新薬史観

地雷カプお断り

酒と芸術で大阪を満喫する(『但馬屋』『新時代』『スタンド丸勝』)。

「そうだ、大阪に行こう」と思ったのは10月22日(金)のことで、23日(土)には電車に揺られながら去年ぐらいに買ったスズキナオの『関西酒場のろのろ日記』を読み、呑みに行くべき店にあたりをつけていた。この本はとても良くて、大阪に移住してきたばかりのスズキナオが街の居酒屋を通して大阪という街と人とに馴染んでいく様が描かれている。中でも好きなエピソードは「三人いれば前から気になっていたけれど入る勇気がなかったお店に入ることが出来る」というもので、これは本当に近いうちにやりたいと思う。やってくれる友達がいないけど。

それはともかく、スズキナオの本を片手に土日に大阪の街を歩いてみた。自分は大阪をあまり知らないものだから、目安としてスズキナオの本を読んでいく店にあたりをつけた。本来ならば記載されている店を全て訪れて免許皆伝を勝手に名乗ることを目標にしていたのだが、一人旅とはそのように固定できるものではなく、予定はその時々で変化していく。そういうゆるい旅を自分は求めているのだと思う。

 

23日(土)

①但馬屋(天満駅

スズキナオが訪れていた居酒屋で、キムチの天ぷら、エチオピアという名の豚骨など奇妙なつまみが多いという情報に惹かれ、訪れてみた。

天満駅を右に曲がってからたどり着く入り口は分かりづらく、暗い凹みのようなところを入り口と認識する必要がある。うなぎの寝床のような店内は、昼間にも関わらず混んでいて雰囲気がよかった。

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開幕はやはりビール。突き出しに出てきた真ん中のナスは美味だった。どて焼きを注文すると誇張抜きで2秒で提供され笑ってしまったが、ひとくち食べると真顔になる美味しさだった。早くて美味い。言うことなし。
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有名なキムチの天ぷらがこれ。さてどんな味か……と思ったが、想像以上にキムチの天ぷらそのままの味で、家でも作れるんじゃないかと思いながらも、この場で飲むからうまくなるのだろう、多分。名産とか看板商品にはそういう面がある。
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ホルモン焼き。なかなかにうまかった。満足です。
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追加の酒では「喜久泉 吟冠(青森県)」を注文。日本酒度+2で、幻の日本酒らしい。旨口タイプとの記載に違わない味だが、まぁこれくらいなら幻の味ではあるまいとは思った。

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エチオピア、という名前の豚足。コラーゲン豊富で関節にやさしい。とても美味しいので満足でした。

 

総評

酒は普通だが飯が美味い。美味しいものを食べたいときに寄りたいお店。

 

②新時代(天満駅

本当は早々に切り上げて別の店に行こうと思ったのだけれど、天満駅というのが浅草駅に近いような飲み屋街で、ウキウキして離れがたくもう一軒立ち寄ってしまった。

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名前を聞いたことがなかったのだが、チェーン店だろうか? 揚げ皮串発祥の店を謳うこの店は、独特の店づくりがされており良かった。ハッピーアワーにつき生中も90円という異次元の価格。がぶ飲みした。
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店がオススメとして打ち出している「伝串」。本当にスパイスが美味しくて、10本で500円という破格な価格で提供される。北海道の有名チェーン『炎』のつくねを超える串のクオリティに初めて出会った気がする。とても良かった。

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1Lの馬鹿でかい容量だが、これもハッピーアワーで90円で飲める。気が狂う。

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全体的に安過ぎて申し訳なくなってきたので、気になっていたどる焼きを注文した。悪くはないのだが、これで480円なら伝串をもう10本追加した方が満足度は高いように思う。普通の居酒屋では文句なしの料理でも、伝串が同店のメニューを駆逐してしまうのだ。恐ろしかったです。
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総評

思わずレシートを写真に撮ってしまうくらいに安い店。東京にもあるっぽいので、とにかく昼間から酒を飲みたいとき、酒飲みの友人がいるときには是非来たいと思う。

 

閑話休題

国立国際美術館

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いい感じに酔えていたので、ぶらりと国立国際美術館に移動する。
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ボイス+パレルモ展と、コレクション展である1968年展が行われていた。どっちも何もかも知らね〜と思いながら見て回ったが、師弟であるヨーゼフ・ボイスブランキーパレルモが互いに影響させ合い自分の描きたいものを変化させていく様がとても良かった。

主な違いとしては、ボイスは素材に注目しながら、液体でもあり固体でもある脂肪や、フェルトなどを用いて循環的なものを志向していた一方で、パレルモは絵画の支持体や複製とオリジナルの境界を追い求めたりしていた点だろうか。

1968年展では、発泡スチロールが貴重だった時代に行われた、矢印型の発泡スチロールの筏に乗って宇治から中之島に下るTHE PLAY 『現代美術の流れ』の映像が流れていて泣きそうになるくらい良かった。

他に良かった作品としては、工藤哲巳『ハプニング(デュッセルドルフ)』、『放射能による養殖(小さな温室、オレンジ、緑)』、安斎重男『リチャードセラ1970年5月8日東京』、ロバート・スミッソン『グルー・ポア』等々。正直書ききれない。

かなり魅力的な作品が詰まっていて良かったです。驚くほど良い作品がこの世にありふれているのに、知らないものばかりなの嫌すぎる。
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満足して宿に辿り着くと、牢獄みたいなところでした。

 

24日(日)

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プリキュアの映画に行きました。これは後で別立てで感想を書くと思うのですが、稀代の百合映画なのでオススメです。ボロ泣きしました。幼女は全然泣いていなかったけれど一緒に来ていた親御さんはぐずぐずだった。
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淀川の河川敷を歩く。こんな土手みたいなところ、まだ日本にあるんだ。

 

 

③店名は伏せます(十条駅

また映画を見に行くつもりだったのだが、その前に酒が欲しくなり入店。f:id:negishiso:20211028193058j:image

水のようなビールが出てくる。まさかと思い別のウイスキーを注文しても水っぽい。どちらも創業記念で100円でやっているとはいえ、あまりに薄すぎるのでは、と思う。

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串はまあ、まずまずだった。店員の機嫌もあまり良くなかったのでそそくさと退店しました。まあこんな感想なので店名は伏せます。

 

第七藝術劇場十条駅

ネットを徘徊していたら見つけたミニシアター通称「ナナゲイ」と、そこで上映されている映画『サマーフォルムにのって』。これまでミニシアターにはあまり行く機会がなかったのだが(というのも、コスパ厨なので評価が良さそうな映画しか観たくなく、ミニシアターで上映される作品は警戒対象になる)、この映画は良さそうだな~と思い折角だし覗いていくか、という気持ちになった。

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結論から言うとなかなかによかった。これも後で纏めて感想リストを作成するが、『時かけ』のような文脈に乗せながらも、ちょっと新しい作品になっていると思う。明らかな誤読ではあるが、百合としての読みもギリギリ許容されていると思い込めるあたりに良さもある。

あと、ミニシアターはいいなと思える空間だった。地元にもあればいいが……少し探してみようと思う。

 

④スタンド丸勝(十条駅

帰る前に少し呑んで帰ろうと思っていて、スズキナオ推薦の中津駅周辺の店にでも行こうかと考えていたのだが、よく周囲を見渡せば十条駅付近もちょっとした飲み屋街になっている。折角だし回ってみるかと思い見つけたのがこの店。
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さっきの店とのギャップもあり、濃いハイボールで安心する。これが好き。
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牛鍋。なんとなく目について奮発したくなったので。安定のおいしさです。独りで食うようなものではないと思うけれど、注文出来て良かった。

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串カツ5本をお任せで頼む。この衣がめっちゃサクサクで、タレをぎゅうぎゅう吸うのが堪らない。
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この色、最高。
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このどて焼きもまったく安定した旨さですこと。こってりしすぎないのが好み。

 

総評

サブカルぶりたい時は十条駅で降りてナナゲイに凸してスタンド丸勝で決まり!と思ったけれど、もっと十条駅近辺には店が溢れているので、ちょくちょく訪れては探索してみたい。

あと普通に中津駅にも行きたい。

 

以上、土日を満喫しました。ずっとこういう生活をして一生を終えたいです。