新薬史観

地雷カプお断り

視聴映画記録(2020.06/05~06/18)

今まで映画は映画、ドラマはドラマで計算していたのだが、よくよく考えると分ける意味もなければ数字が極端に下がるしモチベも下がってしまうので、すべてまとめた視聴記録にすることにした。今更すぎる。

あと、最近ずっとゲームとか小説とかばっかりで全然映画見れなかった。反省。

 

6月5日 ドラマ76 ブラックミラー シーズン1「国歌」(2011)

ネトフリでかねてから話題だったSFドラマ「ブラックミラー」、なんとなく気が向いたので視聴開始。初っ端から、英国首相がテロリストから豚とセックスすることを強要されるという展開。自己投影するとかなりきつかったが、自分も「安倍総理よ、豚とセックスしないと皇族を殺すぞ」というメッセージが流れたら絶対に面白がって見てしまうもんな。国民の熱狂もわかる。あまりSFみを感じない作品だったが、これらの悲劇はSNSを中心に繰り広げられるということを考えると、犯人は国民全員とも言えるという、今のSNSの治安を考えると全員必修ドラマでしたね。まあSNSで暴れている人はこれを見てもそういう感想を抱かなそうでアレなんですけれど。ただただ首相が可哀想な映画でした。てかもっと街中で監視カメラつけろや。田舎ならともかく……。

 

6月5日 ドラマ77 同上「1500万メリット」(2011)

自転車の番号が個人識別番号になるのは面白かった。デブがいじめられる世界線は、デブからすればかなりつらい。有名な「Got Talent」のオマージュに笑ったが、話の展開としてはクソつまらないので、審査員を殺して外の世界に出るくらいしてほしかった。主人公のビングは、「本物」を求めていたし、それくらいの意思でオーディションに出てたはずなんやが。必死の訴えを流して丸め込もうとする審査員を見て、「よし、俺もスターになるぞ!」とはならないだろ。なぜこの終わり方にしたのか、かなり不満。

 

6月5日 ドラマ78 同上「人生の軌跡のすべて」(2011)

かなり設定が面白かったけど、主人公がマジでキモすぎるし登場人物もほとんどがクソなのでただただストレスなんだよな。でも設定が面白いんだよ。イーガンとかにめっちゃくちゃありそうな話。記憶というより、視界をすべて完璧に記録できるようになると、やっぱり記憶よりも信頼できるようになるし、だから入国審査や就活とかでも審査対象になるっていうロジックはかなり興味深かった。登場人物は総じてクソだが、ストーリーはしっかり設定のもとに成り立っていて、面白い。だいたいこういうドラマで主人公が悪者みたいになるときは、主人公の直感が正しいんだよね。展開は読めたが、それにしてもまぁ、よくこんな話かけるよなという感じ。途中の昼ドラは「はいはい」という感じだが、終わりにかけてのカタルシスは非常に良かった。

 

6月5日 ドラマ79 ブラックミラー シーズン2「ずっと側にいて」(2013)

面白いね~~。もし死人と話せたらというのをとことん科学的に突き詰めた上で生み出される映画。ケン・リュウが書きそう。自分が作っておきながら、「おまえは本物じゃない!」と叫ぶマーサさんにはしんどくなってしまった。なんでどいつもこいつもこんな自分勝手なんですか?映画は俺をイライラさせるのをやめろ。それか俺の沸点が低いだけなのか?助けてくれ。

とにかく、仮に死人と生活できればという設定のもとで生み出される話としては、ほぼやりたいことやってくれているよねという感じ。それについては文句ないのだが、終わりの天井裏にアッシュ偽物を住まわせておいて、最後にマーサも上ろうとする、その展開がマジで気に食わんかった。どう考えても、あれだけの衝突があって、なおかつアッシュ偽物を天井裏に押しやって共同生活をしている状況で、ふたりが交わるわけがない。マーサからすれば「アッシュは偽物だけれど偽物じゃない」という曖昧な態度ゆえに、未だに壊さずに家に置いているのだとは思うが、その「共同生活をしている」という状態自体が「曖昧な態度」なわけで、天井という境界は超えちゃいけないだろうと思う。そこを超えるとアッシュ偽物を許すことになり、天井裏にわざわざ住まわせている意味が崩れてしまうんじゃないだろうか。あの天井は超えちゃダメだろ。マジでそのまま声に出してしまったわ。面白かっただけに残念です。

 

6月6日 映画80「今夜、ロマンス劇場で」(2018)

想像以上に良かった。綾瀬はるかがただただかわいいので、びっくりしてしまった。なんだあの服装、良すぎるだろ。ただ、序盤の綾瀬はるかの行動がこれまた俺をイライラさせるので無理になってしまった。触られることを極端に嫌がるのは伏線だったとしても、あそこまで「痛そうに」(ここが重要。割とやばくなかった?)殴るのはやりすぎだし、せっかく作った書き割りをむちゃくちゃにされるのも、「賢治さんに会いたくて出てきた」という美雪の根源から大きな乖離をした行動だと思う。もっと賢治の気を引きながらも、高慢や自由奔放らしさを演出する事件は作れたはずだろ。たとえば「既にできあがった書き割りではなく、まだ手つかず、あるいは途中のものをよかれと思って完成させようとしたけれど、賢治に怒られて逆に殴る」とか。賢治のためを思ってというより、いたずらが先に出てきたり反省の色がなかったりするのは、うーんという感じ。もやる。まぁ後々の展開考えると成長もわかりやすいし、映画のなかのお姫様のこともあるから仕方ないんだが。

まあでも、最後に至るまで距離の詰め方や演出はすっごいよかったので、序盤さえ乗り越えることができたら、後はどんどん飲み込まれました。特に、天音さんから美雪の言葉を聞きながらも、美雪が賢治に直接話しているように見える演出は抜群によかった。感心した。映画から美雪が飛び出すという設定を、構成のうえでも「物語の美雪から現実の孫へ」再現しているところにもかなり面白みを感じた。ただ、最後の最後、賢治が入り込んだ世界がわからんくて困った。みんないるし、あれは死後の世界でええんか?それとも映画の世界なのだろうか。とにかく、モノクロからカラフルになる演出もうまく効いていたので良かったです。

ひとつだけ気になったのは、まだ若い賢治と美雪が海岸を歩くところ。あそこの手前におじいちゃんとおばあちゃんがいるんだけれど、わざわざ老夫婦を出すなら、その後のおじいちゃん賢治と若い美雪さんのシーンで出せよと思った。その方が、端から見たら「おじいちゃんと孫」だけれど、本当は「老夫婦」というイメージにつながるから絶対にそっちの方が演出効果があると思うんだけれど。どうですか?

あ、あと賢治が星野源なのか坂口健太郎なのかややこしすぎた。これは難癖に間違いないが、Twitterで検索すると「星野源かと思った」とかなり書かれていて笑ってしまった。坂口健太郎に失礼すぎるだろ。

 

6月6日 映画81「草原の実験」(2014)

アレクサンドル・コット監督。なんじゃこれという傑作。映像美のオンパレード。音声としての声も文字も極力省いているから当然といえば当然だが、その分映像で伝える力が必要になる。この映画は映像として最低限のストーリーを伝えるだけでなく、強烈に観客のイマジネーションを働かせてくれる。間の取り方がすごくいいから、大草原のなかで時間を持て余している感じもするし、初っ端から緻密なストーリーを投げ捨てていることがわかるのでありがたい。カーテン、布、ロープの使い方がすごく良くて、単に映像の添え物としてではなく、(あるだけで画がめっちゃ綺麗になる場面もあるが)、境界線になったり、娘の決意を表すための障壁になったりするし、これ、塩田明彦で学んだやつだ!ってなった。

あと、映像美で言うと父親の死期の迎え方があまりにも美しくてびっくりする。BGMから環境音、それから無音に切り替わり、太陽が昇ると同時に頭を下げていくって、どういう発想したらこんな映像美が作れるんだ。ナン?と一緒に埋葬するやり方といい、死に方といい、民族としての宗教があることも示してくれるし、あくまで「小さな世界」の物語だと強調されている。音声が極力排除されているから、男二人の争いも、普通の映画で言うと手に汗握るハイライト的な立ち位置から、映像に飲まれて食い入る、緊張感のあるものになっている。言葉が一切なしにそれぞれの決意が描かれるのもすごすぎるし、月夜に金髪の男が放浪する画もすごく良くて、月と同じ大きさの人影という構図は「それ……反則」って少女漫画のイケメンみたいな感想が出てしまった。

最後まで物語は、大草原のなかだからこそ人々の生活は限りなく小さいことを教えてくれるし、そんなささやかな世界の愛と幸せが、最後の最後に人の手によって破壊されてしまう衝撃はとてつもなく強い。今まで「美」を作り出していたものたちが、人も道具も関係なく、儚く有機的なものだった。あまりに良すぎる映画だ……傑作。

 

6月6日 映画82「第三の男」(1949)

キャロル・リード監督作品。超有名なBGMでびびった。この映画だったのか。

非常に面白かった。ミステリーとしては今や当たり前?のような設定だけれど、見ている間には全くわからなかった。ギャグもいちいち面白いし、とにかくオーソンウェルズの顔が良すぎる。かなり好きかもしれん。

 

6月6日 映画83「ロゴパグ」(1963)

オムニバスコメディ映画。監督の名前からそれぞれ一文字ずつ取ったとかいうオタクアニメみたいな作品ネーミングセンスに笑ってしまった。ゆるゆりみたいなかわいい名前なのに、初手からキモいのでひどすぎる。

1話目「潔白」ロバルト・ロッセリーニ監督作品。

ガチでキモいおっさんのストーカー映画で笑ってしまった。恋愛本に真面目に従っていたり、自分の理想像から離れるとムキー!となってしまうあたり、どうしようもないキモさを備えており、完全にこどおじで笑ってしまう。キモいおっさんを見たい時には絶対にこの作品にしたい。個人的にかなり好き。

2話目「新世界」ジャン=リュック・ゴダール監督作品。

正直、よくわからん映画だった。なんだったんだろう、俺には解釈不可能。難解なわけではなく、内容がなかったような……わからん。

3話目「リコッタ」ピエル・パオロ・パゾリーニ監督作品。

 キリストを題材にしている短編。頭が悪いので、何がしたいのかあんまりわからんかった。大好きなオーソンウェルズが出ていて興奮したくらい。途中、大切な飯をめちゃくちゃ食べる犬が最高にうざくて笑ってしまった。最後はめちゃくちゃおいしそうに物を食べて良かったねと思ったら食べ過ぎで死んでしまったので泣いた。悲しい。

4話目「にわとり」ウーゴ・グレゴレッティ監督作品。

資本主義について扱っていたのかな。まあ資本主義はクソなので逃れた方がいいです。

 

↓ここから日付がわからない。

映画84「奇跡の丘」(1964)

聖書をモチーフにしたパゾリーニの傑作らしい。パゾリーニ自身は無宗教だけれどこの映画をつくったということで、何かキリスト教に感じるものがあったのだろうか。見た感じ布教映画のような形をしているが、ただ単にキリストの一生を描いているようでもある。あまり聖書に詳しくないのだが、実際にどんなことをしたのかを映像で知れたのは良かった。芸術的にどうとか、そういうのはわからん。イエス様の顔がどアップでひたすら豪奢はクソで質素こそ正しい旨を伝えてくるところはハハァとなりながら見ていた。教義の性質上、人は神様に作られた子供だからか、他の生物に比べてめちゃめちゃ優位性を説いてくるのも面白かった。なんか映画よりもキリスト教の話になっているな。ただ奇跡を目の前にした人々の行動は面白くて、結構楽しんで見れた。全体を通して、キリストの人の面で切り取っている部分が多くあったんだけれど(やたらと母親が心配して出てくる)、これによってキリストが変なことを言い出した一般人的な性質を帯びたのもなんとも言えない味わいだった。結局最後に復活するからいいんだけれど、まあ人は騙すし嘘をつくし醜い部分もあるよねってことで良いんでしょうか。

 

映画85「裸のランチ」(1991)

どちゃくそに大好きな作品だった。バロウスの原作をクローネンバーグが再構成したものらしいが、この映画のクリーチャー(ゴキブリ)の造形が天才すぎて完全に惚れてしまった。キモすぎる。原作はストーリーなんてないらしいが、この映画にはちゃんと?ストーリーがあって、でも全体的に狂気に満ちているからずっと笑っていた。文豪はゲイでなくてはいけない、ゴキブリの駆除剤でガン決まり、タイプライター同士のバトルと、マジで最高な設定が多すぎてほんまに好き。強固すぎるひとつの世界に脳までむしばまれる。大好き映画に決定だなこれは。

 

 

以上。今後はまた記録をつけれるように頑張ります。