新薬史観

地雷カプお断り

劇団ままごと「わが星」観た!

実はこれ、めちゃくちゃ前にオススメしていただいていた作品でした。演劇ということもありなかなか配信しているところがなく困っていたんですが、たまたま大学の蔵書データベースにアクセスしたらAV資料として保存されていました。有能ですね。

というわけで観たのですが……これ本当にすごいですね。馬鹿みたいに泣きました。演劇自体そこまで観ているわけではないのですが、演劇というジャンルが生み出せる最高レベルの作品になっている気がする。韻を踏みまくり、言葉を聞くだけで笑顔になるような言語センスが全編を通して貫かれており、それが作品の構造にもなり、アクセルにもなっている。ベルクソンは笑いの要素として「反復」や「意外性」などを挙げていますが、この作品ではそれらが「感動」にまで昇華されている。それを実現させているのが、とめどなく流れる言語とそれに紐付いた身体性なのかなあと。普通なら不可能かとおもうような演技が、めちゃくちゃな練習量で実現されている。具体的にどのあたりがと聞かれると「全部」としか言い様がないので申し訳ないのだが、きっと一目見ればその異様さがわかる。神業とでも言えばいいのだろうか、見た目の動きのリズム、耳に聞こえるリズム、それらが親和していっぺんに感情を襲ってくるので、もう訳も分からず圧巻されるし、涙が出てしまう。休憩はなく、常に物語が動いている。しかもその動かし方が言葉遊びだったり光の演出だったり、まったく観客を飽きさせないどころかどんどん引き込ませるものなので、まるでブラックホールにでも吸い込まれているような心地になる。

僕は百合のオタクなので、この作品でちいちゃんと月ちゃんが交わり出した時点で無理になってぼろぼろ涙をこぼした。いや、エピソードそのものより作品構成のほうがずっと自分を魅了しただろうか。この作品にはエモいエピソードが3つ含まれている。先に紹介した少女同士の友情の物語、家族として終末を迎える物語、少年と先生の校則を越える物語。これらが「宇宙創世」という単語の元に纏められ、びっくりするくらいの綺麗さでひとつの物語になっている。その事実が恐ろしすぎて、見終わったあとはしばらく何も考えることができなかった。とにかく感受性への攻撃力が高すぎるのだ。自分は作品鑑賞をしているとなにかとよく泣くタイプで、おそらく感受性が強いのだろうなと我ながら自覚するところではあるのだが、自分のような人間は特に気をつけてこの作品を視聴してほしい。音楽の良さ、演技の良さ、台詞の良さ――これらがいっぺんに襲いかかってくるのだ。自分でもよくわからないことを書いているが、それくらいすごい話だと言うことを伝えたいのだ。考察も何もなく、ただありのままがある。咀嚼するわけではなく、何度でも観たい、浴びたい。「わが星を生で見ることが出来た」人は、一生における最高の経験を手にしたなと素直に羨ましく想う。

酒に酔っていてうまく言葉がまとまらない。ただ、この文章でそのすごさだけでもうまく伝わればと思う。演劇ってすごいわ。