新薬史観

地雷カプお断り

視聴映画記録(2020.07/31~08/06)

無事にラボミーティングも終わりご満悦の日々を過ごす。映画をもっと見たいが、かつてのコロナ禍(今もそうだが)の時のような勢いがなく、悲しい。あ、でも代わりに無限に電子書籍で漫画読んでる。あとあとで紹介したいと思います。それもこれも頑張らねば。

 

7月31日 映画125「バリー・リンドン」(1975)

スタンリーキューブリック監督作品。サッカレー原作。「時計仕掛けのオレンジ」「2001年宇宙の旅」あたりのキューブリックのイメージからはかなり離れた作品でびっくりした。が、よく考えれば「ロリータ」とかも撮ってるんだし、別に普通の映画を撮影していても何らおかしくはなかったな。とはいえ、どの作品にも見られる舞台芸術へのこだわりが本作でも遺憾なく発揮されていて、18世紀のヨーロッパ当時に撮影された映画だと思ってしまった。それくらい違和感がない。まあ実物を見たことがないからなんとも言えないが。

夜の照明もすごくよかった。ろうそくの火の立ち上り方が綺麗過ぎる。あと、個人的にはビリーが大尉に酒の入ったグラスをぶちまける序盤のシーンのビリーへの光の当たり方もかなりよかった。音楽もめちゃくちゃ良くて、当時の空気をうまく演出している気がする。脚本も原作小説がいいのだと思うけれど、かなり長い時間、観客を飽きさせずにひとりの一生を描ききっていると思う。退屈しなかったし、引き込まれた。

不思議なのが戦争シーンで、あんなにバンバン撃たれてんのに全然微動だにせず行進し続けているし、まったく意味がわからんかった。当時はあんな戦争をしていたのか?調べてみると戦列歩兵という戦略らしく、実際に行われていたらしいのだが、あんな無抵抗に兵がバンバン死ぬくらいなら日本みたいに特攻すればいいのにと思った。いや、何も良くないんだけれど。すごく興味深い戦争だった。

ただ、この映画は面白いかと言われると微妙で、めちゃくちゃ舞台芸術も良いし、脚本もまったく退屈しない点ではいいのだけれど、もう一回見るかと言われると断ってしまう。娯楽性があまりなく、その点ではロリータの方が人間が活き活きしていて面白かった。この映画は芸術作品としては優れているけれど、自分はやっぱり面白い映画が好きなのかもしれないなと思った。タランティーノは面白いし、タルコフスキーなら寝る。自分に審美眼がなくて泣ける。

 

7月31日 映画126「新聞記者」(2019)

悪い噂ばかり聞く映画だが、自分で見ないことにはわからんということで視聴。

そんなに言われるほど悪い映画ではなかったが、2回目は見ないだろう。ツッコミどころが多すぎるからだ。

まず、ヒロイン役の韓国人の方、これに関してはキャストミスだろう。日本語が難しいのは分かるが、非常に大事なシーンでも拙いためにどうしても気が散る。うまく物語に入り込むことが出来ず、常に引っかかりを覚える。調べてみると、反体制の映画のため、誰もこの映画のヒロインをやりたがらなかったのだという。これを聞くとまあヒロイン役の人も被害者だろうが、このままゴーサインを出したのはどうかと思う。演技もすごいかと言うとそうでもないし。

脚本はそこまで引っかかるところではなかったが、肝心のすげえ重要機密文書が鍵の掛かっていない引き出しに入っているのが謎すぎた。あと、みんな暗いところで仕事しすぎだろと思った。電気をつけろよ。

まあ、あんなに賞を受賞するような映画ではなかったかな。何が審査員の心に受けたんだろう。まったくわからん。

 

 8月1日 映画127「許されざる者」(1992)

すげ~面白かった。少し世界がこじんまりしている印象はあるけれど、それでも十分すぎるくらいにマニーがかっこよすぎる。途中、保安官が悪者なのか、賞金首の人間が悪者なのかが分からなかった。というのも序盤のシーンが暗すぎて、賞金首の顔がまったく見えなかったからだ。注意力が散漫していたこともあるが、もう少しわかりやすく提示してくれればありがたかったかも。指名手配書をつくるとか(似顔絵はあったけどあまり似てなかったし……)。まあでもこれに関しては自分が悪い気がするので置いといて……。クリント・イーストウッドですよ。顔もめっちゃかっこいいし、監督としても最高傑作らしい本作はかなり楽しめた。あとモーガン・フリーマン(ようやく俳優の名前を覚えてきた、何処にでもいるよねこの人)演じるネッドもすごくいい感じの燻し銀感が出ていた。序盤で二人が会うシーンがよかったな。インディアンの奥さんの顔がすごいよかった。彼らが賞金首について話すところも良くて、「顔を切り刻んだなら殺されても仕方ないよな」と語る倫理観もすごく好き。法治国家ならそんなわけないだろとなるところだが、それくらい感情に訴えかけてくるところがあるならもう死刑なんですよね。殺し屋の倫理観ってそんなもんだし、自分もそれで良いと思う。自分はアンチ法治国家なので(問題発言か?これは……)。

あと、殺し屋から足を洗ったといいながらもマニーは結局銃を手に取るようになるんだけれど、最初から最後にかけて、やっぱり誰よりも残忍なのはマニーなんですよね。相棒も子供の賞金首を殺すのを躊躇したし(顔を切り刻んだとは言え子供だし、若気の至りというわけではないが、更生の余地がある)、最後に乗り込む時でさえ、保安官は丸腰のバーの店長を殺すマニーに「卑怯だぞ!」と叫んだ。当然卑怯なのだが、酒を飲んで過去の自分に戻ったマニーにとっては殺し屋としての矜持も容赦も何もないので、殺したいやつだけを殺す(少年を殺す時は、まだ酒を飲んでおらず水を与えようとした情けを見せた)。そういう殺し屋のなかでもひとつぶっ飛んだ倫理観の持ち主ってところが良かった。結局人間は変わらないという話ではあるが、最終的にマニーは子供と仲良く過ごせたらしいので、よほど妻の影響が大きかったと見える。マニーというあまりにも残酷な人間すらも、真人間にすることができた妻の愛が、際だって見えるようになっている映画だと感じた。非常に面白かったな。個人的にはミリオンダラーベイビーの方が面白かったように思うけれど……まあこちらも傑作ですよね。

 

 8月1日 映画128「犬神家の一族」(1976)

市川崑監督作品。完全に未見で挑んだが、あまりの面白さにびっくりしてしまった。古典的名作は今でも名作なのですごい。まずOPがすごく良くて、文字の配置がすごく嬉しい位置にある。庵野秀明作品みたいな感じ。この時点ですごく痺れるのだが、その後も映像がいちいち巧いからすごい。脚本、映像のかっこよさ、人間味溢れる喋りや演技がすごく良い。コナンほど金田一は推理していなかったので、推理ものというよりかは人間ドラマのように感じた。まあ何にしても古典的名作としてこの映画は見ておくべきだなと思いました。本当に良いんだよなあ、これ。大傑作だ。

 

8月1日 映画129「恋人」(1951)

市川崑監督作品。

相思相愛に近かった(片方は自覚なし)幼なじみ同士の片割れ、女が結婚することになったのだが、前日に幼なじみの男(せいちゃん)とデートすることになったという話。

蛍の光で踊っていてびっくりしたのと、せいちゃんが完全に井之頭五郎(原作版)だったので集中して見ることができなかった。孤独のグルメのオタクはマジで見てほしい。想像以上に井之頭五郎

見た目はともかく、映画の内容について。

幼なじみ百合オタクとして(しかも園田海未というまさに婚約しそうな女のカプだし)、これは見とかないとなということで選んだのだが、良かった。女の京子さんのほうは天真爛漫といった感じで、結婚前夜なのに幼なじみと遊ぶとか言うところはまさに穂乃果だし、せいちゃんはずっと幼なじみを思っていた真面目な男性ということで園田海未……(いちいち推しキャラに被せるな)。

でもこれ、ほのうみのフィルターを掛けなくてもすごく良くて、純粋に幼なじみの恋愛という観点から見ても、ひとつの可能性を提示してくれるのが良い。いや、やっぱり絶対に自分の推しカプに重ね合わせて欲しいんだけれど、この映画が提示してくるこういう関係も、まあアリなのかなと思うし、いろいろ妄想してしまう。非常にいい。

気になった点として、嫁入り前の娘が感じる父親からの視線を、「まるで汚いものでも見るような目」と表現するところがある。結構初めて触れた表現で、あまり理解ができない。嫁入り前は幸福に包まれているものだとするのは、あまり良くないのだろうか。ここは今後の課題だな。

まあそれはともかく、70年前(!)の映画だけれど非常に楽しめたし、刺激にもなった。非常にいい終わりです。幼なじみのオタクは是非。傑作。

 

8月1日 映画130「めぐり逢い」(1957)

レオ・マッケリー監督作品。

ニッキーとテリーが運命の出会いをする話で、それまでプレイボーイだったニッキーがテリー一筋になって更生する感じの話。話の進め方がよくて、順調に思えてからの事故でドーン!と観客を容赦なく落とす感じは見習いたい。いろいろ起こる二人の人生だが、僅か数ミリのような危うさで、指先と指先が触れるか触れないか、そのレベルで交わる二人の運命が非常によかった。まさに巡り会いだなと。傑作です。

 

8月6日 アニメ131「円盤皇女ワるきゅーレ」全12話(2013)

この前、みもパラを聞いていたらAgapeが流れてガチで泣いてしまった。実は恥ずかしながらAgapeは知っているがアニメ本編は見ていないというクソっぷりだったので、これをキッカケに視聴することにした。そもそも文脈も知らずにアニソンで泣くな。

よくよくスタッフを見れば、原作が介錯大先生であることは知っていたが、脚本が月村了衛でひっくり返ってしまった。なんとまあ。

内容については割と昔の馬鹿アニメというか、アレですね、天地無用にかなり近い空気を感じる。キャラの動きとかがすごい似てる。まあ脚本が月村了衛で一緒だから当然なんすけど、演出でも時代の影響は大きいんだろうな。

話の進め方やキャラの動き方はかなり参考になった。やっぱり物語はトラブルメイカーが居たら楽しいよね。あと、Agapeの使い方が巧くて嬉しくなってしまった。そうそう、そこで流れると良いんだよと何度も頷いてしまった。

それから、緒方恵美さんの演技がすごくよかった。苗木誠とか碇シンジとかのイメージが強かっただけれど、ワルキューレはすごく美人なお姉さんの声で、本当に演技が上手いんだなと。感動した。

途中で、縮んだりデカくなったりして「うまるちゃんだなコレ」と思って「ワルキューレ うまるちゃん」で検索したけれど、それに言及しているツイートがなかった。それはそう。

昔の王道SFで、話の進め方も面白くて良かったです。途中でライネが和人に惚れたのがイヤすぎるのと(昔のギャルゲあるある)、最後に二人が結婚すんのか~とちょっと萎えたが、(Agape使ってるんだから悲しい終わりで二期まで引っ張って欲しかった)ワるきゅーレかわいかったし、まあいいのかな。アニメ版はどうやら原作と違う展開らしいので、気が向いたら見てみようと思う。

 

今週は以上。 

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