に美術館にいく縛りを設けているので必然的に行くことになった。


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なぞの岡倉天心像。ご両親がどちらも福井出身らしい。へぇ~。


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これです。

 

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入ってすぐに広がる、大量のパンの置物。このエリアはかこさとしエリアだった。圧巻である。見覚えがある人もいるかもしれないが、かとさとしの「からすのパンやさん」に出てくるパンを実体化させたものだ。すごい。

 

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これが該当ページ。隅っこでは実際にかとさとしの絵本を読むことができて良かった。からすのパンやさんにしても、からすが群れをつくるシーンや飛び回る様の表現が綺麗で素晴らしい。


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こういうのや、


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こういうのもある。

 

人生においてかこさとしのことを真剣に考えたことが無かったのだが、プロフィールを読むと東大を出て研究者として働きながらも絵本作家として大成した……という経歴らしく、なんだかもう敵わないなと思った。

次のエリアからは撮影禁止だったのだが、素晴らしいものがいくつかあったので記録しておく。

 

いわさきちひろ作品

「落がきをする子ども」

「子犬と雨の日の子どもたち」

デカいキャンバスで見るいわさきちひろ良すぎる。

「ぶどうを持つ少女」

「はなぐるま」

特にはなぐるまは俯瞰のカメラの感じがめちゃ好みで、構図も素晴らしかった。

 

あと、これは最大の収穫なのだが、刀根里衣という絵本作家を知れたのが本当に良かった。

とくに

モカと幸せのコーヒー」

「きみへのおくりもの」

「おもいで星がかがやくとき」

あたりの原画は、絵だけを見てキャラに感情移入して、その愛のひたむきさや喪失の痛みに共感してボロボロ泣けてしまうくらいだったので、ぜひ原画を見てほしいと思う(絵本になってテキストが付くとやや火力が弱くなっていた。細田守かよ)。

あとは

佐野洋子「わたしのぼうし」

林義雄「炊事の手伝い」

渡辺三郎「シャボン玉」が好みだった。とくに幼女の造詣が。

ありがたいことに、展示の終わりにこれまで紹介された絵本を自由に読めるスペースがあったので、心を掴まれた刀根里衣作品を読ませてもらった。「おもいで星がかがやくとき」は傑作。あとは刀根里衣が絵を、青山七恵が文を担当した「わたし、お月さま」はストーリーの展開や言葉遣いと絵の幻想的な雰囲気が非常にうまくマッチしていて、めちゃくちゃ興奮した。素晴らしい作品だと思います。

満足して退館。

 

ヨーロッパ軒総本店(福井県福井市

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県立美術館から、テクテク歩いて昼食へ。

フォロワーさんオススメのヨーロッパ軒なるものへ行くことにする。どうやら福井では非常に有名なソースカツ丼のチェーン店(の本店)らしく、かなり混雑していた。店内では多くのサイン色紙が飾られており、学生も大量に出入りしていることからも、福井のソウルフードとして愛されていることに間違いはなさそうだ。


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強欲なので、カツだけでなくエビフライとメンチカツも乗ったスペシャル丼(1180円)を注文。

肝心の味ですが……(要らない引き)めちゃ美味かったです!

衣は軽くサクサクで、どの具材もジューシー。しかも掛かっているソースが酸味が強くさらさらで、ご飯にもカツにもバッチリ合っていて「あ、これは美味いわ」と一口目で確信した。


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うますぎてソースを買ってしまった。観光客仕草がすごいが、家でもこのソースを使えるなら最高である。福井に来たらまたここに来たいぜ。

 

福井市美術館 アートラボふくい(福井県福井市

続いて市立の美術館へ。県立は福井駅に近いのだが、市立の方は福井駅から片道で徒歩1時間程度とやや遠い。さてどうしようかなと思ったが、どうやら福井駅から無料バスが出ているらしい。めちゃくちゃ助かる。

けれども、バス乗り場の案内がやや不親切で迷ってしまったので、乗りたい方は早めに下調べをして行くことをオススメします。
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無事到着。見た目からしてデカい。

 

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今回の目当ては「山下清展」です。正直山下清にほとんど興味はなかったのだが、オタクなので行きたくなくても美術館に行かなくてはならない。


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「ス・ケートボード禁・止」(だからなんだよ?)

 

で、内部は一切の写真撮影が不可だったのでここからは雑感になるが、山下清に興味のない人間が山下清に興味を持つには十分なくらいの情報、作品があって満足だった。

ここで簡単に説明すると、山下清とは、幼少期の重い消化不良の後遺症で知的障碍(あるいはサヴァン症候群か?)を持ち、知的障碍児養護施設にあずけられるも、そこでの特訓により貼り絵の才能が開花し、以後「貼り絵」「ペン画」「油彩」などによって各地の風景を緻密かつ鮮烈に描写することを得意とした芸術家である。

山下清の代表作「長岡の花火」(1950)

日本では山下清の名は「裸の大将」で有名だが、コンテンツとしての「裸の大将」と山下清との違いとして、実際の山下清は旅行先で絵を描かなかったことが知られている。山下清は驚異的な記憶力の持ち主であり、一度みた風景を忘れることはなかったらしい(そのためサヴァン症候群説が浮上している)。彼が作品を制作するのは、旅行先から自宅に帰ってからのことであり、鉛筆で簡単に下書きをしてから、様々な色紙を使って記憶のなかの風景を表現していた。

非常に面白いのが、山下清の技術力が時間を経る毎に凄まじくなっていく点である。展示されている作品を見ても、彼の幼少期の絵はお世辞にもうまいとは言えず、そこらのガキと同レベだった。しかしながら、15歳頃から特訓の成果が出始め、一気に貼り絵としての完成度が高まっていく。個人的に転換点だと思ったのが「二重橋」という作品で、素人目で見ても「こいつ、絶対に伸びるやんけ……」と思わせる迫力がある。事実、1937年以降の彼の絵はどんどん世間から評価されるようになるのだが。

最後に触れておきたいのが、彼の放浪癖についてである。彼が知的障碍児養護施に収容されていたことは先述の通りだが、実は6年後の1940年に脱出し、以後ひとりで日本中を放浪するようになるのだ。脱走時で18歳、そこから約15年間も(1955年まで)放浪し続けたというのだから常軌を逸している*3。このクソ長い放浪の最初のモチベは徴兵検査からの逃げにあるが、結局職員に連れ戻されて徴兵検査を受けたところ知的障碍ゆえに兵役も免除され、山下清は安心して再び放浪に励むこととなる。そして彼が長い放浪から帰ってきて、見た風景を思い出しながら貼り絵にすると、各界から大評判。東京大丸での展覧会ではモナリザ展に匹敵する観客動員数500万人を突破したというのだから、マジで無敵である。

自分も旅行が好きな部類ではあるが、山下清のように過ごすことができればどれほど心地よいかと考えてしまう。もっとも彼の場合は自分よりもかなり悪条件で*4やっているのだから、自分がやらないのはどうしても言い訳がましくなってしまう。う~ん、流石に完敗です。山下清を見習わないとな。皆さんもそう思いませんか?

メトロ劇場(福井県福井市f:id:negishiso:20221018063536j:image

市立美術館を出て、再び無料バスに乗って福井駅へ。そのまま近くのミニシアターまで移動する。お目当ては(この劇場では)本日公開の「こちらあみ子」。昨日、バーAgitで話した方が務めている場所でもある。


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劇場内ではこういうのがあって良かった。自由に書いていいとのことなので、「ほのうみ参上!」とでも書こうと思ったが、ペンが見つからないので書けなかった。

劇場内の雰囲気も良く、近所にこういうのあって欲しいわ……と思わざるを得なかった。福井っていい街ですね。

「こちらあみ子」の感想はまた後日。青葉市子の音楽がすごかったとだけ。


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帰りに、バーで話題になっていた、ドアノブの位置が低すぎる喫煙所の扉を観に行った。


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確かに低い!低すぎる!自分の膝くらいの位置にあるんですが。

クマさんが管理人に聞いたところ、「あれは業者(ボランティアの方)の取り付けミスです」とのことで、特に車椅子の人に配慮しているとかではなく*5、マジのミスだった。草だ。

 

ぼくがJR芦原温泉駅から本当のあわら温泉街に行くまで

さて、映画が終わればすぐに温泉街に移動せねばならない。なんとか17時発の電車に乗り込む。温泉を楽しむには慌ただしすぎるが、急げば間に合うじゃろと楽観的に考え、芦原温泉駅に到着。

このとき17:29。
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呑気に写真を撮っているが、これが致命傷であることを当時の私は知る由もない。

駅から出るとまったく温泉街ではなく、ただの田舎である。辺りを見渡し、ようやく温泉地から駅が離れていることを思い出す。そうだ、バスで行かねばならない。バス停を探していると自分の横を「あわら湯のまち駅」行きのバスが通り過ぎる。なるほどあのバスか。バスが来た方へ向かう。案の定バス停がある。おーこれだこれだと思い、次のバスを調べてみる。f:id:negishiso:20221018063548j:image

本日は土曜日。見るべきは右の青い欄だ。最終便は17:31発。

つまり、先ほど自分の横を通り過ぎたバスが最終便だったのだ。

マジかよ。

仕方ないから徒歩で行くしかないようなので調べる。f:id:negishiso:20221018063600p:image

正気か?

芦原温泉駅」を名乗っておいて、芦原温泉まで徒歩で1時間も掛かるのかよ?

タクシーの料金を調べると2000円もするので諦めた。2000円あったら1件の居酒屋で酒が飲める。タクシーにそこまでの価値はない。貧民なのでひたすら歩くことにする。温泉地まで。1時間かけて。

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田舎過ぎて街灯すらないので、車のライトが前方の足元を照らすタイミングを見計らって進んでいく。周囲は田園。そうでもしないといつ足を滑らせて落っこちるかわからない。いや、こちとらゲームアクションやってんじゃねーんだぞ。

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iPhoneは夜景に強いのであんまり写真では絶望感が伝わらないが、気持ち真っ暗である。あ~あ、車に乗れたらなあと思うのだけれど、今の私は免許更新を忘れて失効したまま放置しているので車にも乗れないのである。やれやれ。こんなんじゃ村上春樹になっちまうよ(どういう意味?)。

 

丁寧にきっかり一時間をかけて芦原温泉の真の最寄り駅「あわら湯のまち駅」に到着。クソがよ~~~~~~~~~~。
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旅館にて

旅館は「駅から5分♪」を謳っていたが、自分は65分掛けているのでその表記は誤りである。
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汗ダラダラなのですぐに温泉に入りたいのだが、どうやら予約したプランが「エレベーターのないお部屋なので」とのことで、3階まで階段で歩かされる。フロントでは「帯でございます」とタオルと一緒に帯を持たされたが、部屋に行くと浴衣がない。部屋じゅう探してもない。帯だけが手元に残されている。しかたなくフロントに行くと、見えにくい位置に浴衣置き場がある。帯でございますじゃないんだよ、浴衣も案内してくれよ。浴衣を回収してそのまま温泉へ。もう服もべとべとだし、身体を洗ってすぐに温泉に入る。流石に熱くて気持ち良い。客は全然おらず貸し切りだった。はじめて芦原に来てよかったと思う。ふと「サウナもございます」と言われたことを思い出しサウナに行く。サウナだけがある。水風呂もウォータークーラーもない。かろうじてクールダウン用の椅子だけが一脚置かれている。どうしろと?このサイクルだと脱水症状で死ぬが?死ぬのはイヤなので微妙にサウナで暖まってから椅子に入って常温になり温泉に入る。サイクルすらしなかった。サウナはクソだが温泉は気持ち良い。私は温泉が好きだ。でもよく考えれば、これまでの人生で気持ちよくない温泉に入ったことなんてない気がする。温泉がすべて気持ちいいものであるなら、この旅館の良いところは何もないではないか。全国旅行支援も適用されなかったし。

あ~~~~~~もうクソじゃ全部クソじゃ芦原はクソじゃ観光客の来るところではない、もうワシは1000歳生きたのじゃロリキツネ娘の気分じゃ、あ~~~癒してほしいワシも癒やしてほしいもう人間ばっかり癒やすのはクソじゃ、こういう時にはf:id:negishiso:20221018063524j:image

ビールに限るのじゃ

 

おでん酒Bar IPPO(福井県あわら市
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芦原温泉街で唯一良いところは湯けむり横丁じゃ。かなり個性的な屋台村になっていて、酒飲みにはたまらんのじゃ。


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うまいのじゃうまいのじゃ。酒呑んで飯食って退店。

 

手羽先ひね鳥 鳥ひろ(福井県あわら市f:id:negishiso:20221018063516j:image

酒飲んで


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手羽先食って


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モツ食って


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ひね鳥食って退店。

 

牛ホルモン焼き 西やん(福井県あわら市f:id:negishiso:20221018063423j:image

酒飲んで


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ホルモン焼き食って


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〆に炒飯作って退店。

以上。

この店で自分と同じサイコロきっぷユーザー(30代くらいの男性)と出会い、一緒にこの後酒でもどうかと言おうとしたが、なんだか急に全部がどうでも良くなり、何も言わずに帰って寝ることにした。

 

つづく。次回完結です。

*1:ちなみにこの写真はサンダーバード福井駅から去って行くところです

*2:飲み放題が付いていたのでがぶ飲みして「元取ってますね」と苦笑いされた。最高の貶し言葉だが最高の褒め言葉だと都合よく認識しておく

*3:そして心底尊敬する、自分にはとてもできないことだ

*4:なにしろ、彼が放浪中に持っていたものは「二個の茶碗(ご飯用と汁物用)」「箸」「手拭い」「着替え」「旅先で犬に吠えられた時のために護身用の石ころ5個」だけというのだから本当にすごい。護身用の石ころ5個の力強さ!

*5:そもそも階段からしかアクセスできないので、車椅子の人は使用できない場所にある