新薬史観

地雷カプお断り

2022年9月~11月度 履修コンテンツまとめ(116作品)

前書き

お久しぶりです。

最近いろんなものを読み散らかして終わりになっていたので、評価の整理がてら最近履修したコンテンツを勝手に格付けしました。烏滸がましいですね。いったい何様なんでしょうね。他人にされて嫌なことはするなって言われたでしょ?はい、すみません……。

前回(2022年6~8月)の記事はこちら↓

negishiso.hatenablog.com

格付けを行う採点基準は以下の通りです。

【基礎点(配点10点)】世界構築(2点)、可読性(1点)、構成(2点)、台詞(2点)、主題(2点)、キャラ(1点)、【特別評価点】百合/関係性(2点)

=合計12点満点(百合がある場合)

なお、それぞれのカテゴリで感情が狂うと「構成2.5点」「百合3点」とかつけてしまうことも多々あり、まったくルールは遵守されていないため、あってないような基準となります。

上記の採点基準により、自分にとっての作品の立ち位置を評価しました。それだけだと寂しいので一言コメントも載せています。

あと、今回は美術館の展示も記載しました。こちらも備忘録代わりにコメントを残しておきたいなと。なんだかもうよく分からない雑多なリストになってしまいましたがご了承ください。

 

 

オールタイム・ベスト・コンテンツ(10<x)

11.5 アニー・エルノー 『ある女 』 (1993) 小説

一部では「超人称的」とも称される最強の文体で綴られた、母と娘の物語。母の死に対して筆者が混乱しながらも愛情を抑えきれずに語り直す様子が、文章からありありと感じ取れるのが不思議でたまらない。エルノーは作中で『私が書きたいと願っているものは、厳密にはたぶん、家族的なものと社会的なもの、神話と歴史の接点に位置している。私の企ては文学的なものだ。母について、言葉によってしか掴むことのできないひとつの真実を求めようというのだから』と述べている。後の本文で、「真実」とは自らの願望に基づく母親の「語り直し」であることを認めるわけだが、実際に語り直されたエルノーの母についての記述は、プライベートな日記を超越し、醒めた目で見つめられた階級制社会との紐付けにより社会的な価値を持つ「文学」と化している。異次元の筆力だと思う。私は読みながら号泣しました。

 

11 小川麻衣子 『魚の見る夢 』 (2012) 漫画

広い空間や白を意識したコマ割や台詞回し、ラフな線で構成されているのにとてつもなくかわいいキャラクターが独自の生態系を作っている。まるで映画館にいるような気分にさせてくれる作品世界の強度と鑑賞者との距離がすごい。恋愛感情に纏わるキャラの関係性の破壊と再生がめちゃ素晴らしいのだが、白眉はやはり九条の存在だろう。こんなに身近に居て欲しくなく、居て欲しかったキャラクターはそうそう居ない。自分も絶対に手に入れたいけど手に入れられない存在を見つけた時には、とことんつけ込んで最後に全部ぶち壊してやろうかな。そんなことが出来たら狂人だと思うが(九条は狂人です)。

 

11 吾峠呼世晴 鬼滅の刃 (2016) 漫画

やっぱ大ヒット漫画おもしれ~。最終話の鬼滅学園が本気で謎だったが(全員先祖と同じ顔しているのマジで怖すぎ……遺伝子強すぎだろ)、最初から終盤まで常にスリリングでサイコーという感じだった。兄弟愛が多すぎるのが気になったが、恐らく作者の性癖だと思うことにする。

11 はりかも うらら迷路帖 (2015) 漫画

百合読書会のために再読した。やはりとてつもなく素晴らしい百合作品だと再確認。占い見習いの美少女たちが織りなす4コマギャグはかなりハイレベルだし、時折現れる町の異形が捻り出す不穏な空気もたまらない。ギャグとしてもエンタメとしても一級品だが、やはり傑出しているのは百合のセンスだろう。頼むから百合のオタクは読んでください。運命カプの千矢紺が待っています。

10.5 森島明子 『半熟女子 』 (2008) 漫画

傑作。とにかく絵がかわいくてツボなのもあるが、女学生同士の恋愛の描き方がとてつもなく器用。背が低くて胸があり柔らかい自分の身体が嫌いな八重が、その女性らしさを好む中性的なちとせによって、女性である自分を肯定していく話。八重は初恋の女の子に「女だから」という理由で振られたために自らの性を嫌いになったのだが、それに纏わる悩みと自らの性的志向を大好きな人にカミングアウトする(これは学生だけでなく、同性愛者にとって非常に大きな壁である)流れが合流する展開が大変巧い。しかも、そこでさりげなく「初恋の子が実は……」とチラつかせることで、さらに別方向からの百合とカミングアウトの恐怖を高めていく手つきは流石の一言。また、女子校ゆえに自分が女性であることを意識しなくてもよいという舞台設定から、ちとせと距離を縮めて互いの身体に向き合い身体を重ねることで、自らが女性であることを自覚する(それが性交である)という話運びは大変優れており、「濱口竜介『ハッピーアワー』で観たヤツだこれ」になった。ちとせと八重が女性器を見せ合い品評会を始めるシーンと、遊園地から感情が爆発してダッシュで家に帰って性交をする加速っぷりが最高。プラトニックなものとして捉えられ、レズビアンの性欲を透明化しがちな「百合」という概念を、等身大の女の子同士の性欲で塗り替えていく素晴らしい作品。

10.5 村岡ユウ 『もういっぽん! (2019) 漫画

まだ途中なのでちゃんと語ることは出来ないが、スポーツ×百合の面白さを思い出させてくれた傑作。絵がかわいいし、作画レベルも大変高い。元気いっぱいの主人公の園田未知、素直になれないツンデレ幼なじみの南雲安奈、実力はそこまでだが懸命に努力し続ける滝川早苗、化け物みたいに強いけれど主人公に好意を寄せ、ストーカー紛いのやり方で未知と同じ高校に入学してきた氷浦永遠といった優秀な百合人材を揃え、高いレベルで柔道と百合文脈を織り交ぜてくる。私は感情の重い女が好きで、それは大抵幼なじみ百合の特権だったのだが、この作品では珍しく氷浦さんの感情が幼なじみ百合を超越しており(個人の感想です)、困惑している。最新の20巻では氷浦さんと未知との文脈がさらに強化され、もう手が付けられない感じになってしまった。柔道部モノとしても間違いなく楽しめるが、百合オタクにこそオススメしたい作品。続きが待ち遠しい。

10.5 アニー・エルノー 『嫉妬/事件 』 (2004) 小説

収録されている『嫉妬』は、タイトル通りエルノーが元彼の女に対して強く嫉妬する話である。一読して私はまず文学版『めんつゆひとり飯』じゃんと思ったが、他人に通じるかは分からない。一度も見たことの無い女に対して強烈な嫉妬をするエルノーは、いつしか自分の生活の至る所に女の足跡を見つける。自分の思考のリソースがどんどんその女に支配されていく様子は、大変失礼ながら百合としか思えなかった。消費して申し訳ない。続く『事件』は中絶の話になる。こちらでもエルノーは凄まじい筆力を発揮し、中絶手術、および流産のグロさを徹底的に描写する。両方とも素晴らしい作品。

 

ガチで大事にしたい作品(9<x≦10)

10 佐藤二葉 『うたえ!エーリンナ 』 (2018) 漫画

古代ギリシア百合。男尊女卑ゴリゴリの古代ギリシアで女性が詩をやることの意義が現代社会で私たちの人生や偏見への再考にも繋がるなど、テーマ選びが大変うまい。参考文献の量もすごいし、読んでいるだけで勉強にもなる。そのうえエーリンナとバウキスの絡みは百合としか言えないものであり、ここまでうまく要素を組み立て上げるセンスに脱帽。百合のオタクは読むことをオススメします。

10 瀬戸内国際芸術祭 (2022) 展示

舐めていた芸術祭。なんかいつもやってんな、という醒めた目で見ていたが、三年に一度の芸術祭をもっと真剣に受容すべきだった。有料コンテンツが多過ぎたので今回は全然まわることが出来なかったが、そのなかでも優れたものを簡単に挙げる(豊島の展示ばっかりだけど)。

クリスチャン・ボルタンスキー『心臓音のアーカイブ:これまで集められてきた世界中の人々の心臓の音を検索して聞くことができ、自分の心臓音も録音できる面白い場所。思った以上に心臓音にも個性があるのだと知ることが出来た。私も登録した。

豊島美術館』:異次元の空間。美術館だと思って行くと面食らうが、一生に一度は行った方が良いと思う。

冨安由真『かげたちのみる夢(Remains of Shadowing…』:一見すると廃墟なのだが、その廃墟を描いたあたたかな絵画を局所的に置くだけで、空間の捉え方が全く変わって見える。しかも最後にヒエッとなる仕組みもあり、果たしてどこからどこまでが私たちの生きている空間なのかが分からなくなる。自分の生きている空間が絵画で切り取られる空間でもあることを自覚させられる面白い作品だった。

ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラー『ストーム・ハウス』:今回の展示では見ることが出来なかった、既に撤去済みの展示作品。豊島の家浦港で映像が回されていたのだが、「これ絶対に体験した方がよかったやつ……!」になった。いつまでもあると思うな展示品。以上。次は3年後だが、もし生きていれば忘れずに行きたいと思う。鑑賞パスポートも忘れずに。

 

10 刀根里衣 『おもいで星がかがやくとき 』 (2017) 絵本

深みのあるパステルカラーで描かれた、ねずみの子にとっての大好きな人の喪失からその痛みの自覚までを描いた絵本。こんなの子供に見せてもいいんかい、というくらいに痛々しく辛い話。喪失した相手の姿が一切出てこないので、その対象は読者のために開かれているのだが、百合豚である私は百合作品として捉えることで無事に号泣した。百合を抜きにしても、あまりこれまで出逢ったことのない世界に触れることができてよかった。

10 ウェス・アンダーソン 犬ヶ島 (2018) 映画

ストップモーションでもこんなウェス・アンダーソンっぽい演技をさせることができるんかい、と爆笑した。ヤバすぎる。話の展開も台詞の応酬も構図も間の取り方もアニメーションの挿入タイミングについても、何から何まで最高過ぎた。

10 クリス・バックジェニファー・リー アナと雪の女王 エルサのサプライズ 』 (2015) 映画

ガチの姉妹百合で発狂。アナ雪も大概だが、この作品に関しては百合力で頭一つ飛び抜けている。まんがタイムきららで連載してほしい。

9.5 ウィリアム・フォークナー 響きと怒り 』(上・下) (2007) 小説

完成度がとにかく高い。第1章から第3章にかけて、キャラの思考と文体が密接に結びついた、いわゆる「意識の流れ」によってかなり視野を狭められるのだが、見えないがゆえに世界が広がることもあり、私たちはコンプソン家と社会の繋がりを想像する。しかし最後の第4章は三人称視点であり、視界が開くと同時にこれまでの人間を客観的に見ることができるため、彼らの過ごす空間があまりに狭いことや、彼らに待ち受けている未来が薄暗いことを察することができる。構成、文章力や視点の選び方、舞台のつくり方など、すべてにおいて一級品。フォークナーすごい。

9.5 深田晃司 『LOVE LIFE 』 (2022) 映画

序盤から最悪な始まり方をする最悪な人間が集まった最悪な作品なのに、最後は爽やかに終わらせてくる類い希なる傑作。ろう者の砂田アトムが演じるろう者のパク・シンジがめちゃくちゃにいい動きをしていて、作品の人間関係をめちゃくちゃにしていく様が最高。こういうキャラが作品にひとり居るだけで、人間関係の深みが全然変わってくるな~と感動した。木村文乃の演技も最高で、表情筋が死んでいる感じから恋愛に燃える目の輝き、全てを失ったあとに雨に打たれながら力なくダンスを踊るシーンなどが強烈すぎて発狂するかと思った。腹が立つくらいタイトルの入れ方が完璧なので、そこも見て欲しいポイント。濱口竜介が好きなら絶対に見た方がいいですよと周囲に喧伝しているが、果たして。

9.5 はなこ 『お嬢様はアイスがお好き。 』 (2017) 漫画

全然話題になっていないが絶対に読んだ方がいい百合漫画。簡単に言ってしまえばかわいい系の元気女とクール系お嬢様がアイスで交流を深めていく作品なのだが、とにかくふたりがかわいいし、ギャグも面白いし、何と言ってもラストのお嬢様の覚醒が最高!!!!kindleのアンリミで読めるから読んで!!!!!!

9.5 今井哲也 『ぼくらのよあけ 』 (2011) 漫画

目次からして作品に組み込んでくる感じがすごく良かった。そのお陰なのだろうか、確かにこの作品は漫画なのだが、少し漫画とは違った媒体になっているように感じる。世界観のディテールの作り込みがすごいのと、話の盛り上げ方が巧すぎることもあり、読み終わった後の多幸感が強かった。ナナコがヒロインしているところがちょっと面白く、一種の恋愛モノとして読むことができるのも魅力的。完成度が高い。

 

積極的推し作品(8<x≦9)

9 セリーヌ・シアマ 『燃ゆる女の肖像 』 (2020) 映画

バチバチに美しく、静かなカットの連続に興奮。画を描く行為はどうしても対象を「見る」ことに拘りがちだが、その一方で肖像画というものは生きたものを写し取らなくてはならず、双方向の同意(あるいは視線)を必要とする。サブプロットでは、侍女ソフィーが中絶に成功するが、その過程は、生物学的に生まれる方向に進む胎児と、それを望まない妊婦との戦いとみることができ、中絶の場に子どもがいるという違和感は(おそらく)祝福の方向に働いている。いずれにせよ、その主張は「自らの身体の扱われ方を自分でコントロールする重要性」であり、前者では(同性愛も相まって)無性別的に、後者では女性的な主権を扱うことで、幅広い観客に響く作品になっているように思う。結局、マリアンヌとエロイーズの恋愛感情は異性との婚姻に必要とされる肖像画の成立に帰結するものの、彼女たちがオルフェウス神話を通して語った物語の再現によって、エロイーズを異性との奈落に突き落としたその愛は(少なくとも二人の間で)証明されることとなる。ラストシーンでは、マリアンヌの視線に振り返らない(あるいは気付いていない)エロイーズが印象的だが、彼女はすでに冥府(女性の主権が奪われた世界)に入り込んでいるので、女性ながらも画家として成功したマリアンヌにその視線(神話でいう「声」)は届かないのだろう。しかしながら、マリアンヌは「生きている」。彼女がエロイーズの意志を継ぎ、自身が教師として(女性の!)生徒から「見られる」ことに従事することで、二人の関係性が紡いだ時代への違和感を未来に繋ごうという制作側の意志を感じることが出来たのも良かった。冒頭に登場した振り向かないエロイーズの絵画は、「見られること」への受容がなければ人間は風景の一部に溶け込むことを示しつつ、画のなかで永遠にエロイーズを振り返らせないことで、二人の関係性を反転しようと試みているように感じられた。そういう足掻きもすばらしい。百合創作をする人は必見。

9 市川なつを 『みーちゃんとアイリ 』 (2020) 漫画

働くだけで人生が楽しくない女が、ゴミ捨て場で魔女を拾う話。絵がとてもかわいいし、魔女であるアイリのふわふわ感が大変よい。ストーリーにそこまでの捻りはないが、適切なタイミングでふたりをドキドキさせるキャラが出てきている。魔法の関係上、ふたりは頻繁にキスをするのだけれど、そのまま恋愛関係に持っていかず、あくまで友達の延長線上にある「一番の友達」で終わらせたのが好みだった。ラスト2ページの美しさと爽やかさには息を呑む。

9 袴田めら 『理由もなく悲しくなるの 』 (2014) 漫画

大して好きでもない奴らと群れている女が、美貌故に集団から弾かれている孤独な女に惹かれて関係性を結ぶことを軸にした短編集。「容姿」が作品のテーマになっており、容姿の良い女がモデルとして不特定多数の人間に笑顔を見せることに対して、交際関係にある女(この子も容姿が優れている)が独占欲ゆえに悲しくなってわちゃわちゃする。収録作品『彼女の隣』が大変良く、美化されがちな作品で容姿の優れないキャラをしっかりと描きつつ、主要人物ではないキャラが対等ではない相手に手を伸ばそうとして玉砕する話が容赦なく良い(もちろん、安全地帯からこの話を「良い」と捉える私の受容態度には突っ込みを入れた方がよさそうだが)。また、ふたりの関係性は閉じておらず、その特権性と作品の展開からルッキズム批判の対象になるような気もするが、作者はそのことを自覚しているだろうし、二人の関係性の核にあるのは「自分を持っていること」なので、ギリギリ躱せるような気もする。

9 東京都現代美術館 MOTコレクション 』 (2022) 展示

とにかく良い作品が多かった。工藤哲巳浜田知明高松次郎横尾忠則といった見知った作家がいるのもよかった。素晴らしかったものをいくつか列挙。

福岡道雄『何もすることがない 僕達がピンク色の女王のアドバルーンとなるとき』:色合いがキモすぎてゆめにっき3D。

三木富雄『EAR』:作品よりも、友人宅で突然耳をデカくしたくなり、「耳が私を選んだ」として生涯にわたり耳の作品を作り続ける、という制作者紹介がヤバすぎ。

中村宏『円環列車A(望遠鏡列車)』:実物見るとすげえとなる。

新潟現代美術家集団GUN『 雪のイメージを変えるイベント』:これすごくよかった。

石内都『1906 to the skin』:ひとりの女性の皮膚をひたすら撮影。ただの皺だが、幻想的ですらある。

宮島達男『それは変化し続ける それはあらゆるものと関係を結ぶ それは永遠に続く』20年近く展示されており、数字にも個体差が出てきているという話にエモを感じる。目の前に座ってじっと見ていたくなる。丁寧な暮らし。

9 森美術館 『地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング (2022) 展示

これもめちゃくちゃいい展示だった。いくつか列挙。

〇ヴォルフガング・ライプ『ヘーゼルナッツの花粉』『ミルクストーン』『べつのどこかで——確かさの部屋』:いずれも現地でないと味わえないすごさ。嗅覚と視覚に訴えかけてくる作品にはもっと触れるべき気がする。

〇エレン・アルトフェスト『南瓜』『木々』:緻密すぎて逆に抽象的になるとかいうヤバさ好き

〇ギド・ファン・デア・ウェルヴェ『第9番 世界と一緒に回らなかった日』:24時間南極で経ち続けるだけの存在になる、という企画の映像作品なのだが、マジで気力がイカれてる。

小泉明郎『グッド・マシーン バッド・マシーン』:いちばん人が集まって真剣に見ていた作品。催眠術にかかった体で、人々が「これは宗教的です」「人間を演じさせられています」「みんなのために死んでください」等と言い続ける映像作品+真ん中でよく分からんアームがギュイギュイ動いている展示作品。よくわからんけど笑った。

〇ロベール・クートラス『僕の夜』:困窮の中で同じテーマを描き続けた無名作家。ヘンリー・ダーガーみがある。

〇金崎将司『山びこ』:言葉で言い表せない感動。文字書くの辞めたい。

〇金沢寿美『新聞紙のドローイング』:新聞紙をくっつけまくり超デカい新聞紙を作って、さらに黒で塗りつぶして宇宙のようにした作品。遠くから見た時と近くで見たときの体験が全く違ったものになってすごい。

9 阿部洋一 『橙は、半透明に二度寝する 』 (2014) 漫画

数年越しの再読。やはり素晴らしい不条理系百合。何かが起こっているか分からないが、百合だしまあいっか、という感じではある。言語センスが凄まじく、話の節々で笑える。

9 深山はな 『来陽と青梅 』 (2021) 漫画

最初読むのがキツすぎて『メイドインアビス』かと思った。同性を好きになることのガチのキツさを丁寧にやっており、梅島心の同性愛ヘイトも助けて、メンタルがゴリゴリに削られる。同性愛者ではない(はずの)私が読んでもこのダメージなのに、同性愛者が読むとどうなるのだろう。同性愛への偏見は「普通」(カッコ笑いをつけるべきだろうか)ではないことへの嫌悪から発生するが、人が集団に依存して社会的に生きていく限り、その偏見を無くすことは案外簡単ではないのかもな、と感じた。幼少期から百合にブヒブヒ言っている自分にとっては新鮮な視点だった。鑑賞者の感情を動かすことに関してすごい力を持った作品。

9 ジョセフ・コシンスキー 『TOPGUN MAVERICK (2022) 映画

文句なしに面白かった。大満足。トムクルーズかっこいい以外に言うこと無し。

9 井村瑛 『ツミキズム 』 (2017) 漫画

全体を通して面白い。幼なじみ百合もあるし、かなり尖った変な作品もある。収録作『見つけちゃ、ダメ』での終盤の台詞「ふふ なんにも言えなくなっちゃった」がちょっと良すぎて頭抱えた。『Dr.LunchBox』もお気に入り。

9 道満晴明 『あやめとあまね 』 (2021) 漫画

もはや死語と化した「クレイジーサイコ〇ズ」と名付けるに相応しい神条あやめが奮闘する作品。相変わらずギャグセンスが高すぎるので百合とギャグの狭間に呑み込まれる。終わり方はご都合主義だが、まあ百合の前では何も気にする必要はないでしょう。

9 模造クリスタル 『黒き淀みのヘドロさん 』 (2017) 漫画

ヘドロさんがめちゃかわいい。りもん先生やゲーゲーちゃんといった狂人も素晴らしいが、やはり作品の根底にある「ヒーローとは」というテーマに対してかなり面白いアプローチをしているように感じた。ヘドロから作ったからいつ悪に染まっても大丈夫だよと誰かに言ってあげる優しさを、どうにか人間にも応用していきたい。

9 クリス・バックジェニファー・リー アナと雪の女王 (2013) 映画

そういえば2を見ていないな、と気付き無印から再視聴。まあゴリゴリに百合であり、エンタメとしても優れていましたね。懐かしい気持ちになりました。

9 岩井澤健治 『音楽 』 (2019) 映画

かなり変な作品。物語としての期待をすべて裏切りながら面白いことをやっているのですごい。

8.5 D・キッサン 『乙女散るらん〜大正女學生物語〜 』 (2021) 漫画

失恋かつ死別百合。最近はあまり見ないジャンルなので新鮮でよかった。

8.5 東京都現代美術館 『ジャン・プルーヴェ展 』 (2022) 展示

芸術的にも建築的にもかなり独特で合理的で面白いことをやっているのに、椅子以外興行的にはなかなか振るわなかったジャン・プルーヴェという人間を知ることが出来てよかった。椅子だけがずらりと並ぶ展示空間が面白かった。

8.5 安田剛助 『草薙先生は試されている。 』 (2018) 漫画

純粋に好みな作品、ギャグも百合も扱い慣れている人のそれで、全体的に楽しめた。本来ならば付き合っていたかも知れない二人が道を違え、母親と先生という立場になり、娘と先生の関係に同性婚以上の禁忌感をもたらしたのが良い。ただ、その禁忌による物語の揺り動かしがラストのみでの簡単な取り扱いになったのが勿体ない。今回は見逃すというのもひとつのやり方だが、どうしても肝心な問題から逃げたという印象が拭えない。作品のなかで決して答えを出す必要はないが、それならそれで「答えは出さない」という姿勢を明確に示してほしかった。

8.5 田口智久 『夏へのトンネル、さよならの出口 』 (2022) 映画

田口智久『夏へのトンネル、さよならの出口』観た! - 新薬史観

8.5 海藍  トリコロ (2003) 漫画

きららの源流にあたる日常系百合作品。表紙の絵が少しアレだが、漫画の中身は大変かわいい。ギャグセンスもかなり高く、これは絶対にアニメ化するべきだろとキレそうになる。今からでも連載再開しませんか?

8.5 池真理子 『やわいボンド 』 (2022) 漫画

フィクションから離れたリアルな幼なじみとその距離感を表現できており、かなりよかった。学校や家庭とは違う自分の居場所をそうそうに見つける主人公はなかなかのやり手だが、そんな彼女と幼なじみとのやりとりもまた面白い。

8.5 阪本裕吾 『ベイビーわるきゅーれ 』 (2021) 映画

かなり現代の生きづらさに寄せてきた作品だなと思ったが、こいつらはどの時代でも生きづらい気がする。殺し屋以外向いてないよ。

8.5 hako生活 『アンリアルライフ 』 (2020) ゲーム

ゆめにっき系かなと思い購入したらゴリゴリの百合でひっくり返った。ドット絵がかわいいのでオススメです。

8.5 スズキナオ 『酒ともやしと横になる私 』 (2020) 文章

スズキナオの文章やっぱりすごくいい。エッセイを読む楽しみを味わうことが出来る。

8.5 クリス・バックジェニファー・リー アナと雪の女王2 』 (2019) 映画

相変わらず強い百合だしエンタメとしてはかなり面白いが、テーマとしてダム破壊=自然保護をやっているくせに、火の精霊は燃えている状態なのに手懐けて消化、水も凍らせて支配下、地は騙して無効化、風も人にとっての便利な伝達手段として成り下がっているなどラストの終わり方が無茶苦茶すぎてキレそうになった。本来もっと点数は低いのだが、百合加点があるためこの位置づけに。

8.5 ブラッド・バード Mr.インクレディブル (2004) 映画

続編の『インクレディブル・ファミリー』が百合だというので無印を再視聴。エンタメとしてメチャクチャに面白くて興奮した。こんなレベルの脚本書いてみて~。

8.5 ブラッド・バード インクレディブル・ファミリー (2018) 映画

作品の展開やシナリオは前作よりやや劣るが、女性の社会参画というテーマ性で少し面白みを感じた。ただ私はあまり百合を感じなかったので、肩透かしを食らった気分だった。

8.5 新海誠 『すずめの戸締まり 』 (2022) 映画

映像、エンタメともに楽しめた。『空の青さを知る人よ』に通じる百合加点もあるし、好みではある。新海誠作品における天皇制についての議論は興味が無いのでどうでもいいのだが、震災対個人の構造からは災害の責任的な意味で気持ち悪さを感じたし、気持ちの整理がついたすずめが椅子を渡す相手が過去の自分である、というような円環構造をつくっている点を見ると、扉の壊れたスポーツカーで家族の再定義をやっておきながら、結局自助でしかないのかよとがっかりしてしまった。

8.5 ままごと 『あゆみ(短編) 』 (2022) 舞台

映像でしか見たことがなかったので、リアルで(しかも小豆島の中学校の体育館で!)観劇することができて感激した。街中ならでは救急車のサイレンや、外から飛び込んできて床のうえでビチチチと瀕死の悪あがきをする蠅を見ることができてよかった。

8.5 壇九 『SQ 君の名前から始まる 』 (2020) 漫画

縦スクロールフルカラー漫画をkindleで読んだらこうなるのか、という気付きがある。百合として素晴らしく、恐る恐るの距離感の詰め方が甘酸っぱくて最高。

8.5 市川ヒロ 『ティラとケラ 』 (2020) 漫画

ティラノサウルストリケラトプスの百合(?)。擬人化(?)されたりリアル描写が入ったりとなかなかに忙しい漫画だが、本来捕食対象の存在をあえて食わずにとっておく『おまえ うまそうだな』を百合でやるとこうなるのかという気付きがある。

オススメの手札に入る作品(7<x≦8)

8 雁須磨子 『私の嫌いなおともだち 』 (2015) 漫画

台詞の配置が独特で読みにくいが、慣れればなんとか。キャラクター化されていない普通の女子と普通の女子が、ありきたりな生活のなかでどのように距離を詰めていくのか、ということが丁寧に描かれている。かなり良い作品だと思う。

8 n 『ハッピーエンドは欲しくない 』 (2014) 小説

数年前にインターネットを騒がせたはてな匿名ダイアリーの作品(のはず)。非常に気合いの入った作品なのだが、あまりにも自伝すぎて構成が無茶苦茶すぎる(前半の無職からSEになるまでの加速に対して、中盤からの世界放浪パートが長すぎる)のが残念なところ。しかし筆者の人生をなぞっていく分には楽しめる作品なので、悪くは無かった。特に無職の過ごし方は参考になる。

8 鈴菌カリオ 『当て馬カノジョ 』 (2019) 漫画

かなり奇妙な作品。『クズの本懐』とかそういう路線かと思わせておいて、強烈なギャグと作画によって独特の路線を突き進む。終わらせ方も物語の美しさに屈しない作者の信念がありよかった。

8 国立新美術館 『ルートヴィヒ美術館展 20世紀美術の軌跡 市民が創った珠玉のコレクション 』 (2022) 展示

よかった。作品を挙げるのは面倒くさいのでもうしません。

8 阪本裕吾 『最強殺し屋伝説国岡 』 (2019) 映画

かなりよかった。ドキュメンタリー形式で日常に沿ったさりげない笑いや、殺し屋あるあるネタ、ありそうネタを詰め込んでいるのが素晴らしい。

8 カザマアヤミ 『恋愛3次元デビュー〜30歳オタク漫画家、結婚への道。〜 』 (2014) 漫画

カザマアヤミという人間の奇妙な振る舞いを見ることができるという点で強くプッシュしたいが、性についての距離感が自分と似通っているので、手放しで笑って鑑賞できない。

8 ぴゃあ 『吸血鬼と呼ばれたい! 』 (2021) 漫画

幼なじみ百合+吸血鬼要素を加えた最高の作品。ただ、作者が明言しているように本作はわかりやすい「物語」であることを放棄して、世界観を広げつつもあえて大きな事件を起こさないようにしているので、エンタメとしては少し物足りなさがある。けれども百合としての強度はかなりのものなので、百合のオタクなら満足できるはず。

8 西沢5ミリ 『♡♡男だ〜いすき♡♡ 』 (2022) 漫画

西沢5ミリの作家性が現れたすごい作品。素晴らしい画力にこの言語センスが組み合わさるのは凶器。ギャグも面白い。

8 福井県立美術館 『ミリオンセラー ロングセラーの絵本たち 』 (2022) 展示

よかった。作品を挙げるのは面倒なのでしませんが、先述の刀根里衣という作家と出逢わせてくれた点で思い入れのある展示。

8 森井勇佑 『こちらあみ子 』 (2022) 映画

あみ子の最悪な感じをよくもここまで再現できたなと感心する一方、途中の妄想パートっているのかなあと首を傾げたくなる。青葉市子の音楽は素晴らしかった。

8 御手洗直子 腐女子になると、人生こうなる!〜底〜 』 (2015) 漫画

こういう同人ネタが大好きなんですよね。

8 福井市美術館 『生誕100年 山下清展 百年目の大回想 』 (2022) 展示

山下清を深く知れて良かった。

8 柿沼こうた 『ゆうれい色の日常 』 (2022) 漫画

現在連載中の作品。近日中に単行本が出るらしい。現在25話まで読んでいるが、どれも人間と幽霊の百合をテーマにしつつも、深く悲しみに浸らず、かなり良い感じの距離感をものにしている。続きが楽しみ。

8 ちさこ 『あの娘とわたしの話。 』 (2022) 漫画

ちさこ先生の作品が好きだ。「友達の友達」から始まる距離感で進展していく百合がかなり好きかもしれない。

8 みかみてれん, 七路ゆうき 『もし、恋が見えたなら 』 (2020) 漫画

みかみてれん先生は想像以上に真剣に百合をやっているな、と思えた作品。三角関係から安易にポリアモリーに進まず、ちゃんと結論を出したところを評価したい。七路ゆうき先生の作画も素晴らしかった。カラーの使い所として、オタクあるある「瞳」を繰り出してきた時にはちょっと「ああ……」と思ったけれど、まあ。様式美ですからね。

8 アキリ 『ストレッチ 』 (2014) 漫画

会話のテンポに乗りきれない+真剣なストレッチにコンボに置いて行かれそうになったが、決して恋人にはならないけれど、友人以上の距離感を保つ点がよかった。終わり方も良い。

8 刀根里衣, 青山七恵 『わたし、お月さま 』 (2016) 絵本

刀根里衣のすばらしいイラストに青山七恵の幻想的なシナリオが合わさり、かなり良い感じに仕上がっている。子供に絵本を読むならこれを選びたい。

8 四ツ原フリコ 『ライカ、パブロフ、ポチハチ公 』 (2015) 漫画

表題作『ライカ、パブロフ、ポチハチ公』はあまりストーカーっぽくないキャラデザの子がキャラデザで面白い。ストーカーのコロの恋愛観が「子どもみたい」でも、唯一自分を必要としてくれる相手に対して無理やり性交をしようとするナベの「子供みたいなやつでも良いわ。私今落ち込んでいるのよ。どこでもいいから連れ出して。今すぐ証明してみせてよ」という台詞が切羽詰まっていて素晴らしい。おまけ漫画は蛇足。『恋を描く人』はややテンプレ気味か。『口先女と鉄壁の処女』は、毎回友人のまつりに「好き」だと伝えてきた小雪の言葉の軽さが重みを持つ展開がめちゃくちゃに最高で発狂もの。『カラス濡れ羽にひかりもの』はカラスというテーマで光り物を集める女と地味な女を登場させたところが如何にもな短編百合で、テーマも似合わないアクセを似合ってると言ってあげる(あるいはそう見える)関係と、結構ありきたりではある。『恋文未満』は同性愛の問題に切り込みながらも、主要ふたりの関係の詰め方が強引。『chopsticks』はかなり荒削りでキャラが暴れているのと、関係性の詰め方があまり好みでは無かった。でも総括すると楽しめたので良かった。

7.5 あさの 『花と嘘とマコト 』 (2015) 漫画

絵柄がとてもかわいく、百合としてひたむきな女の子を見るのが大好きなので、よかった。展開に少し既視感というか、意外性がないのだけれど、オススメできる作品。

7.5 日日日 『ゆめにっき あなたの夢に私はいない 』 (2013) 小説

何処かで見かけて「ゆめにっきのノベライズ!?こんなのあったんだ!」と驚き購入。大変失礼ながらラノベ作家日日日の書く文章を舐めていたところがあり(私はラノベに偏見があります)、語り手の問題や文体などに技巧的な工夫を感じ「やるやん!」と評価を改めた。ゆめにっきのノベライズとしては日日日の解釈が強いし、やたらとフロイトとか心理学を持ち出すのがうざったいけれど、夢という性質上触れざるを得なかったのかと考えると評価がしにくい。ただ、文章を読みながらなんとなくまどつきが辿るルートをイメージできる描写力は素晴らしいと思った。結末で一気に好みではなくなったが、途中までのまどつきと「私」の百合は素晴らしかった。どうしようもなく目が離せない女とそれに振り回される女の百合。

7.5 介錯 姫神の巫女 』 (2021) 漫画

神無月の巫女』のスピンオフとして面白い作品だった。媛子や千華音の本質を変えず、原作の雰囲気を変えずに物語をリライトする感じは見事。ただそれ以上の感想はなく、やはり自分は『神無月の巫女』の方が好きかなあと思うなどする。終盤の百合エッチがプリズムショーみたいにキラッキラなのには笑ってしまったが、笑い所ではなかったかもしれない。

7.5 宇河弘樹 『二輪乃花 』 (2012) 漫画

短編集。収録作の『コブリアワセ』は不思議な作品。「コブリアワセ」とは死んだ伴侶のあとを妹や弟が引き継ぐことを意味するが、これまでの作品で都合良く死んだ両親の代わりをする姉と妹の百合は大量生産されている一方で、死んだ母親の後を母の妹(しかも娘と同じ歳!)が引き継ぐかたちで産まれる関係性、というのは目新しく、興味深く読めた。戦争や太陽湿疹、母への悔恨といった複雑な話をすべて纏め上げる展開が素晴らしいが、ラストを安易なギャグで飾るのがウンチすぎて逆に面白い。『ニリンソウ』はこれまた癖の強いギャグ百合。『Walk wit me』は、退廃的な逃避行百合のようでいて、無垢な少女性への叛逆とも読み取れる作品。方向性がバラバラでなかなか不思議な作品集だった。

7.5 ジャック・ルーボー 『麗しのオルタンス 』 (2009) 小説

なんというか無茶苦茶、完全に奇書の類い。まあ面白いんだけれど。

7.5 ラヴィス・ファイン 『チョコレート・ドーナツ 』 (2014) 映画

テーマ性に溢れていてよかった。色んな話に引っ張ってこれそう。

7.5 デビッド・リーチ 『ブレット・トレイン 』 (2022) 映画

日本に夢を見すぎだろ。展開は素晴らしかった。

7.5 足立慎吾 リコリス・リコイル 』 (2022) アニメ

シナリオの違和感を挙げるとキリが無いが、キャラはかわいかった。

7.5 アレッサンドロ・バリッコ 『絹 』 (2007) 小説

読んでいて文章が綺麗で楽しいのでよかったが、もっと変人を出して欲しかった。

7.5 ソーントン・ワイルダー 『わが町 』 (2007) 文章

かなり変なことをやっている内側で、人間の生について描こうとしており良かった。

7.5 ままごと『反復かつ連続 』 (2022) 舞台

現地で見た。やはり素晴らしい。島民であるお婆ちゃん役の清水里子さんの「お婆ちゃん」感が凄まじかった。しかし、小山薫子さん(こちらはままごと)はよくもまああれだけの台詞や挙動を覚えられるよな……。

7.5 刀根里衣 『きみへのおくりもの 』 (2015) 絵本

絵がとても綺麗。ハートという記号の繰り返しに、絵本としての楽しさがある。

7.5 高瀬隼子 『おいしいごはんが食べられますように 』 (2022) 小説

読書会の課題図書。芦川さんがとてもかわいい。人間の強さの問題とご飯の問題が絡み合うのが新鮮で良かった。食事について様々な議論を巻き起こしたが、最終的には二谷はエアプで食事でリスカをしているっぽい。納得。

7.5 湯浅政明 『四畳半タイムマシンブルース 』 (2022) 映画

森見の方の原作は未読だったが、ヨーロッパ企画の方は知っていたので、まあ焼き直しっすねという感じでぼんやりと楽しく観ることができた。架空の電車の跡を見つける京福鉄道研究会の話は新鮮に楽しめてよかった。

7.5 アニー・エルノー 『シンプルな情熱 』 (2002) 小説

恋愛に真剣すぎて羨ましくなる作品。これを読めばアナタも「恋愛して~!」って思うわよ。

7.5 年森瑛 『N/A 』 (2022) 小説

これも読書会の課題図書。アンチラベリングオタクがいざとなったら何も喋られなくなるのがよかった。百合といえば百合だが、そうやってラベリングしていいんですかね~?とうみちゃんに牽制させられる。

7.5 吉田丸悠 『ドラムカン百景 』 (2019) 漫画

面白い話とよくわからない話がごちゃ混ぜ。総合すると面白い。

7.5 神江ちず 『ねこ神様はふわふわのお布団がお好き 』 (2019) 漫画

社畜 ミーツ 癒やすのじゃ神様。布団に対する真剣さに脱帽。

7.5 アザミユウコ 『みかはな週末とりっぷ 』 (2016) 漫画

週末になったらみんなで旅行して酒飲むベ、というオタクの理想がここにある。聖地巡礼したい。

7.5 garnet 『セレブ漫画家一条さん 』 (2017) 漫画

ありそうでなかった、面白いセレブ作品。一条さんが8割くらい同じ表情と同じポーズをとっていることを除けば、かなり楽しめる作品だと思う。百合もあると言えばあるが、もう少し強さがほしいかも。

7.5 岡井ハルコ 『世界の終わりとオートマチック 』 (2018) 漫画

最初はストーリーを掴みにくいが、最後はSFとして結構面白いことをやっていたなと思えて良い感じ。かつての同僚を見返すために奮闘するお婆ちゃん百合もある。

7.5 東京都現代美術館 『私の正しさは誰かの悲しみあるいは憎しみ 』 (2022) 展示

ラッパーのFUNIの協力のもと制作された高川和也の映像は、見ていてふーんとなった。どこからがラップになるのか、という問いに対して「口から出たら全部ラップ」という意見が出ていたのが良かった。それは環境的に口に出せない言葉を多数抱えざるを得ない人間だからこそ定義しうるものなので。ウチの犬は鳴きたいときによく鳴いていた。良知暁の作品がバチバチによかった。工藤春香の作品も、健常者が見逃しがちな問題と様々な角度から向き合わせてくれた点に対して感謝した。大久保ありの作品はよく分からなかった。

まずまずな作品(6<x≦7)

7 今日マチ子 『100番めの羊 』 (2009) 漫画

百合力の高いお嬢様が出てきて良いのだが、物語と私の親和性が低かった。

7 秋津貴央 『舞ちゃんのお姉さん飼育ごはん。 』 (2020) 漫画

現在出ている3巻まで読了済み。絵柄がめちゃかわいいのだが、児童労働である。タイトルにもある「飼育」というワードがかなり不穏なパワーを持っているのと、「こんな小さい子に飼育+料理の責任を押しつけるな」という気持ちがあるために素直な気持ちで楽しむことができない。助けて。

7 国立西洋美術館 『常設展 』 (2022) 展示

まあよかった。キリスト教関連の展示が多くて助かる。

7 タワシ 彼氏いない歴もうすぐ30年モテないアラサー女が婚活してみた話 』 (2014) 漫画

タイトルを逆手にとったオモコロ漫画。

7 早川千絵 『PLAN75 』 (2022) 映画

テーマとしてはかなり良くて、現実に考えなければならない社会保障の話をしっかり作品にしてくれたのは評価すべき所だと思うが、やっていることはかなりデカいのに少し作品世界が小さいように感じるのと、それぞれの視点がそこまでうまく絡み合っていないのが残念な点。実は2種類の百合があるのだけれど、どちらも微妙に不発で終わるのでそちらも悲しい。

7 李屏瑤 『向日性植物 』 (2022) 小説

良くも悪くも掲示板小説。百合。

7 かこさとし 『からすのてんぷらやさん 』 (2013) 絵本

いきなりてんぷらやさんが火事で全焼して母親が行方不明になるところから物語が始まるので、かなり強い。

7 冬川 『ぶっくまーく!! 』 (2015) 漫画

かなり独特。好みに近い百合もあるのだが、なんとも。

6.5 幾原邦彦 『劇場版『RE:cycle of the PENGUINDRUM』[後編]僕は君を愛してる 』 (2022) 映画

アニメが強すぎるので必然的に総集編のこれも強くなるはずなのだが、結構つまらなかった。オリジナルパートが鑑賞体験の邪魔をしていた気すらする。

6.5 水溜あいまい子 『デイ・ドリーマー・ガールズ 』 (2022) 漫画

私が大味すぎて、作者が描きたい細やかな感情の動きを良いと感じられなかった。これは素直に私の感性の敗北だと思う。

6.5 火野葦平 『糞尿譚 』 (1937) 小説

政治とうんちとおしっこの話なのでよかった。

6.5 かこさとし 『からすのパンやさん 』 (1973) 絵本

からすシリーズの原点。子供が読むとめちゃ面白いと思うが、アラサーが読むと100楽しめるわけではなさそう。

6.5 福井県立美術館 『おしゃべりな絵 』 (2022) 展示

悪くはない。

6.5 乙野四方字 『君を愛したひとりの僕へ 』 (2016) 小説

ふーんとなった。

6.5 乙野四方字 『僕が愛したすべての君へ 』 (2016) 小説

へーとなった。

6.5 あきやま 『キリング・ミー! 』 (2018) 漫画

吸血鬼vs吸血鬼ハンター百合。絵はすごくかわいいが、1話の時点で殺せないんだからもうお前は一生そいつを殺せねえよ感がある。

6.5 sonno 里山ごちそうスケッチ 』 (2016) 漫画

食材を妄想で女体化させて調理するヤベー画家が田舎でひたすらご飯を食べて興奮する作品。俺は何を読んでいるんだ?感があってよかった。sketch3の食材当てゲームとヤベー画家の正体が明かされる回がそこそこアツい。

自分からは話をしない作品(x≦6)

6 にしうら染 『彼女と私の異国ごはん 』 (2021) 漫画

料理への愛よりコロナへの憎しみが強すぎる。

6 国立新美術館 『MAMコレクション015 』 (2022) 展示

コメントし辛い作品だった。悪くはない。やなぎみわの作品は興味深かった。

6 アルパカ子 『オタクだけの婚活サイトで運命の人を見つけました 』 (2017) 漫画

なるほどね。

6 刀根里衣 モカと幸せのコーヒー 』 (2016) 絵本

ストーリが自分向きではなかった。イラストは綺麗。

6 矢村いち 『声がだせない少女は「彼女が優しすぎる」と思っている 』 (2020) 漫画

悪くないが退屈。

6 廣田裕介 『映画 えんとつ町のプペル (2020) 映画

映像は綺麗だが退屈だし、町の人間が全員怒りっぽすぎてすぐに手が出るし怖すぎる。もしこれがキンコン西野の被害者意識から作られた構造なら本気でヤバいと思う。作品としては、序盤のミュージカル調でずっと行ってくれればよかったのにな~と思わなくもない。

5.5 川村元気 『百花 』 (2022) 映画

序盤、認知症の母親が見る映像が凄まじく素晴らしいのだが、中盤以降の映像も展開も一気につまらなくなって無になる。

5.5 ねが 『ばらの名前 』 (2018) 漫画

まあ。

5.5 えい 『100話で心折れるスタートアップ 』 (2022) 漫画

業界用語を知れてよかった。筆者がウキウキでNFTを売ろうとしていて悲しくなった。

5.5 めの 『まもなく開演! 』 (2016) 漫画

全然開演しないじゃん。

5 emily 『PON PON PON ! 』 (2020) 漫画

根本的にすべてが私と合わない。

5 座古明史 『映画デリシャスパーティ・プリキュア 夢みる・お子さまランチ! 』 (2022) 映画

プリキュアではじめて退屈だと感じた。

5 上嶋ハルキ 『友達以上、恋人以上! 』 (2022) 漫画

4.5 ヨウハ 『絶対私のこと好きだろ 』 (2020) 漫画

無2

以上。

 

後書き

いかがでしたでしょうか?

気が付いたらこの3ヶ月も百合漫画ばかり読んでいた……もう半年くらいずっと百合漫画読んでる気がする。それでもライブラリには無限に百合漫画があるので、もはや抜け出すことは無理なのかもしれない。トホホ~もう百合漫画なんてこりごりだよ~(アイリスアウト)。

みなさんも(百合に限らず)オススメの作品があったらぜひ教えてください。

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