西尾維新のデリバリールームを読んだ。新刊だったらしい。
簡単に内容を纏めると、妊婦になった中学生が、妊婦とバトルして幸せを掴もうとする物語である。なんじゃそりゃ、という感じだが、そのなんじゃそりゃに惹かれてこの本を手に取った。
実は自分は、これまでに西尾維新の本を一度も読んだことがなかった。周りが読み過ぎていたからである。昔から斜に構えたキモオタだった自分は、周りが読んでいる書籍を絶対に読みたくないという強い意志を持っており、その甲斐あって、殆どの人が読んでいる小説や本や漫画を全く知らないというクソみたいなハンデを背負うことになってしまった。周りとの話題についていけるのはせいぜいコロコロコミックくらいで、ドラベースや推理の星くん、ミラクルボールという絶妙なラインの会話しかできない。実際はもう殆どが記憶の彼方なので、それすらも怪しい。
というわけで、自分はこの作品で初めて西尾維新作品の書籍版(アニメの物語シリーズは流石にシャフト力が優先して視聴してしまった)に触れたわけだが、まあ言葉遊びが多いこと。
自分は森見登美彦や円城塔が好きな部類の人間なので、しょうもない言い回しや言葉遊びが好きなはずなのだが、この作品についてはやや過剰すぎるくらいに言葉で遊んでいて、時々話の流れから脱線しすぎる嫌いがあった。これが作家性ですと言われるとそうですかという感じだが、もうちょっと押さえることはできなかったのだろうか。まあ、好きな人はこれが好きなのかもしれない。
物語の筋書きとしては、ありそうでなさそうな、面白いラインを攻めてきたなという感じで、かなり分厚いのだけれどするすると読むことが出来た。キャラも活き活きしていて、面白い。推理もの、というほどのものではないのだが、ミステリ系が好きな人も楽しめるかも知れない。
ひとつ興味深かったのが、作品のネタバレになるために伏せさせていただくが、次に感想を書く予定である書籍の一文を、そのままテーマにしていたところである(まあたまたまだろうが)。なんのこっちゃ分からんという人は、次回の神林長平「言壺」の感想記事を読んで欲しい。
総括
物語としては面白かった。娯楽小説という感じ。西尾維新とは、オタク界の東野圭吾のような存在なのかもしれない。これは何の根拠もない、自分の偏見による感想です。
以上。