新薬史観

地雷カプお断り

No.155 映画感想 「ダーティ・ダンシング」(1987)

長らく映画を見ていないなとは思っていたが、まさか2ヶ月も見ていなかったとは思わなかった。U-NEXTの月費を2ヶ月も無駄にしてしまった。もったいない。

ということで、そろそろまた映画を見る生活に戻していきたいなと思い適当に映画を漁ってみることに。折角だし、明日から開催の百合文芸に合わせて着想になるようなものが欲しいなと散歩していたのだが、ふと頭に思いついたのが「ダンシング・ババ」という文字列。なんだそれはという感じだが、お婆ちゃんが踊る感じの百合小説を書いてみたいなと思った。で、それにはダンシング要素を入れなくてはならず、U-NEXTで「ダンシング」と検索すると出てきたのがこれ。

「ダンシング・ダーティ」

監督はエミール・アルドリーノ。誰だと思って検索すると、なんと「天使にラブ・ソングを…」の監督さんでした。びっくりだ。

見終えたからこそ言えることではあるが、見ている時の気持ちよさ、「楽しい映画」という点で、「天使にラブ・ソングを…」と非常に近しいものがある。音楽を聞いていて自然と身体が動いたり、音楽の存在に意義を与えたりするのが非常にうまい監督のように思える。自分は普段まったく音楽を聴かないのだが、やっぱり音楽はいいよな、と思えるような映像作品になっていて良かった。

気になったのは脚本のエレノア・バーグスタインで、彼の書く台詞がいちいち気持ちよくて感動した。映画の始まりも文句なしにかっこいい。

「1963年の夏のことだった。この頃私はベイビーと呼ばれていた。ケネディは現役の大統領で、私の夢は平和部隊に参加すること。まだ恋を知らなかった。ケラーマンで夏を過ごすまでは。」

導入として素晴らしい名文だと思う。

また、「怖いのはこの部屋を出たら残りの人生が退屈になること。あなたがいないから」というフランシスの台詞も格別で、現代ではもはやテンプレと化した身分差恋愛ではあるが、今見てもしっかりと胸に刺さるものがある。

それから、恋も知らない少女が、恋を知って大人になる。そのテーマに対応するように、フランシスの名前は「ベイビー」だし、しきりに「どこで(ダンスを)覚えたの?」と聞いてしまう辺り、かなり大人への階段要素がぶち込まれている作品で、ぱっと見やり過ぎ感はあるが、テーマの補強具合を考えると大味って訳でもないし、個人的には好き。

共通の話題でこの名前があれば、ちょっと会話が楽しくなるような映画だなとおもいました。傑作です。