古川日出男『非常出口の音楽』(2017)
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【総合評価】7.5点(総合12点:全体10点+百合2点)
【作品の立ち位置】
ガチで大事にしたい作品(9<x)
積極的推し作品(8<x≦9)
オススメの手札に入る作品(7<x≦8)
まずまずな作品(6<x≦7)
自分からは話をしない作品(x≦6)
【世界構築】1.5点 (2点)
始めて触れる古川日出男作品でした。本作は短編集ですが、収録されている作品すべてに「適当なことを書いてやるぞ」という意志が込められているように感じ、好みです。どれも楽しく読めたのですが、長編でもっと深くの世界にまで入り込みたいなと思いました。短編集に求めることではない。
【可読性】1点 (1点)
文字が大きく、リーダビリティも高いためにすらすら読めました。
【構成】1.5点 (2点)
構成なんてあってないような作品が多かったのですが、本作についてはそれが魅力なので。
【台詞】1.5点 (2点)
文体とともに自分好みの対話形式でした。特別これが好き、という台詞はありません。
【主題】1点 (2点)
筆者あとがきによると「人には、ときには非常出口が必要だ」がテーマらしいのですが、そこまでダイレクトに響きませんでした。物語で非常出口が語られるというよりは、この物語によって引き起こされる「笑い」によって非常出口が見つけるようなイメージが近かったです。ただその場合、本作を完全にギャグ作品として受け止めることになるので注意が必要です。
【キャラ】1点 (1点)
魅力的なキャラが多かったです。
加点要素
【百合/関係性】0点 (2点)
該当描写無し
【総括】
面白かったのでオススメです。特に自分好みの作品は以下の通りです。
『サマーレイン』
『機内灯が消えた』★イチオシ
『殺伐ちゃんが将来なりたいものは気象予報士』
『シュガー前夜』
『糸とライオン』★イチオシ
『アップルヘッド、アップルヘッド』★イチオシ
『卵泥棒おおいに語る』
『うはうさぎのうなんですか?いいえ、うは裏切りのうですね』
以上。
多くを語るような作品ではないので、この記事でも特に何かに触れることはありません。文体と心地よさを楽しめれば良いように思います。