新薬史観

地雷カプお断り

おねロリ百合アンソロジー「ストロベリーパルフェ」読んだ!

f:id:negishiso:20210912071847j:image

毎日ブログ更新、かなり評判が良くて毎日6551481363579人くらいの読者から「毎日ねぎしその文章が読めるのサイコー!」という声を頂いていたのですが*1、やっぱりめんどいので辞めました。自分は本当に毎日何かをするというのが向いていない。ウォーキングだけは続いているので偉い。でもそれ以外は何一つ偉くないですね……。

本記事タイトルのおねロリ百合アンソロジーを読んだので感想メモを貼ります。感想は気に入った作品の順に並べています。

 

全体の感想

本作においておねロリの核となる部分(大人と子供との倫理観のすれ違い、立場の違い、大人が子供に手をかけることの罪深さ)を作品に落とし込めているさかさな先生、伊藤ハチ先生がラストを飾る形になっており非常に良かった。それ以外でも素晴らしい作品はいくつかあったが、一部おねとロリが絡むのがおねにとっての癒しであると大人側の都合のみで書かれている作品があり、評価の難しいところ。もちろん自分の考えが全てではなく、癒しを求めておねロリを読む人間もいるだろうからこの作品のラインナップはアンソロジーとして非常に優秀だと思わざるを得ない。編集者の斉藤浩さん、また名前を見かけることになるかもしれない。

 

伊藤ハチ「自由への逃亡」

やっぱ天才なんだわ。基本的にロリには世界を拓く力はなく、死体や涙や絶望といった「汚い」ものを見せられていい存在でもない。つまりロリとは当たり前ながらも庇護されるべき存在であるし、その役割を担うのは子供より物理的・社会的に力を持ち、「汚い」ものを見慣れた人間でなくてはならない。この当たり前の前提をどこまで共有できるかが問題なのだけれど、少なくとも今回のケースは国が行った原発実験にこそ問題があり、その害を被るのは本来大人だけでなくてはならなかったという点で共感する。大人の都合により自由を奪われた「天使」を、「天使」がずっと夢見ていた青空や花畑という「自由」の場へと連れ出すのが大筋で、これだけで好きになる。本来であれば逃亡百合に備わるはずの閉塞感は、灰色の空から青空へ、生命の朽ちた病院から草原へと移ることで軽減され、なんとも言えない絶妙な読後感を生み出す。妹への追悼をタバコの火で代用するのはファイアパンチで見た流れなのだが、やはりとてつもなくかっこいい仕草。大人のケジメは大人がつけるという倫理観を他でもない伊藤ハチ先生が備えていることが、日本のおねロリ界にとって救いでしかない。線の薄さ、多重に重なる輪郭線が演出する子供の頬の柔らかさが大好きすぎます。天才です。

 

さかさな「まよいどり」

ガチで俺が求めている倫理観を持っている人間に出会えて本当に良かった。子供の感情のまま(こと恋愛に関しては)善悪がつかないような大人もいれば、何を考えているのわからない無邪気なロリから脱却しつつも、嘘をつく大人になりきれない子供もいる。大人=嘘というのがこの構造の中にはあるんだけれど、嘘をつくようになったからと言って精神(大人)と肉体(子供)が一致するわけでもなく、心身の成長スピードには差異がある。春の季節に新たな制服に身を包んだ小瑠璃は「ダボダボ」というイメージからまた子供にリセットされてしまうけれど、精神と違って肉体はそのような脱皮を繰り返して少しずつ大人になるナツの季節に近づいていく。脱皮というイメージから連想される幸せ、「待つ」ことを覚えた(倫理観を備えるようになった)大人、ナツから連想する青春の甘酸っぱさが見通せて全てが愛おしい。素晴らしい作品。


篠ヒロフミ「のんちゃんのコーヒー」

とても素晴らしい。ロリの感情の動きや行動(手紙を恐る恐る開くシーンなど)に愛が詰まっており、大満足。冴子さんからのんちゃんへの優しい視線も最高。


くもすずめ「私の先生は魔法使い」

めちゃくちゃいい。魔法使いを疑われる人間が魔法使いという展開はありふれているが、魔法使いであることが幼女にとってストレートな救いになる点が綺麗すぎる。大好きだ。


はねこと:表紙

ロリに迫られ、診察を受ける「お姉さん」の頬の染め具合が良い。恐らく血は繋がっておらず、共に友人は少ない。大量の診察セットからはロリの診察に対する真剣さが感じ取られ、絶対にお医者さんごっこをしたいんだという強い意志が見られる。それに屈するお姉さんはまだ学生で、大人になりきれていないところからも庇護する側に完全には立てておらず、ロリの倫理観でずるずると危うい一線の近くをあゆみ続ける。そういうシーンの切り取りを思わせる素晴らしい一枚。


いちごイチエ「私のおねいちゃんはうるさい!」

おねいちゃんって呼び名がとてもいい。ただのお姉ちゃんではないことが「い」に込められている。しょんもりという言語センスもよく、絵だけではなく言葉でも作品世界作りがなされている点で好感度が高い。個人的には姉妹百合なのだが、これくらい歳の差があるとおねロリと言えなくもない。


寺山電「姪に殺されるかもしれない」

ジト目ロリ、めちゃ可愛いので神。子供の意味わからん動きが表現されていてそこもいい(最後の首締めだけは微妙だが)。強い感情を持ったロリに法律を変えるとまで言わせるのはオタク的にはとても嬉しいが、その感情の大小に関わらず、取り組むべきは大人だよなとは思う。でもまぁフィクションはフィクションで消化すべきですね。


和泉キリフ「おとなりエンジェルズ」

ゆうぽむを連想してしまった。案外テンプレ気味な作品でびっくりした。


めの「これはフィクションです!」

youtuberの画面越しの虚構を扱っているが、次第に嘘が本当になっていく様は予想通りだが嬉しい。ただそう離れていない年齢差や(義理であれ)姉妹である関係性を考えると、おねロリに分類されるのかは微妙(自分は姉妹百合だと思う)。ただ、これまでのおねロリの概念を広げる良い作品でもあるのかもしれない。

 

さかなや「マイプリンセス」

お姫様に憧れるひなちゃんはとても可愛らしいのだけれど、自分の代わりにみどりお姉さんをお姫様にしようとする感情の動きが掴めなかった。幼女はそんなことを考えるだろうか?もう少し自分本位なムーブが見たかったし、自分の嫌な黒髪サラサラストレートでもお姫様になれることを教えてあげるのが筋だと思う。とはいえ、ほんのりと親戚づきあいをするこの作品はそもそも他の作品とはまた違った目でみることになった。こういうのもおねロリと言えばおねロリですね。


竹嶋えく「お姉ちゃんは変わってる」

あまりにテンプレなので面白くないが、逆に言えばテンプレでも作品として仕上げる実力があるのですごいのかもしれない。

 

以上。

*1:嘘です