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にゃるら『僕はにゃるらになってしまった』読んだ!

にゃるら『僕はにゃるらになってしまった ~病みのインターネット~ 』(2021)

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【総合評価】7.5点(総合12点:全体10点+百合2点)

【作品の立ち位置】

ガチで大事にしたい作品(9<x)

積極的推し作品(8<x≦9)

オススメの手札に入る作品(7<x≦8)

まずまずな作品(6<x≦7)

自分からは話をしない作品(x≦6)

 

エッセイなので部門別のコメントなし

【総括】

面白かったです。本書でも度々出てきますが、自分はにゃるらになりたい側の人間です。なぜなら無職になっていっぱいアニメを観てゲームをして文章を書いて架空のキャラクターのことだけを考えて生きていたいので。

でも残念なことに働かないと旅行にいけないし、うまい飯も食えないし、欲しい本も買えません……そう考えると、いっぱいお金を稼がなくてもいいものの、それなりのお金は稼がないといけなくなります。それならアルバイトよりも正社員の方がボーナスや福利厚生がそれなりにあってコスパいいよなあ~ということで仕方なく会社の犬として働いています。多分自分には無職の才能があるので、仕事の時間を全部アニメに費やしてもOKだとは思うのですが、じゃあその生活の先でお前は他者にエンタメを提供できる「にゃるら」になれるのかよ?と聞かれると無理なんだろうなあと思います。まあ、ねぎしそにはなれるんですけれどね。

自分語りはそこまでにして(この本を読むと自分語りがしたくなりますね)、本作の面白かったところを下に簡単に纏めておきます。

・無職/治安悪/貧困エピソードが面白い。

電気が止まったせいでPS3内のレンタルDVDが取り出せず延滞料金を取られた

那覇空港の100円ロッカーを漁れば、うまくいけば2.3時間で1000円稼げる

ホームレスの女性、喫茶店に持ち込んだ弁当の面積が最初から半分である

ここらへんのエピソードとか、自分の頭のなかでは絶対に出てこない状況なんですよね。実体験が持つリアリティの強みに割と感動しました。こういうエピソードでキャラに実在感を与えてあげたい。自分にはこういう話があまり無いので羨ましいです。

 

・ドラッグエピソードも面白い

鏡に映った自分を観ながら「オレって宇宙じゃん!」とケタケタ笑い続ける岡島くんの姿

テレビの動きはすべて残像をひきずる

壁の模様が七色に光る

いいですよね。自分もなんとか合法麻薬をやりたくて、大学同期の数人とは「卒業旅行は絶対にオランダに行ってヤクをやろうね」と約束していたのですが、コロナになってこの有様です。本当にコロナが憎いね。憎い憎い憎い憎い憎い。

 

あと、全体を通じてにゃるらさんはやたらと変な熟語(ちゃんと辞書に存在しているがあまり使用されないという意)を使うんだなと思いました。私はそれなりに本を読んでいる方だとは思うのですが、それでも全然知らない語彙に溢れているんですよね。この体験はややこしいエロゲ(『鬼哭街』とか『装甲悪鬼村正』とか)をしたときにも感じた覚えがあるので、にゃるらさんの語彙はニトロプラスあたりのエロゲから来ているのかもしれない……と考えていました。真偽不明。あとは、アニメのエピソードとか台詞とかをたくさん記憶していて羨ましかったです。自分はどれだけ興奮しても、いくらメモをしても覚えられないことばっかりなので。

というわけで、にゃるらさんも書いていますが、この本を読むとにゃるらさんの半生をほぼ知れるようになるのでいいと思います。自分はにゃるらさんにそこまで興味があるわけではなく、にゃるらさんの現在のポジショニングに興味があったのですが、この本を通じてにゃるらさん本人にも興味が湧きました。自分はにゃるらさんをフォローしていないし、普段から追っているわけでもないし、この本も図書館にあったから借りた程度の距離感なんですけれど、にゃるらさんが立ち上げた「Twitter2/ユクーリ」のdiscoサーバーには入っているんですよね。面白そうなので。で、それくらいの遠さから見る「にゃるら」って普通に虚像なんです。それがこの本を通じて「あ~にゃるらさんも普通の(寂しい)オタクなんだな」*1と感じることができました。やっぱりキャラの実在性を構成するのはエピソードなのかなと。これからも一次創作でも二次創作でも、特別なエピソードを練り練りすることに取り組んでいきたいと思います。そのためには外に出ないといけない気もする。

*1:私はオタクは基本的に寂しいものだと思っています