新薬史観

地雷カプお断り

小バエが大量発生している

北海道といえども夏は暑く、食べ物が腐る。

このまえ、レタスを常温で放置していたところ、購入してから3日後にはレタスの底の方がグズグズになっており、ひと玉まるごとゴミ袋に捨てた。それをすぐにゴミ捨て場に捨てれば良かったのだが、怠惰のために燃えるゴミの日を1回逃し、直近で捨てるタイミングを失った。仕方がないのでさらに3日ほど放置したのだが、これによってレタスは購入されてから一週間もの間、腐敗に最適化された気温のもと、ジクジクと腐り続けたことになり、最後のほうなど球体であり続けていたかは怪しい。ただ、やはり怖い物見たさはあるもので、レタスだったものが入れられているゴミ袋をチラリと開けてみたら、その「チラリ」で小バエが4匹ほどブワッと飛び出してきた。あまりの恐ろしさにすぐさま袋を縛ったのだが、その4匹が永遠に部屋のなかを飛び回り続けたため、居住空間を小バエに占拠されている事実が怖くて泣いてしまった。ちなみに袋のなかにはあと10匹はいた。怖くてちゃんと見てはいないが。

さて、その4匹をどうしようかという話になり、即席ではあったが、食器にめんつゆと洗剤を入れたやつ(めんつゆの匂いに引き寄せられたハエが、表面に浮いている洗剤で窒息死するらしい)で対策しようとした。しかしながら、まったく引っかからない24時間を小バエ4匹と過ごし、仕方がないのでハエ取りキットみたいなものを購入した。

驚くことにその効果は抜群で、少し見ないうちに小バエが6匹(僕の知らない小バエが2匹もいた)は捕まっており、それだけでなくクソでかい小バエ(クソでかい小バエってなに?もはや大バエでは)も1匹捕まっていて、あまりのデカさに「ひえっ」って声が出た。デカいハエは怖いので。

そのハエ取りキットを設置してからは無敵になり、これで食べ物を腐らせても安心だという強気の姿勢になったのだが、そうこうしているうちにまた燃えるゴミの日を2回ほどすっ飛ばし、袋に入った生ゴミが一週間近く熟成されることになってしまった。

やはり歴史は繰り返されるもので、生ゴミの袋のなかには小バエが大量発生していた。本当に恐ろしかった。視界だけで10はいた。これが、袋を縛ろうと少しでも開けた瞬間に、小バエが待ってましたと言わんばかりに無音で4匹程度飛び出してくる。あとの6匹は生ゴミをむさぼっている。4:6の法則。あるいは2で割って2:3の法則。だいたいこの比率で、小バエは袋から飛び出してくる。蚊のように羽音がうるさくないところはありがたいのだが、無言で飛び出してこられるのも、それはそれで腹が立つ。

畜生と思いながらも、今度は排水溝のゴミを見てみると、こちらも負けじと小バエが10匹はたむろしており、やはり4匹くらいが飛び出してくる。腹が立ったので排水溝の周りに袋を被せ、完全に小バエは出られない状況を作りだした。そこからなんとか生ゴミと小バエをまるごと袋で縛ることに成功したのだが、なんとプラスチックのゴミにも小バエが沸いており(これは盲点だった)、ヒイヒイ言いながら掃除して今に至る。

実際のところ、どうしてこんなに小バエが沸くのか理解できない。確かに1週間近くは生ゴミを放置しがちだが、それはどこの家庭でも同じではないのか?それほどまでに小バエの繁殖力はすごいのか?みんなはきっちり燃えるゴミの日に燃えるゴミを出せているのか……とてもそうは思えない。毎朝元気に登校・出社するという生活リズムが築けていれば良いのだが、コロナの影響もあり、生活リズムが崩壊している学生に、ゴミ出しを要求するのは難しい。今日が燃えるゴミの日だと気づくのは、大抵その日の午前10時くらいだ。あまりに辛い。辛すぎる。そうしてまた、生ゴミは自らを腐らせる時間を延長していくのだ。人を舐めやがって……。

そういうわけで、今の自分にできる精一杯の小バエへの抵抗とは、ゴミ袋に「ありがとう」と書くことである。とある研究機関によると、「ありがとう」「かわいいね」などのふわふわ言葉で話しかけると食べ物が腐りにくく、「死ね」「グズ」などのチクチク言葉を投げかけると、食べ物が腐るのが遅くなるらしい。これは非常に驚くべき現象であり、早速これを生ゴミに当てはめてみようと言うわけだ。しかも、「ありがとう」と書かれたゴミ袋は、ゴミ収集業者の人が見ると、「おっ、感謝してくれているんだな……よし、今日も頑張るぞ!」とモチベーションの回復に繋がることも請け合いである。これは素晴らしい案なので、是非みなさんもやってみてください。ゴミ袋に文字を書くのが恥ずかしいよって人は、生ゴミに話しかけてみるのもいいかもしれない。普段から「おえっ」とか「くさっ!」とひどい言葉を投げかけるから、生ゴミはもっと腐るのだ。ここはひとつ我慢して、「あ、いい匂い」「かわいいね」などと声を掛けてみるのも良いだろう。多分なにひとつ意味はないですが……生ゴミに聴覚はないので。