M-1に出たいのでコントのネタを考えました。
以下、台本
「はいどーも」
「晴れのちアメルヤでーす」
「いやー最近太ってきちゃってさあ」
「ああそう」
「甘いものばっかり食べちゃうわけ」
「あら、遠藤くんは甘いもの食べるの。あ、そういうことならさ、いいものあるよ。おれ毎日食べてるから全然太んないの」
「へえ、なんですか斉藤くん。教えてくださいよ」
「うん、毒虫って言うんだけれど」
「毒虫?」
「そう、毒虫」
「待って……なんなんですか、それは」
「え? 毒のある虫」
「そのままじゃねーか。お前なんてもん食ってんだよ」
「えー、でもうまいよお」
「そんなわけないだろ。なんで毒がうまいんだよ」
「いやね、食うと舌がピリピリ痺れるのよ」
「ガッツリ毒じゃねーか! それ舌がやられてるんだよ! てかさ、なんで毒虫食うと痩せるんだよ」
「え、知らないよそんなの。婆ちゃんが言うんだもん。これ食っときゃ痩せるって」
「え、お前の婆ちゃんも毒虫食べてるの?」
「婆ちゃんっていうか、家族みんな?」
「一家揃って食べてんの!? 毒虫一家じゃん」
「それは言い過ぎだろ」
「どこがだよ! まごう事なき毒虫一家だろ。お前もう明日から苗字を毒虫にしろよ」
「アッハッハ……」(声にならない笑い)
「何がおかしいんだよ」
「だってさぁ……それじゃあおれの名前、毒虫毒虫になっちゃうw」
「お前の名前、毒虫なの!? 両親、頭おかしいんじゃねーの!?」
「なんでだよ! いい名前だろ、毒虫」
「よくはないだろ。お前それ、子供が亡くなりやすい地域でさ、悪魔とか死神に命が取られないようにってあえて汚い名前つける民族のやつじゃねーか」
「ツッコミが長いんだよ」
「黙れ毒虫! お前の名前が俺にツッコミをさせてるんだよ! お前が毒虫なんて名前じゃなければこんなツッコミせずに済むんだよ! てかお前さ、どういう気持ちで毎日、自分と同じ名前の毒虫食ってんだよ」
「え、仲間だなあって」
「サイコパスだろ。仲間を食うなよ」
「お前だって食うだろ!」
「食わねえよ、俺は人間を喰いません」
「そうじゃなくてさ、お前の名前キノコじゃん」
「そうだけど」
「お前さ、昨日もキノコ食ってたよな」
「だからなんだよ」
「お前も食ってんじゃねーか、仲間をよ!」
「キノコは違うよ、あいつらは……友達だから」
「似たようなもんだろ! 食うなよ友達を!」
「黙れ毒虫、このやろ!」
「なんだキノコ!? てめえ!」
(3秒間、取っ組み合い)
「なぁ!」(毒虫の方から手を止めて)
「なんだよ!」
「やめねえ!? 争うの!」
「ああ……そうだな」
「わかってるよ、俺も。毒虫が変な名前だって」
「キノコは違うけどな」
「キノコも変だよ」
「なんだあ!?」(殴りかかるフリ)
「やめろって! 似たもの同士だよ、俺たち」
「……ああ、そうかもな」
「でもさ、親がくれた大切な名前じゃん。毒虫も、キノコも」
「まぁな」
「バカにしちゃダメだよ、やっぱり。俺も大切にしてるから……死んだ両親がつけてくれた名前」
「え? お前の両親亡くなってるの?」
「ああ、死んでるよ」
「えっ、なに、事故?」
「いや、警察曰く毒死らしい」
「毒死……毒死?」
「原因不明の毒のせいだって」
「毒虫じゃねーか! それ絶対毒虫だって!」
「え? でも婆ちゃんはそうじゃないって」
「いや絶対そうだって、何歳で亡くなったんだよ」
「どっちも32」
「毒虫だよ絶対! 死ぬには早すぎるって! お前の両親さあ、毒虫のせいで毒虫のお前の成長を見る事なく死んでんだよ! こんな悲しい事あるか!?」
「悲しい、のかなあ……」
「お前、感情まで毒虫に殺されてんじゃねーよ! ダメだってお前まで毒虫食べたら! 死ぬぞお前!?」
「でもばあちゃんが毎日食べろって……」
「いや、なんで婆ちゃん……おい、待てよ。婆ちゃんは生きてんのか?」
「生きてるけど」
「婆ちゃんも毒虫食べてんだよな?」
「あー、いや、最近は食べてないなあ」
「婆ちゃんは食べないのに、お前と両親には毒虫を食べさせていたのか?」
「そうだけど」
「……なあ、ひとつだけ質問していい?」
「なに?」
「……お前の両親に、多額の生命保険かかってなかった?」
「ああ、二人合わせて2億ね」
「婆ちゃん!!」
「え?」
「婆ちゃんだよ! 犯人は婆ちゃんだって!」
「お前何言ってんだよ笑」
「お前が何言ってんだよ! お前の両親、保険金目当てで婆ちゃんに殺されたんだって! 毒虫で!」
「毒虫って、俺のこと?」
「そうじゃなくて……待てよ? お前の名前、毒虫だよな」
「だからなんだよ。その話はもうやめるって……」
「一部の地域ではさあ、悪魔から命を守るために、あえて変な名前をつけるんだってなあ!」
「……え?」
「お前の名前の毒虫ってさあ、もしかしてさあ!」
「……」
「お前の両親が……すべてに気が付いてた両親が……悪魔の婆ちゃんからお前を……お前を守るためにっ……!」
(沈黙、3秒)
「なぁ、遠藤……」
「なんだよ、斉藤……」
「俺さあ、毒虫って名前でよかったよ。父さんも母さんも、俺のことを愛してくれてたんだなあ」
(二人、黙って抱きしめる)
終