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わたてん5 1stワンマンライブ 「デリシャス・スマイル!」を絶対に観てほしい

 「私に天使が舞い降りた!(以下わたてん)」という漫画原作があって、アニメがある。陰キャの女子大生星野みやこが、ある日妹のひなたが連れてきたクラスメイトの白咲花(小学5年生)に一目惚れし、花の大好物のお菓子で釣ってコスプレさせるという物語だ。

文字だけを追うとかなり危ない物語ではあるが、幸いにもギャグ漫画なので、みやこの性癖の暴走も、ロリの盗撮容疑で警察に事情聴取を受ける程度にとどまっている。

この漫画はギャグ漫画として一貫して素晴らしく、序盤5巻くらいまでは百合の関係性もかなり濃厚で素晴らしい。その後既存8巻までの展開は、関係性の描写から見るとクリアされたはずの問題が再提示されたり、昇華されていないはずの気持ちが昇華されたりと色々個人的な不満はあるのだが、それはあくまで百合漫画としてみたときの場合で、ギャグ漫画としての質は高いと思う。

そんでもって、わたてんのアニメはちょうど1~5巻くらいの内容をカバーするにとどまっていたはずなので(記憶が不確かです)、動画工房特有の高クオリティオリジナル演劇回も併せて、百合としてもギャグとしてもかなりの良アニメとなっている。

で、そんなわたてんコンテンツではあるが、なかでも自分が一番すごいなと思ったものに「キャラソン」がある。

既にわたてんのキャラソンアルバムは2枚(正確にはキャラソンアルバムとして1枚、後述のわたてん☆5の1stアルバムとしてで計2枚)も出ており、いずれのアルバムもあまりの出来の良さに発狂を禁じ得ないものだった。特に1枚目「キャラクターソングアルバム~天使のうたごえ~」に収録されている姫坂乃愛の「アタシ♡カワイイ♡宣言!!!」は、そのイントロの強さで多くのオタクの拳を強く握らせただろう。この曲は「世界で一番かわいいアタシ」というキャラとしてありがちな属性に、めちゃくちゃ真摯に向き合った結果生まれたような曲であり、なおかつ大好きな友達である星野ひなたへの叶わぬ恋(なぜなら星野ひなたは姉のみやこが大好きなので)を微かに匂わせる歌詞が、乃愛の「かわいくありたい」という感情を際立てている最高の一曲となっている。実はこのほかにも白咲花の「シュガーコート・ドリーム」は不審者でしかなかったみやこへの感情の変化をお菓子のような可愛さで描いた最高の一曲だし、星野ひなたの「やっぱりみゃー姉なんばーわん」は星野ひなたを構成する三大要素である無邪気と元気とみやこを煮詰めたような素晴らしい曲(これが2枚目のキャラソン「みゃー姉!!」でさらに強化されて帰ってくるのがもはや恐怖でもある)だし、種村小依の「あかいろリトルリーダー」と小之森夏音「とっておきのことば」は、幼馴染特有のかわいい共依存が元気に描かれていて本当にすごく良い。

あまりにも良すぎて、「わたてん☆5」(アニメわたてんの主要声優5人によるユニット)のキャラソンライブも決定した*1

 

で、そのライブ配信アーカイブを昨日ようやく観たのだが……一緒に見ていた友人と一緒に、ボロボロ泣いちゃった……(照)。

友人とは「現地に行かなくてよかった*2」というのが共通了解になったが、それは「現地で聞くと多分生きて帰ってこれなかったから」という理由によるものである。それくらいエネルギーを削られたものだった。家で見るとどうしてもリラックス効果があり、酒を飲みながら流し見になってしまうオンラインライブであるが、このライブは曲の強さと声優による真摯なキャラ解釈がそれを許してくれなかった。画面越しにオタクを絶対に殺してやるというスタッフと演者の強い意志が透けて見えた、そんなライブだった。

誰が一番すごい、という話になるとよろしくないし、演者のみなさんが途方もない練習とキャラ解釈(これはマジです、本当に歌っている姿を見ればわかる)をこなしてきたことがわかるだけに、全員に平等の拍手を送るべきである。

ただ、自分が一番心を打たれた(個人的な)MVPというのがどうしても生まれてしまって、それが星野ひなた役の長江里加さんだった。自分の推しがひなたであることは十分に寄与しているのだが、それにしてもである。あのめちゃくちゃ元気な歌詞と振付にも関わらず、一切息が乱れないパフォーマンスには震えが止まらなかったし、一貫して星野ひなたであろうとする姿勢そのものが自分にはめちゃくちゃ美しく見えた。

少し話が逸れるが、星野ひなたに関しては強く思うところがあって、近親である姉を想い人だと信じていることだとか(大人になったら、姉への感情は恋と違うものであることに「気付く」ことを周りから期待されている)、姉はもう大学生なんだということだとか(近いうちにみやこが「大人として」家を出るかもしれない、ということをひなたは理解していない)、とにかく「今(あるいは子供という時間の中でだけ)」生きることを考えている女の子である。

先述したが、そんな星野ひなたが憑依でもしたかのような、観客として先を見通せないパワフルなパフォーマンスを最後までやり遂げようとする(そして実際にやり遂げるのであるが)長江里加さんを見ているうちに、自分は「ああ、自分だけでも絶対にこの瞬間を、『今』を目に焼き付けよう」と思いながらボロボロと涙を流すことしかできなかった。今この文章を書きながら、すでに泣きそうな気分である。

そんなわけで、みなさんにもぜひ長江里加さんの「今」を目に焼き付けてほしい。

文量と時間の関係上、他の方への言及を控えるが、しいて言うなら虹ヶ咲でエマとして活躍している指出毬亜さんがセンターとして圧巻の存在感、そしてキレッキレの振付を魅せてくれる映像は絶対に観ておいたほうがいいと思う。

 

さて、自分としても割と時間がなく、このライブ映像のアーカイブの視聴期限にも時間がない。このライブ映像は2月12日(つまり今日だ!)の18:00で購入できなくなるのである。迷う前に購入することをお勧めする。チケット代金は(スペシャル映像抜きで)4000円とかなり良心的な値段になっている。4000円の使い道として(少なくともわたてんのオタクには)ベストな選択ではなかろうか。ぜひとも皆さんにはこの映像を観てほしい。原作未履修の人も、今からわたてんのアニメを全部流せばギリ間に合うかもしれない。

一人でも多くの人に、彼女たちの「今」を観てほしい。

 

watatentv.com

*1:キャラソンアルバムがあまりにも良すぎたことと因果関係があるかは不明

*2:そもそも無観客ライブなので現地という概念はない