新薬史観

地雷カプお断り

視聴映画記録(2020.05/08~05/14)

5月8日 映画30「ニュー・シネマパラダイス」(1988)

ジュゼッペ・トルナトーレ監督。

現時点でまちがいなくベストワン級の映画。ボロ泣きしてしまった。

エンニオ・モリコーネの曲があまりに良すぎる。ずっと同じ「シネマパラダイス」ではあるのだけれど、時々アレンジが加えられたりして、ジャンカルド村に吹く風のように、ずっと寄り添うのが良すぎた。クソガキのサルヴァトーレと老いたアルフレードの関係が徐々に深まっていくところも勿論いいんだけれど、個人的にすごく好きなのが、時間の切り替え方。「ライフイズビューティフル」の例の家に入ってから出てくる間に時間が経っている切り替えもすごい好きなんだけれど、アルフレードに触れられて時間が経ていることを実感させる演出がばちくそに刺さって声が出てしまった。 

「この村はすべて幻だ」というアルフレードと、村を出て成功したサルヴァトーレ。けれども、彼が村を出てであった女性もみんなまぼろし(本当に愛されていないという意)で、どこに現実はあるのかという構造がよかった。アルフレードにとってはサルヴァトーレが映画技師になることも、この村でずっとくすぶることも「まぼろし」のようなものだと思っていたんだろうけれど、サルヴァトーレにとってはそうでなかった。アルフレードがくれたかつて上映された映画(サルヴァトーレが技師になる前)のキスシーンを集めたプレゼントがあまりにも完璧な演出すぎて、「ああ、ここに現実があったんだ」とボロボロ泣いてしまった。ガチで泣いた。演出の神か?

ジュゼッペ・トルナトーレのほかの作品は、「海の上のピアニスト」、「鑑定士と顔のない依頼人」などがあるみたいだが、どれもこの作品ほどではないとのことで残念だ。でもいつか見ようと思う。

 

5月9日 映画31「バットマン」(1989)

ティム・バートン監督の方。なんというかいい意味でふつうのヒーローもので、個人的には好きではあるが嫌いでもない。むしろクリストファー・ノーランがやばすぎただけで、これが普通のヒーロー映画だよなと……。ノーランのバットマンのようにでかすぎるものを背負わなくてもいいんだよな。ノーランのジョーカーみたいにあそこまで最高の悪役にならなくてもいいんだよな。こっちのジョーカーもいい意味でまだ人間らしく、愛嬌のある悪役になっていた。

まぁ、僕が好きなのはクリストファー・ノーランのほうなんですが……。

 

 5月10日 映画32「メメント」(1988)

 んも~~~~天才映画。クリストファー・ノーランの代表作らしいが、それ以外の事前情報なしに観た。するとどうだろう。時系列が逆でまったく意味が分からないではないか!諦めて初めからメモをとりながら観直すことにした。そしたらもう面白いことこの上ない。うさんくせえテディ、すごく優しそうなナタリー、かっこいいレナードが、中盤からどんどん変わっていくから面白すぎる。過去に遡る映像の構成、回想のモノクロの緊張感、記憶喪失の追体験などなど、どちゃくそに楽しい映画だった。これ考えつくのすごいわ……。最後にレナードが行き着くどうしようもない狂気にしばらく呼吸を忘れてしまった。良すぎるよな~~~。

 

 5月10日 映画33「フォレスト・ガンプ」(1988)

面白かった。頭が弱いため周りから馬鹿にされまくる男が、自分を信じ続けて行動し続けた結果、成功を掴み取るサクセスストーリー。その筋書きはよく、見終えてかなりの元気をもらえた。ただ、 この映画のなかでの成功がすべて「大金持ちになること」なのがすごく気になった。誰も彼もが成功して大金持ちになる。まあそれは確かにわかりやすい成功ではあるんだけれど、もっと他の表現があったのでは、と思わなくもない。あと息子が存在することが発覚するシーンはもっとうまくできなかったのかと思った。妻の言いたいこともわかるし、ドストエフスキーの白痴的な感じで純粋故に自分が触れることができない気持ちもわかるんだが、そこまで拒絶するかという疑問を抱いた。あれだけ愛されてるのにな。まあ、もとから子供を産む気はなかったんだろうけれど……できたから仕方なかったのかな。少し気になるところはあるが楽しかった。

 

5月10日 映画34「鑑定士と顔のない依頼人」(1988)

これがあのジュゼッペ・トルナトーレの作品である。作品名でサーチをかけたら、アニメ監督の幾原邦彦がこれを他人に勧めててええやんとなった。結論から言うと、自分がジュゼッペ・トルナトーレに求めていたのはこの毛色の作品ではなく、というのも30歳で撮った「ニューシネマパラダイス」の完成度があまりにたかすぎた故に、こういう方向性なら無双できるのではと思っていたからだ。ただ観客が見たいものと監督が作りたいものは往々にして異なるものなので……なんとも言えないな。

とはいえ、出来はかなり良かったと思う。かなり後味が悪い作品ではあるのだが、よくよく考えると、作品として美しいなと思った。テーマは偽物と本物かな。贋作と本物を見分けるエキスパートであるヴァージルが、私欲のために真偽を騙りつつも周りからは天才鑑定士として崇められている(この時点でどんな人間にも真実と偽物が入り交じっていることを示唆?)。また、「どんな贋作のなかにも真実が宿る」というテーマがこの作品全体を示していて、クレアの偽りの愛が発覚する最後の展開も、二人の間には真実の愛が宿るようになっていたんだろうと推測できるあたりに救いはある。あとタイトルがめっちゃいい。日本語では「鑑定士と顔のない依頼人」ではあるけれど、元は「the best offer」、劇中でヴァージルが自分が一番手に入れたいものを紹介するときに言った台詞ですね。これが作品全体としてクレアのことを示していて、結局は「手に入れたように思われたものの、だまされてすべてを失った」絵画とクレアが対応している。この対比は気持ちいい。その意味では邦訳タイトルはクソだと思う。なんじゃ「鑑定士と顔のない依頼人」て。序盤で顔だしとるがな。

あと、この作品は実は(?)ミステリーとして極上のものだったらしい。正直一回見ただけでは気がつかなかったんだけれど、他人の感想をあさっていたらすべてを語ってくれているブログを見つけた。

https://www.fusakonoblog.com/entry/2017/10/04/033207

まったく気がつかないところまで伏線が張られていて笑った。すべて拾い上げると割とすごいことになる。ここに気がつくかどうかで、傑作か良作かに分かれることになりそうですね。僕はいろいろと気がつかなかったので良作止まりだったんだけど、これを読んで傑作だなと思い直した。ありがとうネタバレブログ。

 

5月10日 映画35「ユージュアル・サスペクツ」(1995)

面白いね。またミステリーものを見てしまった。前情報なしに見て、ただのドンパチ映画かと思ったけれど、最後の最後に「なるほど!」となった。全部でっちあげのほら話だというのが示される最後の数分間が気持ちいい。好きな映画です。

 

5月10日 映画36「良いビジネス」(2019)

たった五分だけれど、かなり良かった。キャラの造形が酉島伝法作品という感じ。

 

5月11日 映画37「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」(2011)

お父さんを失った少年が、お父さんが残してくれたものを必死に探す話。めちゃくちゃに良かったな。僕は子供は好きだけれど聞き分けのないガキが嫌いなので、お母さんに悪いことばかりする自分勝手なガキにイライラしていたのだが、背景が背景なので許せた。子供に多くのものを求めるものじゃないんだよな。わかってます。あと作品とは関係ないが、ショタ好きな人にめっちゃ刺さりそうな容貌をしていてつらくなった。お姉さん方におやつにされないと良いが。

それはそれとして、おじいさんの前で今までのイライラをすべて吐き出すオスカーの演技は抜群に良かった。彼の頭の良さとどんどん自分を追い詰めていく切実さが結集していた。あと、様々な人とのふれあいが良かった。

 

5月12日 映画 視聴記録なし 小説読んだ。

 

5月13日 映画38「ゼロ・グラビティ」(2013)

端的に言えば宇宙にひとり取り残されて、地球に帰るだけの映画なのだが、まあ面白い。人間関係の描写も希薄で、SFガジェットに凝っている訳でもない。ただ宇宙をただよい、宇宙ステーションを操作して帰ってくるだけのストーリーなのにどうしてこんなに面白いのか。まあ答えなんかわかっていて、映像が良いんだよな……。慣性でグルグル回るシーンや、デブリが飛び交うシーン、寒そうな呼吸や残酷なまでの宇宙の黒と、すぐそこに見えているはずなのにめちゃくちゃ遠い地球、無重力のカメラのブレなど、本当に自分が宇宙にいるかのように錯覚してしまう。ベストシーンは、中国の国際ステーションに入ろうとするところ。あれは本当に良かったな。地球に帰ってきた時の「重さ」も良すぎた。いちいち五官を刺激する最高の映画でしたね。孤独と重みを知りたい時にはこれが見たい。

 

5月13日 映画39「キャビン」(2012)

奇想天外な発想で笑ってしまった。かなり斬新な番組だなと思って、どういう方面に着地するのかと思ったら、良い意味で視聴者を裏切り、そして見たいものを見せてくれる映画だった。いや~面白い。けっこう好き。

 

5月14日 視聴記録なし。本読みました。

 

今週は以上。