新薬史観

地雷カプお断り

ラブライブ!カップリング解釈アンケート結果報告

 はじめに

 今回は普段の記事と違って、大々的にアンケートを行ってしまったので、あらかじめ協力者含め、多くの人に見てもらえることを想定して書かせてもらう。

 はじめての人ははじめましてだが、特別名乗るほどの者でもない。

 覚えてほしいのは、今回のアンケートは一個人が行ったものであり、運営とは何も関係がないということ、統計解析には自信がないため、なんちゃって解析になっていること、また自分がほのうみのオタクであるということである(ネタではなく後々効いてくる)。

 あと、この記事は20000字弱の分量がある。時間が空いているときにじっくり読んでいただきたいので、お茶でも片手にお暇なときにどうぞ。「20000字読む気力も時間も無いのだが😅」という方は、記事中にグラフを多数載せているので、それを確認するだけでも構わない。が、その際は〇結論も確認することをお忘れなく

 以上。

 

 

〇アンケートの背景・目的

「ふつうカップリングは結婚させるものでしょ」

「ふつう推しカプってひとつだよね」

「同人作家なら、SIDくらいはすべて履修しているものでしょ」

 

 上記は自分にとっての「ふつう」だが、ほかの人にとっての「ふつう」ではない。このように、「ふつう」が「ふつう」ではないことにはみな気付いてるとは思うが、実際に何がどれほど「ふつう」/「ふつうでない」のか知りたくなったことはないだろうか。

 今回行ったアンケートは、「カップリングの解釈や原作の履修状況は人それぞれ!」の「それぞれ」を具体的な数値にしてみようという試みである。

 また、そのうえで、原作の履修率や推しカプへの考え方、絵師・文字書き・読み専のオタクに差はあるのかといったことにまで踏み込めればと思っている。

 

〇集計方法・結果の信頼性について

〇集計方法について

 2020/05/29 18:00 ~2020/06/01 05:00にかけて、μ'sのカップリングについてのアンケートを行い、最終的に101件もの回答が得られた。アンケート集計にはGoogle formを利用した。今回の集計で改めて感じたが、本当にこいつは便利である。少し工夫するだけで、Google formは最強の武器となるので、アンケートには断然おすすめ。

 

〇結果の信頼性について

 まず、内容が内容なので、今回のアンケート結果の信頼性について説明したい。というのも、今回の結果が、安易にコンテンツやオタクに偏見を与える材料になるのは不本意だからだ。自分も統計学の専門家ではないので詳しい話はできないが、できる限り噛み砕いて説明していく。冗長な文章が続いてしまうが、「信頼性なんてしらねーよ!さっさと結果見せろ!」という人にこそ読んでほしい内容である。とはいえ自分で読み返していてもかなりつまらない文章なので、飛ばしてもらっても文句は言えない。

 現在、ツイッターラブライブ!シリーズ公式アカウントのフォロワー数は1,005,913(2020/06/01現在)である。複数垢でフォローしているオタクのことを考えると、実際にラブライブ!に興味を持っている人間はこれより少ないとは思うが、簡単のため仮にラブライブ!に興味を持っている人間(母集団)を100万人とする。

 アンケート結果の信頼性について、指標に「許容誤差」「信頼度」というものがある。

〇許容誤差について

 許容誤差5%は、アンケート結果のうち、±5%の差が母集団に見られることを示す。

 つまり、アンケートで「SIDをすべて読んだ人が15%いた」という結果が得られた場合、母集団(全国のラブライブ!のオタク)では「SIDをすべて読んだ人は10~20%存在する」ということが言える。もちろん、この許容誤差は小さければ小さいほど信頼性が高く、統計として有意とされるのは5%以下だ(ただ、7%, 10%でも意味がないわけではないことに注意)。

 

〇信頼度(信頼水準)について

 信頼度は、そのサンプルがどの程度の確率で許容誤差内の結果に落ち着くかを示す。

 サンプルというのは常にばらけており、イメージとしては、なかなかゴールに入らないバスケットボールに近い。この確率をどれくらい高くするかで統計上の有意さは決まり、統計解析ではだいたい95%で設定されることが多い。イメージとしては、95%の確率でゴールを決めることができるバスケプレイヤーから使いものになるという感覚だ。

 

 以上を踏まえたうえで、母集団100万人に対し、どれほどのサンプルを集めればよいかという話になる。ややこしいから省くが、許容誤差、信頼水準さえ決定すれば、必要なサンプル数は算出できる。

 仮に許容誤差5%, 信頼度95%とすると、必要なサンプル数は384人となる。100万人に対してこれだけで済むのかという驚きもあるだろうが、実際にこれだけで有意なデータはとれるので、気になる人はぜひ調べてほしい。

 さて、アンケートを設置し回答状況を見たところ、2日で100人という結果になった。これを逆に計算すると、許容誤差10%、信頼度95%という信頼性となる。許容誤差で5%と10%の差はかなり大きいとは思うが、別に学術研究をしているわけではないので、残り284人を待つ時間と解析に必要な労力を考慮し、これで良しとした。

 

ミニまとめ:今回のアンケート結果は「許容誤差10%、信頼度95%」の信頼性。

 

〇重要! サンプルはランダム抽出ではない!

 ひとつだけ結果を先に出す。これは、今回のアンケートに回答したオタクの推しカプのヒストグラムだ。(サンシャイン!!や別作品のカップリング、無記名は除外し、有効票数は87)

 

 

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 これを見て何か気が付いたことはないだろうか。

 一見、カプの多様性的にも問題はないように見えるが、問題は1位のカプである。

 そう、驚くなかれ。なんと回答者の23%がほのうみのオタクなのだ。

 これは、「へ~! ほのうみのオタクはこんなにも多いのか!」と素直に納得できる数字ではない。初めにも書いたが、自分はほのうみのオタクである。ほのうみのイラストや小説ばかりを発信しているため、フォロワーは自然とほのうみのオタクが集まってくる。そしてこのアンケートが自分から発信された以上、アンケートの回答者は自分のフォロワー、つまりほのうみのオタクが多いということになる。

 いわゆる「フォロワーバイアス」である。

 これの何が悪いのかというと、データに偏りが生じているということだ。

 

「本当に偏っているのか? 実はほのうみは覇権カプなのでは?」

 

 答えは否であり、事実「偏っている」というソースがある。ラブライブ!公式が行った「なかよし総選挙」という名の推しカプバトルロワイヤルの投票結果を確認しよう(ほのぼのとした名前と異なり、当時のTLは殺伐としていた)。

 

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https://lovelive-sif.bushimo.jp/6thproject/nakayoshi/result/

 

 1位はみなさん大好きのぞえりである。2位はにこまき、3位はりんぱなという王道カプが続く。それでは4位は王道カプのほのうみ、ことほのあたりかと思えば、実はうみえりが控えているという、まさにTHE同人人気を反映した結果となっていた。これは公式から発表されたアンケートである以上、母集団を忠実に再現していると考えられる(運営の不正を疑う声もあったし、事実怪しい点はちらほらあったが、体感的にそこまでおかしい結果ではない)。

 何が言いたいかというと、「ちゃんとしたアンケート結果でほのうみが2割を占める」ということはないのだ。確実にない。推しカプをこんな風に言うのは辛いが、ほのうみが、のぞえりにこまきりんぱなえりうみにトリプルスコアの差をつけて、堂々の1位というのは確実におかしい。絶対に自分の不正を疑われる結果である。

 つまり、今回のアンケートは101人から回答を得ているものの、統計の大前提、母集団からのランダム抽出ができていないのが問題なのだ。

 個人的に、フォロー・フォロワーの関係や、同じ推しカプの集まりは、思想やコンテンツへの態度が似てくるものだと個人的に思っている。いや、そのような偏見こそ、今回のアンケートで明らかにすべきだったのだが、今回の回答層を見る限り、カップリングについてどうこう言うのは非常に難しい結果になった。

 

 

まとめ:今回のアンケートは母集団からのランダム抽出ができていないため、「許容誤差10%、信頼度95%」の信頼性があるサンプル数ではあるものの、データ全体としてはあくまで参考程度にしかならない。

 長文となってしまったが、以上を踏まえたうえで今回の結果を見てほしい。

 

 

〇結果報告

カップリングへの考え方

 さて、それではお待ちかねの結果報告である。

 まず初めに、推しカプへの捉え方について。

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 まず初めに見るべきは、カップリングという概念が薄い人が5%程度ということである。これは割と驚くべきことだと思っていて、逆に考えるとラブライブ!のオタクの95%は、自分の好きなカップリングを持っていることになる。かなり異常な割合ではないだろうか。ラブライブ!の世界が徹底的に男を排除しているというのは有名な話だが、アイマスアイカツ!、プリパラなど、他のアイドルコンテンツごとにカップリングへの意識調査を行ってみるのは面白いかもしれない。

 また、そのほかにも、推しカプの「数」というのが、それなりに人を分類するのに有意だと分かったのは良い気付きだった。複数推しカプがあるなかでも、「これ」だといえる人が半数を占めるほか、単推しという人も15%近く存在する。こういうところにも、カップリングへの意識の差はみられる。けっこうおもしろい。

 

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 次に推しカプに望むことである。ラベルが消えてしまっているが、上から5番目19%の欄は「付き合ってほしくない、現状維持」を示す。

 これもまた面白い結果になっている。まず、推しカプに望むことの順番を見よう。単純に割合だけで見ると、「幸せになってほしい」は別として、

付き合ってほしい(58%)> 結婚してほしい(47%) > 性行為をしてほしい(38%)

という並びになる。オタクは推しカプに付き合ってほしいのだが、性行為はそこまで求めていないのだ。

 これは個人的に疑問に思うところである。

 読者にもpixivを開いてほしいのだが、「推しカプ」タグだけが付いている小説・イラストよりも、「推しカプ」+「R-18」のタグがついているイラスト・小説の方が、断然閲覧数も評価もよい。自分はずっと、えっちな推しカプを求めているオタクが多いのだと考えていたのだが、どうやら違うらしい。謎である。

 ひとつ考えられるのは、えっちな推しカプではなく、ただえっちな作品、えっちなキャラを求めている層がいるということである。推しカプを度外視し、R-18だけを求めさまよっている層が大量にいるのかもしれない。進撃の巨人の壁の外で徘徊する巨人たちみたいで、素直に恐ろしいな。

 また、特筆すべきは1%の回答結果だろう。念のために「その他」で自由回答欄を設けていたが、自分の解釈を述べる人が多くいた。その内容はほとんど共通しており、「関係性は気にしない。ふたりが隣にいればよい」と、「結婚・交際」という既存の関係を取り払う意見だった。自分もそこは同意するところであり、この設問の答えとして組み込むべきだったと反省した。

 同性愛という法律や自然の摂理に反したジャンル上、「二人は結ばれにくい」という前提があるために、このような意見が生まれるのだと思うのだが、この「ただ二人が隣にいればよい」という考えが、NL(男と女のカップリング)作品でも生まれる概念なのかは興味深いところである(男と女の間に友情はあり得るのかという問題に近い)。だれか高橋留美子作品あたりでアンケートしてくれないかな。犬夜叉とからんまとか。

 

 次はこれ。

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 これは、原作の推しカプたちをどのように捉えているオタクがいるのか気になっただけの、個人的な設問だった。面白いのが、先ほどは結婚してほしい、付き合ってほしい、性行為をしてほしいと5割近くが書いていたのに対し、冷静に「原作では付き合っていない」とする人が6割近くいたことである。逆に6割しかいないのか!とも思うのだが、どれもこれもオタクの価値観によるものであり、これこそが人それぞれの「それぞれ」というものである。

 本当ならば、推しカプたちは「付き合っている」とも「付き合っていない」とも原作では言われていないため、「わからない」というのが賢明な選択なのだが、それでも26人のオタクは「確実に付き合っている」と声に出し、9人は「結婚している」とさえ言う。さすがに結婚まで行くのはすごいが、こちらとしても結婚していないとも言い切れないのだ。可能性は、ありとあらゆる起こりうる現象を含むものであり、ゆえに推しカプにも無限の可能性が秘められている。

 気になったので、「付き合っている」「結婚している」というオタクの推しカプを調べてみると、驚くことに、ほとんどのカプで主張されており、カプによる大きな違いはなかった。

 不毛な争いは避けたいので具体的な数字を出すのは避けるが、にこまきやのぞえりだけでなく、のぞまき、ほのまき、ことほの、ほのうみ等々……先に述べたほぼすべてのカプのオタクが、「うちの推しカプは付き合っている」と主張していたのである。

 これは画期的な発見ではないだろうか。私にとって地雷カプとは、「原作で書かれてもいない描写を基にして、無理やり付き合わせている!」というイメージがあった(つまり個人の解釈の問題だと思っていた)のだが、すべてのカプにおいて「原作の時点で付き合っている」というイメージが一定数保たれている時点で、その主張は通らないのである。

 簡単に言うと、地雷カプのオタクにキレるという行為は、リンゴがグレーに見えてしまう人間に「なぜ赤く見えないんだ!」と怒るのと同じことなのだ。

 肝心なのは、リンゴがグレーに見えるのは「わざと」ではないということだ。本当に彼らにとってはリンゴはグレーだし、逆に私たちがリンゴを赤いと主張するのを、不思議に思っているに違いない。

 当然ながら、リンゴがグレーであることを否定するわけではない。自分の見ているリンゴの色が正しいかどうかは、ほかの人とどれだけ一致するかという、あくまで多数決の話になってくる。

 実際に、グレーのリンゴはミツバチから見た世界に存在している。ミツバチの視界では、赤いものはグレーに見えるらしい。赤いリンゴは人間の世界にしか存在せず、ミツバチの世界には存在しないのだ。

 当然、ヒトとミツバチの間に種としての貴賤はない。よって、どちらが正しいわけでもなく、グレーのリンゴと赤いリンゴは、平等かつ同時に存在するのである。

 

 ……俺は何の話をしているんだ???

 

 大きく話が脱線してしまったが、次の結果を見よう。

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  これについては、まず「レズかノンケか」で問うべきではなかった質問だということがわかる。そもそも「わからない」が23%を占めるような難しい質問は、データとしてあまり使えない気がする。性別は現在、LGBTを例に多様に分類されている。それをぶっつりと2つに分けてしまった弊害が、その他欄にあふれていた。

 その他に集まった内容をまとめると、まず「バイ」の可能性を指摘された。また「レズではなく、好きになったのがその女の子だっただけ」という至極全うな指摘もあり、ここは反省点である。レズかノンケかで、オタクの考えが全く違うのは面白いところではあるが、選択肢に「バイ」「ノンケだが好きになったのは~」という選択肢があれば、「レズかノンケか」の2つに1つを選ばされた人たちも選択肢が増え、もっと違った結果になったとは思う。

 かと言って、そのデータを何かに利用するのも難しく、結論から言えば、この質問はナンセンスのように感じた。特に何も考えずに設置したが、もし次回も似たようなアンケートをするなら、この設問は省いても問題ないだろう。何かに使えそうだったら教えてください。

 

次は、「なぜ推しカプを推していますか」という質問だ。

 回答例としては「二人の顔がいいから」「原作にそういう描写があるから」「付き合っているようにしか見えないから」というように記載したが、実に多彩な文章が送られてきた。なかには長文による熱い推しカプへの気持ちを吐露するものもあり、思わず私も頷いてしまった。

 だが、全部を全部結果として載せるわけにはいかないので、こちらで大まかに分類をしてみた。

①「原作に準拠して」

 例えば、「SIDの関係性を見て」「いつも隣にいるから」「曲による解釈の結果」など、文章楽曲イラスト問わず、公式媒体に基づいて推しカプを決めた旨の文章はここに分類した。

②「キャラの親和性」

 これは、「キャラの色の相性」「身長が同じだから」「雰囲気が似ているから」といった、キャラの身体的特徴に基づいているものを分類した。

③「見たいから」

 文字通り、「見たいから」というものも多かった。「本篇では絡みがないからこそ見たかった」「仲が悪いから」といったものはこちらに分類した。

④「なんとなく」

 特別理由がない場合は、こちらに分類した。

 以上の判断基準を基にして、以下の結果が得られた。

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 これもまた、面白い結果だ。

 やはり半数近くが「原作に準拠して」いるのに対し、決して少なくない人数が、「キャラの親和性」や「見たいから」という理由に基づいている。

 自分のような理詰め系の人間には驚くべきことなのだが、すべて足し合わせてみると、「原作重視派」は半数に「しか」過ぎないことがわかる。

 こうなってくると、「原作重視派」の確固たる地位も怪しいのではないだろうか。自分にとっては「原作重視」というのは絶対的な基準だったのだが、半数近くが気にしていないとなると、いよいよ自分の「ふつう」が通用しなくなってくる。

 注目すべきは、「キャラの親和性」だ。原作重視派は、どちらかといえばアニメやSIDを通して、キャラの成り立ちや精神依存的な視点からカップリングを見ているが、キャラの親和性派は、あくまでキャラの色合いや雰囲気といった、「容貌」という二次元のキャラクターとは切っても切れない視点からカップリングを見ている。一見相容れない視点ではあるが、なかなか面白いのではないだろうか。

 また、「見たいから」という意見も捨てきれない。科学実験と似たような向きで、「このキャラの組み合わせで、普段とはまったく違うキャラの一面が見える」というのは、十分検討に値する理由である。

 いずれにせよ、この場ではどの視点が正しく、どれが間違っているかというような話はしない。

 いずれも違いはあくまで「視点の違い」に過ぎず、いかにキャラを見つめるかという点では一致している点には留意したい。

 

では次。

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 言えることは単純で、ラブライブ!のオタクの約3割が地雷カプを持っているという、それだけのデータである。この次に、なぜ嫌いなのかという自由記述欄も設置していたのだが、想像以上に深い闇があり、神社でのお払いが必要なのではというくらい地雷カプへの憎悪の文章にあふれてしまったので、詳細は伏せておく。

 ただ、主な内訳としては、「解釈違い」「どうしてもあの子がこの子を好きになる気がしない」というカップリング解釈の問題から、単純に「気に食わない」「なんとなくむかつく」「かつてそのジャンルのオタクと衝突した」という感情に由来するものまでさまざまだった。

 また、推しカプと地雷カプの間には、かなり密接な関係があることも分かった。公表すれば荒れることは必至となるので、不毛な争いを避けるためにこちらも伏せさせていただくが、「あなたにとっての地雷カプは、ほかの同じ推しカプの人にとっても、かなりの確率で一致する」ということ、また、あまり好きな言葉ではないが、有名税のように、「大きなカップリングは地雷カプになりやすいこと」だけは記載させていただく。

 私はこの結果を見て、オタクが分かり合える時は一生来ないと確信した。マジで。

 

 ・原作の履修状況について

それでは次の質問。コンテンツへの履修状況を問うたものである。

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 これを見て、あなたは何を思っただろうか。これからG's、スクフェス、スクスタ、SID、コミックと続くのだが、私が見て初めて感じたのは「やっぱりアニメってすごいな」ということである。

 アニメの視聴率(世間一般での「視聴率」とは違う意味だが、雰囲気で察してほしい)が100%ということをよく覚えておいてほしい。そして、それぞれのコンテンツへの接し方を見ると、かなり面白いことがわかるはずである。

 

次はG'sだ。連綿と10年近くもラブライブ!の記事を記載しているG'sだが、その購読状況は以下の通りとなった。

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 なんと3割近くが、購入したこともないという。しかも、数回程度の購入(自分はμ's分量多め回、ほのうみ該当回しか購入していなかったので、ここに当てはまる)にとどまった人間は半数であり、如何にG'sを購読しているオタクが少ないかがわかる。TLを見ていると、「G'sを読んでいる人が全然いない」と嘆くツイートが散見されるが、それも頷ける結果となった。

 いやまあ、だってお目当てのページが2Pとかなのに、1000円払うのはちょっとね……渋るよね……。

 ただ、当時と違って、現在はHistory of LoveLive!」という今までのG's記事をすべてまとめた大変ありがたい書籍が4巻まで出ている。1巻あたり1年半分のG'sのラブライブ!記事が収められており、結果300P越えという大ボリューム。μ'sの今までの歴史を遡れるほか、書籍化されていない「GODが描くμ'sの球技大会や、ミミミの成立過程」「あまりにもよすぎる室田大先生や伊能津神の描き下ろしイラスト」「GODが描く意外なμ'sのキャラ設定」などなど、耳に聞いていた情報を完全網羅した至高の一品で、ラブライブ!のオタクなら大満足できる内容になっているので、「G's設定は気になっていたけど、かさばるし高いしで、毎月買うのは嫌だったんだよね……」と思っていた人は、下にリンクを直貼りするので調べてみるといかがだろうか(早口ダイレクトマーケティング)。

なお、伊能津神が参加したり、GODの執筆内容が充実し始めるのは3とか4あたりなので、まずは後ろの方から購入することをお勧めする。流れをつかむためには、最初から買わなきゃ意味はないんですがね……。

 

 

高いけど、それ以上の価値があります。

 

 さて、露骨な宣伝を終えたところだが、話を戻そう。

 ラブライブ!のアニメ視聴率が100%だったのに対し、G'sの長期購読者は20%という割合だった。この差をどう捉えるか。

 私は、非常にでかいと考える……でかくない?

 確かに影は薄いのだが、G'sに盛り込まれたμ'sのキャラ設定やイラストは、8割のオタクが無視するにはあまりに惜しすぎるというのが素直な感想だ。ほのうみ情報掲載月しか買っていなかった自分が言うのもなんだが、これに関しては、買って実際に読んでみるまでは、良さがわからないと思う。なので、だまされたと思って読んでほしい。特にSIDが好きなGODのオタクなら絶対に損はしないので、本当に買ってほしい。頼む。

 アンケートの結果報告なのに、永遠にG'sの宣伝をしてしまいそうなので、ここらで打ち切る。

 追記だが、どうせならHistory of LoveLive!やLoveLiveDaysの購読状況も質問すればよかったと後悔した。ここでも大きな差が出そうだ。

 

 さて、続いてはスクフェス、スクスタの利用状況だ。グラフタイトルがつぶれているが、それぞれのストーリーの読了状況を示している。 

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 メインストーリーをこつこつ読んでいる人間からすれば、「え~っ!」となる結果ではないだろうか。なんとスクフェス、スクスタのメインストーリーは、半分の人間しか読んでいないのである。逆に、読んでいない側の人からすれば、「げ~!半分もあの長ったらしいストーリーを読んでいるのか!」という驚きを抱くかもしれないし、「自分の仲間が半分もいる」と安堵の息をつくかもしれない。

 ただ、面白いのはスクスタ、スクフェスの両方に共通する傾向だ。メインストーリーの読了率はほぼ56%、イベントストーリーの読了率はほぼ36%と、面白いほど結果が似ている。答えている人間が同じなので、結果が似るのは当たり前だと言われればそれまでだが、ゲームが違っても人の利用状況は変わらないという点は新しい発見だ。

 要するに、メインにしろイベントにしろ、ストーリーを読む人間は読むし、読まない人間は読まないのである。

 ただ、特筆すべきはスクスタの「毎日劇場」の存在である。ラベルがつぶれているが、メインストーリーよりもやや高い56%の人が、毎日劇場を読んでいる。

 回答結果としては、毎日劇場のみを見ているオタクより、メインストーリーと毎日劇場、イベントストーリーと毎日劇場というように、非常に多様な読まれ方をしていた。分量も少ないため、もっと読まれているかと思ったのだが、「プレイしているがストーリーは読まない」13人、「そもそもスクスタをやっていない」21人でほぼ3割が消えることを考えると、メインストーリーや毎日劇場のおよそ6割という数字は、プレイしている人のほとんどが読んでいるというようにも考えられる。

 そう考えると、分量の少なさと手軽に文脈を気にせず読める独立性、更新頻度からも、メインストーリーとほぼ同じ立ち位置を獲得した毎日劇場は、やはりすごいという結論になる。

 それにしても、ラブライブ!のオタクの約半分しかスクスタのメインストーリーを読んでいないという事実はやはり悲しい。今後読む人を増やすには、プレイしているけど読んでいない人を読む気にさせるか、そもそもスクスタをやっていない人間を取り込むかの2つに1つだが、サービス開始7周年を迎えるスクフェスでも1割がプレイしていないことを考えると、未プレイ勢を取り込むことの難しさを実感する。

 そう考えると、ログインだけ勢をいかにメインストーリーに誘導するかという話になり、私が開発者なら、ストーリーの合間に2回も挟まる、ストレスフルなライブを撤回しようと思うのだが、よくよく考えると、読むまでの障害がほとんどない毎日劇場でさえこの割合にとどまっているのだから、ストレスの問題ではないのかもしれない。

 なかなか判断が難しい……。

 本当ならここで「スクスタのメインストーリーを読んでくれ……」と宣伝したいところなのだが、スクスタのメインストーリーのアマゾンのリンクはないし、ストーリーを読むことがストレスなことも分かるので、自分にできることは「スクスタのメインストーリーを読んでくれ……」ということしかできない。 

 メインストーリーを読んでくれ……三船栞子がデレて上原歩夢とあなたが17年の歳月を超えてついに衝突する、いま最高に熱いスクスタのメインストーリーを読んでくれ……。ストーリー読むためのライブがだるいのはわかるけど……。

 初見でもオートモードでクリアできるようにはなったので、前よりかは楽に読めるようになったはずである。多分。

 

 次はSIDの購読状況である。こちらもコミックと合わせて見てみよう。

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「あれっ!?漫画版ってSID原作とそこまで購入状況変わらないんだ!?」というのが率直な感想である。というより、漫画の方が読まれている割合が全体的に低くすらある。漫画なのに!(鴇田版の漫画は5割近く購入されているが、結局まだ続いているのかいつ終わるのか不透明すぎて考察が難しい……)

 ここで、SIDの結果を解析していると、SID格差が存在することが明らかになった。どういうことかというと、SIDはオタクの5割がまんべんなく購入しているわけではないのだ。ほぼ全部を購入している猛者が3割、かなり飛んで、3~6冊購入している層が4割、何も読んでいない層が3割といった感じである。コミックの方も、SIDほどひどくはないが、かなり似たような分布をしている。これを示しているのが海未SIDの購読率の高さで、アンケートを見る中で、「推しカプのSIDだけを読んでいる層」というのはそれなりにいた。今回のアンケートのカップリングの偏り(ほのうみ、うみえり、ことうみ)の人気の高さを考えると、海未SIDがよく読まれている理由がわかる。

 また、SIDコンプ層のなかにも、直近で出版されたりんぱな、ことほのSIDだけは持っていないという人をちらほら見かけた。おそらく長く待ち続けた間に、手に入れるタイミングを逃したのだと思う。

 気になるのは、SIDとコミックに共通する3割近くの「まったく読んでいない」層だ。SIDを全く読んでいない人間が、3割程度で収まったのは驚きだが、全体的にみると半分が読んでいないという事実は変わらない。

 個人的には、ここまでSIDが避けられている理由は「文章だから」だと思っており、それを漫画化したことで欠点は補えたのだと思っていたのだが、この結果はどう見ればよいだろうか。

 極端だが、理想は「SIDを全く読んでいない」3割の層が、それぞれコミカライズされた漫画を読んでいる3割に当たれば、オタクはそれぞれ小説、漫画と自分の好きな媒体でSIDの設定を拾えることになり、理想の商品提供ができているといえる。

 では、実際にそうなっているかを調べるために、数値化してみた。

 数値化の基準はこうである。

SID

3点:10冊以上購入している人(3割該当)

2点:3~10冊まで購入している人(4割該当)

1点:2冊以下購入している人(3割該当)

コミカライズ

3点:6冊以上購入している人(3割該当)

2点:6~3冊まで購入している人(4割該当)

1点:2冊以下購入している人(3割該当)

 ここで、(コミカライズの点数)ー(SIDの点数)を計算する。

 もしも計算結果が正になれば、「SIDは読んでいないが、コミカライズは読んでいる」ということが言え、負になれば反対が言える。

 結果は以下のようになった。

 

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 綺麗な分布となったが、6割近くが0、つまり「SIDとコミカライズに対する態度が変わらない」ことを意味する。残りの4割が相補的な関係、つまりSIDは苦手だが漫画は読める、漫画は読めるがSIDは読めないというように均等に分かれている。

 理想としては、もっと0にあたる人が少なければよいと思うのだが、この結果から「SIDとコミカライズは相補的な関係にある」と言えるような気もする。微妙だが……。

 また、体感的には、0の値をとった人の半数近くは3同士と1同士だった。つまり、「SIDも漫画も大量購入勢」と「どっちも全く買っていない勢」である。ここでも、スクフェスとスクスタのように、「読む人は読むし、読まない人は読まない」という現象が起こっている。

  読まない人に「読め」と言っても仕方ないことは、誰しも原作中の推しカプに交際を見出してしまう現象からもわかるだろう。それでもこれだけは言わせてほしい。

  SIDもコミックスも読んでくれ……!最高だから……!数があまりに多すぎてすべてのアマゾンの直リンクは貼れないけれど……漫画の中でも、特に購入率の低いやつだけは貼っておきますね……マジでお願いします……!しょうじ先生のは肉感すごくてSIDから漂う百合の気配を強めているし、たかみ先生は絵柄がマジでめっちゃかわいいから!癒しの百合です!!!

 どうぞお願いします……(広告を置く音)。

 

 

 

 

 さて、以上で情報媒体についてのアンケートは終わりだが、ここで改めて確認し直そう。

 まず、アニメの視聴率はほぼ100%。次にG'sの購読率は20%、スクフェスとスクスタのメインストーリー読了率は56%、SIDの全体購入率は4.5割、コミックスの全体購入率は4割(鴇田版オリジナルストーリーのものは53%)という結果となった。

 以上をコンテンツの接しやすさ(利用率)順に並べると、

 アニメ >>> 超えられない壁 >>> スクフェス・スクスタ > SID > 漫画 

 ということになる。個人的には、漫画がこのような位置に落ち着くのが納得いかないが、未完の鴇田版漫画が、53%もの層に手に取ってもらえていることを考えると、やはり情報媒体としては優れており、SIDコミックスがそれに比べて低いのは、単にSIDを持っているから買わなくてもいいかという発想が行き渡っている可能性がある。「SIDを持っているのに、漫画を買わなくてはいけないのか」「そもそもどっちかを買わなくてはいけないのか」というのは完全に個人の自由に該当するので、こちらとしては「できれば読んでほしい」と言うに留めておく。

 それはともかく、アニメの影響力の高さが明らかになった結果でもある。ラブライブ!のオタクという、非常に限られたアンケート回答者を集めたなかでも、「全国的に」「無料で(アプリ内課金要素はあります)」「いつでも好きなタイミングで」始めることができるスクフェス・スクスタのメインストーリーが、ほぼ6割のオタクにしか読まれていないということを考えると、同じく「(電波を通して)全国的に」「無料で」「(配信サービスを利用すれば)いつでも好きなタイミングで」見れるアニメの広報力はずば抜けており、多くのオタクが広く共有しているストーリーがアニメ媒体のものになるのも頷けるかたちとなった。

 

・アンケートの回答層(絵師か文字書きか読み専か)

 では最後に、今回のアンケートはどのような層に回答してもらったかという点についてお話ししたい。簡単にどのような二次創作をしているか、あるいはしていないのかを聞いた設問である。この設問の意図は、「サークルと参加者」という壁を意識したわけではなく、普段からどのような割合の人々が、絵・文章・写真などの媒体で、他人と情報を共有、あるいは共感しているかという点を見たかったからである。

 これには、「文章を書き、文章をよく読む人は、SIDの購入率が高いのではないか」「イラストをよく見る人は、SIDにも手が出しにくいのではないか」といった個人的な仮説が下敷きにある。

 

 ではその結果だが、出力媒体と入力媒体の2つを同時に公開する。タイトルがつぶれてしまっているが、上が出力(何を自分でかいているか)で、下が入力(なにを読んでいるか、見ているか)である。上から3番目は「小説」5番目は「音楽活動」である。

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 結果としては、出力側としては、約4割近くがイラストか絵をかいていることになった。この割合の多さには驚きだが、イラストと小説が同じような割合になっていることも驚きである(少し思うのは、自分は同人側かつ文字書き側の人間なので、回答者に文字書きが多かった可能性がある。バイアスがかかっていることは明らかなので、そこが要因かもしれない)

 また、小説やイラストの次はssと漫画が2割、同じ割合で読み専がいて、次に多いのがコスプレ・裁縫という形になった。あと言及しなくてはいけないのは、想像以上に文字書きと絵描きを両立させている人が多かったことくらいだろうか。

 それはともかく、結局同人活動をしていない約3割を除けば、7割が何らかの同人活動をしていることになる。

 7割!

 この同人活動率はどのようなものだろうか。

 ジャンルもまぜこぜで非常にでかい数となってしまうが、コミケを例に考えると、コミケ96での参加状況は以下のとおりである。

 

会期2019年8月9日(金)~12日(月)
サークル数

参加サークル数  3万2千


入場者数

 9日(金)  16万人
10日(土)  17万人
11日(日)  20万人
12日(月)  20万人

 

(引用:WEBサイト「コミックマーケット96アフターレポート」)

https://www.comiket.co.jp/info-a/C96/C96AfterReport.html

 

 単純にサークル数を全日程の参加者数で割ってみると、その割合は4.4%となる……が、流石に今回の値とは乖離しすぎている。やはりアンケートで「同人活動問わず」というようにしたのが大きかったのだろうか。また、コミケよりも僕ラブなどの方が、ジャンルとしても当選率としても、母集団のデータとしてはふさわしいように思うが、あちらの方は参加者数を公開していない(していたら教えてください)ようなので、検討できなかった。

 いずれにせよ、少なくともコミケでは5%近くの同人率なわけだが、少なくとも今回のアンケートでは、オタクの7割がなんらかの二次創作をしていることが明らかになった。「サークル参加は選ばれし者!」というイメージが強い同人界だが、少なくともラブライブ!においては、そのイメージを崩す必要がありそうだ。創作活動について特別何も言わないあなたの友達も、あなたに黙って裏で創作活動をしているかもしれない……。

 さて、出力側同様、入力側も非常に面白い結果が出た。こちらでは、やはりイラスト・漫画は95%近くがチェックされている反面、小説やssは、5~6割に留まっている。

 この5~6割というのは、スクフェスやスクスタのメインストーリーの読了率と非常に似た値だ。ストーリーというからには文字で構成されており、小説もssも文字で構成されることから、ここに何らかの相関がある可能性がある。

 

・原作履修率と同人作品媒体との相関について

 というわけで、いよいよ今回のアンケート調査も大詰め。ずいぶん長文になってしまったが、最後は「各種メディアへの履修率」と「普段インプットしている媒体」にどのような相関があるのか、というものを見て終わりにしたいと思う。

 本当は「メディア履修率」と「推しカプ」についても調べてみたかったのだが、何度も言うようにこのアンケート結果はかなりほのうみに染まっているので、自分でも解析する価値がなさそうだと考えている。もし調べたい人がいれば新たにアンケートを立ち上げて、検討してみてほしい。

 

さて、各種メディアへの履修率は、以下のように得点化した。この基準の決め方だが、大体上位3割を目安に割り振っている。また、アニメに関しては、ほぼ全員が視聴しているため、指標としては除外している。

点数 G's スクフェス スクスタ SID コミックス
5 長期購読 3つ該当 4つ以上該当 ほぼ全部(10≧) ほぼ全部(6≧)
3 たまに買う 1,2つ 1~3つ あまり(3~9) あまり(3~5)
1 買わない 読んでいない 読んでいない 読んでいない(>3) 読んでいない(>3)

 

 これらの点数の合計に4をかけて、最高点100、最低点20にしてみると、以下のようなグラフが得られた。これは全員を対象にしたグラフなので、今後はこれを基準にしたいと思う。

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 回答者の分類方法だが、 案外小説とssの読者層が異なっていることもあり、「イラスト(漫画)のみを見る」「イラスト+小説」「イラスト+ss」「イラスト+小説+ss」の4つに分類することにした。それぞれの度数は以下のとおりである。

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 イラスト・小説・ssのすべてを読む回答者が半数を占めたが、他3つについてはどれも似たような数字となった。

 この分類ごとに「原作履修率」を割り当てていったのが、以下のグラフである。

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 「う~ん……」というデータだ。度数の分布のかたち的には、すべて閲覧している層が、もっとも母集団に近いが、これはおそらくサンプル数の多さによるものだろう。

 以下3つのグラフを見ると、サンプル数が少ないためか、ややばらつきが見える。イラスト+小説の層やイラスト+ssの層は、何か言いたいが何も言えないような微妙な分布をしている。

 一番顕著なのは、イラストのみ閲覧している層で、ピークがやや後ろにずれているように見える。これに関しては、「サンプル数の少なさによるものだ」とは言いにくい傾向がある(気がする)。

 さて、これだけで決めつけるのは危険だが、「普段から同人作品でも文字(小説・ss)に接していない層は、原作履修率がやや減少する傾向がある」とは言えるのではないだろうか(原作を履修していないのが絶対悪ということではないので注意。履修してほしいとは思うが、あくまでお節介の域である)。

 この推論は至極当然のことで、自分の実生活の周りにもいるのだが、文字を読むのがストレスという人間はかなり存在している。普段からあまり文字に触れていないと、SIDといった文字媒体はもちろん、漫画やソシャゲのストーリーを読むことへの抵抗感もあるはずで、そういう層にむけて「アニメ」という文字を極力排除した視覚的な媒体が、非常に効果を発揮するのだ。これに関しては、アニメだけが視聴率100%という揺るがぬ事実によって言えるはずである。

 

 さて、最後に、「同人活動の方向性」と「原作履修率」を比較してみよう。今回のアンケートの回答層の内訳は以下のようになっている。この際、文字・イラスト以外の活動をしている方も、分類上読み専とさせていただいたが、この分類はあくまで「イラスト」と「文字」という出力媒体としての特性に目をつけているだけなので、悪しからず。そういうわけで、「絵師兼文字書き」も、「イラスト+ss」「漫画+小説」「イラスト+漫画+ss+小説」といった多様な方向性をひとつに無理やりまとめている点に注意。

 結果としては、かなりうまい具合に分類できた。この場合、サンプル数による偏りはなさそうである。

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改めて、母集団の度数分布を貼っておく。この図と比較して、それぞれに相関があるかを見ていこう。

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さて、以下がそれぞれの原作履修率である。

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 いかがだろうか。私としては、かなり面白い結果が出ているように思う。

 注目すべきは、まず「絵師兼文字書き」と「読み専」だろう。この2つは、ピークが真ん中に来ている時点で、母集団の分布と非常に似ている。

 次に、なんといっても「絵師」と「文字書き」のピークの位置である。明らかに、文字書きの方が原作履修率が高く、絵師の方が原作履修率が低い傾向にある。

 さて、上のように書くと、絵師disにつながる気がして慄然たる思いだが、何度も繰り返すが、原作履修率は高ければ高いほどいいというわけではない(炎上回避のため言わないと気が済まない)。書き方が悪いのかもしれず、この際「文章への抵抗性」などと読み替えてもらっても構わない。

 つまるところ、自分の主張としては、「文字を媒体にして二次創作を行う人間は、原作履修率が高い(文字への抵抗が薄い)」という、当然と言えば当然の結果である。その逆も、絵師のグラフを見れば言えるわけであって、「絵師兼文字書き」に対しては、両者の傾向が混じっているから母集団に近づくのだと推測する。

 さらに、「読み専」については、既述の「同人作品閲覧媒体」のグラフを見れば、全体としては母集団に近いが、「イラストのみ閲覧」勢の原作履修率が低い傾向にあることを考えると、ますますこの結果への信頼性は高まる。

 

〇結論

 いやはや、本当に長文お疲れさまでした。現時点で18000字(!)もあります。普段文字に接していない人は、この文章を読めたのだろうか……。ここまで読み飛ばした方のためにも、今回の結果を簡単にまとめる。

 まず大前提に、

「今回のアンケートは母集団からのランダム抽出ができていないため、『許容誤差10%、信頼度95%』の信頼性があるサンプル数ではあるものの、データ全体としてはあくまで参考程度にしかならない」

 がある。忘れてはいないだろうか。これらのデータは、あくまで参考程度にしていただきたい。これを根拠に、絵師に「イラスト書く前に文章読めや!」とクソリプ攻撃することのないように。した場合は、あなた自身が、今流行りの誹謗中傷訴訟の餌食になる可能性があります。

 それに、結果のグラフを見ればわかるように、履修率100%近くの絵師も複数名いるし、履修率20%近い文字書きも複数いるのだ。あくまで傾向があると言えるだけに過ぎない。これらのデータは、相手を非難しうるだけの信頼性を持っていません。悪しからず。

 上記を踏まえたうえで、今回の結果を記す。

 

・オタクは推しカプに、そこまでゆりえっちを求めていない。

 

・あらゆる推しカプは原作の中に「すでに」同時に存在しており、他人がとやかく言うことはできない(認知ではなく、視覚的な問題である)。

 

・推しカプを推す理由で一番多いのは「原作準拠」だが、あくまで半数に過ぎず、次点で「キャラ同士の親和性」「その組み合わせを見たいから」が並んでいる。

 

・地雷カプがあるオタクは3割。どの地雷カプも、かなりの怨恨が込められている。

 

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・原作への履修状況は、

アニメ >>> 超えられない壁 >>> スクフェス・スクスタ > SID > 漫画 

 というようになっている。

 

・文字に接する機会が多い人ほど、原作履修率が高い傾向にある。

 

 

〇最後に

 普段の自分の文章はかなり思想と棘が強いのだが、今回の文章はできる限り他人を傷つけないようにめちゃめちゃ気をつけた。マジで。もしまだ配慮に足りない部分があれば、ご指摘いただけるとありがたい。

 結果に関しては、単純に推しカプや地雷カプ、カップリングに対する解釈など、自分にとっての「ふつう」とみんなの「ふつう」を、照らし合わせて楽しんでくれればありがたい。また、個人的な関心があった「創作媒体と原作履修率」に相関があったことを知ることができ、かなり満足した。さらにカップリングにも絡めることができればよかったのだが、これは課題とさせていただく。

 アンケートを作成したり、結果を解析したりこの記事を書くまでに数十時間は軽く使ったが、それなりの記事は書けたと思う。なんちゃって考察だったが、専門の人が行うアンケート解析なども見たいので、これを読んでいる人のなかで、そういう人がいたらぜひともお願いしたい……。

 長文でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。ご意見・感想・ご要望などありましたら、Twitter (@negishiso)の固定ツイートに設置しているマシュマロまでお願いします。リプでも大丈夫です。