最近、一次創作の百合作品のプロットを詰めているのだが、なんだかよく分からないことになってきた。こういう時は大抵頭でっかちになっており、「自分が考える百合」を突き進むことになってしまう。自分は自分をまったく信頼しておらず、常に他者の考えの逆を行くような人間なので、「自分が考える百合」は、おそらく「一般大衆には受けない百合」なのだ。そうであることを肌で感じ取っている。
なので、改めて「他人が思う百合」とは何かと考えたくなった。ツイッターで募集をしてみると、2人から返事を頂いた。それについての簡単な返事。
①遠山えま「ひゃくえん」全6巻
百合作品ではない、という断りがあっての紹介。友情と恋愛の狭間の感情を扱っているらしく、興味を引かれたので全巻メルカリで買いました。新品ではなくてすみません。金がないので……。
②矢部嵩「[少女庭国]」
読了済。この前早川の百合SFとして出されていて、SF要素に惹かれて購入した。思考実験系のSFで、自分が読んだなかでは、石川宗生の「吉田同名」「バス停夜想曲、あるいはロッタリー999」や岡崎弘明「ぎゅうぎゅう」などが近い気がする。これらに共通するのは、まず突飛な設定を用意して、「はい、では皆さんご自由に動いてみてください」をやってしまうところ。
[少女庭国]のすごいところは、それを女子高生のみでやってしまったところにあり、まるで映画「CUBE」のように、延々と連続している箱庭のなかで、女子高生たちはどのように生きていくのかを、かなりきっちりと描いているところにある。
なので、自分としてはこれをSFとして読んでおり、それはそれで非常に面白いなと思っていたのだが、「百合作品」として勧められたことを考えると、なるほど確かにそうだったかもと思い直す。
びっくりするくらい多様な女子高生が出てくるので、ここで描かれる交友関係も、また驚くほど多様なものになる。確か、殺したり愛し合ったり、食べたり奴隷にしたりと様々な関係が結ばれるのだが、これでもかというくらいに重ねられる関係の果てに作り上げられるひとつの[庭国]に、今でも強烈なイメージが頭のなかに残っている。
自分としてはSFみが強いが、改めて百合として序盤の関係を漁ってみるのもアリかなと考え直しました。助かります。
③ミランダ・ジュライ「最初の悪い男」
初耳でした。メルカリで購入しました。
④雨がっぱ少女群「麻衣の虫ぐらし」
読了済み。別冊電子版も読んでいます。
この漫画について、あまりに良すぎて記事にしていたと思っていたのだが、書いていなかったので明日あたり書こうと思います。すごくいいですよね、これ。簡単にいってしまえば、働き者の農家レズビアンとぐーたら無職のノンケ女とのおねロリの漫画なのですが、それ以上に画力が高いし、虫と農業への知識が半端ないし、読み物として面白い。自分もお気に入りの作品です。
⑤博「明日ちゃんのセーラー服」
知りませんでした。メルカリとアマゾンの合わせ技で購入しました。5と6巻はちゃんと新品のを買いました。
アニメしか見たことがないんですよね。ふわりPのOP「せーのっ!」がやたらと高評価な印象ですが、アニメ自体は、実際ギャグの文脈がかなりハイレベルなもので、完全にあの作品を理解しているかと言われると怪しいし、多分していない。
漫画だとまた違った印象になるのだろうか。確かに百合要素もあったのだが、自分としては「難解」というイメージが強かった。ゆゆ式の百合について考えてみたい。
⑦志村貴子作品
アニメ「放浪息子」しか知らないんですよ。いつかは追いたいと思いながらも、どこから手をつけるべきか悩んでいたらこんな事になってしまいました。
漫画を買おうかとおもいましたが、ここまでに大量の漫画を購入していることもあり、一度実家に帰って落ち着いてからまた購入します。
視聴済み。感想は以前書いたことがあるので、当時の自分を信じて、そのまま持ってきました。
岩井俊二監督作品。実写のイメージが強かったが、アニメ作品も手がけていて意外だった。ロトスコープを用いており、非常に興味深い作品。背景との親和性もいいし、実写ではやや臭くなる台詞や振る舞いも、アニメーションにすることで緩和されて良い。あと、躍動感のある動きがとにかく素晴らしくて、リアリティが詰め込まれていて最高だった。気になったのは、ユダパパを尾行しようとビルに入ったあたりで、それまでハチャメチャに面白かったのに、なんというかアリスがポンコツ過ぎて見ていてイライラしてしまった。オタクなので自分に甘く、他人に厳しい。
あと、自分は礼儀正しくない舐めた女子中学生が地雷なので、アリスがおじいさんに不遜な態度を取ったり、他人をトラブルに巻き込んでおいて雑な後処理しかしない点も気に障った。自分で書いていて自分の心の狭さにびっくりしている。つらくなってきた。
個人的に百合かどうかと言われると、百合じゃないような気がする。これは友情ですかね。なんとなくそんな気がする。
いま読み返すと、百合について全然触れていなくて笑ってしまったのだが、いま内容を思い返しても、個人的には百合ではないような気がする。が、最近自分のなかでできあがりつつある「社会的に弱くあることを求められている人たちが、刃向かうための絆(が百合である)」という概念を持って考えてみると、百合に該当するような気もする。当時は、多分神聖みに欠ける気がしていたのと、ちょっと切実さが足りないんじゃないのとか思っていたのだと思うが、なんか百合な気がしてきたな。わからなくなってきた。
⑨岩井俊二「リップヴァンウィンクルの花嫁」
見てないです。確かこの前誰かにも勧められた気がする。見ます。
⑩長井龍雪「空の青さを知る人よ」
まさにコメントに書かれている通り、完全に青春男女恋愛ものだと思っていたので、映画に行ってまで見るものじゃねーなと思ってガン無視していたのですが、姉妹百合なんですか? 信じます。今度見ます。
視聴済み。自分もこれは百合映画の金字塔だと思います。空気が良すぎる。これを見てから完全に脳がいかれて、のぞみぞの関係についてずっと考えてましたし、なんとしてでも二人をくっつけたくて、そんな二次創作を書いたら300ブクマくらいもらえました(隙自語)。確か自分は、みぞれが「希美のフルートが好き」とは言わないところに問題があると解釈して、希美が一番に求めたのは「みぞれからの承認」だったのではないかと考えていろいろやっていた気がします。
話が逸れましたが、自分にあれだけの熱量を与えた作品が百合でないわけがなく、まごうことなき最高の百合映画です。でも、どうしてこんなに評価されているのかが、よく考えるとわからない気がしてきます。
「強すぎる想いと受け止めきれない感情」「才能と進路」などなど、女子高生ならではの問題をテーマにしつつも、吹奏楽部とは思えないくらいの「静謐さ」もあり、そのギャップがいいのかなと考えたりもしました。というか、みんなが口を揃えて言うこの映画の良さが「静かさ」なんですよね。この「静かさ」が閉じた空間・箱庭を思わせて、抑圧されているようなイメージを連想させるのかな。そこから飛び立つみぞれ、というイメージも想像しやすいし。このあたりはもっと考えるべきなのかもな。
⑫マルコと銀河竜
友達がやってました。ギャルゲーとは思えないようなアニメーションとCGがすごくて、側で見ていて「へー」となりましたが、あれって百合だったんですね。友人に貸してもらおうと思います。
以上。
いろいろ教えてくださりありがとうございました。また読み終わってから個別に感想を書きたいと思います。
(百合に限らず)オススメ作品があるかたは、教えてくれると助かります。
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