デヴィッド・フィンチャー『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』(2008)
https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B00GJGAVMG/ref=atv_dp_share_cu_r
【総合評価】8点(総合12点:全体10点+百合2点)
【作品の立ち位置】
ガチで大事にしたい作品(9<x)
積極的推し作品(8<x≦9)
オススメの手札に入る作品(7<x≦8)
まずまずな作品(6<x≦7)
自分からは話をしない作品(x≦6)
【世界構築】2点 (2点)
老人として産まれて赤ちゃんとして死ぬ、というのは普通に文句なしの勝ち設定だと思う。年齢毎に違和感のない映像作りもできていて呑めり込んだし、映画として画面が見やすい。
【可読性】1点 (1点)
不快に思う点はなく、最後までストレスフリーに観ることができる。
【構成】1.5点 (2点)
ベンジャミン・バトンが存在する時点でこの物語の大まかなプロットは決まると思うので、正直もうちょっと捻りが欲しかった感はある*1。ただ、死ぬ間際の老婆に対して娘が物語を語るという構図はかなり良いし(赤ちゃんへの読み聞かせと同関係)、サブプロットも面白くはあった。ここからは難癖かもしれないが、最後に時計に触れるのであれば、時計という存在についてもう少し掘り下げがあれば良かったのになあとは思った。やりすぎかもしれないが、トマス・バートンの職業を時計職人にするなど。
【台詞】1.5点 (2点)
素晴らしいとおもった台詞がややあった。
第一次世界大戦も終わり、生まれるには最高の日だった
人は機会に左右される、それが失われた機会でも
人生は複雑とは限らない。求めるものを知っていれば。
このあたり好きですね。あとは
ニキビ顔でおねしょしても僕を愛せる?
これはベンジャミン・バトンでしか言い得ない台詞だなと思う。良かった。
【主題】1点 (2点)
この作品の主題は、ポスターにもあるし最後にも語られる「(人間は誰もが死ぬし)どんな人間の人生も素晴らしい」というものであり、そこまで乗り切れるものではなかった。とはいえ、ベンジャミン・バトンを扱う以上、作品のテーマがここから逸れてはならないとも思う。
【キャラ】1点 (1点)
ベンジャミンやデイジーともに魅力的であると思う。サブプロットで描かれるキャラのストーリーは、まあまあ魅力的だった。
加点要素
【百合】0点 (2点)
該当描写無し
【総括】
ずっと観たかったので観ることができて良かったです。この作品でしか得られない体験があるなと思っていて、そういう意味ではかなり独自の立ち位置を築いているように思う。映像としての快感もあり、最後に時計の足元に水が入り込んでくるシーンは、あの映像の美しさに説得力を持たせるために頭からずっと台風の話をしていたのだと思うとかなり興奮しました。他に特に台風要素が効いてくる場面ないですからね。
クソリプをすると、デイジーがタクシーと事故に遭うときにifの映像が流れて事故現場を映さないという演出に死ぬほど震えて(大抵は後悔を埋め合わせるかたちで現実→空想の順で並び、空想のみが映されることは極めて稀だと思っていたため)、「デヴィッド・フィンチャー、お前は天才だよっっ!!!」と叫んでボロボロ泣いていたのですが、そのあとに普通に現実の事故の映像を流しやがったのでかなり苛つきました。俺の感動を返してほしい。
まあでも結論としてはオススメの映画です。超有名なのでみんな既に観てそうだけど。
*1:でも、捻りがなくても十分に面白いんですよね。勝ち設定なので