前書き
ブログを書く気が一切起きなかったので久しぶりの更新になります。
特に書くこともないので、最近履修したコンテンツを勝手に格付けしたものを恥も外聞もなく公開することにします。なお、格付けを行う採点基準はいつも通り以下のものです。
【基礎点(配点10点)】世界構築(2点)、可読性(1点)、構成(2点)、台詞(2点)、主題(2点)、キャラ(1点)、【特別評価点】百合/関係性(2点)
=合計12点満点(百合がある場合)
なお、それぞれのカテゴリで感情が狂うと「構成2.5点」「百合3点」とかつけてしまうことも多々あり、まったくルールは遵守されていないため、あってないような基準となります。
上記の採点基準により、自分にとっての作品の立ち位置を評価しました。まあそれだけだと寂しいので一言コメントも載せています。
- 前書き
- オールタイム・ベスト・コンテンツ(10<x)
- ガチで大事にしたい作品(9<x≦10)
- 積極的推し作品(8<x≦9)
- オススメの手札に入る作品(7<x≦8)
- 8 長井龍雪 『空の青さを知る人よ 』 映画
- 8 ソルジェニーツィン 『イワン・デニーソヴィチの一日 』 小説
- 8 heisoku 『ご飯は私を裏切らない 』 漫画
- 8 panpanya 『二匹目の金魚 』 漫画
- 8 酉島伝法 『るん(笑) 』 小説
- 8 ちさこ 『みんな私のはらのなか 』 漫画
- 8 ふじた渚佐 『ひなたと三笠 』 漫画
- 8 小林キナ 『ななしのアステリズム 』 漫画
- 8 谷川ニコ 『クズとメガネと文学少女(偽) 』 漫画
- 7.5 ジム・ジャームッシュ 『ナイト・オン・プラネット 』 映画
- 7.5 姉井戸 『悪役令嬢と愛のためならなんでもする女 』 漫画
- 7.5 村上春樹編 『恋しくて 』 小説
- 7.5 南木 義隆 『蝶と帝国 』 小説
- 7.5 伴名練 『百年文通 』 小説
- 7.5 つばな 『惑星クローゼット 』 漫画
- 7.5 つばな 『バベルの図書館 』 漫画
- 7.5 やまもとまも 『小杉センセイはコドモ好き 』 漫画
- 7.5 缶乃 『複数人交際百合アンソロジー レモネード 』 その他
- 7.5 スズキナオ 『「それから」の大阪 』 文章
- 7.5 紺色3号 『同級生の推し作家に百合妄想がバレた結果 』 漫画
- 7.5 アジイチ 『できそこないの姫君たち 』 漫画
- まずまずな作品(6<x≦7)
- 自分からは話をしない作品(5<x≦6)
- 時間をロスしたと感じる作品(x≦5)
- 後書き
オールタイム・ベスト・コンテンツ(10<x)
12 佐野妙 『ウリとツメ 』 漫画
幼なじみ百合はいずれ離別しなければならないというのは、現実世界で発生している別れを勝手に創作の世界に持ち込んで気持ちよくなっているだけの作者のエゴであり、それを虚構世界に生きるキャラが享受する必要性など何処にもないということを証明した幼なじみ百合の傑作。話が進むにすれ、幼なじみである百爪小春に向ける感情を徐々に開示し、強め、なんとか百爪家の戸籍に入ろうとする瓜生桜子の姿には感動すら覚える。桜子が小春の手を引き進もうとする最後のシーンでは今後のイニシアチブの在処が明確に示されており、桜子は必ず何らかの手段で百爪家の戸籍に入るだろう。序盤こそ「ウリとツメ」というタイトルに相応しいよくわからない掴みを見せられるものの、それを補ってあまりある幼なじみ百合を摂取できる。
11.5 いしいひさいち 『ROCA 吉川ロカストーリーライブ 』 漫画
音程以外ぜんぶ音痴な吉川ロカと、そのロカの安心装置である柴島美乃の感情があまりに強烈で発狂!「おまえはオレのシマだ」「うれしい」と電話で語り合うひとコマは間違いなくROCAの真髄。学生としてのロカと歌手としてのロカを少ない線で書き分けるうまさも、語り口から感じさせるそのひとの背景も、読者を涙ぐませる構成も素晴らしく、芸術作品としても自信を持ってオススメできる。ファドは分からないが百合なら分かる自分から言わせれば、これは傑作百合漫画です。
11 瀬戸口みづき 『めんつゆひとり飯 』 漫画
「気になる相手を脳内に勝手に住ませて会話する」という発明を行った偉大なるノーベル百合賞受賞候補作品。楽に生きたいめんつゆちゃんと丁寧な暮らししかできない十越さんの生き様のぶつかり合いが素晴らしいし、十越さんに至ってはめんつゆちゃんを無意識のうちに征服しようとしているので、その感情の強さに笑顔になれる。台詞回しやギャグセンスも圧倒的に優れており、 泰三子『ハコヅメ』の再来かと震えるばかり。まだ完結していないので、今後が楽しみな作品。
11 山本英夫 『殺し屋1 』 漫画
百合要素がないのにこの点数に食い込んできた異常漫画。最初から最後までずっと自分が見たことの無いものを見せられ、ただただ興奮させられる。ギャグなのかシリアスなのか、現実なのか妄想なのかも分からないまま、「狂気&面白さ」で話を展開していく力業に気を失いそうになる。「目」や「視線」「覗く」という観点からしっかり語ることもできる批評性も備えており、マジで異次元の漫画。本当の天才っているんだと思った。
11 志村貴子 『淡島百景 』 漫画
志村貴子の百合。言葉遣いがたいへん綺麗で、個人が楽しむ範囲で勝手にノベライズしてこの空気感を勉強しようと思っています。
ガチで大事にしたい作品(9<x≦10)
9.5 後藤羽矢子 『プアプアLIPS 』 漫画
貧乏人と金持ちの物語はありふれているが、そこに百合が加わり、さらにしっかりとした展開を有している作品は希少な気がする。物語と人間関係がはっきりと動く快感を楽しめる傑作。パッと見おねロリだが、成人同士の百合です。
積極的推し作品(8<x≦9)
9 今村夏子 『こちらあみ子 』 小説
マジで面白い。あみ子の目にしている小さな世界を、まるで白昼に懐中電灯を片手に歩き回っているかのような錯覚に陥ってしまうので恐ろしい。どこまで計算されて書かれているのか分からない狂気も素晴らしい。
9 いのり。/青乃 下 『私の推しは悪役令嬢 』 漫画
純粋に良いエンタメ百合。悪役令嬢であるクレアの魅力がずば抜けているが、青乃下先生のコミカライズ能力の高さが異常であるような気もする。
9 Playdead 『INSIDE』 ゲーム
言語なく恐怖と感動の操作性を与える唯一無二のゲーム。ラストの展開には思わず声が出る。前作の理不尽死にゲー『Limbo』よりも格段に難易度は下げられているので、絶対に多くの人にプレイしてほしい。
8.5 村上春樹 『ねじまき鳥クロニクル 』 小説
久しぶりに読んだ村上春樹で、思わず素晴らしいなと思ってしまった作品。井戸のなかで笠原メイと会話をするシーンがピカイチ。相変わらず何をチンタラやっているのか全然わからないが、その回り道のすべてを楽しませることのできる文章力がすごい。
8.5 瀬戸口みづき 『初恋症候群 』 漫画
幼なじみ百合の破滅を、同性愛を理由にしない観点でしっかりと描いており良かった。まだめんつゆほどの台詞のセンスはないが、変なキャラの魅力はこの頃から健在。
8.5 ジェイソン・ロバーツ 『GOROGOA』 ゲーム
こちらも無言語のゲーム。独特の操作と世界観、グラフィックが大変素晴らしい。結局なんのこっちゃわからんゲームではあるのだが、それがGOROGOAの伝えたいことのようにも思う。
8.5 堀井雄二 『ドラゴンクエストビルダーズ』 ゲーム
ドラクエシリーズのなかでも異色作である、勇者とは一切関係のないキャラが主人公。マイクラが好きなら絶対にやったほうがいいし、マイクラが好きでなくても、初代ドラクエをプレイした記憶がある人間には絶対にオススメしたい作品。章ごとの難易度や、世界観の作り込みも丁寧で良い。
オススメの手札に入る作品(7<x≦8)
8 長井龍雪 『空の青さを知る人よ 』 映画
姉妹百合なので良い。田舎で燻っている人間にもオススメ。
8 ソルジェニーツィン 『イワン・デニーソヴィチの一日 』 小説
強制収容所での労働の一日を徹底的に退屈に描写し、時に妙に楽しく描くことで奇妙なリアルさを感じさせる異常な作品。1日×3653日の衝撃。
8 heisoku 『ご飯は私を裏切らない 』 漫画
変なバイトの解像度が高く面白いが、作者の私生活が心配になる。
8 panpanya 『二匹目の金魚 』 漫画
panpanyaワールドは優しいし面白いので、エンタメとして万人に勧められる。
8 酉島伝法 『るん(笑) 』 小説
言語に執着し、それを物語に落とし込む天才。分断される現代、分断された向こう側の生活を描き、変わらない人間の愛情も表現することで、読者の世界の捉え方を強く揺さぶるので良い。
8 ちさこ 『みんな私のはらのなか 』 漫画
焦りながら婚活をする女が最終的に女とくっつくことでしか得られない栄養素。
8 ふじた渚佐 『ひなたと三笠 』 漫画
うるさい画で描かれる百合に衝撃。百合は静かなものだと思っていたが、これは男性が女性に求めている仕草を反映しているキモいイメージなのかもしれない。うるさい百合を人々は真剣に描き読むべき。
8 小林キナ 『ななしのアステリズム 』 漫画
スクールランブルの天満ちゃんが好きなので、どことなく似ている白鳥司が百合キャラで嬉しかったものの、失恋するので悲しかった。琴岡みかげのすべてを俯瞰しているつもりになる未熟さが魅力的で良かったが、勝手に司を「お前は本物のレズビアンじゃないね」と思うところだけはウーンという感じだった。思うだけならいいが、それが実際物語に反映されて、性的志向を理由に恋愛関係が成立しない方向性に進むのでモヤる。15話『スコーピオン』、16話『イヤ』はすさまじく良かったし、最後の投げっぱなしの終わりさえ除けば、物語や感情の交差の仕方はなかなか良かった。男を誑かす女装男を見ることができるのもgood。
8 谷川ニコ 『クズとメガネと文学少女(偽) 』 漫画
やっぱ谷川ニコ面白いわ。クズのクズさをもっと表現してほしかった。
7.5 ジム・ジャームッシュ 『ナイト・オン・プラネット 』 映画
物語の見せ方と魅力のあるキャラの描き方が大変参考になる。タクシー映画にハズレは無い説をまた補強するかたちに(『コラテラル』『タクシードライバー』『タクシー運転手 約束は海を越えて』)。
7.5 姉井戸 『悪役令嬢と愛のためならなんでもする女 』 漫画
百合。表題作はキャラを現実世界に引きずり出すのが良い。すべての作品に作家性が出ており、いまはまだチープな表現もあるが、説明されない不穏な空気はこれから化けるかもしれないと密かに期待。
7.5 村上春樹編 『恋しくて 』 小説
アリス・モンローに出会えたきっかけとなった大切な短編集。『ジャンク・ランダ・ホテル』は圧倒的に優れており、今村夏子を想起させて素晴らしい。ジム・シェパード『恋する水素』はイマイチだったのだが、後から円城塔がジム・シェパードフォロワーであることを知り、他の作品を読むなどしてなんとか興味を持とうと努めている。
7.5 南木 義隆 『蝶と帝国 』 小説
帝政ロシアを舞台にした、湯浅政明『日本沈没2020』。エンタメとしては微妙だったが、本作はひとりの女性がレズビアンであるというだけで何処にも所属できず承認するチャンスすらも棒に振ってしまうような自己肯定感の低い人間に育ってしまった環境要因が問題であることを表現した作品だと思っているので、必然的に「そもそも他者の人生をエンタメとして消化してよいのか」という話に踏み込んでしまいがち。超能力要素は不要っちゃ不要だが、そのような力を以てしても帝政というかたちの見えない圧力には勝てないことを表現したのだと考えると頷けるので、まあ。
7.5 伴名練 『百年文通 』 小説
面白いが、割と想像通りの展開だったので特に驚きが無かった。女性の語り口は非常にうまい。妹から姉への強い感情も良かった。
7.5 つばな 『惑星クローゼット 』 漫画
作家性しかない。百合かと言えばまあそうくらいではある。かわいい女の子とグロの融合はなかなか面白いが、ホラーが強烈すぎる。
7.5 つばな 『バベルの図書館 』 漫画
同上。ホラー要素は薄いが、タイトルからも察せられるようにややSF要素のある作品。微妙に意味が分からなかった。
7.5 やまもとまも 『小杉センセイはコドモ好き 』 漫画
幼稚園児に自らが性的に消費される存在であると自覚させるようなスキンシップを行う小杉センセイに強い憤りを感じるし、そのせいもあって素直にエンタメとして楽しめない部分がある。が、物語としては百合の乱れ咲きなのでオタクの好きなやつではある。
7.5 缶乃 『複数人交際百合アンソロジー レモネード 』 その他
複数人で交際するのは別にいいのだが、想像以上に「みんな仲良し!」系があったので驚いた。個人的には一夫多妻的な構造の方が自然なので、もし自分が書くならそっち方面になると思う。作品としては、みかみてれん『マイ・トレジャー・マイ・プレジャー!』、謝神逸器『蝶の知らせ』、鈴菌カリオ『彼女の彼女』が良かった。
7.5 スズキナオ 『「それから」の大阪 』 文章
スズキナオの文章はやはり良い。
7.5 紺色3号 『同級生の推し作家に百合妄想がバレた結果 』 漫画
最新刊である3巻で描写された関係が良かった。無事に続刊されてほしいところ。
7.5 アジイチ 『できそこないの姫君たち 』 漫画
終盤の展開が熱い百合漫画。誰かの憧れになり得るキャラと、平凡なキャラとの恋愛を描くために必要なハードルを丁寧にこなしており好印象。誰かのために自分から変わりたいという感情が百合の源泉かもしらんねと思わせてくれたことに感謝。自分の感情をまったく制御できないギャルにも一見の価値あり。
まずまずな作品(6<x≦7)
7 野添ちかこ 『旅行ライターになろう! 』 文章
これで俺も旅行ライターになる。
7 ジョナ・ヒル 『mid90s 』 映画
まあまあ良い。
7 竹宮 惠子 『少年の名はジルベール 』 文章
ぜんぜん知らない少女漫画史が知られて良かった。第二部と名高い萩尾望都『一度きりの大泉の話』をはやく読まなければいけない。
7 工藤進 『南鎌倉高校女子自転車部 』 アニメ
気が狂っている序盤数話を除けば、ふつうのほほん自転車アニメ。どちらかと言えば熱いが、番組最後のA応Pのコーナーで中和される。自転車にちょっと乗りたくなるアニメ。
7 乙ひより 『クローバー 』 漫画
良いのだが、キャラが結構入り交じっていて、時系列がややこしい。あと両家の姉妹全員レズビアンというのはなかなか……。
6.5 河村智之 『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会TVアニメ2期 』 アニメ
河村智之『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会TVアニメ2期』観た! - 新薬史観
6.5 本間 修 『パリピ孔明 』 アニメ
微妙に百合があるが、ありきたり。
6.5 斜線堂有紀、 相沢沙呼、 乾くるみ、 円居挽、 青崎有吾、 織守きょうや、 武田綾乃 『彼女。百合小説アンソロジー 』 小説
全体として思っていたよりもレベルが低かった。斜線堂有紀『百合である値打ちもない』がダントツで優れている。ふたりについて回る「見られる(消費される)」視線は、素顔を出して配信者として舞台に立つからこそ付与されるものではあるものの、当然消費サイドに気を回してVtuberになったり整形をしなければならない状況は異常なのであり、「百合」を消費しているルッキズムに脳を支配された百合豚への糾弾であることは明白である。この糾弾に対して百合豚は「百合(ふたりの世界)を覗かない」ことでしか斜線堂有紀の期待に応えることはできないが、よくよく考えると顔がいい人間同士の消費されやすさは別に百合に限ったことではなく、斜線堂有紀の批判はそこまで適切ではないような気もする。とはいえ「整形してくれてありがとう」という台詞を引っ張り出してきた愛情の解像度は魅力的。
6.5 ジャンニ・ロダーリ 『パパの電話を待ちながら 』 小説
悪くない。発想力が欲しいときに童話はオススメ。
自分からは話をしない作品(5<x≦6)
6 朝井麻由美 『ソロ活女子のススメ 』 文章
エッセイみたいなものなので普通はこの辺のカテゴリに収まります。
6 京極尚彦 『ガル学。Ⅱ〜Lucky Stars〜 』 アニメ
微妙
6 倉田嘘 『それでもやっぱり恋をする。 』 漫画
微妙。本気のエモか、それとも笑いを狙っているのかが分からない。怖い。
6 村上春樹 『職業としての小説家 』 文章
自分語りキツい。
5.5 タムラコータロー 『ジョゼと虎と魚たち 』 映画
5.5 文尾文 『私は君を泣かせたい 』 漫画
いまいちピンと来なかった。
5.5 わたりさえ 『お嬢様はラブコメの主人公になりたい! 』 漫画
下品。
5.5 矢坂しゅう 『君に紡ぐ傍白 』 漫画
フルカラーなのはすごいが、自分は受容しにくいストーリーラインだった。
時間をロスしたと感じる作品(x≦5)
5 柿内尚文 『バナナの魅力を100文字で伝えてください 』 文章
うんこ
5 最果タヒ 『さっきまでは薔薇だったぼく 』 詩
意味がわからない
5 燃え殻 『ボクたちはみんな大人になれなかった 』 文章
ちんこ
5 柿内尚文 『パン屋ではおにぎりを売れ 』 文章
にゃんこ
後書き
いかがでしたでしょうか?
この3ヶ月はかなり漫画(特に百合)に注力した期間でした。またぼちぼち映画や小説にも触れていこうかな~と思います。
みなさんもオススメの作品があったらぜひ教えてくださいね!